「閑話月姫」(present by TYPE-MOON) シナリオ
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●『げっちゃ』
注意書き。
この閑話は本編中の秘密を多分に公開しています。
月姫本編を「あー、月姫はもうやんなくていいや」と思った方だけ御覧ください。
□喫茶店
■アルクェイド
「ねえシエル。なんかはじまったみたいだけど、これなにかな?」
■シエル
「なにかなって、完成記念のお茶会だそうですよ。予算の都合でこんなこじんまりとしたモノになったみたいですけど、なんでもわたしと貴方で今までのコトを反省しろ、だとかなんとか」
■アルクェイド(ちょっと不満)
「うわ、そーだっんだ。……なあんだ、そんなコトならこなかったのに。だいたいさあ、どうしてわたしとシエルなわけ? わたし、この組み合わせ好きじゃないんだけど」
■シエル(おとぼけ)
「ええ、わたしも貴方のコトは大っ嫌いですけど、どうしてですか?」
■アルクェイド(うでくみ)
「うーん、だってさあ、これって例のコーナーと同じ配置でしょ? シエルはいいわよね、なんか立ち絵まで用意してもらったから。けどわたしはアレだよ? なーんか扱いがひどいって言うか、ほんとに正ヒロインなのか疑問に思っちゃうなあ、とか、まあ色々不満があるんだよ
」
■シエル
「ははあ。そういえばあのコーナー、なんか好評らしいですね。ロアなみの執念で全授業を受けた人っているんでしょうか?」
■アルクェイド
「いないんじゃない? だってさあ、がくがく動物ランドの二時間目ってシナリオ担当でもチャート見ないと行き方解らないってぼやいてたよ」
■シエル(あきれ顔)
「……はあ。なんか、ゲームとして破綻してますね」
■アルクェイド
「んー、まあゲーム本編には関わりの無いコーナーだし、それくらいはご愛嬌だけど……って、シエル、新しいお客さんみたいだけど」
■シエル(おとぼけ)
「はい? おかしいですね、今日は貸切にしてくれるって話なんですけど―――――」
■秋葉(おどろき)
「――――――――――げっ」
「……………………………」
「……………………………」
「……………………………」
■アルクェイド(うでくみ)
「……………ちょっと。なによ、その“げっ”て反応は」
■秋葉(ほほえみ)
「………………………」
■アルクェイド(怒)
「こら。何事もなかったように席につくな。わざわざソファーまで持ってきて、何のつもりよ妹」
■秋葉
「…………なんのつもりか、とはこちらの台詞です。私、今日はお茶会を開くというから足を運んだのに何故お二人がいるんですか? こう言ってはなんですか、お二人ともこのような慎ましい席に相応しい人ではないでしょう?」
■シエル
「―――――ははあ。ようするにアレですね。わたしとアルクェイドだけでは話にならないので、委員長属性を持つ秋葉さんが議長になって話を進める、と」
■アルクェイド(ネコ化)
「ええー! にゃによう、そんなの聞いてないよう! 妹なんて本編で一番出番があるじゃないっ! こんな番外まで顔出すなんておうぼうだー!」
■秋葉(腕組)
「アルクェイドさん。その、妹って呼ぶの止めてもらえません? 私は遠野志貴の妹ですけど、貴方とは何の関係もない赤の他人です。この先、何がどうなろうと貴方とは肉親関係になんかなりはしないんですから」
「そうなの? わたしと志貴が結婚した場合、妹はわたしの妹になるじゃん」
■秋葉(おどろき)
「な――――なに無法なコト口走りなさってるんですか!
■秋葉(もう!)
いいですか、貴方みたいな未確認生物が人間的な婚姻なんて出来るわけないんだから、あんまり人の兄を振りまわさないでくたさいっ! 吸血鬼は吸血鬼らしく、人目につかない所でちゅーちゅーモグラの血でも吸ってればいいでしょう!」
■アルクェイド(真剣)
「むっ。言っておくけど、わたしは血なんて吸わないわよ。定期的に血が必要なのは妹のほうなんだから、そっちこそ人間的な生活なんてできないんじゃない? そもそもわたしたち、ルーツは一緒なんだけど」
■秋葉(呆れ)
「はっ、まさか。私は血液を食事の一環として嗜んでいるだけです。秋葉はちょっと人とは趣味が違うだけの、違いがわかるお茶目なグルメさんなだけ。根本的に人間じゃないヒトとは根本的に違うんだから、同類意識なんてもたないでください」
■アルクェイド(不敵)
「―――へえ。そのわりにはあの時はすっごく楽しそうだったじゃない。髪を真っ赤にして血を吸って回ってた時の妹って、下手な死徒よりらしかったけどなあ」
■秋葉(怒)
「あ、あれは……その、何かの間違いです! そもそも貴方がロアなんていう亡霊を追いまわすから私や兄さんが死ぬような目にあったのよ。
あんなモノに獲り憑かれなければ、私はずっと今のままだったんですからっ」
「ふーん、そう? ま、妹がそう言うならそういうコトにしといてあげるか」
■秋葉(この!)
