ゼロの使い魔 番外編 ルイズのタルト
ヤマグチノボル
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)ルイズの頬《ほお》が
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)才人|頷《うなず》いた
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ゼロの使い魔 番外編 ルイズのタルト
学院でつかの間の休日をすごすルイズは、才人と甘い時間を持とうとするがーー「はいっ! お茶の用意ができましたあ!」と、いつものようにシェスタに邪魔される。しぶしぶお茶を飲んでいると、シェスタは自分がつくったというお菓子を出してきた。あまりのおいしさに感動する才人に、「お菓子の味の相性って、恋人としての相性と同じなんですって」と言い出すシェスタ。負けたくないルイズは、自分もお菓子をつくろうとするのだが!? 甘さたっぷり(?)ラボコメ分たっぷりで贈る特別番外編!
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ここは魔法学院の女子寮。ルイズの部屋。今日は虚無の曜日で授業はない。
ルイズはゆったりしたネグリジェのままベッドに転がって、本をひろげていた。才人《さいと》はテーブルの上に布を広げて、ロマリアのカタコンベからから持ってきた武器〃とやらの手入れを行っている。精密な時計細工のような拳銃《けんじゅう》……。才人の世界のものらしが、どうやらそんな風に汚れを取ったり油を引いたりしないとまともに動かないらしい。
見回すと、シェスタの姿がない。ルイズの頬《ほお》が、軽く朱色に染まる。
ルイズは三人で暮らすようになってから、こういった束の間の二人の時間を無駄にしないように心がけていた。そうしないと、どんどん自分たちの関係が希薄になっていってしまうような気がしたのだ。
ルイズは本を閉じると、熱心に拳銃の手入れを続けている才人に向かって、枕《まくら》を投げた。ちょど拳銃のスライドをフレームにはめ込もうとしていた才人の頭に、それはぼふっ!と派手な音を立ててぶつかった。
「な! なにすんだよ! お前な、手元がくるって細かい部品がなくなりでもしたらどーすんだよ!」
振り返り、才人は怒鳴った。
「部品なんか犬にでも食われるがいいわ」
つまらなそうな声で、ルイズは言った。
「お前なぁ……、これがどんだけ貴重なものかわかってないのか? こいつは俺《おれ》の世界の武器でな、この小さなドングリみたい弾が十五発も入るシグナントカっていう拳銃《けんじゅう》だ。精度も抜群、こっちの世界の銃とは、メイジと平民ぐらい違うシロモノなんだ。こいつがどんだけ俺の危機を……」
「それはわかったけど、ただの手入れでしょ。そんなの、他《ほか》のときにすればいいじゃないのよ」
「だって、たまたま気づいたから……。うわ、汚れてるなあって」
「危機ですって? 言ってくれるじゃないの。わたしにしたら、メイドがいないときにほったらかしにされるほうが、よっぽど危機だわ。それなのに、どっかのばかったら、つまんないネジや部品とやらに夢中なのよ。枕《まくら》も飛ぶってものよ」
ルイズは唇を尖《とが》らせ、すねたような表情で横を向いた。才人《さいと》は青くなり、ついで赤くなった。そして電気ウナギにやられた小魚のように口をぱくぱくとさせながら、震える声で尋ねた。
「そ、それって……、つまり……、ぎゅーってされたいとか、キスされたいとか、そういうこと?」
「なんでいちいち、あんたってばそんなこと聞くの?」
「……ごめん」
「もういい。なんか冷めた。あんたはそこで、そのろくでもないシグナントカをいじっているがいいわ」
