新世紀EVANGELION「反旗」
[九条公人]
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新世紀EVANGELION
「反旗」#01
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「ふぅ・・・疲れた」
なんというか、赤い世界である。
その赤い世界のどことも知れぬ残されたビルの一室。
たそがれ時のようなその世界に、華奢な印象を与える少年の姿があった。
「また駄目でしたか」
そういって、シングルベッドから起き上がった少年へペットボトルの水を差し出した存在があった。
たった今まで、そこには少年の姿しかなかったはずである。
突然現れた光り輝く存在であるものの、どこか胡散臭さを感じる光を自らはなっているそいつは、そう丁寧な口調で少年へ尋ねた。
「すいませんねどうも僕にはこういう事は根本的に向いていないようです」
「だからといってここで投げ出されてもわれわれが困るんだ」
突然闇の奥から野太い声が放たれた。
まるで少年の枕元に立つ偽りに光り輝く存在と対を成すかのような、闇を自らの体から放っている存在が、ぬぅっと現れた。
「というならば、もう少し強力な介入は出来ないんですか?」
「無理だな」
闇が口を開いた。
「そもそも、この世界はこの状態へ至るバイアスが異様に高いんです」
光がそういう。
「ええ、それは嫌というほど知ってますもう130回もこんなことをしているんですから」
三人そろってそこでため息をつく。
三人、そう少年を除いた存在二名も、一応人の姿形をしていた。
そうしてしばらくため息をついていたが、やがて思い直したかのように闇が口を開いた。
「さてさて、われわれとて手持ちのカードはそう多いわけではない。
ATF。
多元量子極短期未来予知。
そして各種古今東西ありとあらゆる「体術」。
主の器で持ち込めるのはそれが限度だ。
これ以上は、主の器から作り直す、根本的な作り直しがどうしても必要になってしまう。
そしてそれは、この状態の世界では、不可能だ」
まるでお手上げだねとでも言うように、光が手を広げて見せた。
「だから、かき回すだけでも良いですよ。
もう一人帰還者を、こうできるだけ決定的な場所へ設定できませんか」
そういって、少年はまるでそこになにかスケールでも存在しているかのように、右から左へ指を動かし目の前へ戻すと、そこにくさびをうちこむかのように指を突き刺して見せた。
「ほほう」「それは面白い提案だ、主よ」
光と闇が同時に声を上げた。
「そうでしょ?
決定的な場所・時間に一人で良いです、戻してください。
サードインパクトから」
「うん、そうだなその程度ならば<見咎め>られまい」
薄ら寒そうな口調で闇が言った。
「それじゃあ、もう一度です」
「もう行くのか主、もう少し休めばよいのに?」
「いいえ、どうせ体は寝ているだけですから、じゃあお願いしますね、ルシファーさんサタンさん」
少年は、さりげに凄まじい固有名詞を口にすると、再びベッドへと横になった。
「ああがんばってこい」
「お気をつけて」
その声に頷くと、目を閉じた。
「ったく、なんの因果で俺たちが人助けなんぞをしているんだか」
「そういうな俺たちの介入が遅れたせいで、こんな世界にしちまったんだし、主も地獄を見たのだ」
「地獄なぁ・・・」
言ってみればそれは自分たちの住まう世界をさす言葉である。
住めばどこでも都などとはいうが、その世界での王と副王であった彼らに地獄という単語の意味とは、人の輩とまた違うものであろう。
「高速シミュレーションで事態を変化させ、その結果を量子的にこの世界へ外装する。
それによってこの赤い世界をちゃらにする。
結構お手軽だろ?」
そのシミュレーションには「MAGi」に寄生していた使徒であるイロウルを増殖させ、超大型量子コンピュータとしたものを使用している。
