TITLE : まざあ・ぐうす
まざあ・ぐうす
北原白秋(訳)
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角川e文庫
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目 次
日本の子供たちに
はしがき
序 詩
マザア・グウスの歌
まざあ・ぐうす
こまどりのお葬式
お月夜
天竺ねずみのちびすけ
木のぼりのおさる
くるみ
ボンベイのふとっちょ
六ペンスの歌
一時
朝焼け夕焼け
風がふきゃ
文なし
ファウスト国手
とことこ床屋さん
おくつの中に
一つの石に
コオル老王
雨、雨、いっちまえ
花壇にぶた
日の照り雨
いばらのかげに
セント・クレメンツの鐘
おうまのり
小径にむすめ
月の中の人
十人のくろんぼの子供
お月さまの中のおひとが
クリスマスがきますわい
べああ、べああ、ブラック・シイプ
ろうそく
ちっちゃなテイ・ウイ
三月、風よ
お面もち
ししと一角獣
くつやさん
きれいなくびまき
何人何びき何ぶくろ
のむもの
ちびねこ、さんねこ
雨もよう
ポウリイ、やかんを
南瓜ずき
ぼう、うぉう、うぉう
三百屋
お釘がへれば
二十四人の仕立屋
ででむし角だせ
お針みつけたら
風よ、ふけ、ふけ
気軽な粉屋
いなかっぺえ
おかごのばあさん
すっとんきょうな南京さん
鼻まがり
あの丘のふもとに
あたいのめうし
ゆりかごうた
こびっちょの子供は
ねんねこうた
はしっこいジャック
ででむし、でむし
一列こぞって
ででむし
おりこうさん
おしゃべり
ハアトのクイン
コケコッコおどり
でんでんむしむし
おばあさんとむすこ
てんとうむし
あったかいパン
ゴットハムの三りこう
気ちがい家族
ちっちゃなだんなさま
一つのたるに
ジャックとジル
トムトムぼうず
いぬはぼうおう
ちいさなおじょっちゃん
やぶ医者
きれいずきのおかみさん
御婚礼
タッフィ
ばばァ牛
とっぴょくりん
卵うりましょうと
かささぎが一羽よ
これ、これ、こいきな
市場へ、市場へ
数 学
五月のみつばち
朝のかすみ
かっこ鳥
豆こぞう
ソロモン・グランディ
かえるの殿御
一切空
ロンドン橋
世界じゅうの海が
空はじめじめ
アアサア王
がぶがぶ、むしゃむしゃ
天竺ねずみは
ジャック・スプラットと
背骨まがり
おらがお父は
ねこと王さま
がァがァ、がちょう
火の中に
火ばしの一対
お月さま光る
おもちゃのうま
なけなけ
北風ふけば
めくら鬼
お山の大将
上へいった
みんなして森へ
このぶた、ちびすけ
おくつをはかしょ
ながい尾のぶたに
あァがった、あがった
ワン、ツウ、スリイ、
フォア、ファイブ
顔あそび
このベル
一番目のお床
おしまい
巻末に
『まざあ・ぐうす』原詩
日本の子供たちに
はしがき
お母さんがちょうのマザア・グウスはきれいな青い空の上に住んでいて、大きな美しいがちょうの背中にのってその空を翔《か》けったり、月の世界の人たちのつい近くをひょうひょうと雪のようにあかるくとんでいるのだそうです。マザア・グウスのおばあさんがそのがちょうの白い羽根をむしると、その羽根がやはり雪のようにひらひらと、地の上に舞《も》うてきて、おちる、すぐにその一つ一つが白い紙になって、その紙には子供たちのなによりよろこぶ子供のお唄が書いてあるので、イギリスの子供たちのお母さんがたはこれを子供たちにいつも読んできかしてくだすったのだそうです。いまでもそうだろうと思います。それでそのお話をお母さんからうかがったり、そのお唄を夢のようにうたっていただいたりするイギリスの子供たちは、どんなにあの金《きん》の卵をうむがちょうや、マザア・グウスのおばあさんをしたわしく思うかわかりません。
ですが、ほんとうをいえば、そのマザア・グウスはやはりわたくしたちと同じこの世界に住んでいた人でした。べつにお月さまのお隣の空にいた人ではありません。子供がすきな、そうして、ちょうどあのがちょうが金《きん》の卵でもうむように、ぼっとりぼっとりとこの御本の中にあるような美しい子供のお唄を子供たちの間におとしてゆかれたのでした。ありがたいお母さんがちょうではありませんか。
そのグウスというおばあさんはいまから二百年ばかり前に、その当時英国の植民地であった北アメリカにうまれたかたでした。そのおばあさんに一人のちっちゃなまご息子《むすこ》がありました。おばあさんはそのまご息子がかわゆくてならなかったものですから、その子をよろこばせるためにその子のよろこぶような、そうしてその子の罪のない美しいお夢をまだまだかわいいきれいな深みのあるものにしてやりたいのでした。それでいろいろなおもしろいお唄をしぜんと自分でつくりだすようになりました。やっぱりその子がかわいかったのですね。
それも初めはただなんということなしに節をつけておはなししたり、うたったりしたものでしょうが、そうしたものはどうしても忘れやすいものですから、また覚え書きに書きとめておくようになりました。そうなるとまた、そうして書きとめておいたのが一つふえ二つふえしていつかしら一冊の御本にまとまるようになったのでしょう。
そのおばあさんの養子にトオマス・フリイトという人がありました。この人は印刷屋さんでした。で、そのお母さんが自分の息子のためにうたってくだすった、そうしたありがたいお唄を刷《す》って、自分の息子ばかりでなく、ほかのたくさんの子供たちをよろこばしてやりたいと思ったのでした。それでこのマザア・グウスの童謡の御本がはじめて刷られて、ひろく世間によまれるようになりました。それは西洋暦の千七百十九年という年で、時のイギリスの王さまはジョウジ一世ともうされるおかたでした。
で、このマザア・グウスの童謡はずいぶんと古いものです。古いものですけれど、いつまでたっても新しい。ほんとにいいものはいつまでたっても昔のままに新しいものです。考えてみてもその御本がでてから、イギリスの子供たちはどんなにしあわせになったかわかりません。その子供たちがおとなになり、またつぎからつぎにかわいい子供たちがうまれてきて、またつぎからつぎにこのお母さんがちょうのねんねこ唄をうたって大きくなってゆくのです。それにこの御本がでてからしあわせにされたのはそのイギリスの子供ばかりではありません。イギリスのことばをつかっている国々の子供はむろんのことですが、世界じゅうのいろいろな国のことばに訳されていますので、そうした国々の子供たちもみんなしあわせにされているはずです。それにいろいろ作曲されて、ずいぶんひろくうたわれているようです。ですから、赤いくちばしと赤い水かきとをもったがちょうのおばあさんがおいすに腰かけて、おなじような赤いちっちゃなくちばしと赤いちっちゃな水かきとをもったちっちゃながちょうをおひざにのっけて、赤い御本をひらいている画《え》のついた表紙のや、三《さん》角《かく》帽《ぼう》のリボンに鵞《が》ペンをさしたおばあさんがテエブルの前に腰をかけて、なにか書いていると、そのそばから大きながちょうがくちばしをあけて、針の頭のように眼《め》をちっちゃくしてのぞきこんでいる画のや、がちょうとおばあさんが空を翔《か》けているのや、緑《みどり》色《いろ》の牧《まき》草《ぐさ》の中に金の卵をおとしている白いめんどりのがちょうのや、いろんな本がでています。
日本ではこのわたしのが初めてです。日本の子供たちのために、わたしはこのお母さんがちょうを日本の空の上にきてもらいました。そうして空からひらひらとその唄のついたがちょうの羽根をちらしてもらったのでした。その羽根にかいてある字はイギリスの字ですから、わたしは桃色のお月さまの光でひとつひとつすかしてみて、それを日本のことばになおして、あなたがた、日本のかわいい子供たちにうたってあげるのです。そしてみんなうたえるようにうたいながら書きなおしたのですからみんなうたえます。うたってごらんなさい。ずいぶんおもしろいから。
その童謡の中には、青い萌《もえ》黄《ぎ》色《いろ》の月の夜《よ》のお月さまをとびこえるめうしのダンスや、紅《あか》い胸のこまどりが死んで白《しら》嘴《はし》がらすがお経をよむのや、王さまの前のパイのお皿からうたいだす二十四匹の黒つぐみや、「パンにおせんべい」とうなるロンドンのお寺の鐘や、おうちが大火事でプッジングのおなべの下にもぐりこむてんとうむしのむすめや、赤いにしんにのまれるくろんぼうの子供や、かごにのって青《あお》天《てん》井《じよう》のすすはきしにお月さまより高くのぼるおばあさん、おくつの中に子供をどっさりいれてしまつにこまるおばあさん、挽《ひき》割《わり》麦《むぎ》を三《さん》斤《ぎん》ぬすんでお菓子をこさえる王さまや、拇《おや》指《ゆび》よりもちいさな豆つぶのだんなさま、赤いおわんにのって海へでるおりこうさん、気ちがいうまにのってめちゃくちゃにかけてゆく気ちがいの親子、そうした、それはもうどんなに不思議で美しくて、おかしくて、ばかばかしくて、おもしろくて、なさけなくて、おこりたくて、わらいたくて、うたいたくなるか、ほんとにゆっくりとよんで、そうしてあなたがたも今までよりもずっとかわったお月夜の空や朝焼け夕焼けの色どりを心にとめて、いつも美しいあなたがたのお夢を深めてくださるよう。そうならわたしはどんなにうれしいかわかりません。
この本の中の童謡はおもにそのマザア・グウスから訳したのですが、そのほかにもイギリスやアメリカの子供のうたっているので違ったのがたくさんつけたしてあります。いろんな指あそびや、顔あそび、めくら鬼、はしご段あそびなど、日本のとちがった遊戯唄をおしまいのほうにのせてみました。皆さんでひとつやってくださるとうれしいと思います。
これからもまだいろんなものを皆さんのために書いてお贈りしたいと思っていますが、わたしもこれからほんとに念をいれて、がちょうが金の卵をうみ落とすように、ほんとにいい童謡をぽつりぽつりと落としてゆきたいと思います。
では、どうぞ、この本の初めにあるその金の卵の歌からよんでいってください。するときっとがちょうがあなたがたを背中にのせて、高い高いお月さまのそばまで翔《か》けてゆくでしょう。
大正十年九月
木兎《みみずく》の家にて
白 秋 しるす
序 詩
マザア・グウスの歌
マザア・グウスのおばあさん、
いつもであるくそのときは、
きれいながちょうの背にのって、
空をひょうひょう翔《か》けてゆく。
マザア・グウスのすむ家《いえ》は、
一つ、ちんまり、森の中、
戸口にゃ一羽の梟《ごろすけ》が
みはりするのでたっている。
むすこがひとりで名はジャック、
その子まずまずお人よし、
ずんとよいことせぬ代わり、
ずるいわるさもようしえぬ。
市《いち》場《ば》へジャックをやったれば、
めすのがちょうを買ってくる、
「まあまあ、お母さん、みておいで、
そのうちいいこともあるでしょよ」
それからがちょうのめすとおす
なかよしこよしであそんでる。
いつもいっしょに餌《え》をたべて、
ガアガア、お池におよいでる。
ある朝、ジャックがいってみりゃ、
(ほんに話によくきいた)
金の卵がありまする。
うんでくれたはめすがちょう。
金の卵だ、はよ告《つ》げよ、
ジャックはお母さんへとんでゆく。
お母さんもほくほくごきげんだ。
「それはよかった、おおできじゃ」
ジャックは卵をうりにでる。
それをかおうと猶太人《ジユウ》の悪《わ》者《る》、
おもう半値もつけないで、
うまうまジャックをちょろまかす。
ジャックはお嫁とりにゆきまする。
むこうのおじょうさん華《は》美《で》好きで、
それはかわいい、うつくしい、
花の山《さん》査《ざ》子《し》、百《ゆ》合《り》みたよう。
ところへ、あとからつけまわす
猶太人《ジユウ》とおしゃれのおべっか屋、
脇《わき》腹《ばら》めがけて、ぶってやろと、
かわいそなジャックにつっかかる。
そのときすばやく、すっときたは、
マザア・グウスのおばあさん、
杖《つえ》でジャックをちょいと打ちゃ、
道化のハ《*》アレクインにはやがわり。
つづいて、おばあさんが杖あげて、
きれいなおじょうさんをちょいと打ちゃ、
すぐにその子もはやがわり、
それこそかわいいコ《**》ランバイン。
金の卵は海の中、
どさくさまぎれにほうられる。
だけど、ジャックがとびこんで、
またももとへととりかえす。
それで、めすがちょうとった猶太人《ジユウ》のやつ、
ころしちまえといきまいた、
割《さ》いて、こいつを売っとばしゃ、
ポケットにたんまり金もうけ。
ジャックのお母さんは、それみると、
すぐにがちょうをひったくり、
そして、その背にうちのって、
お月さまめがけてとんでいった。
* ハアレクイン。道化芝《しば》居《い》の男役です。
** コランバイン。これは女役です。
まざあ・ぐうす
こまどりのお葬式《ともらい》
「だァれがころした、こまどりのおすを」
「そォれはわたしよ」すずめがこういった。
「わたしの弓で、わたしの矢《や》羽《ば》で、
わたしがころした、こまどりのおすを」
「だァれがみつけた、しんだのをみつけた」
「そォれはわたしよ」あおばえがそういった。
「わたしの眼《め》々《め》で、ちいさな眼々で、
わたしがみつけた、その死《し》骸《がい》みつけた」
「だァれがとったぞ、その血をとったぞ」
「そォれはわたしよ」魚《さかな》がそういった。
「わたしの皿に、ちいさな皿に、
わたしがとったよ、その血をとったよ」
「だァれがつくる、経《きよう》帷子《かたびら》をつくる」
「そォれはわたしよ」かぶとむしがそういった。
「わたしの糸で、わたしの針で、
わたしがつくろ、経帷子をつくろ」
「だァれがしるす、戒《かい》名《みよう》をしるす」
「そォれはわたしよ」ひばりがそういった。
「あかるいならば、くれないならば、
わたしがしるそ、戒名をしるそ」