ルイズはそこで毛布をつかんで中に潜った。完全に、すぐに来ないともっとすねる〃のサインだったので、才人は条件反射のようにフラフラとルイズに近寄り、毛布の中にもぐりこんだ。
「なによ。こないでよー。誰が来ていいって言ったのよー。毛布の中から出なさいよー」
とぶつくさとルイズは文句を言ったが、それが本音でないことをすぐに見て取れる。だって声には力がないし、細められた目はあさってのほうを向いている。頬《ほお》は軽く上気して、指はネグリジェのすそを軽くつまんでいる。
どっからどう見ても、やさしくしてー、のサインだったので、鈍感が粉末状になって血液の中をめぐっている才人にもそれがわかった。だから、いつもの魔法の言葉を口にした。
「大好き」
するとルイズは両手で耳をふさいだ。
「な、なんだよ?」
「き、聞こえないの」
「はい?」
「わたし、あんたにそれ言われてるとおかしくなっちゃうの。わたしじゃなくなるの。だから聞かないことにしたの」
そんなことを、頬《ほお》を染めて言うのもだから、才人《さいと》はルイズが可愛《かわい》くて可愛くてしかたながなくなった。思わず、息をあげ、ふがふがと鼻を鳴らしながらルイズに顔を近づけた。他の人間が見たら、まるでトリュフを探す豚のようだったが、ルイズはすでに魔法にかかっていたのでそれが自分を眠りの世界からそっと起こしてくれる白馬の王子様に見えた。
「かわいい。ルイズすごくかわいい。大好き。俺《おれ》のルイズ。おれのおれのルイズ」
「聞こえない聞こえない聞こえない」
ルイズは、さらに両手を耳に押し付けた。すると才人は、ルイズの手をつかみ、強引に耳から引き剥《は》がした。
「やだ! やめて!」
「ルイズ大好き」
その言葉が耳に届き、鼓膜を震わせ、脳に達して意味を理解するとルイズの全身から力が抜けた。ルイズはぐんにゃりとクラゲのようにベッドの上に横わたる。だめだわ、と思いつつ身体《からだ》がもういうことをきかない。まるで自分のものではないみたいに口が動き、自然と言葉がつむぎだされる。
「ほんとう? わたしのことだいすき?」
「うん。だいすき」
「どんぐらい?」
「海あるだろ?」
「あるわね」
「あんぐらい」
「やだ……、大きすぎじゃない……」
うっとりとルイズの目が潤んできた。
「ルイズ可愛い」
「ほんとう? わたし可愛いの?」
「うん」
こくりと才人|頷《うなず》いた。ルイズの心は、ばら色に輝く。
「いやだ。どうしてわたし嬉しいのかしら。冷静に部分が『いくらなんでもあなた安すぎるんじゃないの』って言うんだけど、嬉しいものはしかたがないわ」
「そんな安いお前が、俺《おれ》は好きだであります」
才人《さいと》はゆっくりと唇を近づけてきた。
「安くないもん。安くなんか……」
その二つが重なりそうになった瞬間、ドアが開いてシェスタが入ってきた。
「はいっ! お茶の用意ができましたあ!」
才人とルイズはベッドの中で固まった。シェスタはそんな二人に気づくと、わずかに目を細めて近づき、二人の手を握るとベッドから引きずり出した。
「昼間っから、なにしてるですか?」
「え……、いや、その……」
二人してもじもじしていると、シェスタは首を振る。
「そりゃ好き合っているとお二人ですから、しかたありませんけど。せめてお茶を飲んでからにしてください」
シェスタの給仕で、三人はお茶を飲み始めた。才人は恥ずかしいやらで、お茶の味なんかわからなかったが……、お茶菓子を口に含んだ途端、目を大きく見開いた。
「ふごっ!」
「なに? どうしたの?!」
驚いたルイズは、身をびくっとすくませる。才人はぷるぷると震えながら、今しがた口に含んだお菓子をまじまじと見つめた。ビスケットとケーキの中間のような、不思議な食感を持つお菓子だった。中はしっとり湿っていて、絶妙な甘さが口に広がる。
「うまい!」
「でしょう? マルとーさんに作り方を教わったんです。マルとーさんの故郷のお菓子らしいです。えへへ、わたしが作ったですよ!」