「っ…………! この、何がおかしいのよ泥棒吸血鬼っ!」
■シエル
「はいはい、落ちついて秋葉さん。今日はケンカしちゃいけませんよ。ここ、みんなのお気に入りの喫茶店なんですから」
■秋葉(ツン)
「……わかってます。先輩に言われるまでもありません」
「ですよね? ――――もうっ、二人とも五十歩百歩なんですから仲良くしないと。わたしたち、今日は敵同士という事を忘れてお友達という設定なんです。
と、そうゆうワケなのでそろそろケーキでも頼みましょう。すみませーん、注文いいですかー」
■翡翠
「お待たせいたしました」
■琥珀
「さ、遠慮なくご注文どうぞー!」
■アルクェイド(えっ?)
「――――――――――――――」
■シエル(まじめな顔)
「――――――――――――――」
■秋葉(おどろき)
「――――――――――――――」
■秋葉(腕組)
「…………ちょっと。あなた達、こんな所でなにやってるのよ」
■琥珀
「えへへ。ちょっとお小遣い稼ぎにアルバイトなんかやっちゃってます。なんと今日だけの、わずか一時間ていどのお仕事なんですけどねー」
■翡翠(うつむきかげん)
「――――――――」
■シエル(あきれ顔)
「……すごい。こういうこまめな活動がファンを増やしていくっていうか、隙を見せないが故に負けなしっていうか。こう、魅惑のビィィィーム!、みたいな」
■アルクェイド(真剣)
「…………同感。わたし、怒るのを通り越してちょっと感動しちゃった。やっぱりさあ、ファンを作るためにはあれぐらいしなくちゃいけないってコトだよね」
■秋葉(真剣)
「……いい度胸ね、琥珀。本編だけじゃ飽きたらず、こんな番外でも私に逆らおうっていうわけ?」
■琥珀
「いえいえ、そんなコトないです。わたしたちはただのウエイトレスですから。ちょっと後ろのほうで皆さんのお話を聞いているだけですから、どうかお気になさらずに」
「………………………」
■翡翠(ひぇっ)
「(ね、姉さん……秋葉さま怒ってるし、やっぱり大人しくしていた方が良かったんじゃ……)」
■琥珀(真剣)
「―――――――(ごすっ)」
「あうっ―――――!?」
■琥珀
「はい、それではご注文をどうぞー! とりあえずお薦めは特大のストロベリーパイだそうです」
■秋葉
「そう。それじゃ適当にもってきて頂戴、ウエイトレスさん」
「はい、かしこまりました。それじゃちょっとひっこみますね」
■シエル(哀愁)
「……うわ……琥珀さん、翡翠ちゃんを引きずってズルズルと厨房に消えて行っちゃった。なんかホラー映画みたいですね。デリカテッセン、みたいな」
■アルクェイド(ちょっと不満)
「でりか鉄線?」
「……いいです。ところでここってあの喫茶店だったんですね。秋葉さん、知ってました?」
■秋葉(呆れ)
「話には聞いていた、という程度ですけど。そうゆう先輩こそ兄さんと来たことがあるんじゃないですか?」
■シエル(指を組んで)
「うーん、それがいつも有耶無耶になってしまって。ここってば話題にこそなるんですけど、ちゃんとした本編だと入れないんです」
■アルクェイド
「あ、それは仕方ない事よ。ここはね、本来“月姫”の世界にあっていい場所じゃないっていうか、境界線みたいな所だから。
だからどちらかの世界に深く関わっている存在は正式に入れなくて、たいてい脇の人っていうか、主役にならないけど主役って人しか入れないのよ」
■秋葉(あの)
「はい?」
■アルクェイド(怒)
「だーかーらー、志貴と式が顔を合わせるとまずいでしょ? 遠野志貴と浅上藤乃だったらまあ問題はないけど、志貴と式とか、わたしと橙子が出会うと矛盾が生じてしまうから、正式な時間軸上での物語ではわたし達は入れないの」
■琥珀
「はい、お待たせしましたー! ……って、どうしたんですか? なんか、皆さん難しい顔しちゃってますけど」
■秋葉
「ん? ああ、ちょっとね、あなた達には関係のない話。一応サブヒロイン扱いのあなた達なら、本編でもこの喫茶店を利用できるってだけよ」
■翡翠(心配です)
「……………?」
■秋葉(ほほえみ)
「いいからお茶にしましょう。ところで翡翠」
■翡翠(あの)
「――――はい。何でしょう、秋葉さま」
■秋葉(えっと)
「琥珀、なにかしてなかった? ほら、お茶にヘンな物混ぜてたりとか……」
□喫茶店
■秋葉(ほほえみ)
「――――さて。それでは食事も進んだ所で本題に入りたいと思います」
■アルクェイド
「反省会ってヤツ? 別にいいけど、わたし反省することなんてないよ」
■シエル(まじめな顔)
「右に同じ。……まあ、昼間から我がもの顔で街を徘徊している吸血鬼を退治できなかったのは大いに反省すべき事ですけど」
■秋葉(ほほえみ)
