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男子はじめて物語 筆お・ろ・し!の巻
松井雪子
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もくじ
男子はじめて物語
犬映画で笑いと涙と感動を
韓国ドラマ&映画 純潔シーン虎の穴
奥深き体毛ジャングルをゆく!
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男子はじめて物語[#「男子はじめて物語」はゴシック体]
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ハンクスの子ども大人演技が説得力抜群 1988年/トム・ハンクス(当時32歳)
[#漫画(img/manga1.jpg、横187×縦573)]
ビッグ
BIG 監督:ペニー・マーシャル 出演:トム・ハンクス/エリザベス・パーキンス/ジャレッド・ラッシュトン
早く大人になりたいと思っている12歳の少年ジョッシュが、ひょんなことから体だけ35歳の大人に変身するという奇想天外なロマンティックコメディ。家を追い出され、N.Y.で玩具会社に就職したジョッシュは子どもならではの発想で大昇進し、美人重役とも愛し合うようになるが……。後の『フォレスト・ガンプ』に通じるハンクスの子ども大人♂焔Zがさすが!
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青春はいつもおバカなもの? 1981年/ダン・モナハン(当時26歳)
[#漫画(img/manga2.jpg、横185×縦578)]
ポーキーズ
PORKY'S 監督:ボブ・クラーク 出演:ダン・モナハン/カーキー・ハンター/ナンシー・パーソンズ/マーク・ヘリアー
50年代のフロリダを舞台に、寝ても覚めてもセックスのことばかり考えているおバカな高校生たちの日常を、お色気満載のドタバタコメディで描く。
童貞を捨てるべく必死のピーウィが笑えるが、よく観ると下ネタ連発の中で意外にも(?)親子関係や人種問題について盛り込んだ青春群像劇でもある。ますますハチャメチャな続編がパート3まで作られた。
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夢見る少年のほろ苦い初恋 2000年/ジュゼッペ・スルファーロ(当時16歳)、モニカ・ベルッチ(当時32歳)
[#漫画(img/manga3.jpg、横186×縦577)]
マレーナ
MALENA 監督:ジュゼッペ・トルナトーレ 出演:モニカ・ベルッチ/ジュゼッペ・スルファーロ
第二次大戦下のシチリア。出征した夫を待ち続けるが、美貌のため村人の嫉妬や好奇の目にさらされるマレーナの壮絶な運命が、彼女を想い続ける少年の目を通して淡々とつづられる。女性蔑視が残る時代を生きた女性の哀しさを描くラブストーリー……なんだけど、前半の少年の妄想はかなりコミカル。というか、お父さんが売春宿に連れていくって凄くないですか?
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純情・病弱・切ないの三拍子 1993年/クリスチャン・スレーター(当時24歳)
[#漫画(img/manga4.jpg、横186×縦576)]
忘れられない人
UNTAMED HEART 監督:トニー・ビル 出演:クリスチャン・スレーター/マリサ・トメイ
ウェイトレスのキャロラインは暴漢に襲われそうになり、同じ店で働くアダムに助けられる。孤児院育ちで寡黙なアダムだが、次第に心を開き、2人は愛し合うように。しかし、彼は重い心臓病を患っていた……。近頃痴漢で逮捕されたりしてるスレーター様も誠実な青年を好演。
「はじめて」シーンは彼女が「私のハートをあげるわ」と告げる感動的な場面ですけど、やっぱりその先が重要ですよねえ。
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いや、この作品のレオ様カッコいいです、ホントに 1996年/レオナルド・ディカプリオ(当時22歳)
[#漫画(img/manga5.jpg、横188×縦576)]
ロミオ&ジュリエット
WILLIAM SHAKESPEARE'S ROMEO+JULIET 監督:バズ・ラーマン 出演:レオナルド・ディカプリオ/クレア・デーンズ/ジョン・レグイザモ
「白パン」にも登場したこの映画、美味しい「局部」満載ってことかしら……の割に、レオ様の「ゲフー」感がぬぐえないのは何故……。世界一有名な初体験シーン(?)にもかかわらず、当時22歳にして百戦錬磨お腹一杯(推定)の彼に、いまいち「はじめて」感が漂わないせい!? そこを巧みに補ったデーンズには松井隊長より初体験助演女優賞が贈られました。(ウソ)
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これぞ王道童貞脱出映画 1999年/ジェイソン・ビッグス(当時21歳)
[#漫画(img/manga6.jpg、横184×縦575)]
アメリカン・パイ