シェスタは上機嫌になって笑った。
「いや、うまいよこれ! ほんとにうまい!」
才人は夢中になってお菓子をほおばり始めた。ルイズはちょっと呆れてそんな才人の様子を見つめる。自分でも口に含んでみたが、確かにおいしいけどそこまで興奮するようにも見えなかった。
「いや、実にうまい! この食感がたまらない!」
なるほど、どうやら食感が入ったようだ。しかし、先ほどはルイズに夢中だったくせに、今ではお菓子に夢中である。まあ、お菓子と比べるものでもないけど、それでもねえ……、と、なんだかちょっと癪《しゃく》に障《さわ》る気分でお茶を飲んでいると、シェスタがとんでもないことを言い出した。
「よかったです! ねえサイトさん、知ってます?」
シェスタは、妙に色気を含んだ流し目で才人《さいと》を見つめた。
「え?」
「あのですね、料理の味の相性って、そのまま恋人としての相性なんですって。特にお菓子は、それがよーくわかるらしいですわ」
「そ、そうなの?」
「ええ。つまり、サイトさんにとってわたしの味は……、そのお菓子とおんなじなんですって。やん」
シェスタは両手を頬《ほお》に置いて、腰をくねらせた。このメイド沸いてる? とルイズは呆《あき》れた。自分の作ったお菓子の味の相性が、恋人としての相性ですって? ふんだ、寝言は太陽が沈んでから言いなさいよね、と思いながら才人のほうに目をやると……。
その食べかけのお菓子と、シェスタを交互に見つめて、間抜けのように頬に染めているので、桃色の髪が逆立った。
「……こ、ここ、こんな風に中はしっとりしてるわけ?」
「しかもこのぐらい甘いんですの」
何かを確かめるようにもぞもぞとお菓子をくわえた才人の後頭部に、ルイズは華麗なハイキックを叩《たた》き込んだ。ぶほっ! と才人はお菓子を噴出し、床に伸びた。
「ミス□ヴァリエール! 何をするんですか!」
「そんなオカルトに騙《だま》されそうになってるから、飼い犬に制裁をくわえただけよっ!」
「あらん? もしかして悔しいんですかぁ? ですよね、ミス□ヴァリエールは相性を確かめたくっても、お菓子なんか作れませんものね」
「わたしはお菓子なんか作れなくたっていいの。別に、このワンコロ、いっつもよだれを垂らして襲い掛かってくるんだもの」
「でももし、おかしくない〃って思われたらどーするんですか?」
「そんなことあるわけないじゃない」
そう言ったものの、声が震えた。もともといろいろと自信がないルイズは、そんな可能性の存在にわなわなと震え出した。
「なんでわたしにお菓子の作り方なんか聞くのよ」
モンモランシーは、自分の部屋にやってきたルイズを見て、頭が痛いと言わんばかに首を振る。何事もかたちから入るルイズらしく、どこからか拝借してきた衣装に身を包んでいた。真っ白のエプロンに、三角|巾《きん》。ご丁寧に、手にはフライパンとヘラを握っていた。
「いっつもろくでもない薬を作ってるあんだなら、お菓子の作り方ぐらい知ってるでしょ」
モンモランシーはため息をついた。
「あんたってほんとうに、無駄に威張るのね……」
「お互いさまじゃないの。いいから、早く教えなさいよ」
「お菓子の作り方なんかわからないわよ。わたしが作れるのはポーションや香水。料理道具なんか触ったこともないわ」
「はぁ〜〜、使えない女ね」
「殴っていい?」
さすがにモンモランシーが怒りで肩を震わせながら言うと、ルイズは冷たい声で、
「困ったわ……」とつぶやいた。
「どうしてまた、お菓子の作り方を知りたがるの? そんなの、召使に作らせればいいじゃない」
するとルイズは頬《ほお》を染めて、
「それじゃ駄目なの。自分で作らないと……」と、窓の外を見つめて言った。そんあ態度に、モンモランシーは目を細めた。
「なにあんた。男のためにお菓子作りでもするっていうの? 貴族のくせに!」