「先輩、そういう事でしたら私も反省点はありますが、それではせっかくの後日談としての利点を生かしきれていないでしょう? どうせ琥珀と翡翠も聞き耳をたてているんですから、ここは反省会ではなく感想会にしたい、と思っているのですが」
■翡翠(あの)
「感想会、ですか……? 申し訳ありません、秋葉さまの意図がよく汲み取れないのですが……つまりアンケートのようなものをとる、という事でしょうか」
「アンケート、というよりはそれぞれが疑問に思っている事を話し合う、という形ね。
ほら、翡翠だって本編中であれ?と首をかしげるような事が一つぐらいあったでしょ? そういう疑問を解決するのよ」
■アルクェイド
「ねえねえ、それって疑問じゃなくてもいいの? それだったらわたしも幾つか言いたい事があるんだけど」
「構いません。それではシエル先輩からどうぞ」
■シエル(あきれ顔)
「わたしからですかっ……!? うーん、そうですねえ……本編にはまったく関係ないんですけど、遠野くんのお財布について聞きたいかな。
遠野くんは時々バイトしたいってこぼすんですけど、彼は月どのくらいのお小遣いを貰っているんですか?」
■秋葉(ほほえみ)
「与えていません」
「え?」
「兄さんはお小遣いなんて貰っていません。有間の家ではどうだったか知りませんが、屋敷に帰ってきてからはそうです。
だってそんなもの、必要ないでしょう?」
■シエル(ちょっと!)
「ひ、必要ないって―――もしかして遠野くん、カードとかもってるんですか?」
■琥珀
「あはは、嫌ですねシエルさん。秋葉さまは志貴さんにはビタ一文渡していない、と言ってるんじゃないですか」
■シエル(哀愁)
「……あの、それじゃあ遠野くんってその、普段どうやって生活してるんですか? お小遣いがないという事は、学校帰りの間食とか、カレーパンとか、どうなるんでしょう?」
■秋葉(真剣)
「必要ないです。食事だったら必要なだけ用意しているし、別にお金が必要になる事はないでしょう」
■シエル(あきれ顔)
「……はあ。けど、それ以外にも色々欲しいものってあると思うんですけど」
■秋葉(ほほえみ)
「でしょうね。ですから、そういった場合はきちんと言ってくだされば私の方で用意します。兄さんにとって本当に必要なものならなんだって揃えて差上げるのに、どうしてか何も言ってきませんけど。
まったく、兄さんの無欲ぶりもちょっとした病気よね。そう思わない、琥珀?」
■琥珀(うふふふ)
「はい。だっていうのにしきりにアルバイトをしたがるあたり、働くのが好きなんでしょうねー」
■翡翠(でも)
「……姉さん、それ違うと思う……」
□喫茶店
■アルクェイド
「あっ、じゃあ次はわたしね。気になってた事っていったらやっぱりアレでしょ。そこの二人の区別の仕方」
■翡翠(えっと)
「………………?」
■琥珀
「はい? わたしと翡翠ちゃんのことですか?」
「そっ。あなた達って時々―――――ってたでしょ? あれって見た目じゃわからないから状況で把握するしかないんだけど、なんか便利な見極め方ってないの? 実は目の色が変わってる、とか」
■シエル
「ああ、それはわたしも聞きたかったです。なにかヒントとか、そういうのなかったんですか?」
■秋葉(腕組、ちょっと不機嫌そう)
「というか、私にまで内緒にしてるなんてどういう事よ。……ま、琥珀が一筋縄じゃないってコトはずっと分かってたけど、まさか翡翠までねえ」
■翡翠(真っ赤にうつむき)
「あ…………………」
■琥珀(哀愁)
「違いますっ。アレはわたし一人の仕事です。翡翠ちゃんはまったく関係ないんですよ。目の色だってカラーコンタクトを使っていただけだし、タイミングだって翡翠ちゃんを薬で眠らせて、その間を狙っていたんですから」
■シエル(あきれ顔)
「実の妹までその毒牙にかけていたんですね、琥珀さん」
■琥珀
「嫌ですよー、そんな人聞きの悪い。まだ翡翠ちゃんルートをクリアしていない良い子が見たら誤解しちゃうじゃないですか」
■秋葉(呆れ)
「誤解も魔界もなく紛れも無い事実じゃない」
■琥珀(真剣)
「あー、秋葉さままで酷いですっ! わたし、ちゃんと志貴さんにヒントあげてたんですから。
■琥珀
気づいている方もいらっしゃるでしょうけど、ようするに“姉さん”と“姉”なわけです。
良い子のみんな、わかったかな? 二回目はそのあたり注意してプレイしてみると、わりとバレバレだったりしますよー」
■アルクェイド
「えー、どれどれ……あ、ホントだ。そっかー、てっきりいつもの誤字だと思ってたから気にしなかった」
■翡翠(あの)
「……はい。なにしろ原画担当の方でさえ“呼び方、姉さんのほうがよくない?”とおっしゃったぐらいですから」
■秋葉(もう!)