「まあ1年が3分だからな」
「ああ、そうだ、決定的な時間と場所への帰還者どうする」
「そうだな碇ユイを、あの時間あの場所へ」
「・・・あの女をか? 大丈夫なのか?」
「ああ、もちろん本物じゃない。
少しばかり情報を弄ったコピーさ、初号機から<情報>は、抜き取ったからな、少しだけ俺たち好みに性格を返させてもらってある」
「いいのか主が怒るぞ」
「そのくらい役得がなけりゃ使い魔なんてやってられるかつ〜の」
「いくら世界の創造主さまだからって、俺たち呼び出して使い魔扱いだものなぁ」
「わははは」
「笑いごっちゃねえっすよ」
ごちんと闇の後頭部へ「ぐぅぱんち」が炸裂した。
「いちちっ・・・なんにしてもベルゼブブのやろう自分だけおいしい思いしやがった上に勝手に滅びやがって今度復活したら、コキュートスで八つ裂きだ」
「それは、ナイス」
わたしは碇ユイの意識〜コピー(1)〜息子を助けるために過去へ介入作業を開始するところ。
(2)があるかどうかは微妙。
まずは、この馬鹿女から記憶を植えつけるわ。
赤い世界、苦悩する息子、私を裏切った髭面。
世界の滅びを呼ぶものEVANGELIONの開発を止めなさい。
あなたのお陰で、世界はメチャクチャ、50億年の営みをチャラにした、大罪人よ。
自らの罪を知れ。
「シンクロ率の上昇が停止しました、390で停止」
「ば・・・かな・・・」「そんなはずが・・・」
そう呟いたのは、目つきの悪い青年研究者と、やや年かさの白衣の女性だ。
「・・・シンクロ率低下します」
それでも目つきの悪い青年は、自分の妻へかけよってゆく。
「ユイ、ユイィィ!!
ストレッチャーの上から抱き起こす。
だが、妻はカッと目を見開くと、平手打ちを一閃させ叫んだ。
「・・・寄らないでこの浮気者!!」
打ち据えられた頬に手をやりながら青年は、やや唖然とした表情でうろが来た様に呟いた。
「わ・・・私は浮気などは・・・」
「してないと言うんですか?
この実験だっていきなりシンクロがあがるような設定じゃなかった。
MAGiに黙ってトラップを入れておかなかったら、あのままEVAへ私は、取り込まれていたわ」
「ユイ私は、そんなことは知らない」
「そうじゃあそこにいる赤木ナオコという名前の雌猫がMAGiを使ってやったのかしら勝手に」
「なにを馬鹿なことを、ユイあなた取り込まれかけて精神汚染を受けたのよ」
指まで指され雌猫とまで呼ばれても、冷静さを失わず、そうユイをいさめ様とした。
「触らないで汚らわしい! 冬月先生助けてください」
そうすがるように手を伸ばされた恩師は、まんざらでもない表情を一瞬だけ見せた後、その場を収める為の声を上げた。
「ん? ・・・まあここはユイ君も疲れていて気がたっていることもあるだろうから、止めないか碇に赤木君、ユイ君の検査は、私が行う君たちはシンクロ上昇の原因を速やかに解明したまえ」
副指令という立場であるものの、長年ここにいる三人の指導教授を務めた男の怒声に近い音声に内心はともかく表面上さかえらるものはいなかった。
「「わ・・・解りました」」
「いらっしゃいシンジ」
そんな大人たちの蚊帳の外に置かれ、今にも泣き崩れそうな顔で自分を見ている息子へユイは、やさしく声をかけた。
「おかあさん大丈夫」
とてとてとてっとユイへ駆け寄り、ストレッチャーの母の顔元へ顔を寄せる。
「ええ大丈夫よ」
にっこりと笑った母に幼児は、ようやく満面の笑顔を浮かべたのだった。
ストレッチャーが処置室へ運ばれ観音開きのドアが閉められる。
あらかじめ言い含められていたのだろう、白衣を着た医者や看護婦たちは、処置室から退出して行った。
と同時に、ユイは平然と起き上がった。
どうやら身体的な異常は、全く負っていないようだ。