「り、理由があるのよ」
「どんな理由よ。言ってごらんなさいな」
するとルイズは、ぺこりと頭を下げると「お騒がせしました」と言って部屋を出て行こうとした。モンモランシーはそんなルイズに飛びつくと抱きかかえ、引き出しの中から緑色の液体の入った小瓶を取り出し、ルイズの口に差し込んだ。
ルイズは目を白黒させながらそれを飲み込む。
「ぶはっ! な! なにすんのよ!」
「どうしてお菓子を作りたいと思ったのよ」
腕組をしたモンモランシーが尋ねる。
「ばか、そんなのどうだって……、あのね、自分で作ったお菓子の味の相性は、そのままお付き合いの相性だって……」
ぺらぺらとしゃべり始めたルイズは思わず口を押さえた。
「あんた! いったいわたしになんの薬を……」
「質問になんでも答えちゃうポーションよ。でも、そんなことどーだっていいわ。とにかく今の話ほんとうなの?」
「……ほんとかどうかなんて知らないわ。でも、気になるじゃないの」
モンモランシーも頬《ほお》を染めて、頷《うなず》いた。
「ま、まあ、気にならなくはないわね」
「だからお菓子を作るの」
「といっても……」と、モンモランシーは首をかしげ、それから、あ、と手を叩《たた》いた。
「一人知ってるわ」
「それで、わたしのところに来たんですか」
二人してお揃《そろ》いのエプロンを着込んだルイズとモンモランシーを見て、ケティ□ド□ラ□ロッタは言った。切りそろえられた栗色《くりいろ》の髪が可愛《かわい》らしい彼女は、魔法学院の二年生。ルイズたちの一年後輩である。かつてはギーシュに思《おも》いを寄せたり、一時人気が出た才人《さいと》を追っかけたりのミーハーな性格をしている彼女は、呆《あき》れた顔で自分の部屋にやってきた二人の先輩を見つめた。
「お菓子の味の相性が、お付き合いの相性だなんて……。先輩たち、なんか飛んじゃう系の食べました?」
「別にいいですけど……」
断ったらヤバい雰囲気の二人だったので、ケティは仕方なしに頷いた。お菓子作りは、彼女の趣味である。部屋にはそれなりの設備が揃っていた。オーブンや水を貯める瓶、そして魔法を利用した、材料の冷蔵保存庫……。魔法学院では、こうやって自分好みに自室を改造してしまう生徒が少なくない。学院側も、出ていくときに元に戻すのならば、あまりうるさいことは言わなかった。
「いったい、どんなお菓子がいいですか?」
「食べたら、向こうがおいしくて死んじゃうようなやつ」
ルイズが言った。
「食べたら、一生その味が忘れられなくなるようなやつ」
モンモランシーが言った。それから二人はキツイ表情で顔を見合わせ、どこまでも真面目《まじめ》な声で「そっちもいいわね」と言い合った。
「そんなの無理ですよ」とケティが言ったら、ルイズに首を絞められ、モンモランシーに髪の毛をつかまれた。
「いたいいたい」
「いいからちゃっちゃと教えなさいよぉ〜〜〜〜〜!」
「わ、わかりました! わかりましたからやめてください!」
はぁはぁと息を切らしながら、ケティは叫んだ。
「じゃ、じゃあ、タルトなんかいかがですか?」
「つまんなーい」
「ありきたりー」
「……帰ってください」
すると二人はすぐに態度を変えて、
「まあアリかもね」
「いいじゃない。簡単で」
早く二人に帰って欲しかったけティは、手早く材料を集め始めた。
「えっとですね。まずは……」
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翌日の夕方……。
才人《さいと》が水精霊騎士隊《オンディーヌ》の訓練から帰ってくると、部屋には誰もいなかった。
その代わり、テーブルの上にナプキンに覆われた皿があった。
「なんじゃこりゃ」
ナプキンを取ってみると、そこには小さなタルトが置いてある。ピンク色のベリーが山盛りになっていて、おいしそうだった。シェスタが作ったんだろうか?