AMERICAN PIE 監督:ポール・ウェイツ 出演:ジェイソン・ビッグス/クリス・クライン/トーマス・イアン・ニコラス/シャノン・エリザベス
高校卒業までに童貞も卒業をめざすダメ男くんたちのドタバタ青春群像劇……て、『ポーキーズ』もそんな話だったような。これもパート3まで作られた。アメリカ人が大好きなジャンルなのね。確かにカラッと気持ちよく笑えます。ジムにぎこちない性教育をほどこすパパがキュート。シリーズファンの間でも密かにパパは人気があるそう。
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「はじめて」のめでたき門出を賞味する[#「「はじめて」のめでたき門出を賞味する」はゴシック体]
[#挿絵(img/fig1.jpg、横82×縦94、下寄せ)]
私は男子のはじめて物語を聞くのが好きだ。多少なまぐさくとも、しょせん昔話。地方でよく売っているエロ民話を採集するような感覚に似ている。
失敗談や、しょーもない笑い話が多く、「初めて見た女子のあそこがグロくて、夜うなされた」とか「決戦前夜、自室のベッドの枕の下にカンペを用意してたら、母親に発見された」など、ほのぼのした笑いのツボがある。
しかし、スクリーンに登場する男子はじめて物語には、一抹の不安を覚えた。
まがりなりにもスタァ。365日、24時間、モテモテにきまってる。そんな百戦錬磨が、青臭いチェリーボーイを演じきれるのだろうか。
案の定、『忘れられない人』のクリスチャン・スレーターは、心臓を病む美男子こそ好演していたが、はじめての合体シーンはまるごと抜けていた。いきなり朝がきて、彼女がとろーんとした目をして、クリスチャン・スレーターに寄り添っている。異様に手慣れた手つきしかできないために、カットするしかなかったのだろうか。心臓が壊れちゃうよ〜、と心配になるほど、マシーンだったのだろうか。そのお手並みに想像がふくらむ。ある意味、夢いっぱいのはじめて物語かもしれない。
『ポーキーズ』や『アメリカン・パイ』は、はじめて物語の王道だろう。
全篇にわたってモンモンと青臭く、まるで童貞を捨てることだけが青春だと思っている男子の脳内を探訪しているような錯覚さえ覚える。
アメリカ人のパーティ好きは、男女の営みをいたすために、遺伝子に組み込まれているんじゃないかと思うほど、ハリウッド映画には、パーティ=エロの図式がある。もちろん男子はじめて物語にも、パーティシーンは欠かせない。
男子集団が先を争って通過儀礼しようとあがく姿は、まさに保健体育の時間に習った「先を争って卵子に飛び込もうとする精子の群れ」のようで、遺伝子の存続のための本能さえ感じる。パーティのカラ騒ぎとはほど遠い、生物学的な深遠さを感じるのは私だけであろうか。
さて話は変わるが、先日、私はお赤飯を炊いた。
子犬のクロえもん(オス 生後6カ月)が、初めて足をあげてオシッコをしたのだ! いつものようにペットシーツの上にそそっとのったクロえもん。昨日までのように、両うしろあしを着地させたまま腰をさげて、用を足すのかと思いきや、よ、ろ、よ、ろ、と左足がゆっくりと宙に浮き、そのまま、チロロロッと、放出した。おお、クロえもんよ、おとなのオスの仲間入りよのう、と私は目を細めた。これから先、そのちっちゃな筆先が、どんなにワンパクなシナリオを描くのだろうか。がんばれ、クロえもん! とお赤飯を炊いたのだ。
この感動は、まさに、男子はじめて物語に通じるものだ。チェリーボーイたちのやるせない奮闘ぶりを見ていると、私はつい彼らを応援したくなる。
まるで巣離れしたばかりのチーターが、初めて狩りに挑むドキュメンタリーを見るときのように、母性本能が刺激されるのだ。獲物の野ウサギに同情しながらも、「そこだ、喉に喰らいつけ」とエールをおくり、スカンクのガスを浴びて退散する姿に笑いながらも、「次があるぞ」とはげましたくなるのと同じスタンスだ。
そう、男子はじめて物語とは、純潔の喪失というよりは、もののふが「初狩り」をおこなうめでたい門出なのだ。
ワールドカップドイツ大会も終わり、北京オリンピックまではまだ間があるし、それでもなにかを応援したいそんな夜。ぜひ、男子はじめて物語の鑑賞をおすすめする。
はつものをいただくような滋味に、深い満足を覚えることだろう。
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犬映画で笑いと涙と感動を[#「犬映画で笑いと涙と感動を」はゴシック体]
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喜劇王も初期短篇映画で犬と競演 1918年/チャールズ・チャップリン(当時29歳)、マット(雑種)
[#漫画(img/manga7.jpg、横195×縦596)]
犬の生活
A DOG'S LIFE 監督:チャールズ・チャップリン 出演:チャールズ・チャップリン/エドナ・パーヴィアンス
チャップリン演じる浮浪者チャーリーと野良犬の共同生活を描くドタバタ喜劇。30分の短篇ながら、笑いの合間にも貧乏の辛さをにじませる、チャップリン映画の原点的な作品。
犬好きは、雑種犬マットの素朴な演技にぐっとくるはず。チャップリンに本当に懐いていただけあって、息ぴったりの名演だ。特にレストランのシーンでの、人と犬の二人羽織が最高!