「だァれがたつか、お葬式《ともらい》にたつか」
「そォれはわたしよ」おはとがそういった。
「葬《ともら》ってやろよ、かわいそなものを、
わたしがたとうよ、お葬式にたとうよ」
「だァれがほるか、お墓の穴を」
「そォれはわたしよ」ふくろがそういった。
「わたしの鏝《こて》で、ちいさな鏝で、
わたしがほろよ、お墓の穴を」
「だァれがなるぞ、お坊《ぼう》さんになるぞ」
「そォれはわたしよ」白《しら》嘴《はし》がらすがそういった。
「経《きよう》本《ほん》もって、小《こ》本《ほん》をもって、
わたしがなろぞ、お坊さんになろぞ」
「だァれがならす、お鐘をならす」
「そォれはわたしよ」おうしがこういった。
「わたしはひける、力がござる、
わたしがならそ、お鐘をならそ」
空《そオら》の上からみんなの小鳥が、
ためいきついたりすすりなきしたり、
みんなみんなきいた、なりだす鐘を、
かわいそなこまどりのお葬式《ともらい》の鐘を。
お月夜
へっこら、ひょっこら、へっこらしょ。
ねこが胡《こ》弓《きゆう》ひいた、
めうしがお月さまとびこえた、
こいぬがそれみてわらいだす、
お皿がおさじをおっかけた。
へっこら、ひょっこら、へっこらしょ。
天《てん》竺《じく》ねずみのちびすけ
天《てん》竺《じく》ねずみのちびすけは、
ちびだからふとっちゃいなかった。
いつもあんよでおあるきで、
たべるときゃ断《だん》食《じき》ゃいたさない。
さてそこらからかけてでりゃ、
けっしてそこにはもういない。
きけば、かけてるそのときは、
どっちみちじっとしちゃいないそだ。
キイキイなくのは常々《ふんだん》だ、めちゃくちゃあばれもたまたまだ。
それがさわいでわめくときゃ、けっしてだまっちゃいなかった。
たとえねこからおそわらなくとも、
はつかねずみがただのねずみでないのは御承知だ。
ところでたしかなうわさだが、
ある日、ひょっくり気がふれて、奇態な死に方した話。
とても勘《かん》のいい、金《かな》棒《ぼう》引《ひ》きの人たちは、
きゃつめおっ死《ち》んだで、いきてるわけないぞといっている。
木のぼりのおさる
木のぼりのおさるさん、
おちたときゃ、そのときゃおちていた。
石《いイし》の上《うウえ》のつんがらす、
飛《た》ったときゃ、そこらにゃ影もない。
りんごかじりの婆《ばば》おかみ、
二つたべたときゃ、一対たべていた。
水《すい》車《しや》場《ば》がよいの小《こ》荷《に》駄《だ》うま、
てくるときゃ、じっとたっちゃいなかった。
拇《おや》指《ゆび》ちょんぎったうしころし、
けがしたそのときゃ、血をだした。
かけっこしてゆくお供《オとも》さん、
はやがけするときゃ、かけあしだ。
おくつそそくるくつなおし、
つくろっちゃったそのときゃ、しあげてた。
ろうそくつくるがろうそく屋、
型からひっぱいだときゃ、手にもってた。
スペインさしていった艦《かアん》隊《たい》、
かえったときゃ、またぞろやってきてた。
くるみ
ちいさな緑のお家《うち》がひとつ。
ちいさな緑のお家の中に、
ちいさな金茶のお家がひとつ。
ちいさな金茶のお家の中に、
ちいさな黄色いお家がひとつ。
ちいさな黄色いお家の中に、
ちいさな白《しイろ》いお家がひとつ。
ちいさな白《しイろ》いお家の中に、
ちいさな心《ハアト》がただひィとつ。
ボンベイのふとっちょ
ひとりふとっちょがボンベイにござった。
ある日、日なたでたばこのんでござった。
そこへ、ついときたはしぎという小鳥よ、
パイプひっさらってまたふいととんじまう。
そこでじれました、ボンベイのふとっちょ。
六ペンスの歌
うたえうたえ、六ペンスの歌を。
衣嚢《かくし》にゃごほうびの麦がある。
二《に》十《じゆう》四《し》匹《ひき》の黒つぐみ、
焙《ほう》じこまれて、パイの中。
パイがはがれたそのときに、
すぐに小鳥がうたいだす。
もともと王さまにそなえます
きれいなお皿じゃ、そりゃないか。
『王さまは会計院で、
お金の御《ご》勘《かん》定《じよう》。
おきさきゃお居間で、
パンと蜜《みつ》をめしあがり。
女中さんはお庭で、
衣《い》裳《しよう》をせっせとほしている。
そこへ小鳥が一羽とんでまいって、
つんとはじきました、女中さんのお鼻』
一 時
いっちく、たっちく、おうやおや。
ねずみが時計をかけあがる。
柱時計がチーンとうつ。
ねずみがすたこらかけおりる。
いっちく、たっちく、おうやおや。
お乳のよに白い大理石の壁に、
絹《きぬ》の柔軟《しな》したうすい膜《かわ》つけて、
すいて凝《こご》った泉の中に
金のりんごがみえまする。
そのお城に戸一つないので、
どろぼうどもまでわりこんで金のりんごをぬすみだす。
朝焼け夕焼け
朝焼け小焼け、
ひつじかいの気がかり。
夕焼け小焼け、
ひつじかいの後《ご》生《しよう》楽《らく》。
風がふきゃ
風がふきゃ、
まわります、
粉ひき車よ。
風がやみゃ、
とまります、
粉ひき車さ。
文なし
一文なしの文《もん》三《さぶ》郎《ろう》、文三郎をさらおうと
どろぼうどもがやってきた。
にげた、にげた、烟《えん》突《とつ》の素《す》頂《てつ》辺《ぺん》へ攀《よ》じてった。
しめた、しめたとどろぼうどもがおっかけた。
それをみて文三郎、そろっとむこうへにげおりた。
こうなりゃみつかるまい。
かけた、かけた、十五日《じゆうごんち》に十《じゆう》四《し》マイル、
それで、ふりむいたが、もうだァれもみえなんだ。
ファウスト国《せん》手《せい》
ファウスト国《せん》手《せい》はいい人で、
時々、お弟子たちをひっぱたく。
ひっぱたいて、おどらして、追ったてて、
イギリスでてからフランスへ、
フランスでてからスペインへ、
そしてまた、ひっぱたいて逆もどり。
とことこ床屋さん
とこ、とこ、床屋さん、
ぶたの毛かっちょくれ、
鬘《かずら》がちょっくらいりようだが、
何本、その毛がありゃたりる。
二《に》十《じゆう》四《し》本でたくさんだ。
フンとお鼻でごあいさつ。
おくつの中に
おくつの中におばあさんがござる、
子供がどっさり、しまつがつかない、
おかゆばっかり、パンもなにもやらず、
おまけに、こっぴどくひっぱたき、
ねろちゅば、ねろちゅば、このちびら。
一つの石に
一つの石に小鳥が二羽よ。
ファ、ラ、ラ、ラ、ラルド。
一羽がとんでった、一羽がのこった。
ファ、ラ、ラ、ラ、ラルド。
また一羽とんでった、だァれもなくなった。
ファ、ラ、ラ、ラ、ラルド。
石だけぽっつりのォこった。たったひとりのォこった。
ファ、ラ、ラ、ラ、ラルド。
コオル老王
お年寄りのコオル王は愉快なお爺《じつさ》、
愉快なお爺《じつさ》、
すぐにパイプめして、お酒杯《さかずき》めしてね、
そして胡《こ》弓《きゆう》ひきを三人ほどおめしで。
どれの胡弓ひきもよい胡弓もちでよ、
中で一番なは王さまの胡弓よ、
ツウイ・ツウイズル・デイ、ツウイズル・デイ。……
それそれ胡弓ひきがひきだしたよ、おききな。
だれにくらびょうか、めったにまたなかろ、
コオル王さまとその胡弓ひきよね。
雨、雨、いっちまえ
雨、雨、いっちまえ、
またいつかきなよ、
はよでてあァそぼに。
花壇にぶた
お庭の花壇にぶたがでた。
それいってとっつかめ。
小麦の畑《はたけ》にうしがきた。
はしれ、はしれ、男の子。
クリイムのおなべにねこがいる。
はしれ、はしれ、女の子。
山火事だ。
はしれ、はしれ、男の子。
日の照り雨
日の照り雨《あアめ》、
小《こ》半《はん》時《とき》ももてぬ。
いばらのかげに
いばらのかげに、
ひもじさ、さむさ。
花さくかげに、
白《しろ》金《がね》、黄《こ》金《がね》。
セント・クレメンツの鐘
のぼれいそいそ、またおりなされ、
鐘はロンドン、つけば数ござる。
「オレンジにレモン」
セント・クレメンツの鐘がなる。
「標《ま》的《と》と、標《ま》的《と》の星」
セント・マアガレッツの鐘がなる。
「煉《れん》瓦《が》に瓦《かわら》」
セント・ギルスの鐘がなる。
「半《ハアフ》ペンスにフ《*》ァシング」
セント・マアルチンスの鐘がなる。
「パン菓子におせんべい」
セント・ピイタアスの鐘がなる。
「二本の枝、一つのりんご」
ホワイト・チャペルの鐘がなる。
「灰かき、火ばし」
セント・ジョンスの鐘がなる。
「湯わかし、おなべ」
セント・アンヌスの鐘がなる。
「バルドペエトじいさんよう」
オルトゲエドののろい鐘。
「おまえに十シルリング貸しがある」
セント・ヘレンズの鐘がなる。
「いィつはろうてくれるんじゃ」
ふるいベエレエの鐘がなる。
「おいらが金持ちになったらな」
ショルジッチの鐘がなる。
「そしたらたのむよ、そのときは」
ステプニイの鐘がなる。
「おれんしったこつかい」と
ボウの大きな鐘の声。
さあきた、手《て》燭《しよく》がお床《とこ》へおまえをてらしにきた。
さあきた、首切り役人がおまえのそっ首ちょんぎりに。
* ファシングは一ペンニイの四分の一。
おうまのり
レディのうまのりゃ、
ツリイ、ツレ、ツレエ、
ツリイ、ツレ、ツレエ。
レディのうまのりゃこんなもんよ、はい。
ツリイ、ツレ、ツレエ。ツリ、ツレ、ツレエ。
ゼンツルマンのうまのりゃ、
ガロップ・エ・ツロット。
ガロップ・エ・ツロット。
ゼンツルマンのうまのりゃこんなもんだ、ほい。
ガロップ・エ・ツロット、ガロップ・エ・ツロット。
おひゃくしょうのうまのりゃ、
ホッブルデイ・ホイ、
ホッブルデイ・ホイ。
おひゃくしょうどんのうまのりゃこんなもんじゃ、はあ。
ホッブルデイ・ホイ、ホッブルデイ・ホイ。
小《こ》径《みち》にむすめ
小《こ》径《みち》のほとりにひとりのむすめが、
なんだかいってるけど、はっきりゃいえないで、
ぐっつ、ぐっつ、ぐっつぐつ。
むこうの小岡にひとりの男が、
たってはいれども、じっとしちゃいられず、
ひょっこり、ひょっこり、ひょっこりしょ。
月の中の人
月の中の人が、
ころがっておちて、
北へゆく道で、
南へいって、
凝《こご》えた豌《えん》豆《どう》汁《じる》で、
お舌をやいてこォがした。
十人のくろんぼの子供
十人よ、くろんぼの子供が十人よ。
おひるによばれてゆきました。
ひとりがのどくびつまらした。
そこで、九《く》人《にん》になりました。
九《くウ》人《にん》よ、くろんぼの子供が九《くウ》人《にん》よ。
どの子もどの子もあさねぼうで、
ひとりがとうとうねすごした。
そこで、八人になりました。
八人よ、くろんぼの子供が八人よ。
いっしょにデ《*》ボンを旅してて、
ひとりがとちゅうでとどまった。
そこで、七《しち》人《にん》になりました。
七人よ、くろんぼの子供が七人よ。
木ぎれきりにとみないって、
ひとりがまふたつに腹きった。
そこで、六人になりました。
六人よ、くろんぼの子供が六人よ。
はちの巣いじって、かまってて、
ひとりがくまんばちにさァされた。
そこで、五人になりました。
五《ごオ》人《にん》よ、くろんぼの子供が五《ごオ》人《にん》よ。
けんかしてお訴訟をおォこした、
ひとりが裁判所へゆきました。
そこで、四人になりました。
四《よオ》人《にん》よ、くろんぼの子供が四《よオ》人《にん》よ。
みんなで海へとでかけたら、
赤いにしんにひとりがのォまれた。
そこで、三《さん》人《にん》になりました。
三人よ、くろんぼの子供が三人よ。
こんどは動物園へいったれば、
くまめがひとりをひん抱《だ》いた。
そこで、ふたりになりました。
ふゥたりよ、くろんぼの子供がふゥたりよ。
かんかん日だまりィすわりこみ、
ひとりがちぢれてやけしんだ。
そこで、ひとりになりました。
ひィとりよ、くろんぼの子供がひィとりよ。
いよいよ、たったひィとりよ、
その子がお嫁とりにでていった。
そこで、だァれもなくなった。
* デボンはイギリスの西南部の一県で、デボンシイルのことです。
お月さまの中のおひとが
お月さまの中のおひとが、
お月さまの外をながめて、
そして、こうおっしゃるわ。
いま、いま、わたしはおきかかる。
赤子《ねんね》のみんなはいまお寝《よ》る。
クリスマスがきますわい
右や左や、クリスマス。
がちょうがふとってめえりやす。
どうぞや一《いち》ペンニイ、
じいめが帽子にほうりこんでくだされ。
一ペンニイがおいやなら半ペンニイでもようござる。
半ペンニイでもないならば、
ごきげんよろしゅう、だんなさま。
べああ、べああ、ブラック・シイプ
ベああ、べああ、ブラック・シイプ
おまえはいい毛をおもちだろ。
はい、はい、ふくろに三《み》ふくろござります。
だんなさまに一《ひと》ふくろ、
おくさまに一ふくろ、
だっけど、そこらの細道で、
べそかくぼっちゃんにゃ、いィやいや。
ろうそく
ちびこ、
なまえはナンシイ・エッチコウト、
白いペッチコウトに
赤い鼻もって、
ながくたってるほど、
みじかくなってしまう。
ちっちゃなテイ・ウイ
ちっちゃなテイ・ウイは海へゆき、
たななしボオトにのりこんで、
ゆらゆらゆられているうちに、
ちっちゃなボオトがひっくりかえり、
これでお話もおォしまい。
三月、風よ
三月、風よ。
四月は雨よ。
五月は花の花ざかり。
お面もち
グレゴリイ・グリッグスさんは、
グレゴリイ・グリッグスさんは、
二十と七つのお面《めん》もちでおじゃって、
とっかえ、ひっかえ、ひっかえ、とっかえ、
街《まち》じゅうをやんやとわらわせる。
東へいっちゃひっかぶり、
西へいっちゃひっかぶり、
それでも、どの面がいちばんおすきか、
やっぱり御本人でおいいやれぬ。
ししと一《いつ》角《かく》獣《じゆう》
ししと一《いつ》角《かく》獣《じゆう》と
ふたりで王位をせりあった。
ししがつよかったで、
街を上《うえ》下《した》おおあばれ、
そこで、白パンやったり、
黒パンやったり、
乾葡萄《プラム》入ケイキやったり、
やっとこすっとこおいだした。
