編集長
伊集院光の一言
覗き見が大好きだ。芸能人を生業とする以上かなりデンジャラスな、言うなればマーシーチックな書き出しで始めてしまったが、本当だから使方が無い。
勿論「ミニにタコ」的な話をカムアウトするつもりではない、第一エロ系の妄想を行動に移す度胸なんか無い。
僕が好きなのは、不燃ごみの日に捨ててある古いラジカセの中に入りっぱなしになっているカセットテープや、古本屋で買った10年前の雑誌の解きかけのクロスワードパズルや、
中古のスーファミ版のダビスタのカートリッジにセーブされたままになっている馬の名前が好きなのだ。
それでも気持ちが悪い趣味だと思われる方もいるだろうから言い訳しておくと、その持ち主を特定する気は毛頭ない。
想像するのが楽しいのだ。、、、と書いた所でまだ気持ちが悪いと思う人はいるだろう。言い訳止め。
以前この話をテレビのトーク番組で話し掛けたところで、もう一人のトークゲストだった島倉千代子さんに序盤で完全否定され、
トークホストも「気持ちが悪いので止めなさい」的な判断を下し、二度とこの手の話はテレビでしないことに決めた。
なぜなら島倉千代子さんのほうが正常だとも思うから。
わかっていただける方のみに向けて、その醍醐味を書く。
今まで僕が痛く感動したものベスト3、第3位は、全巻通しで捨ててあった「ガラスの仮面」の単行本40冊。
古本屋などで買えば結構な金額のものだから普通にうれしかったのは勿論だが、そのすべての裏表紙に名前が書いてあったのが良かった。
しかも単行本の初刊にはたどたどしいひらがなで女の子の名前、巻が重なるに連れてそれが上手くなり、漢字へそして書かなくなるという流れ。
しかもガラスの仮面と言えばまだ未完の作品、ここまで付き合って急にいらなくなるのはなぜ?
やっと紅天女の主役が決まりそうなこの時になって、、、なぜ?
ここからが楽しい。勝手な妄想ワールドに入る僕。
ガラスの仮面の主人公、北島マヤの活躍に魅せられて小さい頃から女優を目指してきた持ち主の少女。
演劇部、劇団、タレント事務所と着実に力をつけてきたものの夢はそう簡単に叶わない。
年齢的なリミットも迫る中、最近の仕事と言えばワイドショーの再現ドラマにちょこっと出るくらい。
しかも主役のカード破産したヤングミセスではなくブランドショップの店員という、、、
そんな中、故郷四国に住む年老いた母親からの手紙、いつもの見合い話ではなく「頑張り過ぎないようにね。」という文面。
そして決意。さよなら東京、さよなら女優、さよなら北島マヤ。
多分そんなこたあない(タモリ風)。けど良い。
第2位は、どっかのおじさんが結婚式のスピーチの練習をしているカセット。
テープの頭しばらく「本日は晴天なり、本日は晴天なり」というベタ過ぎるマイクチェックからはじまり
「エー、本日はお日柄もよろしく、この秋晴れの下新しい人生をスタートした、○○君、○子さんにおきましては、、、」ときて延々30分、
そして何より最高なのはスピーチ終了後の、おじさん「、、、かあさん、何分?」かあさん(少し遠くにいる様子)
「28分」おじ「ええっ!?そんなにないだろう!それは長いよ長過ぎるよ!かあさん!」かあ「私はちゃんと計りましたよ」
おじ「いや、それは無い。それは、、、」と延々と続く会話。巻き戻して計ったら28分。かあさんに切れつつやり直すおじさん。
テイク2、夫婦生活をほうきと塵取りに例えたエピソードをカットするも、なぜか30分。またお母さんに時空のひずみについてクレームを入れるおじさん。
「一人でして下さい、ご祝儀袋を買って来ます。」と出て行くお母さん、そしてテイク3の途中で120分テープが終わると言う大作。
大好きなイッセー尾形に勝るとも劣らない面白さだ。そして、1位がいまだに手元に残してあるクリスマスツリー。
平成10年の夏に粗大ごみ置き場で拾ったそれは、箱入りの50センチくらいのクリスマスツリーで、箱の裏側に数行の日記らしきものが書いてあるという逸品。
主人公はヒロとマーなるカップル。最初の日付は平成4年12月15日。お世辞にもきれいとはいえない男文字で「池袋の西武にて購入」とある。
続いて12月23日「マーの手料理で楽しいクリスマス」と来て12月27日「しまう。また来年も楽しいクリスマスにしたい。マー&ヒロ」。
次の日付は平成5年12月23日「埃をかぶっていたツリーを出した。今晩は王子のロイヤルホストに行きます。」
12月27日「しまう。二人の記念のツリー。マー&ヒロ」とある。そしてそれ以降は何も書いていない。
突っ込みどころ満載だ。なぜ4年半も経ってから捨てる?それからヒロとマーはどっちが女?
あと何故毎年23日にパーティー?ヒロとマーに幸多からんことを祈る。
(以上、全文1,935文字÷テーマ「覗き見」3文字、645倍返しでお送りしました。)
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