「自業自得ね。あんまり造語ばっかり使ってるから、普段の文章に信用がなくなるのよ、アイツは」
■翡翠(細目)
「――――それです」
■琥珀
「ん? どうしたの翡翠ちゃん、いきなり恐い顔しちゃって」
「その造語ですが、どうしても読めない言葉があります。
眩病月(くらやみづき)、
透る爪跡(すけるつめあと)、
檻髪(おりがみ)、
などは読めるのですが、“硝る躯”、とはどう読むのでしょうか?」
■アルクェイド(えへへ)
「あはは」
■シエル(ほほえみ)
「てへへ」
「? お二人とも、知ってるんですか?」
■アルクェイド
「あー、うん。それね。そればっかりは見逃してあげたほうがいいと思う。本人も猛反省してるみたいだし」
■シエル
「こう、リアルを理或る、と書くようなモノだから」
■翡翠(細目)
「……それでは答えになっていません。疑問を疑問でなくす為の話し合いなのですから、どうかお答えください」
■アルクェイド
「うーん……仕方ないなあ。アレね、“もえるからだ”って読むらしいよ」
■シエル(あきれ顔)
「はい。きちんと語学を学んだ方からすれば吊るし首級の当て字というか、造語というか」
「ほら、硝煙の硝って字でしょ? 単語の意味なんてそっちのけで、もうイメージで使ったんだって」
■秋葉(おどろき)
「―――――――(絶句)」
■琥珀
「ははあ。そんなハンパな真似をするなら、いっそ萌える躯にすれば良かったのに。翡翠ちゃんに献身的に看護される話なんですから、そっちのが良かったですよ。ねー、翡翠ちゃん? 志貴さんの看護が出来て嬉しそうだったもんねー」
■翡翠(赤面)
「……………………」
■アルクェイド
「そういえばタイトルっていえば、初めは一つずつ英題も入れようと考えてたらしいけど。シエル、なにか覚えてる?」
■シエル
「覚えてますよ。たしかですねー、
硝子の月/Glass Moon
黒き獣T/Six Six Six
朱の紅月/Crimson Air
静夢/cizumu
沈夢/cizumu
とか、そんな感じです」
■琥珀(うふふふ)
「あっ。そっか、静夢と沈夢って両方とも“しずむ”って読むんですね!」
■翡翠(ちょっとテレ)
「……え……わたし、ち……って……」
■琥珀
「え? なにかな翡翠ちゃん〜? 沈夢をなんて読むと思ってたのかな〜?」
■翡翠(真っ赤にうつむき)
「………あの……ちん、む……って」
■秋葉(腕組)
「琥珀、あんまり翡翠をいじめないの」
■琥珀(えへ)
「はーい。けどアルクェイドさんとシエルさんって、なんか裏話に詳しいんですね。どうしてですか?」
■アルクェイド
「だって、わたしとシエルは一番古いもの。妹も長いけど、一番初めに生まれて一年半、ずっと月姫に関わってきたんだよ?」
■シエル(おとぼけ)
「ですねー。月姫の酸いも甘いも知ってます。例えばわたしのエンディングですけど、都合二回も書きなおされたり、秋葉さんのエンディングは三回も書きなおされてたり、テストプレイの段階のエンディングと完全版のエンディングは別物だったり。
とくにテストプレイバージョンの秋葉さんエンディングは今では貴重ですよー。どうして遠野くんが○○○○のか、簡単なコトですがわたしの口から説明されていますし。
と、ゆーわけですから、世界に十枚しかないテストプレイバージョンを持ってる人は今すぐアンインストールして、CDを叩き割ってくださいね」
■翡翠
「……つまり証拠隠滅、というわけですね」
■琥珀(うふふふ)
「うーん、大人の世界の汚い面を見ちゃいましたねー」
□喫茶店
■秋葉(ほほえみ)
「コホン。それでは次は私から。
■秋葉
真面目な話になりますけど、先輩はどうしてまだこの街に残っているんですか?」
■シエル(おとぼけ)
「えっ……? あ、はは、えっと、それは……なんででしょう?」
■アルクェイド(うでくみ)
「言われてみればそうよね。ロアは消滅したんだし、あなたがここに残っている理由はないわ」
■シエル(ちょっと!)