くつやさん
くつやさん、おうち。
はい、はい、こんにちは。
おくつのつくろいたのみます。
よしきた。合点《がてん》だ。
こちらに一《ひと》釘《くぎ》、そちらに一釘、
とんとんとんのとん。
きれいなくびまき
ジイニイ、むすびにきとくれよ。
ジイニイ、むすびにきとくれよ。
ジイニイ、むすびにきとくれよ。
わたしのきれいなくびまきを。
わたしはうしろでむすんでよ。
わたしは前《まアえ》でむすんでよ。
わたしは何度もむすんでよ。
もうもうわたしはかまやせぬ。
何人何びき何ぶくろ
セント・イブへとわしがおまいりするときに、
わしがあったは男ひとりにおかみさんが七《しち》人《にん》、
そのどのおかみさんもふくろを七つ、
そのどのふくろにもねこめが七つ、
そのどのねこにもこねこが七つ。
セント・イブへとおまいりするのが、
さてさて、何《なん》人《にん》何《なん》びき何ぶくろ。
のむもの
世界が一つのパイなら、
海がすっかりインキなら、
木がまたチイズとパンならば、
おれたちののむものそりゃ、なんだ。
それこそ甲《こう》羅《ら》経《へ》たじじいめでも
頭をかかえてちょいとまいろ。
ちびねこ、さんねこ
「ちびねこ、さんねこ、かわいの子、
どこへおまえはいってたの」
「あたいはいってたの、ロンドンに、
おめみえしたのよ、女王さまに」
「ちびねこ、さんねこ、かわいの子、
そこでおまえはなにしたの」
「そうそ、玉座のおいすもと、
ねずみをちょろまかつかまえた」
雨もよう
いぬとねことがお友達にあいに、
ちょいと、街《まち》からつれだってまいる。
ねこがもうします。
「お天気はどうでしょね」
いぬがもうします。
「さようさ、おくさんえ、雨がふりそでござんすが、
御心配はいりません、てまえがこうもり傘《がさ》もってますでな。
そのときゃごいっしょに、相《あい》合《あい》傘《がさ》とはいかがでしょ」
ポウリイ、やかんを
ポウリイ、やかんをかけときな。
ポウリイ、やかんをかけときな。
ポウリイ、やかんをかけときな。
みんながのむんだ、お茶ァだよ。
スケイ、そいつをおはずしな。
スケイ、そいつをおはずしな。
スケイ、そいつをおはずしな。
みんながもうもう行っちゃうぞ。
南瓜《パンプキン》ずき
ペエタアさん、ペエタアさん、南瓜《パンプキン》ずき、
女房もってもお守《も》りができず、
南瓜《パンプキン》の殻《から》にと、どしこんで、
やっとこ、ほくほくお守りした。
ぼう、うぉう、うぉう
ぼう、うぉう、うぉう、
おまえさんどこのいぬ、
わたしゃティンカアさんのいぬですよ、
ぼう、うぉう、うぉう。
三《さん》百《びやく》屋《や》
トムミイ・ツロットさん、三《さん》百《びやく》屋《や》、
ベッドを売って、
わらの上へごろりよ。
そのわら売って、
草の上へごろりよ。
そしておかみさんに姿見《すがた》鏡《み》一つ買《こ》うてくりょ。
お釘《くぎ》がへれば
お釘《くぎ》がへれば、
蹄《かな》鉄《ぐつ》うせる。
蹄《かな》鉄《ぐつ》へれば、
おうまがうせる。
おうまがへれば、
のりてがうせる。
のりてがへれば、
戦《いくさ》がうせる。
戦《いくさ》がないと、
王さまのお国ゃうせる。
おうまの蹄《かな》鉄《ぐつ》がへったせいでよ。
二十四人の仕立屋
二十四人の仕立屋が
ででむしころしに、えっさっさ。
めったにしっぽにゃふれまいぞ。
そりゃこそででむしが角《つの》だした、
ちっちぇえカイロうしそっくりだ。
にげにげ、にげなきゃいまにもころされる。
ででむし角だせ
ででむし、ででむし、角だせや、
お父《とう》さんもお母《かあ》さんもしんでしもうた。
おまえの御《ご》兄弟姉妹《きようだい》は裏《うら》ん口《くち》の庭で
パンをおくれェと乞《こ》うている。
お針みつけたら
お針みつけたらつまみあげておとりな。
その日いちんちいいことばかり。
お針みつけてそのまましときゃ
その日いちんちわるいことばかり。
風よ、ふけ、ふけ
風よ、ふけ、ふけ、
ひきうすまわせ、
粉屋粉ひき、
パンやさんがこねて、
朝はほやほやふかしたて。
気軽な粉屋
気軽な粉屋が
デイ河《かわ》にござる。
朝から晩まで
はたらいちゃうたう。
ふざけてばっかり、
一つことばかり、
おきまり文句で
一つことばかり。
『だれにかまうもんか、いやいや、わたしゃ、よ。
だれがかまうかよ、このわしに。ホイソラ、ホイソラ』
いなかっぺえ
いなかっぺいのおたずねだ。
『いちごが何本海にある』
うまく返事をしてのきょか。
『何《なん》匹《びき》にしんが森にいる』
おかごのばあさん
おばあさんがひとりおかごにのって、
ふらふらあがる。
月よりたかく、九《く》十《じゆう》倍《ばい》もたかく、
どこへゆくのか、きこうにもきけず、
お手々にほうきをもって、あれあれあがる。
『おばあさん、おばあさん、おばあさん、
どこゆくの、どこへ、
そんなにたかくあァがって』
『円《まる》天《てん》井《じよう》のすすはきじゃ』
『はァやくかえってちょうだいよう』
『あい、あい。ちょっくら、いますぐだ』
すっとんきょうな南《なん》京《きん》さん
すっとんきょうな南《なん》京《きん》さんがお三《さん》かたござった。
それは皆さまとくより御承知だ。
きゃっきゃさわいで猟《かり》にとでかけた。
しかも、めっそうもない、安《あん》息《そく》日《び》にでござる。
永《なが》のいちんち、猟《かり》をしてまわり、
これというもの根っから葉っからみつからない。
一つみつけたは帆《ほ》かけた船よ。
それが追風《おつて》にしゅっしゅっとはしった。
「あれは船だ」と一番さきのがいいだした。
「なんの、うそだ」と二番目のがうちけした。
「あれは家《うち》さ」と三番目のがいいのけた。――
「こわれ煙《えん》突《とつ》までとっついてるじゃないかいな」
永《なが》の一《ひと》晩《ばん》猟《かり》をしてまわり、
これというもの根っから葉っからみつからない。
一つみつけたはおすべり屋のお月さんだ、
それがふかれてつるつるとすべった。
「あれはお月さんだ」と一番さきのがいいだした。
「なんの、うそだ」と二番目のがうちけした。
「あれはチイズさ」と三番目のがいいのけた。――
「二つわりにしたその半分きりさね」
またもいちんち猟《かり》をしてまわり、
これというもの根っから葉っからみつからない。
一つみつけたは木いちごやぶのはりねずみ。
それをうしろにとおりすぎてしまう。
「あれははりねずみだ」と一番さきのがいいだした。
「なんの、うそだ」と二番目のがうちけした。
「あれは針さしさ」と三番目のがいいのけた。――
「よくもめちゃくちゃにお針をさしたもんだすな」
またも夜っぴて、猟をしてまわり、
これというもの根っから葉っからみつからない。
一つみつけたはかぶら畑《ばたけ》の野うさぎだ。
それをみすててまたいってしまう。
「あれは野うさぎだ」と一番さきのがいいだした。
「なんの、うそだ」と二番目のがうちけした。
「あれはこうしさ」と三番目のがいいのけた。――
「あいつ、めうしにおきざりされたやつだんね」
またもいちんち、猟をしてまわり、
これというもの根っから葉っからみつからない。
みたは洞《うろ》木《ぎ》の分《ふん》別《べつ》顔《がお》のふくろうよ。
それをうしろにまたいってしまった。
「あれはふくろうだ」と一番さきのがいいだした。
「なんの、うそだ」と二番目のがうちけした。
「あれはじじいさ」と三番目のがいいのけた。――
「それそれごましお頭の髪の毛をみさいな」
鼻まがり
あいつぁよっぽどみょうだ、まっすぐにゃゆかぬ。
そのわけしってるか、
鼻のむいたほうへむいてゆく。
どうりで、やっこさん、鼻まがり。
あの丘のふもとに
あの丘のふもとに
おばあさんがござった。
もしも去《い》なんだら
まだ住んでござろ。
あたいのめうし
あたいのめうしはちっぽけだ。
ひょろひょろ、ひょっこり、ひょっこりよ。
あたいのめうしは、ちっぽけだ、
めうしのふくらはぎはちっぽけだ。
ひょろひょろ、ひょっこり、ひょっこりよ。
あたいのお歌はまだなかば。
あたいのめうしはちっぽけだ。
ひょろひょろ、ひょっこり、ひょっこりよ。
あたいのめうしはちっぽけだ。
やっとこうし小屋へおいこんだ。
ひょろひょろ、ひょっこり、ひょっこりよ。
そこでお歌もちゃんちゃんだ。
ゆりかごうた
ねんねや、ねんねや、おねんねや、
ぼうやがお父《とう》さんひつじ守《も》り。
お母《かあ》さんはねんねのねむりの木、
ねんねやねんねとゆすりましょう、
ゆすればお夢がふりかかる。
ねんねや、ねんねや、おねんねや。
こびっちょの子供は
こびっちょの男の子はなんでつくる、なんでつくる。
こびっちょの男の子はなんでつくる。
かわずとででむしとこいぬのしっぽでつくられた。
それそれ、こびっちょの男の子がつくられた。
かわいい女の子はなんでつくる、なんでつくる。
かわいい女の子はなんでつくる。
おさとうに薬《やく》味《み》に、あまいものずくめ。
それそれ、かわいい女の子がつくられた。
ねんねこうた
ねんねこ、ねんねこ、ねんねこや。
なァいてお母《か》さんをなかすなや、
なかれりやわたしもつろござる。
ねんねこ、ねんねこ、ねんねこや。
はしっこいジャック
はしっこいジャック、
すばやいジャック、
ろうそくたて一つ、
ジャックが
とびこした。
ででむし、でむし
ででむし、でむし。
ぬすっとがくるぞ、おめんちの壁を
ぶっこわしにくるぞ。
ででむし、でむし。
その角だせよ。
ぬすっとがくるぞ、小麦をとりに、
ぬすっとがくるぞ、夜あけの四時に。
一《いち》列《れつ》こぞって
一《いち》列《れつ》こぞって、
弓をひき、
おはとを射ったら、
からすめをころした。
ででむし
ででむし、ででむし、角だせや。
パンとお麦を、それ、あげよ。
おりこうさん
とてもがむしゃら、おりこうさん、
いきなりばんばら藪《やぶ》へとびこむと、
眼《め》玉《だま》がポンポンひんむけた。
おやおやっ、眼玉がつん出たら、
それこそこんどはくそ力、
横っちょの小藪へとびこんだ。
そしたら眼玉がすっこんだ。
おしゃべり
やまがらのおしゃべり、
お舌《した》がさけよぞ。
町じゅうのいぬが
ちんぢんにかんじゃうぞ。
ハアトのクイン
ハアトのクインが饅頭《タアト》をつくられた。
みんなできたよ、夏の日いっぱいかァかった。
ハアトの兵士《ネイブ》が饅頭《タアト》をぬゥすんだ。
こいつしめたとそっくりもってにげてった。
ハアトのキングが饅頭《タアト》とおっしゃった。
そりゃこそたいへん、兵士《ネイブ》を御《ご》折《せつ》檻《かん》なすった。
ハアトの兵士《ネイブ》が饅頭《タアト》をかえした。
まっぴら閉《へい》口《こう》して、もうもういたしません。
コケコッコおどり
コケコッコ、コケコッコ、コケコッコ。
おくさんがおくつをなァくした。
だんなさんがヴァイオリンの弓をなくし、
どうしていいのかおおよわり。
コケコッコ、コケコッコ、コケコッコ。
おやおや、おくさんどうなさる。
だんなさんがヴァイオリンの弓をさがす、
それまで、はだしでおおどりか。
コケコッコ、コケコッコ、コケコッコ。
おくさんがおくつをなァくした。
だんなさんがヴァイオリンの弓をみつけ、
それきた、コケコッコ、コケコッコ。
コケコッコ、コケコッコ、コケコッコ。
さあさあ、おくさん、それおどろ。
だんなさんがヴァイオリンの弓をこすり、
それそれおどれと、コケコッコ。
コケコッコ、コケコッコ、コケコッコ。
おくさんがおくつをなァくした。
ねてもねられずおおよわり、
頭の髪《かみ》毛《げ》もめっちゃくちゃ。
でんでんむしむし
でんでんむしむし、
角ひけよ。
ひかなきゃ山《さん》淑《しよ》の粒《つぶ》ふりかける。
おばあさんとむすこ
ひとりのおばあさんと三人のむすこ、
ジェリイ、ジェムス、それにまたジョンよ。
ジェリイは首くくった。ジェムスはおぼれた。
ジョンはどこかへいなくなってしまった。
だァれもみつけたものがない。
三人のむすこがみんなしんでしまった。
ジェリイ、ジェムス、それにまたジョンよ。
てんとうむし
てんとうむし、てんとうむし、
はよう家《うち》へかえれ、
おまえの家《うち》ゃ火事だ。
みんな子供がやけしんだ。
むすめのアンヌがたったひとり、
プッジングのなべの下に
つんぐりむんぐりもぐった。
あったかいパン
あったかいパン、
あったかい、あったかい、あったかいパン。
一ペンニイで一つ、二ペンニイで二つ、
あったかいパン。
おまえにむすめがないならば、
おまえのむすこにおあげなえ。
一ペンニイで一つ、二ペンニイで二つ、
あったかいパン。
ゴットハムの三りこう
さてもゴットハムの三りこう、
おわんにのっかって海へでた。
もそっとおわんがしっかりさえしてりゃ、
ここらでこの歌もきれやしまい。
気ちがい家族
気ちがいの御亭主に、
気ちがいのおかみさん、
気ちがい小《こう》路《じ》に住んで、
三つ児をうんで、
どの児もどの児も気がちごた。
お父さんが気ちがい、
お母さんが気ちがい、
みんな子供が気ちがい。
気ちがいうまにのって
いっしょくたに、みんなのって、
まっくら三《さん》宝《ぼう》に、かけてった。
ちっちゃなだんなさま
あたいのちっちゃなだんなさま、
拇《おや》指《ゆび》よりかもまだちさい。
こまめのおつぼにちょいといれて、
どんがどんがはやしてせりあげよ。
ちっちゃなおうまも買《こ》うてあぎょ。
そして、とっととかけさして、
たづなとらせて、くらおいて、
さあさ、ねりだそ、町の外。
かわいいくつした結《いわ》くなら
それにはちっちゃなとめ金《かな》具《ぐ》、
ちっちゃなお鼻をふきゃるには
かわいいちっちゃなハンカチフ。
一つのたるに
一つのたるに、三人はいり、
どんどこ、どんどこ、すっどんどん。
あいつらだれだ。
肉屋にパン屋、