「ふう」と一つ息をつくと、LCLにべたつく体を洗うため、プラグスーツと呼ばれるダイビングスーツ様のスキンスーツを脱ぎ捨てた。
「シンジいらっしゃい」
そういうと息子を伴い処置室に併設されている医師の除染用のシャワールームへと入っていった。
裸身にタオルを巻きつけたまま息子を胸に抱いたユイは、程なく姿を現す。
そしてストレッチャーの下へいつの間にかおかれていたボストンバックから下着を含めた衣服を取り出す。
その中には、驚いたことにサングラスに男性の頭髪を模したウイッグまでが含まれていた。
「さあシンジ、支度なさい」
そういって渡されたのは、彼が着ることのできる女の子用の服装だ。
そして母同様に子供用の女の子を思わせる長髪のウイッグが含まれていた。
「えっ?」
幼児とはいえ男の子が、母から渡されたそれを見て、驚くのは当然だろう。
「無理を言ってすいませんでした、冬月先生」
いつの間にかその場に姿を現した冬月に、窮屈なボディースーツへ体を押し込みつつそう礼を言う。
夫以外の男性に裸体をさらしていることは、気にならないようだ。
「いや、君の指示された通りの場所から持ってきただけだからな」
自分が運び込んだボストンバックを見てそう答える。
「私、実家へ身を隠します」
「そうか・・・それがいいだろうな」
どうやら冬月というこの男は、精神の根底部分まで、この研究施設の同士となっているわけではないようだった。
「今日のことレポートをきちんとお送りしますから、先生は絶対にあの男に気をつけてください。
あの男は世界を滅ぼすつもりです」
「それは・・・穏やかでないな。
だがユイ君SEELEからどう逃れる?」
「私が離婚をして家に戻るといえば、かならず父は守ってくださいます」
「なにっ離婚?! ああ・・・そうだな碇の家ならば、それはできるな そうかね解った、気をつけてゆなさい」
母がせかすまでもなく息子は、女の子用のあわせの逆である白いブラウスを苦労しつつ身に付け、やや不器用に蒼いジーンズ地のミニスカートへ足を通し終わったところだ。
母は、ウイッグをかぶせるとコームで地毛となじませる。
やたらとかわいらしい女の子が一人出来上がった。
母の「シンちゃんとっても可愛いわ」という声に、本人は、憮然としていたが。
冬月がユイのガード(監視)を解きユイは、ジオフロントを自ら運転する車で離脱した。
かく乱の為一旦北へ向かい第二東京へ入る。
第二東京の街をまるで当てがなく走り回り、車をキーを着けたまま乗り捨てる。
盗んでくださいと言わんばかりのそれは、ほんの十数分のうちに何者かによって乗り逃げをされた。
もちろんそれを狙っての乗り捨てである。
そして第二東京の場末のビジネスホテルへ偽名を使いチェックインしたユイは、碇総本家筆頭大番頭「利根大悟」へ助けを求めたのである。
利根は甕星重工東京本社の監査室を動かし、ユイとシンジを確保し第二東京本社ビルの屋上へ、ヘリを差し向ける。
その確保の際に、正体不明の黒服と撃ち合いになり、双方に死傷者が出ていた。
変装を解いたユイとシンジは、そのヘリには乗らず、第二東京本社に出入りをする業者のトラックで第二東京を離脱した。
案の定、ヘリは携行対空ミサイルによって攻撃を受け撃墜され、その残骸は、救援隊が到着する以前にさらなる襲撃を受け、乗員は全員殺害されていた。
ユイとシンジは、各地に点在する甕星の支社をめぐり、そのつど車を乗り換え京都へ入り最終的には宅配便の業者を装い碇総本家へと無事帰着したのだった。
「お父様」
「うん、ユイか良く戻った」
「はい私が、間違っておりました。
SEELEの人類補完計画は、この世界を滅ぼすもの。
そして私が作ってしまったEVANGELIONは、この世界へ滅びをもたらすものでございました」
ユイは、壮年から老境へと足を踏み入れつつある父へ向かいそう、自らが幻視した未来を語った。
「それは、ほんとうなのか?」
「はい。
