編集長
伊集院光の一言
草野球チームを結成したという話を書いたのは今月の頭のこと、たしか「グローブ」の回だった。
あらから1ヶ月弱、ほぼ週一回のペースで試合をやっているが、毎日楽しくてしょうがない。
まだ一度も勝っていないけど。
勝ってないどころか結成3試合、45対7、15対4、16対0と惜しい展開すらないけど。
次回の試合予定は木曜日(雨天中止)。
目標は10点差以内の負け。
今の僕らにとっては大きすぎる壁だが、目標は高ければ高いほど燃えるもの。
死ぬ気で頑張るつもりだ(書いてて情けない)。
「熱しやすくてさめやすい」僕だが、そのカーブは並大抵じゃない。
「瞬間湯沸かし器」どころか「ドライアイスからマグマ」だ。
一旦野球をやるとなれば、全ての道具をそろえたい。
前述のグローブを皮切りに、ボールを20ダース、スパイクはサイズがないので(31センチ!)インターネットでアメリカから個人輸入、特注サイズのユニフォームを注文。
その極めつけがバットだ。
スタンダードな軟式金属バットが平均8千円のところを、僕が選んだミズノ社の最高級バット「ビヨンドマックス」なるものは驚くなかれの2万5千円!懐的にはかなり痛いが、カタログを見れば「インパクトの瞬間ボールの変形を最小限に押さえることでパワーロスを解消し」云々。難しいことは分からないが、バットの芯の部分が特許出願中の新素材で出来ていて「飛距離を7.7%アップ」とある。
僕は今日現在ゴルフに興味がないが、日頃ゴルフ用品のCMで「チタンヘッドのドライバーで飛距離が違う」とか「新素材のボールでも凄く飛ぶ」なんて言うのを見るたびに「スポーツだから道具によって飛距離が違っちゃ駄目だろうに」と思っていたが、どこへやら。
激安店の片隅にある3000円のバットでも実力者は打つ、草野球レベルのタマならヤンキースの松井は1本800円の自然薯でもホームランを打つかもしれない。
しかしそこは僕。
実欲の差を埋めるのは、懐が痛んだとしても有名スポーツメーカーの最新技術に頼るほかないのだ。
と、この「ビヨンドマックス」の購入をあっさり決めたのだった(ちなみにこれの発表直後から商人気商品だそうで、予約が殺到。注文してから僕の手元に届くまで約一ヶ月かかった)。
さあ、試合に先駆けて試運転だ。新兵器を携えてバッティングセンターへ、いつもなら力負けしてしまい前に飛んだ試しのない時速130キロの超高速マシンに挑む僕。
100球ほど打ってみて分かったことは「どんな新素材でもあたらなければ飛ばない」と言うこと。
(以上、全文1,038文字÷テーマ「道具」2文字、519倍返しでお送りしました。)