ろうそく屋の亭主。
つっころがしてしまえ。
しようのねえやつらだ。
ジャックとジル
ねんねの小島が岡《おか》に二羽
一羽がジャックで、ほかのがジルよ。
とんでったジャックが、
とんでったジルが、
またきたジャックが、
またきたジルが。
トムトムぼうず
トム、トム、トムぼうず、
笛ふきのむすこ、
ぶたをぬすんでにげたはよいが、
ぶたはたべられ、トムぁぶったたかれ、
ないておんおん街をかけた。
いぬはぼうおう
いぬはぼうおう、
ねこはみゅうみゅう、
おぶたはぐるんぐるん、
ねずみはすけえく。
ふくろはつうふう、
からすはかうかう、
めがもはくゎっくくゎっく、
うしもうもう。
ちいさなおじょっちゃん
額《ひたい》のまんなかに、きらきらちぢらした
ちいさなまきげの、
ちいさなおじょっちゃん、
ごきげんいいときゃ、
それはそれはいい子で、
おわるいときにはこォわい子。ソレ、こォわい子。
やぶ医者
やぶ医者のフォスタアさんが、
グロオスタアへいって、
にわか雨にあって、
水たまりに立ち往生して、
おへその上まで水びたり。
それから二度とはようゆかぬ。
きれいずきのおかみさん
お月さんのおとりもちでお嫁にござった。
きれいずきの、世《しよ》帯《たい》もちの、しまりやのおかみさんだ。
おひるにでもならなきゃなんとしてもおきない。
ほんとにしまるなら、それこそたのむよ。
やっとこさとおきればおもいきってせかせか、
きれいずきの、世帯もちの、しまりやのおかみさんだ。
灰かきで麦っ粉《こ》をやっさもっさこねます。
ほんとにしまるなら、それこそたのむよ。
ながぐつにどろどろどしこんだバタをよ、
きれいずきの、世帯もちの、しまりやのおかみさんだ。
ひっかき棒のかわりにお足でべっちゃべっちゃ。
ほんとにしまるなら、それこそたのむよ。
チイズは台所の物置のおたなに、
きれいずきの、世帯もちの、しまりやのおかみさんだ。
ひとりでにころげるまでうっちゃっちゃってかまわない。
ほんとにしまるなら、それこそたのむよ。
御婚礼
ぶうん、ぶうん、ぶうぶうぶ。
はえがくまんばちにお嫁いり、
いよいよ教会へいきやして、首尾よく御祝儀あいすんだ。
はえとくまんばちの御婚礼。
タッフィ
タッフィはウェルス人、タッフィはどろぼう。
わたしの家《うち》にやってきて、牛肉一《ひと》塊《くれ》ぬゥすんだ。
タッフィの家《うち》へいったらば、タッフィはいなかった。
タッフィがやってきて、髄《ずい》骨《こつ》一本ぬゥすんだ。
タッフィの家へいったらば、タッフィはいなかった。
タッフィがやってきて、こんどは麺《めん》棒《ぼう》ぬゥすんだ。
タッフィの家へいったらば、タッフィはねていた。
そこで火《ひ》棒《かき》とって、そいつの頭になげつけた。
ばばァ牛
黒白まだらの御面相は、
チャアレエ・ワアレエの女《め》郎《ろ》牛《うし》だ。
その木戸あけねえか、おとおりじゃ。
チャアレエ・ワアレエのばばァ牛。
とっぴょくりん
とっぴょくりんのとん吉が、
とっぴょくりんのとん吉が、
おまんじゅうをいただいて、
そとがわだァけのォこした。
卵うりましょうと
卵うりましょうと、わしがゆく道で、
でおうた、でおうたよ、ねじれ足とでおうた。
足はねじれ足、爪《つめ》まがり爪《づめ》、
こいつおもしろいとかかとをちょいとすくう、
そこで、すとんと地べたに小鼻をぶっつけた。
かささぎが一羽よ
かささぎが一羽よ、なしの木にとォまった。
かささぎが一羽よ、なしの木にとォまった。
かささぎが一羽よ、なしの木にとォまった。
おおしんど、ああしんど、おおしんどよう。
うれしそに一度よ、ちちんがちんとはねた。
うれしそに二度よ、ちちんがちんとはねた。
うれしそに三度よ、ちちんがちんとはねた。
おおしんど、おおしんど、おおしんどよう。
これ、これ、こいきな
「これ、これ、こいきなおむすめご、
おまえはどちらへおいでです」
「お乳しぼりにまいります」
「これ、これ、こいきなおむすめご、
わたしもいっしょに行《い》てあぎょか」
「ええ、ええ、そんならうれしいわ」
「これ、これ、こいきなおむすめご、
おまえのお父さんはなになさる」
「わたしのお父さんはおひゃくしょうよ」
「これ、これ、こいきなおむすめご、
おまえさんに財産《おたから》ありましょね」
「いえ、いえ、御《ご》器《き》量《りよう》が財産《おたから》よ」
「これ、これ、こいきなおむすめご、
そんならお嫁さんにゃちとこまる」
「いらぬおせわでござります」
市《いち》場《ば》へ、市場へ
市《いち》場《ば》へ、市場へ、乾葡萄入《プラム》ケイキかいに、
かえろよ、かえろよ、市場にゃおくれた。
市場へ、市場へ、乾葡萄入《プラム》パンかいに、
かえろよ、かえろよ、市場ははねた。
数 学
掛け算はしちめんどう、
割り算は因《いん》業《ごう》、
比例は人なかせ、
応用問題気がちがう。
眼《め》
青い眼《め》はきれい、
灰色の眼は陰気、
黒い眼は腹黒、
鳶《とび》色《いろ》眼玉はおばァけ。
五月のみつばち
五月のみつばちゃ、
乾《ほし》草《くさ》一《いち》駄《だ》よ。
六月のみつばちゃ、
銀のさじとおなじ価《ね》よ。
七月のみつばちゃ、
はえの一匹にも、つっかわぬ。
朝のかすみ
朝のかすみと夕焼け空は、
日和《ひより》よいとの前しらせ。
くもる日ぐれと朝焼け空は、
お寝《よ》るひつじをみなぬらす。
かっこ鳥
きれいな小島、かっこ鳥、
とびとびうたうかっこ鳥、
ないてしらするその声は、
つゆうそのないいいしらせ。
小鳥の卵すするゆえ、
なく音《ね》すずしいかっこ鳥、
はやもなきます、かっこうと、
夏がもうじきまいります。
豆こぞう
豆んちょの家《うち》の、
豆んちょのこぞうっこ、
よその養《か》魚《い》池《ぼり》へおしかけて、
魚《さかな》をぴんぴとつりあげた。
ソロモン・グランディ
ソロモン・グランディは、
月曜日にうまれて、
火曜日に洗礼うけ、
水曜日に嫁とったが、
木曜日には病気になり、
金曜日にずんと重《おも》って、
土曜日におっ死《ち》ぬちゅうと、
日曜日にはうめられた。
ソロモン・グランディの御《ご》一《いち》代《だい》。
そこでおしまい、ちゃァんちゃん。
かえるの殿《との》御《ご》
お池にござるはかえるどの、
お池にござるはかえるどの、
はつかねずみは粉《こな》小《ご》屋《や》に。
相手ほしやのかえるどの、
相手ほしやのかえるどの、
でんでんむしの背中にうちのって。
はつかねずみのお宿《やど》まで、
はつかねずみのお宿まで、
そこで戸たたく、ものもうす。
「はつかねずみのお姫《ひい》さま、わたしゃ其《そ》様《さま》にあいにきた、
はつかねずみのお姫《ひい》さま、わたしゃ其《そ》様《さま》にあいにきた、
お気にめしたか、めすまいか」
「なんとお返事いたさりょうに、
なんとお返事いたさりょうに、
まして叔《お》父《じ》様《さ》のるすのうち」
ねずみの叔《お》父《じ》御《ご》がもどられて、
ねずみの叔《お》父《じ》御《ご》がもどられて、
「だれかみえたぞ、るすのうち」
「いやな殿《との》御《ご》がござんした、
いやな殿《との》御《ご》がござんした、
叔《お》父《じ》様《さ》のおるすにござんした」
そこでなきなき、かえるどの、
なきなき、小川をかえるどの、
めがものお上《じよう》臈《ろう》とであわしゃる。
よいものみつけた、ござんなれ、ござんなれ、
めがものお上《じよう》臈《ろう》に、かえるどの
ぱくとのまれてきゅうきゅうきゅう。
さてもあわれな物語、
ここらあたりで、あなかしこ。
一切空
一《いつ》切《さい》空《くう》ちゅうおばあさんがどこかしらにござった。
豆っちょろのお家《いえ》におさまりかえってござった。
そこへだれだかぬうとでて、
かっと口あけ、すう、ぱくり。
お家《うち》もおばあさんも一切空。
ロンドン橋
ロンドン橋《ばし》がおちた。
ロンドン橋がおちた。
なんでこんどかけるぞ。
なんでこんどかけるぞ。
銀と金とでかけてみろ。
銀と金とでかけてみろ。
銀も金もぬすまれた。
銀も金もぬすまれた。
鉄と鋼鉄とでかけてみろ。
鉄と鋼鉄とでかけてみろ。
鉄でも鋼鉄でもへしまがる。
鉄でも鋼鉄でもへしまがる。
材木と粘土とでかけてみろ。
材木と粘土とでかけてみろ。
材木、粘土はながされる。
材木、粘土はながされる。
そんなら石でかけ、そりゃ丈《じよ》夫《ぶ》だ。
千年万年大《だい》丈《じよ》夫《ぶ》だ。
世界じゅうの海が
世界じゅうの海が一つの海なら、
どんなに大きい海だろな。
世界じゅうの木という木が一つの木ならば、
どんなに大きな木であろな。
世界じゅうの斧《おの》が一つの斧なら、
どんなに大きな斧だろな。
世界じゅうの人たちがひとりの人なら、
どんなに大きな人だろな。
大きなその人がおおきな斧をとって、
大きな木をきり、
大きなその海にどしんとたおしたら、
それこそ、どんなにどんなに大きい音だろな。
空はじめじめ
空はじめじめ、
雨もよい、
ちっちゃなおじいさんにでおうたら、
身ぐるみ革《かわ》きて、
あごに無縁帽《シヤツポ》つんだして、
「おさむう、おさむう、こんにちは」
空はじめじめ、
おわかれと、
よぼよぼなかまが手をにぎり、
身ぐるみ革きて、
あごに無縁帽《シヤツポ》つんだして、
「さよなら、さよなら、またいつか」
アアサア王
アアサア王の御《ご》治《じ》世《せい》じゃ、
アアサア王はよいかたで、
挽《ひき》割《わ》麦《り》三《さん》斤《ぎん》ぬゥすんで、
袋《ふくろ》形《なり》のプッジングをこさえよか。
いよいよ王さまのお手製で、
それには山もり乾《ほし》ぶどう、
拇《おや》指《ゆび》二つよりかまだふとい
脂《あぶら》肉《にく》を二《ふた》塊《きれ》どしこんだ。
王さまとおきさきとがまずめして、
つぎに大臣たちがおしょうばん、
そしてその夜のおあまりは、
翌《よく》朝《あさ》おきさきが油《あぶら》揚《あ》げ。
がぶがぶ、むしゃむしゃ
どうしたことだえ、このおばば、
のんだりくったり、そればかり、
ほかにはなんにもようせぬで、
くうのとのむのが商売かい、
むしゃむしゃ、がぶがぶ、ぐずりばば、
ぶつぶつぶつぶつまだやめぬ。
天《てん》竺《じく》ねずみは
天《てん》竺《じく》ねずみは追っかけごっこがだいすきだ。
ツラ、ラ、ラ、ラ、ラ、ラ。
捕《とら》よとおもうならまず駈《か》けた、
それ手をはなした、
どっちがはやいか。
ツラ、ラ、ラ、ラ、ラ、ラ。
ジャック・スプラットと
ジャック・スプラットとその嚊《かか》さ。
じいさはたべてもやせこけだ、
ばばさはふとっても意《い》地《じ》汚《ぎた》だ。
ふたりの間《あい》中《なか》を、ちょとごらん、
お皿はすべすべなめてある。
背《せ》骨《ぼね》まがり
背《せ》骨《ぼね》まがりのあまのじゃく、
背骨まがりの旅をして、
背骨まがりの石段で、
背骨まがりの六ペンスをひろい、
背骨まがりのねこを買い、
背骨まがりのねずみをとらせ、
背骨まがりの豆んちょの家《いえ》に、
背骨まげまげおさまった。
(注) あちらでは、つむじまがりのことを背骨まがりと申します。
おらがお父《とと》は
おらがお父《とと》はおっ死《ち》んだ。
何《あん》といってええだが、こちゃしらぬ。
うまを六匹くんさんし。サテ、
犂《すき》でもってすけちゅうだ、おえちゅうだよ。
うまを六匹売っとばし、
めうしを一匹、こちゃ買ってな、
一《ひと》身《しん》上《しよう》あんべとごきげんだ。サテ、
何《あん》としてええだが、まだしらぬ。
そこでめうしを売っとばし、
ふくらはぎを一本、こちゃ買ってな、
一身上あんべとごきげんだ。サテ、
極上肉を半ぺら、またなくす。
そこでふくらはぎを売っとばし、
めねこを一匹、こちゃ買ってな、
あまっちょのねこめも愛《う》いやつじゃ。サテ、
煙《けむ》突《だし》のすみっこに、ちょんとすわる。
またまたねこめを売っとばし、
はつかねずみを、こちゃ買ってな、
尻《しつ》尾《ぽ》つまんで火になげた。サテ、
おらのお家《うち》がぼうともえた。
ねこと王さま
さてもこのたび、ねこが王さまに御《ご》拝《はい》謁《えつ》、
ごぶじにおさまりゃ、しあわせだ。
がァがァ、がちょう
がァ、がァ、がちょう、
うろついてどこいこ、
階《かい》上《じよう》を、下《した》を、
おくさまのへやで、
じじいにであった、
そのじじいどうした、
不《ぶ》信《しん》心《じん》ないやなやつ、
そこで、そいつの左の足をすくって、
すってんころりとあがり段からころがした。
火の中に
火の中に石脂《タアル》、
樫《かし》の中にはすっからかん。
泥《どろ》の中《なアか》にうなぎ、
粘土の中にはすっからかん。
やぎが蔦《つた》くう。
めうまが麦くう。
火ばしの一対
足なが、せむし、
小《こ》頭《あたま》、眼《め》なし。
それなァに。
お月さま光る
おじょっちゃん、おぼっちゃん、外へでてあすぼ、
お月さま光る、昼のようにあかる。
口笛ふいてきなよ、よばわってきなよ。
上々きげんででてきなよ。でなけりゃおことわり。
夕《ゆう》飯《めし》うっちゃって、石《せき》盤《ばん》うっちゃって、
街へでてきなよ、あそびなかまがまっているに。
ときの声あげて、とんだりはねたりしておいで、
お月さまの光にぐるぐるまわっておどりましょう。
あがり段にのぼり、石垣とびおりて、
ころがしゃお銭《ぜぜ》がなにもかもくれる。
牛乳が買える、はちのみつが買える、
半《はん》時《とき》たたずにおまんじゅうが買える。
おもちゃのうま
はいしどうどう、
おうまにのって、
チャアリング・クロスへいてみよか。
きれいなレディが、
白いうまにのって、
お手々に指輪、
おくつに鈴つけ、
ちんからちんからとおる、
それみにいこか。
ちんからちんから、りんりん。
なけなけ
なけなけ、赤ちゃん、
眼玉にお指をつっこみな。