EVAへの接触実験の折私は、未来を幻視しました。
それは等しく人の滅びた美しき地獄でございました」
「なるほどで私になにをしてほしい」
「シンジを鍛えてください、この子こそが滅びをもたらす鍵でありますれば。
その役割に似合わぬ強靭な心と肉体を与えてやってください」
「お前は、どうする」
「はい対EVA対使途用の迎撃兵器を作りたいと思います」
「それであのゲンドウに対抗できるのか」
苦い顔でユイは答える。
「するしかありません」
「そうか甕星を自由に使え。
四分家の大也も付けよう」
碇四分家とは、金剛、霧島、榛名、比叡の名を持つ碇を支える血筋のことだ。
甕星とは、碇家が100パーセント支配している重工業を中心とした企業グループである。
「ユイ」
「はい、よくぞ決心してくれたな」
「いいえ、私が大馬鹿でございました。
この子を捨て女の業を選ぼうとした愚か者にございます」
「うん、それが解ればもう道は外すまい」
「はい」
「シンジお爺様です」
「お爺ちゃん?」
「おうおう、いくつになったシン坊」
シンジを手招きし胡坐をかいたひざの上に抱き上げる。
「三歳です」
「そうか・・・霧島に預けようと思うがどうだな?」
「白鳳院流皆伝の霧島宗真さんですか?」
「流石に元の婚約者では、問題があるかな?」
「いいえ宗真さんでしたら何の問題もございません」
───うわぁまだ随分と大きく変わったもんだねもっともここまで変えたってサードインパクトは、起こるんだよなぁ。
平気な顔して。
多分あの口調からして母さんが帰還者なんだろうな。
「お館様」
「利根か? どうした」
「はい、六分儀ゲンドウがお目通りを願っております」
障子の向こうで片膝を付きかしこまった男のシルエットが揺れる。
「帰れと伝えなさい」
「それが裁判所の親権移動命令を持っております」
その親権がシンジのものであることは言わずも、理解できることだ。
「ほう・・・ならばすぐにこちらも無効の申し立てを、こちらの裁判所に起せ。
ユイの離婚裁判は、慰謝料をくれてやれ」
「いかほど?」
「そうだな3本もくれてやれば目先のことしか頭に無い、あの男の事だ黙って引き下がるだろう。
その際の条件は二度と碇の名を使うなだ。
これだけはてっていさせよ」
三本とは三億円という意味である。
「かしこまりました」
「お館様は、貴様ごときに会うほど暇人ではない。
ましてユイさまは、貴様の面は二度と見たくないそうだ。
そしてその命令はたった今無効になった。
残念だったな蠅の王は蠅らしく汚物にたかって生きていろ」
その利根の言葉にゲンドウは、ぐっと両手を握りこみ顔をゆがめ憎悪の視線を彼へ向かい叩きつけてきた。
だがその視線を痛痒とも感じていない利根は、さらにゲンドウを挑発した。
「貴様ここがどこだか解っているのか?
碇総本家その玄関先だ。
ここでなにが起ころうと何人も気になどせぬぞ」
そう利根大悟が口にするとゲンドウの全身に狙撃銃のものと思われるレーザーポインターが無数に這い回り始めた。
「なんならこの場でぼろ布に生まれ変わってみるかね蠅の王」
自身がいかに普段は人目を気にせずその通り名のごとく人外であるかのように振舞っていても、流石にアンチマテリアルライフルをぶち込まれて生きていられるはずがない。
「ぐぅ・・・」
悔しさに身を震わせそう喉の奥でゲンドウがうなり、一歩利根へ踏み出した時、足元が鋭い音ともに弾ける。
そして遅れて発砲音が耳へと届いた。
「今のは警告だぞ蠅の王よ」
くくくくっと喉の奥で、碇総本家筆頭大番頭利根大悟は、心底可笑しげに笑ったのだった。
こうして六分儀ゲンドウと碇ユイ碇シンジの接点は完全に途切れることとなった。
そう10年を経て使徒戦役が始まるそのときまで・・・。
「反旗ですか?」
どこぞの高級ホテルのスィートである。