訓練で疲れてお腹が空《す》いていたので、才人は一つをつまみあげて口に運んだ。
「ふむ……」
すると、クロゼットが開いて、中からルイズとシェスタが躍り出てきた。
「わ! なんだなんだ!」
「食べた? 食べた?」
ものすごい顔で、ルイズがにじり寄ってくる。
「食べました? 食べましたね?」
シェスタも夢中で、才人に詰め寄った。
「た、食べたけど……。もしかしてたべちゃ駄目だった?」
二人はぶるんぶるんと首を振った。
「なんだよ。驚かすない。ところでこれ、シェスタが作ったの?」
そう尋ねたら、シェスタが何か言いかけて、ルイズに口を押さえられた。
「ち、違うわ。ま、街のお菓子屋に注文したの。なんだか食べたくなって。で、味のほうはどう?」
才人はモゴモゴと口に含んでいたが……、
「んー、別にまずくはないけど……。金払うほどじゃないっていうか……」
がっくりとルイズは肩を落とした。なぜかシェスタは小踊りして、才人の胸にしがみついた。
「ですよねー。やっぱりサイトさんは、昨日食べたお菓子のほうが好きですよね!」
「ああ。あれは確かにうまかった」
ルイズはしょんぼりとしてベッドに潜り込んだ。
「なんだ? どうした?」
「なんでもない……」
次の日、ルイズはがっくりと肩を落としたまま授業を受けた。にこにこ顔のモンモランシーが寄ってきて、
「ルイズ、お菓子どうだった? ギーシュのやつ、食べさせたら、『こんなおいしいお菓子食べたことない!』だって! まったく、お菓子の味の相性ってほんとうなのかもね」
するとルイズはじろっとモンモランシーをにらんだ。
「きっと味オンチなのよ。なんだっておいしいっていうでしょ」
「なによー。もしかしたら、あなたまずいって言われたの? ぷ」
モンモランシーがそうやって含み笑いをもらしたが、ルイズは突っかかる気にもなれなかった。あ〜〜〜、やっぱり、なんて心がどよんと曇る。
やっぱり、相性良くないのかしら……。
思えばいっつもケンカばっかりしてるし。最近は誘わないと襲っても来ないし。もしかしたら、ぎゅって抱き締められて死んじゃうぐらいに気持ちいいのはわたしだけで、あいつはそう思ってないのかもしれない……。
そんなこんなで、がっくりと肩を落としながら部屋に帰ってくると……。
なんだか落ち着かない様子の才人《さいと》がいた。
「どうしたの? あんた」
「いや……」と才人は頭をかいた。
「昨日のタルト、もうないの?」
「えっ?」
「なんかさ、食べたときはそうでもないかなって思ったんだけど……。なんか妙にあとを引くんだよね」
「ど、どういう意味?」
すると才人は、ちょっと考え込むように腕を組んだ。
「なんかぱっとしない味ではあるだけどさ。癖になる味というか、あの味は俺《おれ》にしかわからないだろうというか……」
ルイズはぱぁっと顔を輝かせた。
「ほんと? しかたないわね! また作ってあげる」
「はい?」
「え? いや? 違う! また注文しといてあげる!」
それからルイズは、鼻唄《はなうた》交《ま》じりにベッドに横わたり、嬉《うれ》しそうに本を広げて読み始めた。
昨日はあんなに元気がなかったのに……、手のひら返したような上機嫌である。いったい何がどうなっているのかさっぱりわからずに、才人は首を傾げるのだった。
コミックアライブ2009/8月号の付録