そしてお母《か》さんへ行ったらば、
あれはぼうやじゃないとおいい。
北風ふけば
北風ふけば、
雪がふろ、
かわいそなこまどりはどうするぞ。
かわいそなものね。
お倉の中《なアか》の刈《かり》麦《むぎ》に、
もゥぐりこゥぐり、ぬくもろぞ、
お羽根の裏《うウら》に首まげて。
かわいそなものね。
めくら鬼
めくら鬼、めくら鬼、
めん眼《め》がみえないごぞんじか、
くるくる三遍まァわって、
わたしをつかめてごらんなね、
こォろぶなころぶな、
だれでもいいからとっつかめ。
わたしはこっちだよ、とっつかまえたとおおもいか。
笑《しよう》止《し》笑《しよう》止《し》、めくら鬼。
お山の大将
みろやい、ひととび、
おりゃここだ、
だァれもこれまい、
おれひとり。
上へいった
上へいった、いった、いった。
下へいった、いった、いった。
前へいった、うしろへいった。
ぐるぐるぐるとまァわった。
みんなして森へ
(五つの指のさきをつついてうたう)
一 このぶた申す。みんなして森へ。
二 このぶた申す。なにしに森へ。
三 このぶた申す。お母さんにあいに。
四 このぶた申す。そしてそしてどうするの。
五 このぶた申す。かじりついてキッスしよ、キッスしよ。
このぶた、ちびすけ
(おなじく)
一 このぶた、ちびすけ、市《いち》場《ば》へまいった。
二 このぶた、ちびすけ、お留守番でござる。
三 このぶた、ちびすけ、牛肉あぶった。
四 このぶた、ちびすけ、なァんにももたなんだ。
五 このぶた、ちびすけ、ういういうい。
いっしょにお家《うち》へ、よいとこらしょ。
おくつをはかしょ
(五つの足をつつきながらうたう)
一 おくつをはかしょ、こうまにはかしょ。
二 めうまにはかしょ。
三 ふくろを背《せな》にのしょ。
四 しょったか、みよよ。
五 しょったら、麦よ。
しょわなきゃ、脳みそぶっつゥぶしょ。
ながい尾のぶたに
ながい尾のぶたに、
みじかい尾のぶたに、
尾のないぶたに、
めぶたにおぶた、
まきじっぽのこぶた。
あァがった、あがった
甲 あァがった、あがった、はしご段を二つ。
乙 ちょうど、わたしのとおりよ。
甲 あァがった、あがった、はしご段を四つ。
乙 ちょうど、わたしのとおりよ。
甲 おへやへはいった。
乙 ちょうど、わたしのとおりよ。
甲 お窓の外《そオと》をなァがめた。
乙 ちょうど、わたしのとおりよ。
甲 そこでおさるをみィつけた。
乙 ちょうど、わたしのとおりよ。
ワン、ツウ、スリイ、
フォア、ファイブ
ワン、ツウ、スリイ、フォア、ファイブ、
魚《さかな》をピンピンつかまえた。
なぜそれにがした。
指をかんだ、手をかんだ。
どっちの指かァんまれた。
この右の小指よ。
顔あそび
殿《との》さま、御《お》着《ちやく》座《ざ》。(額)
ふたりの御《ご》家《け》来《らい》。(両方の眼)
おんどり。(右のほお)
めんどり。(左のほお)
いそいで御《ご》入《じゆ》来《らい》。(口)
チンチョッパア、チンチョッパア。
チンチョッパア、チン。(あごをなでる)
このベル
このベルならした。
(髪の毛を一つまみ、ひっぱる)
このドアたたいた。
(額をたたく)
この錠《じよう》はずした。
(鼻をつまみあげる)
さあ、さあ、はいりましょ。
(口をあいて指を中へつっこむ)
二本足がすわった、三本足の上に。
一本足をしゃぶった。
四《し》本《ほん》足《あし》がやってきて、
一本足さらってにげてった。
二本足がとびあがり、
三本足をひっつかみ、
四本足めがけてなげつけた。
そこで一本足をとりかァえした。
(注) 一本足は牛の骨、二本足は人間、三本足は腰かけ、四本足は犬。
一番目のお床
一番さきにねた子に金の財《さい》布《ふ》、
二番目にねた子に金の雉《き》子《じ》、
三番目にねた子に金の小鳥。
おしまい
よぼよぼがらすが
一羽地にとまった。
そこでお謡《うた》もちゃんちゃんだ。
巻末に
「マザア・グウス」の童謡は市《し》井《せい》の童謡である。純粋な芸術家の手になったのではなかろう。しかし、それだからといって一概に平俗野卑だというわけにはゆかない。日本の在来の童謡、すなわち私たちが子供のときにいつも手拍子をたたいてはうたったかの童謡はやはり民衆それ自身のものであった。だれのなにがしという有名な詩人の手になったのではない。自然にわきあがってきた民族としての子供の声であった。その中にはむろん平俗なのもあった、いかがわしい猥《わい》雑《ざつ》なおとなのものもあった。しかしほんとうの子供の声はその中にあった。すぐれて光っていた。これを思わなくてはならない。本来の民謡なるものは、野山の木《き》萱《かや》のそよぎそのものからおのずとわきでたものである。はじめはだれが歌ったとなく歌いだされて、つぎつぎに歌い伝えられて、歌いなおされて、ほんとうに洗練されたいいものばかりが永く残ることになったのである。で、その長い民族精神の伝統ということについて充分に尊重しなければならない。この意味で日本在来の童謡は日本の童謡の本源であり本流である。「マザア・グウス」もおなじく英国童謡の本源とみなしていいであろう。こうした民族の伝統ということを考えないで、ただ優秀な詩人の手になるもののみが真の高貴な歌謡だと思うのはまちがいであろう。私はそうした妙な詩人気取りはきらいである。
ほんとうを言うと、民謡とか童謡とかいうものは、たとえそれがある種の詩人の作だったにせよ、その歌謡が一般民衆のものとなった以上、その作者の名は忘れられて、その歌謡だけがすべての民衆のものとなる。そうして残れば残るだけ、その歌謡は民謡として成功したものだといいうる。すなわち作者の名が忘れられれば忘れられるだけ、ほんとうの民謡として光あるものであるのだ。
今日「マザア・グウス」の童謡として伝えられているもののうち、グウス夫人の作がむろんすべてであるとは思えぬ。いろいろ作者未詳のもの、子供そのものの声が混入しているにちがいない。グウス夫人の名すらも英国その他の英語本位の国々では忘れられて、子供たちはいわゆるお母さんがちょうの謡《うた》だと思っている。読まれるということよりも歌いはやされている。すなわちイギリス民族そのものの童謡となっている。この民衆そのものの歌謡を決して侮ってはならない。
ことにその快活、その機智、その鋭い諷《ふう》刺《し》、無邪、諧《かい》謔《ぎやく》、豊潤な想像、それらのたぐいまれな種々相にはさすがに異常な特殊の光が満ちている。むろん、これらの中には純粋な芸術上の立場から見ると、多少の玉石混《こん》淆《こう》は免れぬ。しかしこれは民謡としての紹介にはしかたのないものである。だから芸術品として見てもずいぶんいいと思うものがある代わり、ずっと品位の落ちたのも少々はある。それにしてもどうにも棄てるには惜しいなんらかの鋭さが蔵されている。で、私は拾った。ただ無批判に手当たり次第に訳したのではない。これでないと「マザア・グウス」の大体がはっきりしないからである。子供というものはそうビクビクして教育しなくともよい。私は子供の叡《えい》智《ち》を信じている。
私はまたこれらのNursey Rhymesを訳しながら、洋の東西を問わず子供の感情ないし感覚生活ということについてはほとんどおんなじだということに驚かされた。この中の「てんとうむし」のごときは全然日本の「からすからす」の童謡とそっくりではないか。幾つかの「ででむし」の謡《うた》のごとき、またほとんど同じではないか。
ただ、彼においてはきわめて都会的な軽快味とその縦横無《む》碍《げ》の機智とにずばぬけている代わり、日本の子守唄のようなほんとにしみじみとしたあの人情味には欠けていはしまいかと思われる。で、私は日本在来の民謡やそうした子守唄のありがたさをつくづくと顧みた。ただここでは委細の比較は読者にお任せする。
私がこの集に訳出したのは「マザア・グウス」の童謡を主として、なお英米児童の間に行なわれている遊戯唄ねんねこ唄その他のものを取り混ぜた。
翻訳するに当たっては四、五種の童謡集、楽譜等をかれこれ参照した。同一の童謡でもいろいろ歌いくずされたり、抜かしたりしてある。はなはだしいのは肝《かん》腎《じん》な個所で全然反対の意に変わっているのもある。そういうのは最もいいと信じたものから選択した。この集の序詩のごときはどの本をのぞいてもところどころ抜けていた。で、みんなから綜《そう》合《ごう》してあのとおりにまとめてしまった。しかしどの聯《れん》もどの行も私の自《じ》儘《まま》に作り足したのはない、そのままそろえて完全な一つのものとしたのである。
元来、翻訳ということはむずかしい。とりわけ韻文の翻訳は難行である。語学者でもなく、学力も乏しい私が、この難事に身を入れることはかなりはばかられることではあるが、ただ幸いに私は詩を作っている、民謡としての日本のことばをどうにか風味してきた。で、詩とか民謡とかについては、その真精神、そのリズムの動き方等にはまずまず相当の理解を持っているつもりである。で、その力を頼りにともかくやりはじめてみたのであった。
第一の困難は、これらの童謡はむろん手拍子足拍子で歌うべきものであるので、訳もまたきわめて民謡風の動律で、全然歌うようにしなければならない。で、原謡のリズムの動き方についてはそのとおりそのままの推移法を必要とする。これを違った国のことばで移そうとするのはかなり無理なことである。そしてまた歌えるようにするのはなおさらである。
で、ある少数の例外を除いて、私はなるべく一行ずつほとんど逐次に訳していった。大体において逐次訳といっていい。そのおかげで私は創作以上の苦しみをなめた。
もっとも、一昨年あたり、はじめてこのことに着手した当座はまだ不馴れで、充分手に入らなかったゆえに、謡いものとするために多少の手加減をしなければ思うように訳せなかった。それが次第に厳格な逐次訳でどうにか納めていけるようになった。で、この中には少数の手加減を入れた例外がある。
それから、Rain, rain go to Spainというような音韻上の引っかけことばのものは訳しようとするのがそもそもの無理であるから訳しなかった。「雨、雨、スペインへ」では原謡のおもしろみがなくなるからである。日本でなら「雨、雨、安《あ》房《わ》へ」というふうにあの韻で掛けてゆくべきものである。
Baa, Baa, Black Sheepというようなのも困った。すべてBでいっているのであるが、日本の黒羊のくにBは掛からない。かといって、「くうくう黒羊」でも羊のなき声は出ない。「なけなけ、黒羊」では意味だけのものになる。意味だけのものでは、ほんとうの訳にはならないのだ。しかたがなければその言語のまま生きさせるほかに道がない。
「やぶ医者のフォスタアさんが、グロオスタアへいって」というふうのものはこれもことばの上の引っかけであるが、固有の名詞でそのままやれるから、そのとおりにしておいた。「お医者さまの西《さい》庵《あん》さんが埼《さい》玉《たま》へいって」というふうのしゃれだ。これは両方が固有名詞でいってるのでそのままでいいが、雨とスペインのごとく、一つが普通名詞である場合はまったく困ってしまう。で、あるものは「とっぴょくりんのチャアレエが」と訳しては原謡の妙味が出ない場合に「とっぴょくりんのとん吉が」というふうにとで掛けたのもある。これはとん吉そのものが人名というより、「とっぴょくりん」そのものが通称化されているからさして障《さわ》りにはならないし、チャアレエという人名は原謡にはただ音韻上のしゃれに使用したまでで、それ以上のものでないから本質的の引っかけの妙味を主として訳したのである。しかしこうした例はこれくらいである。
それからまた、
月の中の人が
ころがっておちて、
北へゆく道で
南へいって、
凝《こご》えた豌《えん》豆《どう》汁《じる》で
お舌をやいてこォがした。
の原謡では「ノルウィッチへいく道をきいて、南へいって」であるが、ノルウィッチはロンドンの北に当たるので、本質の精神は北へが南と対照して、ノルウィッチを知らない日本の子供にはっきりわかるし、このほうがずっと簡潔でいいからである。こんな場合の地名は除けた。しかし、この例もほかにはめったにない。たいがい生かすべき固有名詞は生かした。
それからまた、日本語になおす場合に、語法の相違から、動詞の過去を現在格にしたり、そのまま直訳するよりも、かえってピタと本質的にその意に合う日本語がある場合は、その無意味な直訳は避けた。その真精神にそむくばかりでなく、日本語としても生きないからである。
それから、正直に「うまく返事をしてのけた」と訳したのでは、かえってその本当の面目が出ない場合は「うまく返事をしてのきょか」というふうにしたのもある。
それからまた、「二十四人の仕立屋がででむしころしにいきました」を「二十四人の仕立屋がででむしころしにえっさっさ」とやったのもある。意は同じでも、えっさっさのほうが一列に、活動人形そのままになって、足がさくさくとおなじに動くからである。
それからみだりがましくてちょっと困るのは多少気品をよくするために手加減したのがある。
で、こういうのは例外であるけれども、それだからといって充分意識してやっているのであるから、詩法を知らぬ語学者から頭ごなしに誤訳呼ばわりをされたくない。
ただ、学力の不足のためか、うっかりしたためにとんでもないまちがいをしたことがあるかもしれない。そうした条々がもしあればどうか御教示にあずかりたくお願いする。
私はそれらの内容と動律の本質とをわが日本の民謡語であたう限り生かしきろうとつとめた。生かしえたなればありがたい。創作するとほとんど同様の誠意と熱心とをこれに傾けたのもこのゆえである。で、ある意味においては半ば私の創作ともいえよう。
以 上
『まざあ・ぐうす』原詩
OLD MOTHER GOOSE.