「理由なんてありますっ! あのですね、吸血鬼に潜伏された区域というのはその吸血鬼が死滅した後も調査が必要になるんです。
吸血鬼は吸血鬼を増やす。この意味はわかるでしょう? 親元の吸血鬼が死滅すれば子である吸血鬼もその大部分が死滅する。けれど“後継者”として特別視された“子供”は、親元が死滅しても生き延びるんです。
結果、吸血鬼に汚染された区域の浄化はむしろ親元を消滅させた後からが本番なんです。わたしは、その……ちょっと書類を操作して、その仕事を自分に回しただけであってですね……」
■アルクェイド(真剣)
「職権乱用か。あなたらしいわね、目的の為には手段を選ばないところ」
■シエル(おとぼけ)
「ふん、なんとでもどうぞ。だいだい乱用しないで何の為の職権ですか」
■琥珀
「あ、今のは問題発言ですよシエルさん。与えられた仕事は清く正しく、裏表なんかあっちゃいけないじゃないですか」
■秋葉(えっと)
「空耳かな。今、その台詞に一番相応しくない人物の声が聞こえたような――――」
□喫茶店
■琥珀
「あ、わたしも疑問があったんですけどいいですか?」
■秋葉(ほほえみ)
「どうぞ。なんだったら立ってないで椅子でも持ってくれば?」
「いえいえ、わたしと翡翠ちゃんはあくまで盗み聞きをしている一介のウエイトレスですから」
■翡翠(あの)
「…………………(とさっ)」
■アルクェイド
「あれ? わたしの横、座るの?」
「……………………」(うなずき)
■琥珀(哀愁)
「あー、翡翠ちゃん酷いっ! 二人で今回はちゃんと脇に徹して秋葉さまたちを盛りたてようって言ったのに、うらぎりものっ!」
■秋葉(呆れ)
「……琥珀。冬コミ体験版のコーナーのことだけど」
■琥珀(あ、ははは……)
「え――――?」
「だから、冬コミ体験版のコーナー」
■琥珀(えっと)
「あ、う―――――秋葉さま、もしかして……見ちゃいました?」
■秋葉(ほほえみ)
「安心なさい。アルク・アンド・シエルさんはまだ見てないから。まあ、琥珀の出方次第でアルクェイドさんと先輩には黙っていてあげてもいいけど?」
■琥珀(えへ)
「はう――――それまで見ちゃったんですね……うう、これからはより一層の忠誠を誓いますよう」
■秋葉(ふっふっふっ遠野の血が騒ぐわ)
「解ればいいのよ。脇は脇らしく、窓の外の庭でも掃除していなさい。
■秋葉(ほほえみ)
――――で、あなたの疑問ってなんなの?」
■琥珀
「はい。アルクェイドさんと志貴さんがいい感じだった時にですね、五体の死者さんがやってきたじゃないですか。
あれって、結局なんだったんですか? アルクェイドルートの十日目の事ですけど」
■アルクェイド
「え? あれ、本編でちゃんと説明してなかったっけ?」
■翡翠
「はい、していません」
■アルクェイド(ごきげん)
「そう。……まあ、終わった事だから別にいいんだけどね。ねえ、シエル?」
■シエル(哀愁)
「―――――――――う。いいですよ、別に。どうせわたしなんて便利に使われるだけの何でも屋さんなんですから。ええ、今更ドス黒いとか言われてもむしろ誉め言葉ですからっ」
「……? あれ、シエルさんの仕業なんですか?」
■アルクェイド
「そうよ。九日目にわたしが勢いで潰した死者たちの死体を保存してね、街灯の上から糸で操っていただけ。ネクロマンシーなんてロアの娘であるあなたには簡単なコトだもんねー」
■シエル(おとぼけ)
「……簡単じゃなかったですけど、まあ、七割ガタは貴方の言うとおりです」
■翡翠(えっと)
「あ……そういえば、ロアという方はシエル様のことを娘、と言っていましたけど……」
■シエル(まじめな顔)
「……それはですね、ロアの転生体に選ばれた人たちはみな、血こそ繋がってないもののロアの子孫、つまり子供なワケですから。
「とりわけロアはわたしのコトを気に入っていたみたいですし、他の転生体より愛着があったのでしょう」
■秋葉(髪を掻きあげて)
「……そっかあ。先輩にも悪の時代があったのよね」
■琥珀(うふふふ)
「あ、それいいですね! 次の番外編はそれでいきましょう。巴里の片田舎を支配した女吸血鬼の怠惰と淫堕の日々っ! 果てしない欲望の淵に落ちていく少女の運命は――――次回月姫2、オレは愛など信じないーーー! とかなんとか! きゃー、シエルさん素敵―っ!」
■シエル(にらみ)
「――――ま、間違ってもそんな番外編はありませんっ! お祭りディスクに収録される番外編は、もうとっくに十個決まってるんですから!」
■琥珀(哀愁)
「ちぇ、がっかり」
■翡翠(うつむきかげん)
「がっかり」
□喫茶店
■秋葉(えっと)