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飼い主の元へ帰ろうと歩く姿がケナゲ 1963年/ルーア(ラブラドール・レトリーバー)、ボジャー(ブルテリア)、テーオ(シャム猫)
[#漫画(img/manga8.jpg、横197×縦592)]
三匹荒野を行く
THE INCREDIBLE JOURNEY 監督:フレッチャー・マークル
2匹の犬と1匹の猫が、荒野を320キロひたすら歩いていく、動物アドベンチャー。シンプルなストーリーながら、熊に遭遇しても激流にのまれても、飼い主の元に帰りたい一心で旅を続ける健気な姿に思わずホロリとくるはず。
アニマトロニクスなどの撮影技術が一切ない時代ならではの、なんとも自然体な動物たちの演技も微笑ましい。自分の中のピュアな部分を確認したいときにおすすめの一本。
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魔界の王子をブルがご案内 2000年/アダム・サンドラー(当時34歳)、ビーフィ(ブルドッグ)
[#漫画(img/manga9.jpg、横195×縦593)]
リトル★ニッキー
LITTLE NICKY 監督:スティーヴン・ブリル 出演:アダム・サンドラー/ハーヴェイ・カイテル
魔王の三男坊ニッキーは、一度も人間界に出たことがない世間知らず。父王に叛乱を起こして、ニューヨークに新しい地獄をつくろうとする2人の兄たちの企みを阻止すべく、ニッキーはお目付役のブルドッグとともに地上世界へ向かうのだが……。
全篇をギャグとノリだけでひっぱる勢いはエライ。見事なオヤジくささでアダム並みに笑いをとるブルドッグもエライ。
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犬との出会いで孤独な人生が変わる 1997年/ジャック・ニコルソン(当時60歳)、ヴァーデル(ブラッセル・グリフォン)
[#漫画(img/manga10.jpg、横193×縦596)]
恋愛小説家
AS GOOD AS IT GETS 監督:ジェームズ・L・ブルックス 出演:ジャック・ニコルソン/ヘレン・ハント
売れっ子恋愛小説家のメルビンの素顔は、潔癖症で毒舌家の偏屈男。ほのかな恋心を抱く子持ちのウェイトレスにも辛辣な物言いばかり。そんな孤独な彼に、温かい友情や愛情を運んできたのは、なりゆきで預かった隣人の犬だった……。
どこからどうみても悪人顔のジャック・ニコルソンが、ちんくしゃ小犬に相好を崩すさまが微笑ましい。オヤジ好きも必見。
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なんと犬は地球外生命体だった!? 2003年/リーアム・エイケン(当時13歳)、ハブル(ボーダーテリア)
[#漫画(img/manga11.jpg、横194×縦593)]
惑星「犬」。
GOOD BOY ! 監督:ジョン・ホフマン 出演:モリー・シャノン/リーアム・エイケン
人類の忠実な友′「の正体はなんと、地球征服をもくろむエイリアンだった! ……というキテレツな設定にもかかわらず、感動ものの王道少年と犬の心の交流≠意外にきちんと描いたSF動物コメディ。
日本では劇場未公開ながら、インパクト大のジャケによりDVDはまあまあ話題に。本篇もさることながら、タレント犬のお利口ぶりが光る撮影舞台裏や調教シーンなどの特典映像が犬好きの心をわしづかみに。
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盲導犬の一生を静かに描く 2003年/椎名桔平(当時39歳)、クイール(ラブラドール・レトリーバー)
[#漫画(img/manga12.jpg、横193×縦597)]
クイール
監督:崔洋一 出演:小林薫/椎名桔平/戸田恵子
普通の家庭に生まれた一匹の子犬が、盲導犬として一生を終えるまで。パピー・ウォーカーと呼ばれるボランティアや訓練センター、視覚障害者のパートナーなど盲導犬と様々な人々とのふれあいを温かく描き出す。
ベストセラー・ノンフィクション『盲導犬クイールの一生』を、崔洋一監督が映像化。台詞のない犬の表情≠際立たせる、淡々とした演出はさすが。働く犬の一生懸命な姿に、つい己を省みてしまう感動作。