Old Mother Goose,
When she wanted to wander,
Would ride through the air
On a very fine gander.
Mother Goose had a house,
'Twas built in a wood,
Where an owl at the door
As sentinel stood.
She had a son Jack,
A plain-looking lad,
He was not very good,
Nor yet very bad.
She sent him to market,
A live goose he bought;
“Here, mother,”-says he,
“It will not go for nought.”
Jack's goose and her gander
Soon grew very fond,
They'd both eat together
And swim in one pond.
Jack found one morning,
As I have been told,
His goose had laid him
An egg of pure gold.
Jack ran to his mother,
The news for to tell;
She called him a good boy,
And said it was well.
Jack sold his gold egg
To a rogue of a Jew,
Who cheated him out of
The half of his due.
Then Jack went a-courting
A lady so gay,
As fair as the lily,
And sweet as the may.
The Jew and the Squire
Then came at his back,
And began to belabour
The sides of poor Jack.
Then old Mother Goose
That instant came in,
And turned her son Jack
Into famed Harlequin.
She then, with her wand,
Touched the lady so fine,
And turned her at once
Into sweet Columbine.
They threw the gold egg
In the midst of the sea;
But Jack he jumped in,
And got it back presently.
The Jew got the goose,
Which he vowed he would kill,
Resolving at once
His pockets to fill.
Jack's mother came in,
And caught the goose soon,
And, mounting its back,
Flew up to the moon.
WHO KILLED COCK ROBIN?
“Who killed Cock Robin?”
“I,” said the sparrow,
“With my bow and arrow,
I killed Cock Robin.”
“Who saw him die?”
“I,” said the fly,
“With my little eye,
I saw him die.”
“Who caught his blood?”
“I,” said the fish,
“With my litte dish,
I caught his blood.”
“Who'll make his shroud?”
“I,” said the beetle,
“With my thread and needle,
I'll make his shroud.”
“Who'll be the clerk?”
“I,” said the lark,
“If it's not in the dark,
I'll be the clerk.”
“Who'll be chief mourner?”
“I,” said the dove,
“I'll mourn for my love,
I'll be chief mourner.”
“Who'll dig his grave?”
“I,” said the owl,
“With my little trowel,
I'll dig his grave.”
“Who'll be the parson?”
“I,” said the rook,
“With my little book,
I'll be the Parson.”
“Who'll toll the bell?”
“I,” said the Bull,
“Because I can pull,
I'll pull the bell.”
All the birds in the air
Fell a-sighing and a-sobbing,
When they heard the bell toll
For poor Cock Robin.
HEY, DIDDLE, DIDDLE.
Hey, diddle, diddle, the cat and the fiddle,
The cow jumped over the moon;
The little dog laughed to see such sport,
And the dish ran after the spoon.
THERE WAS A LITTLE GUINEA-PIG.
There was a little guinea-pig,
Who, being little, was not big;
He always walked upon his feet,
And never fasted when he ate.
When from a place he ran away,
He never at that place did stay;
And while he ran, as I am told,
He ne'er stood still for young or old.
He often squeaked and sometimes violent;
And when he squeaked he ne'er was silent;
Though ne'er instructed by a cat,
He knew a mouse was not a rat.
One day, as I am certified,
He took a whim and fairly died;
And, as I'm told by men of sense,
He never has been living since.
THERE WAS A MONKEY.
There was a monkey climbed up a tree;
When he fell down, then down fell he.
There was a crow sat on a stone;
When he was gone, then there was none.
There was an old wife did eat an apple;
When she'd eaten two, she'd eaten a couple.
There was a horse going to the mill;
When he went on, he stood not still.
There was a butcher cut his thumb;
When it did bleed, then blood did come.
There was a lackey ran a race;
When he ran fast, he ran apace.
There was a cobbler clouting shoon;
When they were mended, they were done.
There was a chandler making candle;
When he them strip, he did them handle.
There was a navy went into Spain;
When it returned, it came again.
A WALNUT.
There was a little green house,
And, in the little green house
There was a little brown house,
And in the little brown house
There was a little yellow house,
And in the little yellow house
There was a little white house,
And in the little white house
There was a little heart.
THERE WAS A FAT MAN OF BOMBAY.
There was a fat man of Bombay,
Who was smoking one sunshiny day,
When a bird called a Snipe
Flew away with his pipe,
Which vexed the fat man of Bombay.
SING A SONG OF SIXPENCE.
Sing a Song of Sixpence,
A pocket full of rye;
Four-and-twenty blackbirds
Baked in a pie.
When the pie was opened,
The birds began to sing;
Was not that a dainty dish
To set before the King?
The King was in the counting-house,
Counting out his money;
The Queen was in the parlour,
Eating bread and honey;
The maid was in the garden,
Hanging out the clothes;
When down came a little bird
And snapped off her nose!
DICKORY, DICKORY, DOCK.
Dickory, Dickory, Dock,
The mouse ran up the clock;
The clock struck one,
The mouse ran down;
Dickory, Dickory, Dock.
AN EGG.
In marble walls as white as milk,
Lined with a skin as soft as silk,
Within a fountain, crystal clear,
A golden apple doth appear.
No doors there are to this stronghold,
Yet thieves break in and steal the gold.
A RED SKY IN THE MORNING.
A red sky in the morning
Is the shepherd's warning,
A red sky at night
Is the shepherd's delight.
WHEN THE WIND BLOWS.
When the wind blows,
Then the mill goes;
When the wind drops,
Then the mill stops.
THERE WAS A MAN AND HE HAD NAUGHT.
There was a man, and he had naught,
And robbers came to rob him;
He crept up to the chimney-pot,
And then they thought they'd got him.
But he got down on t'other side,
And then they could not find him;
He ran fourteen miles in fifteen days,
And never looked behind him.
DOCTOR FAUSTUS.
Doctor Faustus was a good man,
He whipped his scholars now and then;
When he whipped them he made them dance
Out of England into France,
Out of France into Spain,
And then he whipped them back again!
BARBER, BARBER, SHAVE A PIG.
Barber, barber, shave a pig,
How many hairs will make a wig?
“Four-and-twenty, that's enough.”
Give the barber a pinch of snuff.
THERE WAS AN OLD WOMAN WHO LIVED
IN A SHOE.
There was an old woman who lived in a shoe;
She had so many children she didn't know what to do.
She gave them some broth without any bread;
Then whipped them all soundly and put them to bed.
THERE WERE TWO BIRDS.
There were two birds sat on a stone,
Fa, la, la, la, lal, de;
One flew away, and then there was one,
Fa la, la, la, lal, de;
The other flew after, and then there was none,
Fa, la, la, la, lal, de;
And so the poor stone was left all alone,
Fa, la, la, la, lal, de!
OLD KING COLE.
Old King Cole was a merry old soul,
And a merry old soul was he;
He called for his pipe, he called for his glass,
And he called for his fiddlers three.
Every fiddler he had a fine fiddle,
And a very fine fiddle had he;
Twee-tweedle-dee, tweedle-dee, went the fiddlers.
Oh, there's none so rare as can compare
With King Cole and his fiddlers three!
RAIN, RAIN, GO AWAY.
Rain, rain, go away;
Come again another day;
Little Harry wants to play.
HOGS IN THE GARDEN.
Hogs in the garden, catch'em, Towser;
Cows in the corn-field, run, boys, run,
Cat's in the cream-pot, run, girls, run, girls;
Fire on the mountains, run, boys, run.
A SUNSHINY SHOWER.
A sunshiny shower
Won't last half an hour.
UNDER THE FURZE.
Under the furze
Is hunger and cold.
Under the broom
Is silver and gold.
THE BELLS OF ST. CLEMENT'S.
Gay go up and gay go down,
To ring the bells of London town.
Oranges and lemons,
Say the bells of St. Clement's.
Bull's eyes and targets,
Say the bells of St. Marg'ret's.
Brickbats and tiles,
Say the bells of St. Giles'.
Halfpence and farthings,
Say the bells of St. Martin's.
Pancakes and fritters,
Say the bells of St. Peter's.
Two sticks and an apple,
Say the bells of Whitechapel.
Pokers and tongs,
Say the bells of St. John's.
Kettles and pans,
Say the bells of St. Ann's,
Old Father Baldpate,
Say the slow bells of Aldgate.
You owe me ten shillings,
Say the bells of St. Helen's,
When will you pay me?
Say the bells of Old Bailey.
When I grow rich,
Say the bells of Shoreditch.
Pray when will that be?
Say the bells of Stepney.
I do not know,
Says the great bell of Bow.
Here comes a candle to light you to bed,
Here comes a chopper to chop off your head.
THIS IS THE WAY.
This is the way the ladies ride;
Tri, tre, tre, tree,
Tri, tre, tre, tree!
This is the way the ladies ride,
Tri, tre, tre, tre, tri, tre, tre, tree!
This is the way the gentlemen ride;
Gallop-a-trot,
Gallop-a-trot!
This is the way the gentlemen ride,
Gallop-a-trot-a-trot!
This is the way the farmers ride;
Hobbledy-hoy,
Hobbledy-hoy!
This is the way the farmers ride,
Habbledy-hobbledy-hoy!
THE GIRL IN THE LANE.
The girl in the lane that couldn't speak plain,
Cried, “Gobble, gobble, gobble”;
The man on the hill, that couldn't stand still,
Went hobble, hobble, hobble.
THE MAN IN THE MOON.
The man in the moon
Came tumbling down,
And asked his way to Norwich:
He went by the south,
And burnt his mouth
With supping cold pease porridge.
TEN LITTLE NIGGER BOYS.
Ten little nigger boys went out to dine;
One choked his little self and then there were nine.
Nine little nigger boys sat up very late;
One overslept himself and then there were eight.
Eight little nigger boys travelling in Devon;
One said he'd stay there and then there were seven.
Seven little nigger boys chopping up sticks;
One chopped himself in halves and then there were six.
Six little nigger boys playing with a hive;
A bumble bee stung one and then there were five,
Five little nigger boys going in for law;
One got in Chancery and then there were four.