「さて。これで全員の疑問は解消されたわけだけど、何か物足りないなあ。アルクェイドさん、他になにかあります?」
■アルクェイド
「そうね、例えば今の状態かな。これって物語の後っていう時間軸だけど、それは誰の物語だったんだろうって。
わたしがいて、シエルがいて、妹と彼女たちがいるから、わたしかシエルよりのエンディングだと思うんだけど」
■秋葉
「……ですね。不本意ですが、私や翡翠たちのエンディングではこんな理想的な“その後”にはなりません」
■シエル
「わたしのエンディングでもないですよ。一応これ、アルクェイド・グッドの後の話です。
でもちょっとした変動がありまして、わたしとアルクェイドとロアと遠野くんが戦っている間、遠野くんは秋葉さんや翡翠さん、琥珀さんとの物語も手際良く体験しています。肝心の核の部分は未経験ですけど」
「……それではやはり、アルクェイドさんの結末が月姫というお話の正式な終わり方、と捉えるべきだと?」
■アルクェイド(えへへ)
「えへへー」
■シエル(まじめな顔)
「(……むかっ)はい。けど、それは“月姫”というお話の正式な結末です。遠野志貴を主人公とした場合の、遠野志貴の物語の結末は秋葉さん寄りですよ。本来ならわたしやそこのあーぱー吸血鬼は遠野くんとは無関係なんですから」
■秋葉(真剣)
「……つまり私か翡翠、琥珀の誰かが正式な結末になる可能性もあるってわけか……」
■琥珀(真剣)
「………………」
■翡翠
「………………」
■アルクェイド
「……ちょっとシエル。3人とも、なんか無言で睨み合ってるみたいだけど」
■シエル(ほほえみ)
「後の先をとるか先の後をとるか見切っている最中です。邪魔しないでおきましょう」
□喫茶店
■さつき
「――――――はい、はいはいはいはい!」
■アルクェイド(ちょっと不満)
「あ、さっちんだ」
■さつき
「あの、わたしの扱いってこの先も変わらないのかな!? いくらなんでもあんなのは酷いと思うよね、みんな!」
■シエル(あきれ顔)
「……うーん……なんでも弓塚さんのルート、構想段階にはあるらしいんですけど……シナリオ担当曰く、」
■秋葉
「“月姫本編で意図的に無視していたある事柄”を主軸にした話、でしょ? でも難しいでしょうね。お祭りディスクに入れるにしては尺が長いし」
■琥珀(哀愁)
「かといって、完全版を出してしまった以上、真・完全版なんて作れませんし……」
■翡翠
「……気の毒ですが、弓塚さんはサブのままのようですね」
■さつき(えっ)
「ひ、ひどい、かみさまあんまりですっ! 好きになった相手は学校いちのトウヘンボクで、加えて最後には前半で死んじゃって! 琥珀さんだって急遽シナリオを作ってもらえたのに、わたしだけこのままなんだーっ! わーんっ!」
■アルクェイド(ちょっと不満)
「いいじゃん、さっちんは幸せだよ。吸血鬼が主題なのに吸血鬼らしい人物っていったらさっちんしかいないんだもの。さっちん、影の主役なのさ」
■琥珀(うふふふ)
「吸血鬼なだけに、一生日向には出られないんですねー」
■シエル(えへへ笑い)
「あ、うまい。ざぶとん一枚」
■さつき(苦しい)
「遠野くんのばかあああああああああ! いいもん、夢現解体できっとリベンジしてやるんだからねっっっっっ!!」
■シエル(まじめな顔)
「弓塚さん、退室しました。……っと、弓塚さんと言えば秋葉さん。今回の閑話、見ました?」
■秋葉(にらみ)
「…………………」
■シエル(あきれ顔)
「“じゃ、付いておいで”かあ。遠野くんって年下の子には3倍のスピードで優しいんですよね」
■琥珀(うふふふ)
「キックの反動で動いているってワケですね!」
■秋葉(ツン)
「……まあ、どうでもいいけど。無意識の善意っていうのは罪深いって再認識したわ」
■シエル(あきれ顔)
「ええ、まったく同感です。今回ので遠野くんがいかに重罪か思い知りましたね。弓塚さんもきっとああゆう風に転んでしまったんでしょう」
「ええっ。……ったく、誰彼問わずああゆう態度をとるから、純真な子が勘違いするんじゃないっ。
■秋葉(ふっふっふっ遠野の血が騒ぐわ)
……やっぱり兄さんには一度、地下の座敷牢に入ってもらってじっくりたっぷり反省してもらわないといけないようね………ふふふ」
■翡翠(心配です)
「あ、秋葉さま、そんな恐ろしいことをブツブツおっしゃらないでください」
■シエル(哀愁)
「あの……秋葉さん、まだ憑き物が落ちきってないんじゃないですか? なんか、こうぶわあっと黒いオーラがにじみ出ているんですけど……」
■琥珀
「いえいえ、そんなことはないですよ。秋葉さまはちゃんと完治されています。これは間違い無く秋葉さまの地ですから」
■翡翠(でも)
「槙久さまの二重人格、秋葉さまに遺伝してる……」