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局部探訪犬の演劇的な毎日[#「局部探訪犬の演劇的な毎日」はゴシック体]
[#挿絵(img/fig2.jpg、横72×縦99、下寄せ)]
うちの犬たちは、ごく自然に、局部探訪犬となったように思う。
探訪中の私の目つきが、あやしくギラついているせいか、犬たちは「お宝でもあるんですかい」といわんばかりに、すり寄ってきて、一緒に画面をじーと見る。
初代犬もっこすと探訪した時代は、まだ世の中はVHSビデオが主流で、粗い粒子の砂嵐にもまれながら、目薬片手に、局部をコマ送りしたものだ。
私がコーフンして手に汗を握ると、もっこすはわけもわからず、テレビ画面に立ち向かったものだ。とても勇敢な隊員だったが、「白パンの君を探せ!」の探訪後、志半ばで天に召されてしまった。ありがとう、もっこす隊員。
もっこす亡きあと、うらんが局部探訪隊に登場したときに、クレア読者から、
『ワンちゃんが変わったようですが、前にいたワンちゃんはどうしたのでしょうか? 心配です』
という問い合わせのハガキをいただいた。さすが局部読者、細かいところまで目が行き届いてる! と、ふかい感動を覚えた。ほとんど同じような絵なのに……。
さてうらんは、女子であるせいか、探訪中はつねにコーフン気味である。
DVDプレイヤーのスイッチをいれると、どこからともなくすっ飛んでくる熱心な隊員ではあるが、夜を徹しての強行軍のときは、ふいに画面の前に仁王立ちし、「もー、たまにはあたしを見てぇ」と、ギャルパワー全開になるのがタマにキズだ。
そして最近、新入りの子犬がうちにやってきた。
うらんやもっこすと同じトイ・プードルだが、毛は真っ黒のモジャモジャだ。
その名も、クロえもん(オス)。どことなくダース・ベイダーに似ている。ペターっと床に寝そべる姿は、アントニオ・バンデラスの胸モジャ毛のようでもある。
先日、トム・クルーズの『タップス』を観ていたら、陸軍幼年学校の生徒たちが行進する足音に、ぐっすり寝ていたはずのクロえもんがむくりと起きて、バウ、バーウ、と画面にむかって突進。局部探訪犬としての明るい未来を見たような気がした。うらんは「そこ、局部じゃないし……」とでもいいたげに、うざそうにクロえもんを見ていたが……。そんなうらんは、『クイール』の様子からもわかるように、映画のなかに登場する犬たちに、よく反応する。
私も犬がでてくると、どんな端役でも、つい目で追ってしまう。犬好きにとっては、映画のストーリーはよく覚えちゃいないけど、犬が芸達者だったなぁ、とその姿だけが脳裏に焼きついていることも少なくない。
『惑星「犬」。』の本篇のおまけに、撮影中の様子がおさめられていたのだが、ドッグトレーナーたちが、演技させるために犬の名前を呼ぶと、犬たちがハチャメチャに走りだして撮影はプチ・パニック! メイキングはタイヘンそうだったが、スタァとしての輝きが、犬たちにはあった。
しかしスクリーン以外でも、犬はなかなか役者なんじゃないか、と思う節もある。
例えば、うらんがおもちゃを噛んで笛をピューピュー鳴らしていると、私は「じょうずだねぇ〜」と手をたたいてほめる。うらんは尾を振り、得意げにおもちゃを鳴らし続ける。あるいは、爆睡中のクロえもんが、苦悶の表情を浮かべてうなされていると、私は「いまに助けが来るぞ、がんばれ!」とあつい声援をおくる。
日常を振り返ると、いつも小芝居を楽しんでいる自分に気がつく。そう、犬との暮らしは、毎日が演劇的なのだ。
犬は、スクリーンにおいても、日常生活においても、ヒトの感情をひきだす天才だ。毎日、助演名犬賞をあげたい。
ときどき、あっちが主演なんじゃないかと思うこともあるけど……。
[#挿絵(img/fig3.jpg]
韓国ドラマ&映画 純潔シーン虎の穴[#「韓国ドラマ&映画 純潔シーン虎の穴」はゴシック体]
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美男は何をしても様になるのね 1998年/ウォンビン(当時21歳)、ユンソナ(当時23歳)
[#漫画(img/manga13.jpg、横193×縦619)]
レディ・ゴー!