Four little nigger boys going out to sea;
A red herring swallowed one and then there were three.
Three little nigger boys walking in the Zoo;
A big bear hugged one and then there were two.
Two little nigger boys sitting in the sun;
One got frizzled up and then there was one.
One little nigger boy left all alone;
He got married and then there was none.
THE MAN IN THE MOON
LOOKED OUT OF THE MOON.
The Man in the Moon looked out of the moon,
And this is what he said:
“Tis time that, now I'm getting up,
All babies went to bed.”
CHRISTMAS IS COMING.
Christmas is coming, the geese are getting fat,
Please to put a penny in the old man's hat;
If you haven't got a penny, a ha'penny will do,
If you haven't got a ha'penny, God bless you.
BAA, BAA, BLACK SHEEP.
Baa, baa, black sheep,
Have you any wool?
Yes, marry, have I,
Three bags full;
One for my master,
And one for my dame,
But none for the little boy
Who cries in the lane.
A CANDLE.
Little Nancy Etticoat,
In a white petticoat,
And with a red nose;
The longer she stands,
The shorter she grows.
LITTLE TEE WEE.
Little Tee Wee,
He went to sea
In an open boat;
And while afloat
The little boat bended,
And my story's ended.
MARCH WINDS.
March winds and April showers
Bring forth May flowers.
GREGORY GRIGGS.
Gregory Griggs, Gregory Griggs,
Had twenty-seven different wigs.
He wore them up; he wore them down,
To please the people of the town;
He wore them east, he wore them west;
But he never could tell which he liked best.
THE LION AND THE UNICORN.
The lion and the unicorn
Fought for the crown;
The lion beat the unicorn
UP and down the town.
Some gave them white bread,
And some gave them brown,
Some gave them plum cake
And sent them out of town.
ROBERT BARNES.
“Robert Barnes, fellow fine,
Can you shoe this horse of mine?”
“Yes, good sir, that I can,
As well as any other man:
There's a nail, and there's a prod,
And now, good sir, your horse is shod.”
THE BONNIE CRAVAT.
Jeanie, come tie my,
Jeanie, come tie my,
Jeanie, come tie my bonny cravat;
I've tied it behind,
I've tied it before,
And I've tied it so often, I'll tie it no more.
AS I WAS GOING TO ST. IVES.
As I was going to St. Ives,
I met a man with seven wives,
Every wife had seven sacks,
Every sack had seven cats,
Every cat had seven kits:
Kits, cats, sacks, and wives,
How many were there going to St. Ives ?
IF ALL THE WORLD WAS APPLE-PIE.
If all the world was apple-pie,
And all the sea was ink,
And all the trees were bread and cheese,
What should we have to drink?
It's enough to make an old man
Scratch his head and think.
PUSSY-CAT, PUSSY-CAT.
Pussy-cat, pussy-cat, where have you been?
I've been to London to see the Queen.
Pussy-cat, pussy-cat, what did you there?
I caught a little mouse under her chair.
A DOG AND A CAT.
A Dog and a cat went out together,
To see some friends just out of the town;
Said the cat to the dog,
“What d'ye think of the weather?”
“I think, ma'am, the rain will come down――
But don't be alarmed, for I've an umbrella
That will shelter us both,” said this amiable fellow.
POLLY, PUT THE KETTLE ON.
Polly, put the kettle on,
Polly, put the kettle on,
Polly, put the kettle on,
We'll all have tea.
Sukey, take it off again,
Sukey, take it off again,
Sukey, take it off again,
They've all gone away.
PETER, PETER, PUMPKIN EATER.
Peter, Peter, pumpkin eater,
Had a wife and couldn't keep her;
He put her in a pumpkin shell,
And there he kept her very well.
Peter, Peter, pumpkin eater,
Had another, but didn't love her.
Peter learnt to read and spell
And then he loved her very well.
BOW, WOW, WOW.
Bow, wow, wow, whose dog art thou?
Little Tom Tinker's dog, bow, wow, wow.
TOMMY TROT.
Tommy Trot, a man of law,
Sold his bed and lay upon straw;
Sold the straw and slept on grass,
To buy his wife a looking-glass.
FOR WANT OF A NAIL, THE SHOE WAS LOST.
For want of a nail, the shoe was lost,
For want of the shoe, the horse was lost,
For want of the horse, the rider was lost,
For want of the rider, the battle was lost,
For want of the battle, the kingdom was lost,
And all for the want of a horseshoe nail!
FOUR-AND-TWENTY TAILORS.
Four-and-twenty tailors went to kill a snail,
The best man among them durst not touch her tail;
She put out her horns like a little Kyloe cow:
Run, tailors, run! or she'll kill you all e'en now.
SNAIL, SNAIL, SHOOT OUT YOUR HORNS.
Snail, snail, shoot out your horns;
Father and mother are dead;
Brother and sister are in the back yard,
Begging for barley bread.
SEE A PIN AND PICK IT UP.
See a pin and pick it up,
All the day you'll have good luck;
See a pin and let it lay,
Bad luck you'll have all the day.
BLOW, WIND, BLOW !
Blow, wind, blow! and go, mill, go!
That the miller may grind his corn;
That the baker may take it,
And into rolls make it,
And bring us some hot in the morn.
THERE WAS A JOLLY MILLER.
There was a jolly miller
Lived on the river Dee;
He worked and sang from morn till night,
No lark so blithe as he.
And this the burden of his song
For ever used to be―
“I care for nobody―no! not I,
Since nobody cares for me.”
THE MAN IN THE WILDERNESS.
The man in the wilderness asked me
How many strawberries grew in the sea.
I answered him, as I thought good,
“As many herrings as grow in the wood.”
THERE WAS AN OLD WOMAN TOSS'D UP IN A BASKET.
There was an old woman toss'd up in a basket,
Ninety times as high as the moon;
Where she was going, I couldn't but ask it,
For in her hand she carried a broom.
“Old woman, old woman, old woman,” quoth I,
“O whither, O whither, O whither so high?”
“To brush the cobwebs off the sky!”
“Shall I go with thee?”
“Ay, by and by.”
THREE JOVIAL CHINAMEN.
There were three jovial Chinamen,
As I have heard men say,
Who gaily went a-hunting
Upon a holiday.
And all day long they hunted,
And nothing could they find
But a ship a-sailing,
A-sailing with the wind.
One said it was a ship,
The second he said, “Nay”;
The third he said it was a house,
With the chimney blown away.
And all night long they hunted,
And nothing could they find
But the moon a-gliding,
A-gliding with the wind.
One said it was the moon,
The second he said, “Nay”;
The third he said it was a cheese
And half of it cut away.
And all the day they hunted,
And nothing could they find
But a hedgehog in a bramble bush,
And that they left behind.
One said it was a hedgehog,
The second he said, “Nay”;
The third, it was a pin-cushion
With the pins stuck in wrong way.
And all the night they hunted,
And nothing could they find
But a brown hare in a turnip field,
And that they left behind.
One said it was a hare,
The second he said, “Nay”;
The third he said it was a calf,
And the cow had run away.
And all the day they hunted,
And nothing could they find
But a wise owl in a holly tree,
And that they left behind.
One said it was an owl,
The second he said, “Nay”;
The third said 'twas an old man
With his hair a-growing grey.
PETER WHITE.
Peter White will ne'er go right ;
Would you know the reason why?
He follows his nose where'er he goes,
And that stands all awry.
THERE WAS AN OLD WOMAN LIVED UNDER A HILL.
There was an old woman lived under a hill ;
And if she's not gone, she lives there still.
I HAD A LITTLE COW.
I had a little cow;
Hey-diddle, ho-diddle!
I had a little cow, and it had a little calf,
Hey-diddle, ho-diddle; and there's my song half!
I had a little cow;
Hey-diddle, ho-diddle!
I had a little cow, and I drove it to the stall;
Hey-diddle, ho-diddle; and there's my song all!
GERMAN CRADLE SONG.
Sleep, baby, sleep!
Thy father guards the sheep,
Thy mother shakes the dreamland tree,
And from it fall sweet dreams for thee.
Sleep, baby, sleep!
Sleep, baby, sleep!
WHAT ARE LITTLE BOYS MADE OF?
What are little boys made of, made of?
What are little boys made of?
Frogs and snails, and puppy-dogs' tails;
And that's what little boys are made of, made of.
What are little girls made of, made of?
What are little girls made of?
Sugar and spice, and all that's nice;
And that's what little girls are made of, made of.
HUSH-A-BYE, LIE STILL AND SLEEP.
Hush-a-bye, lie still and sleep,
It grieves me sore to see thee weep,
For when thou weep'st thou wearies me,
Hush-a-bye, lie still and bye.
JACK BE NIMBLE.
Jack be nimble,
And Jack be quick:
And Jack jump over
The candlestick.
SNEEL, SNAUL.
Sneel, Snaul,
Robbers are coming to pull down your wall;
Sneel, snaul,
Put out your horn,
Robbers are coming to steal your corn,
coming at four o'clock in the morn.
ALL OF A ROW.
All of a row,
Bend the bow,
Shot at a pigeon,
And killed a crow.
SNAIL, SNAIL, PUT OUT YOUR HORNS.
Snail, snail, put out your horns,
I'll give you bread and barleycorns.
THERE WAS A MAN OF NEWINGTON.
There was a man of Newington, and he was wondrous wise, He jump'd into a bramble bush and scratch'd out both his eyes.
And when he saw his eyes were out, with all his might and main
He jump'd into another bush, and scratch'd them in again.
TELL-TALE TIT!
Tell-tale tit!
Your ongue shall be slit,
And all the dogs in the town
Shall have a little bit.
THE QUEEN OF HEARTS.
The Queen of Hearts
She made some tarts,
All on a summer's day;
The Knave of Hearts
He stole the tarts,
And with them ran away.
The King of Hearts
Called for the tarts,
And beat the Knave full sore;
The Knave of Hearts
Brought back the tarts,
And said he'd ne'er steal more.
COCK-A-DOODLE-DOO!
Cock-a-doodle-doo!
My dame has lost her shoe;
My master's lost his fiddling-stick,
And don't know what to do.
Cock-a-doodle-doo!
What is my dame to do;
Till master finds his fiddling-stick
She'll dance without her shoe.
Cock-a-doodle-doo!
My dame has lost her shoe,
And master's found his fiddling-stick,
Sing doodle doodle doo!
Cock-a-doodle-doo!
My dame will dance with you,
While master fiddles his fiddling-stick,
For dame and doodle doo.
Cock-a-doodle-doo!
Dame has lost her shoe;
Gone to bed and scratched her head,
And can't tell what to do.
SNAIL, SNAIL, COME OUT OF YOUR HOLE.
Snail, snail, come out of your hole,
Or else I will beat you as black as a coal.
Snail, snail, blow your horn,
Or else I'll give you a peppercorn.
JERRY AND JAMES AND JOHN.
There was an old woman had three sons――
Jerry and James and John:
Jerry was hung, James was drowned,
John was lost and never was found;
And there was the end of her three sons――
Jerry and James and John.
LADY BIRD, LADY BIRD, FLY AWAY HOME.
Lady bird, lady bird, fly away home,
Your house is on fire, your children all gone;
All but one, and her name is Ann,
And she crept under the pudding pan.
HOT CROSS BUNS.
Hot cross buns, hot cross buns,
One a penny, two a penny,
Hot cross buns.
If your daughters don't like them,
Give them to your sons,
One a penny, two a penny,
Hot cross buns.
THREE WISE MEN OF GOTHAM.
Three wise men of Gotham
Went to sea in a bowl;
And if the bowl had been stronger,
My song would have been longer.
THERE WAS A MAD MAN.
There was a mad man,
And he had a mad wife,
And they lived all in a mad lane!
They had three children all at a birth,
And they too were mad every one.
The father was mad,
The mother was mad,
The children all mad beside;
And upon a mad horse they all of them got,
And madly away did ride.
I HAD A LITTLE HUSBAND.
I had a little husband,
No bigger than my thumb;
I put him in a pint pot,
And there I bid him drum.
I bought a little horse,
That galloped up and down;
I bridled him, and saddled him
And sent him out of town.
I gave him some garters
To garter up his hose,
And a little handkerchief
To wipe his pretty nose.
RUB A DUB DUB.
Rub a dub dub,
Three men in a tub;
And who do you think they be?
The butcher, the baker,
The candlestick-maker;
Turn'em out, knaves all three!
TWO LITTLE DICKEY-BIRDS.
Two little dickey-birds sat upon a hill,
One named Jack, the other named Jill.
Fly away, Jack; fly away, Jill;
Come again, Jack; come again, Jill.
TOM, TOM, THE PIPER'S SON.
Tom, Tom, the piper's son,
Stole a pig, and away he run.
The pig was eat, and Tom was beat,
And Tom went roaring down the street.
BOW-WOW, SAYS THE DOG.
Bow-wow, says the dog;
Mew, mew, says the cat;
Grunt, grunt, goes the hog;
And squeak, says the rat.
Tu-whu, says the owl;
Caw, caw, says the crow;
Quack, quack, goes the duck;
And moo, says the cow.
THERE WAS A LITTLE GIRL.
There was a little girl
Who wore a little curl,
Right in the middle of her forehead;
When she was good, she was very, very good,
And when she was bad, she was horrid.
DOCTOR FOSTER WENT TO GLOSTER.
Doctor Foster went to Gloster,
In a shower of rain;
He stepped in a puddle, up to the middle,
And never went there again.
THE TIDY WIFE
I married my wife by the light of the moon,
A tidy housewife, a tidy one;
She never gets up until it is noon,
And I hope she'll prove a tidy one.
And when she gets up she makes such haste,
A tidy housewife, a tidy one;
She takes up the poker to roll out the paste,
And I hope she'll prove a tidy one.
She churns her butter in a boot,
A tidy housewife, a tidy one;
And instead of a churn-staff she puts in her foot,
And I hope she'll prove a tidy one.
She lays her cheese on the scullery shelf,
A tidy housewife, a tidy one;
And she never turns it till it turns itself,
And I hope she'll prove a tidy one.