ビジネススーツ姿の碇ユイとこちらは既にシャワーを浴びたのだろう、バスローブを羽織ったシンジの姿があった。
二人の目の前には、本日最初で最後の食事である、ルームサービスの中華料理が並べられていた。
そうここは、中国、上海である。
「そうよ日本国立対使徒迎撃独立行政法人「反旗」まあ反旗は日本語訳で正式にはリベリオンって格好いい語感を使いたいだけなんだけどね」
「それが新横須賀のUNFベースを改装して活動を開始ですか?」
「そうよ」
「で、ぼくにそこの作戦指揮を取れと?」
「まあそうね、戦うのは本物の兵隊さんに任せて、あなたは兵隊さんの命の心配をしていて頂戴」
「それにしてもトライデント「轟天」「轟海」「轟雷」間に合ってよかった」
「当たり前よ、私の設計なんだもの」
「ジェットアローン「烈風」「烈空」「烈天」は、もう少しなんだよね」
「それだって微調整だけよ残っているのは、それにしてもシンちゃん逞しくなったわね」
「もうやめてよ、母さん」
「こんなに背中が大きくなって」
ユイの手は、バスローブの中へと入り込み、シンジの男をこすり上げていた。
「母さん、ダメだよ」
「今日は逃がさないわよ」
「・・・もう親子でこんなこといけないことだろ」
「だってがまんできなかったんだもの、私の中気持ちよくなかった」
「良かったよ、良かったけど・・・」
「シンちゃんは悪くないわ母さんがわるいのだからシンちゃんは気にしなくていいのよ」
「んなわけにいきませんよ!
誘った以上、責任は取ってもらいますからね。
今までずっと我慢してきたのに」
「がまん?」
「あたりまえだろ、ったくあんな挑発してさ、もう許さないよメチャメチャに犯したおして足腰立たなくしてやる」
「っきゃぁぁぁ」
「シンジ様、ユイ様、そろそろお起きになってください」
「ん・・・ああ・・・あああっ。
ま、マナ見ちゃ駄目だ」
「もう遅いです。
それに別に驚きませんよ」
「なして」
「だって碇の家ってそういう風に血をつないできてますから」
「へ、へぇ〜」
「シンジ様、声裏返ってますよ」
「だってさ普通変だろ?
「碇の家は、普通じゃありませんから」
「あそう。
じゃあマナはこんな僕でも我慢できるんだね」
「あらんユイおば様と棒姉妹になれるなんてマナ感激・・・ったぁぐうでなぐるかなぁ女の子を」
「女の子が下品な冗談飛ばさない」
「はぁいごめんなさい」
「それはそれとして時間です」
「あ〜そうだ今日はアレの起動実験があるんだ・・・よね。
まいったな、こんな調子で日本へ帰るのか」
しまったなぁ。などいいつつ、腰をトントンをはたいている。
「ところでさ、アレのパイロットどうなったの?」
「はい、まず綾波レイ」
その書類には、ユイの色素を抜いたような少女の写真が貼り付けられている。
「・・・綾波ねぇ・・・ったくどうやって母さんのマトリクスを取り出したのやら・・・で?」
「はい、惣流アスカツェッペリンさらに鈴原トウジ、洞木ヒカリ、相田ケンスケ」
「そして、なぜか僕の名前?」
「ええ、そうです」
「馬鹿なやつだなぁそんなことをしたらNERVなんて壊滅しちゃうのにね」
「そうですね」
「さあ母さん行くよ」
「ううう腰が痛いのぉ」
ベッドから起き上がれないようだ。
「調子に乗って5回も6回もするからだよ」
「ううシンちゃん、だっこぉ」
「はいはい、とにかくシャワー浴びてしゃきっとするよ」
「うん」
───うはぁまた敵意丸出しだねアスカとケンスケ、綾波はまあ無関心だな。
NERV本部において紹介されたチルドレンと呼ばれる少年兵達は、碇シンジを全く歓迎していなかった。
それどころか、うち二名ほどは、完全に敵愾心を丸出しで彼のことをにらみつけていたほどだ。
「良く来てくれたね」
そういって、出迎えたのは「ろまんすぐれーのないすみどる」を絵に描いたかのような人物だった。
「え〜っと・・・冬月先生でしたっけ」
この人は、歳をとらないのか?