READY GO ! 監督:イ・チャンハン 出演:ウォンビン/ユンソナ/チャ・テヒョン/チャン・ドンゴン
大学の映画サークルを舞台に、挫折、夢、恋、友情がてんこもりの青春ドラマ。あまりの濃密さに、ところどころ伏線が捨て置かれるダイナミックな脚本もご愛嬌。とにかくお肌つるつるのウォンビンを堪能すべし!
兄役でチャン・ドンゴン、友達役でチャ・テヒョン、そしてヒロインはユンソナ、と今をときめく韓流スターたちの若き日のお姿が拝める貴重なドラマ。
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テレビより規制がゆるいはずの映画でも奥ゆかしい 1998年/シム・ウナ(当時26歳)、イ・ソンジェ(当時28歳)
[#漫画(img/manga14.jpg、横194×縦611)]
美術館の隣の動物園
ART MUSEUM BY THE ZOO 監督:イ・ジョンヒャン 出演:シム・ウナ/アン・ソンギ/イ・ソンジェ
脚本家を目指してラブストーリーを執筆中のチュニがある日バイトから帰宅すると、見知らぬ男が家に上がりこんでいた。この部屋に以前住んでいた女性にフラれたらしい彼とチュニの奇妙な同居生活が始まるが……。
懐かしの少女マンガのような設定で展開する、思いっきり甘いロマンスはいっそ清々しい。韓国映画お得意のこってこてのラブコメで現実逃避してみる?
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韓流ブーム大ブレイク前夜の名作 1997年/アン・ジェウク(当時26歳)
[#漫画(img/manga15.jpg、横197×縦616)]
星に願いを
A WISH UPON A STAR 監督:イ・ジンソク/イ・チャンハン 出演:チェ・ジンシル/アン・ジェウク/チャ・インピョ
孤児院育ちの健気で美しい少女ヨニは、養母とその子どもたちのいじめを受けるつらい毎日。ある偶然から歌手のミンとアパレル会社の御曹司ジュンヒという2人の男性に出会うが、それは二つの愛に翻弄される波乱の運命の始まりに過ぎなかった……と、ハーレクインど真ん中。毎回、これでもかの山場連続のジェットコースター・ドラマは、観る側にも体力が必要かも。
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身分違いの恋&難病のダブルパンチ! 2001年/イ・ビョンホン(当時31歳)、チェ・ジウ(当時26歳)
[#漫画(img/manga16.jpg、横193×縦601)]
美しき日々
BEAUTIFUL DAYS 監督:イ・ジャンス 出演:イ・ビョンホン/チェ・ジウ/リュ・シウォン/シン・ミナ
レコード会社の御曹司とその異母弟、同じ孤児院で育った2人の女性。4人の恋愛模様が複雑にからみあい、さらには親子兄弟の確執、不治の病、と悲恋の要素を惜しみなく盛り込んだドラマは、まさに涙の女王チェ・ジウの真骨頂。イ・ビョンホンの切れ者ぶりもたまらない。
それにしても孤児院と御曹司は韓国ドラマのヒットの条件なんでしょうか……。
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言わずと知れた韓流ドラマ金字塔 2002年/ペ・ヨンジュン(当時30歳)、チェ・ジウ(当時27歳)
[#漫画(img/manga17.jpg、横193×縦613)]
冬のソナタ
WINTER SONG OF LOVE 監督:ユン・ソクホ 出演:チェ・ジウ/ペ・ヨンジュン/パク・ヨンハ/パク・ソルミ
死別した初恋の人の面影を胸に、幼なじみのサンヒョクと婚約したユジン。だが、友人のチェリンの新しい恋人ミニョンはあまりにも初恋の人ジュンサンに似ていた……。
事故、記憶喪失、複雑な恋愛関係、もっと複雑な血縁関係、そしてまた事故(!)とあらすじ説明だけで小一時間はかかる波乱万丈の物語で日本中を虜にした、韓流ブームの原点。
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ヨン様デビュー作でのお宝シーン 1995年/ペ・ヨンジュン(当時23歳)
[#漫画(img/manga18.jpg、横195×縦610)]
愛の挨拶
監督:ユン・ソクホ/チョン・キサン 出演:ペ・ヨンジュン/ソン・ヒヨナ/シン・グ
2人の悪友と同居しながら、都会での大学生活を始めた青年ヨンミン。気になる幼なじみのヘインとの淡い恋や、大学での勉学や友人たちとのいざこざなど数々の事件を通して成長していく若者たちの群像劇。
ぺ・ヨンジュンがオーディションで主役を射止めたデビュー作。90年代半ばの大学生たちの友情や恋を細やかに描く。細やか過ぎる演出がときどきこそばゆいのも青春ドラマの醍醐味?