FIDDLE-DE-DEE.
Fiddle-de-dee, fiddle-de-dee,
The fly shall marry the humble-bee.
They went to church, and married was she:
The fly has married the humble-bee.
TAFFY WAS A WELSHMAN.
Taffy was a Welshman, Taffy was a thief,
Taffy came to my house and stole a piece of beef;
I went to Taffy's house, Taffy wasn't at home,
Taffy came to my house and stole a marrow bone.
I went to Taffy's house, Taffy was not in;
Taffy came to my house and stole a rolling-pin.
I went to Taffy's house; Taffy was in bed,
I took up a poker and flung it at his head.
CHARLEY WARLEY HAD A COW.
Charley Warley had a cow,
Black and white about the brow;
Open the gate and let her through,
Charley Warley's old cow!
CHARLEY WAG.
Charley wag, Charley wag
Ate the pudding and left the bag.
AS I WAS GOING TO SELL MY EGGS.
As I was going to sell my eggs,
I met a man with bandy legs,
Bandy legs and crooked toes,
I tripped up his heels, and he fell on his nose.
A PYE SAT ON A PEAR-TREE.
A pye sat on a pear-tree,
A pye sat on a pear-tree,
A pye sat on a pear-tree,
Heigho! heigho! heigho!
And once so merrily hopped she,
And twice so merrily hopped she,
And thrice so merrily hopped she,
Heigho! heigho! heigho!
WHERE ARE YOU GOING TO, MY PRETTY MAID?
“Where are you going to, my pretty maid?”
“I'm going a-milking, sir,” she said.
“May I go with you, my pretty maid?”
“You're kindly welcome, sir,” she said.
“What is your father, my pretty maid?”
“My father's a farmer, sir,” she said.
“What is your fortune, my pretty maid?”
“My face is my fortune, sir,” she said.
“Then I can't marry you, my pretty maid!”
“Nobody asked you, sir!” she said.
TO MARKET, TO MARKET, TO BUY A PLUM CAKE.
To market, to market, to buy a plum cake;
Home again, home again, market is late.
To market, to market, to buy a plum bun;
Home again, home again, market is done.
MULTIPLICATION IS VEXATION.
Multiplication is vexation,
Division is as bad:
The Rule of Three doth puzzle me,
And Practice drives me mad.
BLUE EYE BEAUTY.
Blue eye beauty,
Grey eye greedy,
Black eye blackie,
Brown eye brownie.
A SWARM OF BEES IN MAY.
A swarm of bees in May
Is worth a load of hay;
A swarm of bees in June
Is worth a silver spoon;
A swarm of bees in July
Is not worth a,fly.
EVENING RED AND MORNING GRAY.
Evening red and morning gray:
It is the sign of a bonnie day;
Evening gray and morning red:
The lamb and the ewe go wet to bed.
THE CUCKOO'S A FINE BIRD.
The cuckoo's a fine bird,
He sings as he flies;
He brings us good tidings
He tells us no lies.
He sucks little birds' eggs,
To make his voice clear;
And when he sings “Cuckoo”
The summer is near.
LITTLE TOMMY TITTLEMOUSE.
Little Tommy Tittlemouse
Lived in a little house.
He caught fishes
In other men's ditches.
SOLOMON GRUNDY.
Solomon Grundy,
Born on a Monday,
Christened on Tuesday,
Married on Wednesday,
Took ill on Thursday,
Worse on Friday,
Died on Saturday,
Buried on Sunday:
That was the end
Of Solomon Grundy.
THERE WAS A FROG LIVED IN A WELL.
There was a frog lived in a well,
Kitty alone, Kitty alone;
There was a frog lived in a well;
Kitty alone and I!
There was a frog lived in a well,
And a merry mouse in a mill.
Cock me cary, Kitty alone,
Kitty alone and I.
This frog he would a-wooing ride,
Kitty alone, Kitty alone;
This frog he would a-wooing ride,
And on a snail he got astride,
Cock me cary, etc.
He rode till he came to my Lady Mouse Hall,
Kitty alone, Kitty alone;
He rode till he came to my Lady Mouse Hall,
And there he did both knock and call.
Cock me cary, etc.
Quoth he, “Miss Mouse, I'm come to thee,”――
Kitty alone, Kitty alone;
Quoth he, ''Miss Mouse, I'm come to thee,
To see if thou canst fancy me.”
Cock me cary, etc.
Quoth she, “Answer I'll give you none,”――
Kitty alone, Kitty alone ;
Quoth she, “Answer I'll give you none
Until my Uncle Rat comes home.”
Cock me cary, etc.
And when her Uncle Rat came home,
Kitty alone, Kitty alone;
And when her Uncle Rat came home:
“Who's been here since I've been gone?”
Cock me cary, etc.
“Sir, there's been a worthy gentleman,”――
Kitty alone, Kitty alone;
“Sir, there's been a worthy gentleman,
That's been here since you've been gone.”
Cock me cary, etc.
The frog he came whistling through the brook,
Kitty alone, Kitty alone;
The frog he came whistling through the brook,
And there he met with a dainty duck.
Cock me cary, etc.
This duck she swallowed him up with a pluck,
Kitty alone, Kitty alone;
This duck she swallowed him up with a pluck,
So there's an end of my history-book.
Cock me cary, Kitty alone,
Kitty alone and I.
THERE WAS AN OLD WOMAN CALLED NOTHING-AT-ALL.
There was an old woman called Nothing-at-all,
Who rejoiced in a dwelling exceedingly small;
A man stretched his mouth to its utmost extent,
And down at one gulp house and old woman went.
LONDON BRIDGE IS BROKEN DOWN.
London Bridge is broken down,
Dance o'er my Lady Lee;
London Bridge is broken down,
With a gay lady.
How shall we build it up again?
Dance o'er my Lady Lee;
How shall we build it up again?
With a gay lady.
Build it up with silver and gold,
Dance o'er my Lady Lee;
Build it up with silver and gold,
With a gay lady.
Silver and gold will be stole away,
Dance o'er my Lady Lee;
Silver and gold will be stole away,
With a gay lady.
Build it up again with iron and steal,
Dance o'er my Lady Lee;
Build it up with iron and steel,
With a gay lady.
Iron and steel will bend and break,
Dance o'er my Lady Lee;
Iron and steel will bend and break,
With a gay lady.
Build it up with wood and clay,
Dance o'er my Lady Lee;
Build it up with wood and clay,
With a gay lady.
Wood and clay will wash away,
Dance o'er my Lady Lee;
Wood and clay will wash away,
With a gay lady.
Build it up with stone so strong,
Dance o'er my Lady Lee;
Huzza! 'twill last for ages long,
With a gay lady.
IF ALL THE SEAS WERE ONE SEA.
If all the seas were one sea,
What a great sea that would be!
And if all the trees were one tree,
What a great tree that would be!
And if all the axes were one axe,
What a great axe that would be!
And if all the men were one man,
What a great man he would be!
And if the great man took the great axe,
And cut down the great tree,
And let it fall into the great sea,
What a splish-splash that would be!
ONE MISTY, MOISTY MORNING.
One misty, moisty morning,
When cloudy was the weather,
I met a little old man
Clothed all in leather;
With cap under his chin,
How do you do, and how do you do,
And how do you do again?
WHEN GOOD KING ARTHUR RULED THIS LAND.
When good King Arthur ruled this land,
He was a goodly king;
He took three pecks of barley meal,
To make a bag-pudding.
A bag-pudding the King did make,
And stuffed it well with plums,
And in it put two lumps of fat,
As big as my two thumbs.
The King and Queen did eat thereof,
And noblemen beside;
And what they could not eat at night
The Queen next morning fried.
THERE WAS AN OLD WOMAN, AND WHAT DO YOU THINK?
There was an old woman, and what do you think?
She lived upon nothing but victuals and drink;
Victuals and drink were the chief of her diet,
Yet this grumbling old woman could never keep quiet.
JACK SPRAT.
Jack Sprat could eat no fat,
His wife could eat no lean;
And so betwixt them both, you see,
They lick'd the platter clean.
THERE WAS A CROOKED MAN.
There was a crooked man, and he went a crooked mile,
He found a crooked sixpence against a crooked stile:
He bought a crooked cat, which caught a crooked mouse,
And they all lived together in a little crooked house.
MY FATHER HE DIED.
My father he died, but I can't tell you how,
He left me six horses to drive in my plough:
With my wing wang waddle oh,
Jack sing saddle oh,
Blowsey boys buble oh,
Under the broom.
I sold my six horses, and I bought me a cow,
I'd fain have made a fortune, but did not know how:
With my, etc.
I sold my cow, and I bought me a calf;
I'd fain have made a fortune, but lost the best half:
With my, etc.
I sold my calf, and I bought me a cat;
A pretty thing she was, in my chimney corner sat:
With my, etc.
I sold my cat, and bought me a mouse;
He carried fire in his tail, and burnt down my house:
With my, etc.
A CAT MAY LOOK AT A KING.
A cat may look at a King,
And sure I may look at an ugly thing.
GOOSEY, GOOSEY, GANDER.
Goosey, goosey, gander, where shall I wander?
Upstairs and downstairs, and in my lady's chamber.
There I met an old man, who would not say his prayers,
I took him by the left leg, and threw him down the stairs.
IN FIR TAR IS.
In fir tar is,
In oak none is.
In mud eel is,
In clay none is.
Goat eat ivy,
Mare eat oats.
A PAIR OF TONGS.
Long legs, crooked thighs,
Little head, and no eyes.
What's that?
GIRLS AND BOYS, COME OUT TO PLAY.
Girls and boys, come out to play,
The moon doth shine as bright as day:
Come with a whistle, come with a call,
Come with a good will, or come not at all.
Leave your supper, leave your slate,
And come to your playfellows in the street;
Come with a shout, and come with a bound,
And dance in the moonlight round and round.
UP the ladder, and down the wall,
A halfpenny roll will serve us all;
You'll find milk, and I'll find flour,
And we'll have a pudding in half-an-hour.
RIDE A COCK HORSE.
Ride a cock horse
To Charing-Cross,
To see a young woman
Jump on a white horse,
With rings on her fingers
And bells on her toes,
And she shall have music
Wherever she goes.
CRY, BABY, CRY.
Cry, baby, cry,
Put your finger in your eye;
Then go and tell your mother it was not I.
THE NORTH WIND DOTH BLOW.
The north wind doth blow,
And we shall have snow,
And what will poor Robin do then?
Poor thing!
He'll sit in the barn,
And keep himself warm,
And hide his head under his wing.
Poor thing!
BLIND MAN, BLIND MAN.
Blind man, blind man,
You're sure you cannot see?
Then turn round three times
And try to catch me.
Don't you tumble over;
Catch whom you can,
Did you think you'd caught me?
Poor blind man!
LITTLE JUMPING JOAN.
Here am I,
Little jumping Joan;
When nobody's with me
I'm always alone.
HERE WE GO UP, UP, UP.
Here we go up, up, up,
And here we go down, down, downy,
And here we go backwards and forwards,
And here we go round, round, roundy.
LET US GO TO THE WOOD.
[Song set to five toes.]
1.Let us go to the wood, says this pig;
2.What to do there? says that pig;
3.To look for my mother, says this pig;
4.What to do with her? says that pig;
5.To kiss her, to kiss her, says this pig.
THIS LITTLE PIG WENT TO MARKET.
This little pig went to market;
This little pig stayed at home;
This little pig had roast beef;
This little pig had none;
This little pig cried “Wee, wee, wee!”
All the way home.
SHOE THE COLT, SHOE!
[Patting the five toes.]
Shoe the colt, shoe!
Shoe the wild mare;
Put a sack on her back,
See if she'll bear.
If she'll bear,
We'll give her some grains;
If she won't bear,
We'll dash out her brains!
A LONG-TAILED PIG, OR A SHORT-TAILED PIG.
A long-tailed pig or a short-tailed pig,
Or a pig without any tail.
A sow pig or a boar pig,
Or a pig with a curly tail.
I WENT UP ONE PAIR OF STAIRS.
1.I went up one pair of stairs.
2.Just like me.
1.I went up two pair of stairs.
2.Just like me.
1.I went into a room.
2.Just like me.
1.I looked out of a window.
2.Just like me.
1.And there I saw a monkey.
2.Just like me.
ONE, TWO, THREE, FOUR, FIVE.
One, two, three, four, five,
Catching fishes all alive;
“Why did you let them go?”
“Because they bit my finger so.”
“Which finger did they bite?”
“The little finger on the right.”
HERE SITS THE LORD MAYOR.
[Game with a child's face.]
Here sits the Lord Mayor―forehead
Here sit his two men―eyes
Here sits the cock―right cheek
Here sits the hen―left cheek
Here sit the little chickens―tip of nose
Here they run in―mouth
Chinchopper, chinchopper,
Chinchopper, chin!―chuck the chin.
RING THE BELL.
Ring the bell! (Giving a lock of the hair a pull.)
Knock at the door! (Tapping the forehead.)
Draw the latch! (Pulling up the nose.)
And walk in. (Opening the mouth and putting in the finger.)
TWO LEGS SAT UPON THREE LEGS.
Two legs sat upon three legs,
With one leg in his lap;
In comes four legs,
Runs away with one leg;
UP jumps two legs,
Catches up three legs,
Throws it after four legs,
And makes him bring back one leg.
One leg is a leg of mutton ; two legs, a man ; three legs, a stool ; four legs, a dog.
GO TO BED FIRST.
Go to bed first, a golden purse;
Go to bed second, a golden pheasant;
Go to bed third, a golden bird.
THERE WAS AN OLD CROW.
There was an old crow sat upon a clod;
There's an end of my song―that's odd!
まざあ・ぐうす
北《きた》原《はら》白《はく》秋《しゆう》=訳
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平成14年2月8日 発行
発行者  角川歴彦
発行所  株式会社 角川書店
〒102-8177 東京都千代田区富士見2-13-3
shoseki@kadokawa.co.jp
本電子書籍は下記にもとづいて制作しました
角川文庫『まざあ・ぐうす』昭和51年5月30日初版発行
平成9年6月25日26版発行