□喫茶店
■秋葉(ほほえみ)
「趣味の話だけど」
■アルクェイド(真剣)
「いきなりきたわね」
■秋葉(髪を掻きあげて)
「はい。私が口にしなければ誰も口にしないでしょう? 一応、ここにきたらこれだけは聞いておけって言われた事ですが、皆さん好きな歌を一つだけあげてもらえますか? ただし邦楽限定。洋楽とかアマゾンの部族の歌とかゴスペルとか禁止です」
■アルクェイド(えへへ)
「歌? 歌ならわたし、ナーヴ・カッツェのクレイジードリームかな」
■シエル(あきれ顔)
「……えっと、地下室のメロディー」
■翡翠(赤面)
「ソフトバレエさまの、パレードがとても好きです」
■琥珀
「こっこさんの柔らかな傷跡は名曲ですね」
■秋葉(ほほえみ)
「最近なら、私はスゥインキング・ポプシクルのサテツの塔」
■さつき(笑み)
「はーい! わたしは文学といふコト、で使われてた原田知世さんの歌―っ!」
■シエル(てれてれ)
「うわあ、翡翠さんパレードですか! いいですよねいいですよね、ソフトバレエはいいですよね! のちに世界最強のヘヴィーヴォイスと謳われる遼一さんの声で大らかに歌われると、まるで教会のただ中で賛美歌を聴いているような、そんな気持ちになりますよね!」
■翡翠(ちょっとテレ)
「…………………………」
■秋葉(えっと)
「……パレードって……もしかして、アレ?」
■琥珀(えっと)
「そうですよう。翡翠ちゃん、毎朝あの曲を目覚ましにしてうっとりしてるんです。わたし、翡翠ちゃんって実はとんでもない思考回路してるんじゃないかって時々恐くなります」
□喫茶店
■秋葉(ほほえみ)
「……まあ、色々と問題はあるようですけど全員分で揃いましたね?
さて、それでは――――その曲が皆さんのイメージソングという事になるそうです」
「ええーーーーーーーーーーーーーーー!?」
■シエル(ちょっと!)
「ちょ、ちょっと待ってくださいっ、そんな話聞いてませんっ!」
■秋葉(ほほえみ)
「あら先輩。何か不都合でもおありですか?」
「あ、あるに決まってるじゃないですか! わたしなんて地下室のメロディーですよ!?
ココハドコダ、ソシテコノオレハダレダ、とか、そういった歌詞が羅列されてるだけの歌じゃないですか!」
■秋葉(髪を掻きあげて)
「素晴らしい曲ですよね、地下室のメロディー。一説によると、当時学生だったシナリオ担当は廃墟みたいな病院の待合室で歌詞カードを見てしまい、恐くて半年ばかりCDケースを開けなかったという伝説があるぐらいです」
「あ、あううううううう! いくらなんでも、いくらなんでもアレがイメージソングだなんて、それじゃまるでホラー映画じゃないですかっ!」
■アルクェイド(えへへ)
「ニゲロニゲロ、ニゲロニゲロ、ドアヲアケロー♪」
■シエル(にらみ)
「そこっ! 続きの歌詞を歌わないっ!」
「マヒル、ニフルエナガラー♪ アー♪
■アルクェイド(にらみ)
ラァーーー!」
「ひぃーーーー! かみさま、こんなのあんまりですーーーー!」
□喫茶店
■アルクェイド
「あー、楽しかった。けどナーヴ・カッツェのクレイジードリームって曲は女の子ユニットの、吸血鬼がテーマの可愛い歌だよ。
シナリオ担当に言わせるとほんっとーに月姫(アルクェイド)のイメージソングらしいから、興味ある人は聴いてみるといいかも」
■翡翠
「OUT、というミニアルバムです。二千円ぐらい。……ですがアルクェイドさん、こういう布教活動というのは許されるのでしょうか?」
■アルクェイド(ごきげん)
「おっけーおっけー。問題なーし!」
□喫茶店
■アルクェイド
「あ。なんか外が暗くなってきたね」
■シエル
「そうですね。そろそろお開きという所でしょうか」
■秋葉
「あ、そうなの? けどあと一つ聞かなくちゃいけない事が残ってる。
それじゃあ本当の最後になりますけど、皆さんにとって月姫本編の中で“一番悪いひと”は誰ですか?」
「……………………………………」
「……………………………………」
「……………………………………」
「……………………………………」
「……………………………………」
■アルクェイド
「シエル、先に言っていいわよ」
■シエル(おとぼけ)
「貴方こそ先にどうぞ。わたしは貴方の後でいいです」
■秋葉
「琥珀? 翡翠も後がいいの?」
■琥珀(えへ)
「あは、なんか一番初めに言うのって恥ずかしくて」
■翡翠(ちょっとテレ)
「…………………(こくん)」
■アルクェイド
「しょうがないなあ。それじゃあみんな、一緒に言おうか。せーの、」
■アルクェイド
「んーと、志貴かもしんない」
■シエル
「当然遠野くんですね」
■秋葉(もう!)