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純(チュン)を求めて純潔の国へ[#「純(チュン)を求めて純潔の国へ」はゴシック体]
[#挿絵(img/fig4.jpg、横81×縦96、下寄せ)]
「純潔シーン 虎の穴」を描いた2004年は、空前の韓流ブームだった。
その年にもらった中学時代からの心友の年賀状までも「冬ソナ」バージョン。夫とふたりで雪だるまを囲み、真っ白な歯を見せてスマイルを決める心友……。まぎれもなく、チェ・ジウとぺ・ヨンジュンが「鳥がコツンとくちばしを当てるような初キス」をした南怡島のベンチ&テーブルだ。よく見れば雪だるまは、発泡スチロール製……。恥ずかしそうに微笑む夫……。同窓生のあいだでは、おしどり夫婦として有名な心友夫妻。思わず目頭が熱くなった。「純(チュン)!」とつぶやきながら……。
冬ソナの初キッス現場「雪だるまの広場」は、いまや観光コースに組み込まれ、人気記念撮影スポットでもあるらしい。
純(チュン)! を求めて、はるばる海を越え、ふたりのキス現場を拝もうと行列する観光客たち……。もはや聖地である、といってもいいだろう。
ちなみに日本でいちばん純(チュン)! なスポットといえば、ドラマ「北の国から」でお馴染みの富良野かもしれない。駅に降り立つと、北の国からのメロディーがお出迎えしてくれる。純(こちらもチュンだ)と蛍のような地味めのカップルが、セルフタイマーで駅を背にして記念撮影。そんなふたりは「北の国から資料館」に消え入るはずだ……。しかし南怡島フィーバーには、負けている気がする。
さて韓国ドラマ&映画の局部探訪を敢行したその夜、私は「ポロリと見える局部はいねがぁー」と雄叫びをあげながら、ビーチクやモジャを捜索した。
しかしさすが儒教のお国柄、局部探検隊が大好物なセクスィには、なかなかお目にかかることができなかった。
おおっと! と身をのりだした物件はただひとつ。『愛の挨拶』にて、若かりし日のペ・ヨンジュンが、プールサイドごしに披露してくれた濡れた純ケツだけだった。さすがヨン様。すでに当時から、女子のハートを惹きつけてやまないポラリスとしての頭角をあらわしていた。
純ケツはひとつだけだったが、いたるところに「純潔」がたわわに実っていた!
韓流の純潔は、身も心も真っ白になるほど、さわやかだ。
キスシーンにしても、唇をそっと重ねる程度。頬をうねらせ、お互いの舌をむさぼり食うような、ハリウッド映画にありがちなキスシーンが、悪魔の契りに思えるほど、韓流キッスはすがすがしい初恋のレモン味だった。
ストーリーもいたって単純明快なものが多い。薄幸のヒロインをベースに、交通事故、じつは兄妹の禁断愛、御曹司、その正体はスタァ☆、苦悩、百万本のバラ、かけおち、意地悪なまま母、記憶喪失、死んだはずの恋人にそっくり、などの胸キュン要素をてんこ盛りにブレンドすれば、すてきな韓流ドラマになる。
予定調和的な展開で、次はこうなるだろう、と思った通りにコトが進む。裏切りのないストーリー運びが、数々の裏切りに涙してきた女子のハートをわしづかみ。
ああ、なんだか懐かしい、このテイスト……。ふたむかし前の少女漫画みたい……。などと、うっとりしながら、少女時代の願望が、ひとつひとつやさしく満たされていく心地よさを感じた。
まるで少女時代にやり残した願望を続々と叶えてくれているような……。
韓流ドラマには、アダルトチルドレンならぬ、アダルト乙女には、たまらないヒーリング効果があるようだ。
探訪が終わり、夜がしらじらと明ける頃、すっかり生まれ変わった私は、朝日にむかって、純(チュン)! 純(チュン)! と、すずめのように、無垢にさえずっていた。
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奥深き体毛ジャングルをゆく![#「奥深き体毛ジャングルをゆく!」はゴシック体]
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ラテン・セクスィの底力ここにあり 1998年/アントニオ・バンデラス(当時38歳)