シンジは、その人物を見たときにそう驚いた。
しかし人というのは、壮年から老境に足を突っ込めばそれほど印象はかわるものではない。
「おお! 覚えててくれたのかね」
「ええ母がお世話になったそうで感謝していると」
「いや、うん今日は、すまなかった君を巻き込むつもりは私には無かったのだがどうにもあれが起動してくれなくてね焦っているのだよ奴も」
「そこで予備でしかない僕を国連安保理まで使って呼び出したんですか?」
「そうなるな。
なにしろ君は、リベリオンの作戦本部長だ呼び出すのが限界でね。
日本政府からは、それ以上の協力を拒否されてしまったよ」
「特務機関権限でもなんでもお使いになればよろしいのに」
「そりゃ無理だよ今のNERVにはそんなものは、絵に書いた餅でね無尽蔵に金をつぎ込んだこのEVANGELIONの起動が出来なくてはその強健も使えないのだよ」
「なんとも最後の詰めが甘い人だ」
「それがやつの欠点だな、君はどうなんだね」
「僕ですか? さあそういうの自分では解りませんから」
「副司令」
「おお、ナオコ君もうそんな時間かね」
「はい」
「それじゃあ調整室へ行こう」
「そういえば、あの男は居ないんですか?」
「奴ならケージで陣頭指揮をしとるよ」
「へえ意外ですね」
「まあ、そうでもしないと間がもたんのだろう」
「あなたがシンジ君、ずいぶん大きくなったわね〜」
「あなたが赤木ナオコ技術本部長ですか?
まあ10年たってますから、それに」
「それに?」
「子供が大きくならなかったら、逆に不気味でしょ?」
「まあ、そりゃそうね」
「今度は細工は無しにしてくださいね」
「・・・あれは」
「シンジ君あれは本当に事故だったのだよ」
「へぇ〜人一人をころしかけて事故で終わりですか、普通責任者の首が飛びませんか?」
「代わりが居ればな」
「なるほど・・・でしたら冬月先生がなられれば良いのに」
「私では人は付いてこんよ」
「そうですかぁ?
僕から見れば先生のほうがよほど働きやすいと思いますけどね」
「でも」
「なんですか?」
「そんな危ないと思っている場所にどうしてきたのかしら?」
「そうですね僕は、リベリオンの対使徒兵器に乗ったことがあります。
まあ実際に役に立つかどうかは使徒に対峙してみないとわかりませんけどね
もう一方のEVAも知りたかったって所ですよ」
これは明確な嘘である。
EVAの「中枢システム」コア、そして最低でも脳髄を作成しATFを作り出さねば、対使徒・EVA兵器を製作できうるはすもない。
そしてリベリオンは、その開発・製作に成功していた。
この宇宙の必然として、生命に付随する現象のATFが存在するならば、強大な演算能力を持った<人工知性>を生み出すことが可能ならば、その人工知性は、自らの器としてATFを操ることが可能となるだろう。
使徒のATFの強度さが、その個体種としての孤独にあるならば、ユニークな、存在である電脳上の電子人工生命も強大なATFを操るだろう。
そしてそれらユイの行った考察は正鵠を射ており、事実トライデント、及びジェットアローンという器に受肉した<人工知性>は、AFTを自在に操ることに成功しているのであった・・・。
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新世紀EVANGELION
「反旗」#01
Fin
COPYRIGHT(C) 2004 By Kujyou Kimito
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あとがき
なんかEVAばっかり書いてますが、書きやすいんです(~_~)困ったことに
ナデシコの話を考えても、センテンスが現在浮かんできません。
ところがEVAならすいすい出てきてしまう。
んな訳で、EVAを集中投下中でございます。
だから、ナデシコの言霊さんが戻ってくれば、ちゃんと書きます(^_^;)ぉぃ
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スポンサーです
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このお話しが、面白かったらどうかクリックをしてやってください。
明日の創作のために、どうぞよろしく(T_T)/
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