「兄さんに決まってるでしょう」
■翡翠(でも)
「……申し訳ありません、志貴さま」
■琥珀(うふふふ)
「志貴さんぐらいしか考え付かないですねー」
■アルクェイド(びっくり)
「……あれ。みんな志貴のこと嫌いなの?」
■シエル(指を組んで)
「うーん、嫌いではないんですけど、悪いっていうか……可愛さ余って憎さ百倍とか、そういう理由です」
■秋葉(えっと)
「私は純粋に兄さんは悪い人だと思いますけど。だって兄さんのせいで私はいつも苦しんでいる。好き嫌いなんて関係無いところで、兄さんは悪いひとです」
■翡翠(もじもじ)
「………………………」
■琥珀
「ですねー。それに志貴さんのHってしつこいから、こう終わった後ってすっごく疲れちゃいません? 志貴さん、あんなんでよく体が持つなあって思いますけど」
■シエル(てれてれ)
「……賛成。遠野くん、なんていうか底無しです」
■アルクェイド(ばつが悪い)
「そうなの……? わたし志貴しか知らないから、よくわからない、けど……」
■翡翠(真っ赤にうつむき)
「……………………(右に同じらしい)」
■秋葉(えっと)
「……まあ、聞いていたのと比べると凄いんだなって思ったけど……
■秋葉(怒)
ああもう、どうしてそんな話になるんですかっ! わたしたちは兄さんの至らない所を話していた筈でしょう!」
■シエル(おとぼけ)
「えー、これも十分遠野くんの至らない話なんじゃないかなあ、とか」
■アルクェイド(えへへ)
「うん。わたし興味あるなあ。妹も意地張るのやめたら? どうせこの場は無礼講なんだし」
■秋葉(えっと)
「―――――まあ、ね。そりゃあ、私だって興味はあるから、まあ……悪くないけど」
■翡翠(で、でも)
「そんな……秋葉さま、志貴さまがいらっしゃらない席で、そのようなお話をされるのはあんまりです」
■琥珀(うふふふ)
「そうですねー。ここに志貴さんがいないのが残念です。もし志貴さんがいたらきっと楽しかったですよ。
ほら、タルに入った海賊さんを剣で突ついていくゲームってあるじゃないですか。あれと同じでつんつんと四方八方から突ついていって、志貴さんを困らせるんです。あーあ、残念ですねー、志貴さんがいたら面白かったのになー」
■秋葉(えっ(赤面))
「う……。
■秋葉(だから(赤面))
こ、琥珀、あんたってその……すごい事、考えるのね……」
□喫茶店
■アルクェイド
「ん? なに、この鐘の音」
■琥珀
「あ、閉店時間になっちゃいました。みなさん、今日はよくお喋りになられましたねー」
■秋葉(ほほえみ)
「……そうね。初めはどうなる事かと思ったけど、こう拮抗状態になると敵意がなくなってしまって、楽しく話ができたわ」
■シエル(ほほえみ)
「わたしたち3人っていうのがいいバランスになってるんですよ。わたしも今日は楽しかった」
■琥珀
「ふふ、今にも亀裂が入りそうなバランスですけどね」
■翡翠(あの)
「……姉さん、一言多いです……」
■秋葉(髪を掻きあげて)
「それじゃ私は先に帰ります。二人とも、後始末はよろしくね」
■シエル(ほほえみ)
「わたしも失礼しますね。そろそろ巡回の時間ですから」
■アルクェイド
「わたしも行こうかな。なんか、随分と長居しちゃったし」
■琥珀
「はい。アルクェイドさんもお気をつけて」
■アルクェイド
「それじゃまたね。あ、翡翠とは今夜にでも顔を会わすかな?」
■翡翠(でも)
「……アルクェイド様。そう、頻繁に志貴さまのお部屋に忍び込むのはご遠慮ください」
「はいはい、冗談よ。それじゃ二人ともまたね!」
■琥珀(うふふふ)
「はい、それではまた、新しい年にお会いしましょう!」