[#漫画(img/manga19.jpg、横192×縦604)]
マスク・オブ・ゾロ[#「マスク・オブ・ゾロ」はゴシック体]
THE MASK OF ZORRO 監督:マーティン・キャンベル 出演:アントニオ・バンデラス/アンソニー・ホプキンス/キャサリン・ゼタ・ジョーンズ
かつて鮮やかな剣さばきで悪と対決した覆面の英雄ゾロ。再び悪がのさばり始めたメキシコの情勢に、彼は後継者を育て上げて闘いを挑むことを決意する。
血気盛んな新ゾロを演じるアントニオ・バンデラスと、勝ち気な恋人役のキャサリン・ゼタ・ジョーンズのラテンのフェロモンが画面からむせ返るような高濃度ヒーロー・ムービー。
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わき毛のアップはサービスショット? 1987年/メル・ギブソン(当時31歳)
[#漫画(img/manga20.jpg、横195×縦607)]
リーサル・ウェポン
LETHAL WEAPON 監督:リチャード・ドナー 出演:メル・ギブソン/ダニー・グローヴァー/ゲイリー・ビューシイ
妻の死以来、自殺願望を抱える粗暴な刑事リッグスと、相棒で良き家庭人のマータフが麻薬密売組織を追う。白人と黒人、破滅型と温厚なパパ、とすべてにおいて異なるコンビが徐々に信頼を深めるバディムービー。
本作から第4作までシリーズ化され、ハードボイルド・アクションからどんどんコメディ色を強めていったが、メル・ギブソンの男臭さは終始変わらず。
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007はモジャまでタフなのだ 1962年〜/ショーン・コネリー(当時32歳)
[#漫画(img/manga21.jpg、横194×縦612)]
007シリーズ
007/007は殺しの番号(第1作) Dr. NO 監督:テレンス・ヤング 出演:ショーン・コネリー/ウルスラ・アンドレス
任務遂行のためには殺人をも認められた英国諜報部員ジェームズ・ボンド。スパイ映画の代名詞といえるシリーズの第1作。
初代ボンド役のショーン・コネリーは、あまりの人気に俳優としてのイメージが固定するのを危惧して7作目を最後に降板。
シリーズ最新作『007/ダイ・アナザー・デイ』(02)のピアース・ブロスナンで5代目だが、人気、剛毛ぶりともに初代を超えるボンドはまだいない? 06年冬公開予定の新作に登場する6代目、ダニエル・クレイグは果たして……。
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頭髪量とモジャ毛量は反比例する!? 1988年〜/ブルース・ウィリス(当時33歳)
[#漫画(img/manga22.jpg、横199×縦615)]
ダイ・ハード
DIE HARD 監督:ジョン・マクティアナン 出演:ブルース・ウィリス/アラン・リックマン/ボニー・ベデリア
大事件にいつも一人で立ち向かうはめになる、不運でタフな刑事ジョン・マクレーンの活躍を描く。ハイテク高層ビル、空港、ニューヨークと第1作から第3作まで舞台を変えつつ、テンションの落ちない人気アクション・シリーズ。
『ダイ・ハード3』(95)ともなると、ブルース・ウィリスのおでこの後退も進んでいるが、ランニングからのぞく胸毛は健在。
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やっぱり天然モジャにはかないません 『ヒューマン・ネイチュア』2001年/リス・エヴァンス(当時33歳)、『ロード・オブ・ザ・リング』3部作2001年〜2003年/イライジャ・ウッド(当時20歳)
[#漫画(img/manga23.jpg、横192×縦614)]
ヒューマン・ネイチュア/ロード・オブ・ザ・リング3部作
HUMAN NATURE 監督:ミシェル・ゴンドリー 出演:パトリシア・アークエット/リス・エヴァンス/ティム・ロビンス
野性児のパフを文明に復帰させようと、奇抜な実験を行うネイサン博士だが、恋人のライラは次第にパフを恋するように!?
THE LORD OF THE RINGS 監督:ピーター・ジャクソン 出演:イライジャ・ウッド/ヴィゴ・モーテンセン
ファンタジーの名作『指輪物語』を「旅の仲間」「二つの塔」「王の帰還」の3部作で忠実に映像化して世界的大ヒットに。
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ここまでくれば人工でもご立派 1999年/マイク・マイヤーズ(当時36歳)
[#漫画(img/manga24.jpg、横195×縦603)]
オースティン・パワーズ:デラックス
AUSTIN POWERS : THE SPY WHO SHAGGED ME 監督:ジェイ・ローチ 出演:マイク・マイヤーズ/ヘザー・グラハム
マイク・マイヤーズやりたい放題のスラップスティック・コメディのシリーズ第2作。
英国諜報部員オースティンは、世界征服を企むDr.イーヴルに盗まれたパワーの源「モジョ」(モジャにあらず)を取り戻すために、お色気エージェントとともにタイムマシンで60年代に乗り込んでいく。とにかくおバカでお下品なオースティンの言動と、全篇にちりばめられたパロディを無心で笑い倒すべし!
[#ここでゴシック体終わり]
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モジャングルに隠されたエロチシズム[#「モジャングルに隠されたエロチシズム」はゴシック体]
[#挿絵(img/fig5.jpg、横83×縦91、下寄せ)]
私がもっとも苦手であった局部、それが「モジャ」だ。
ちなみにモジャとは、頭髪以外の体毛で「胸毛」、「わき毛」、「へそ毛(ギャランドゥ)」などの、おとなの毛をさす。
私はモジャを見ていると、ムズムズチクチクとからだがかゆくなってくる。そして、なぜか見てはいけないものを見てしまったような、恥ずかしさを覚える。
私のモジャへのファースト・コンタクトは、『猿の惑星』のチャールトン・ヘストンだった。猿たちも毛深かったが、チャールトン・ヘストンはそれ以上に、全身モジャモジャのモジャングルだった。最近、改めて観るまで、「ラストシーンでオランウータンが、自由の女神の下で倒れてたなぁ」と、チャールトン・ヘストンが猿だった、とうすらぼんやりと思いこんでいたほどだ。
私のように、スクリーンやグラビアなどで、モジャとファースト・コンタクトを果たした女子は、意外に多い気がする。そしてその場合、かなりの確率で洋モジャであるはずだ。
先日、近所のスポーツクラブのプールにてモジャの採集をこころみたが、やはりチャールトン・ヘストンのようなモジャングルには、お目にかかれなかった。
モジャ無しが八割強、これ見よがしのギャランドゥが一割弱、胸毛モジャが若干名といった分布であった。一名だけ、胸に黒々とした巨大なパピヨン型のモジャをたくわえた色白男子を目撃したが、つい恥ずかしくなって、目をそらしてしまった。その暗黒パピヨンとすれ違う女子たちは、私とおなじく、伏し目がちでやり過ごしていたようにも見受けられた。
そもそもモジャに、嫌悪感すら抱く女子も少なくない。
私も乙女時代に、某ジャニ系アイドルには「わき毛が生えていない」という情報を耳にしたときに、清潔感あふれるペパーミントの風に包まれたような気がして、そのアイドルに好意をよせたものだ。
もしも私がチャールトン・ヘストンの娘だったら、パパのモジャングルを通して、あるいは、彼の出身地であるイリノイ州の水辺で遭遇するであろうモジャ男子を通して、モジャの免疫ができていただろう。そうだったら、近所のプールで出くわした暗黒パピヨンだって、あらまぁセクスィじゃなぁい、と舌なめずりのひとつでもしながら、ジロジロと探訪できたかもしれない。
しかしやっぱり、あのモジャは、もう見たくない、思い出しただけでムズムズしてくる。
赤面しつつ、はたと気がついた。
モジャとは、私にとって、隠すべき毛、すなわち陰毛なのかもしれない! ということに。
モジャが苦手な女子は、じつはそこに、パンツのなかにしまっておくべきであろう陰毛と同じエロチシズムを感じ取っているのではないか。
しかしこの情報化社会、毛嫌いしているだけではもったいない。アジアの薄モジャ地帯からでも、グローバル・スタンダードに目を向けて、冷静にモジャをキャッチしたいものだ。そのためには、スクリーンのなかに茂る数々のモジャを探訪することをおすすめする。
モジャが苦手だった私も、アントニオ・バンデラスの濃厚なワッキー・モジャングルをさまよい、ジェームズ・ボンドの全身を覆うモジャングルに絡まっているうちに、免疫がついたのか、「モジャってセクスィ!」と前向きな気持ちになった。
ただし、これだけは肝に銘じておきたい。
セクスィではない男子のモジャは、ただのムダ毛だということも。
〈底 本〉文藝春秋 平成十八年七月十五日刊