『ホーンテッド!』ネタバレ解説。
MF文庫J 2004年9月25日発売 イラスト:片瀬優
デビュー作です。ストーリーはよくわかりません。主人公やヒロインやサブヒロインが死んだり生きたり死のうとしたり生きようとしたりします。まあ、そのへんはノリで。
プロットには「幽霊が一般化した世界。マシンガンばばあ」という一文だけが。普通、こういうものをプロットとは呼びません。むしろそれで一冊書いた僕を褒めてくれ。
頭の中にはクライマックスの「かちゃっ」というシーンだけがあって、そこへ繋げるためにひたすら筆の乗るままに書き続けていった気がします。そして完成したのでMF文庫J編集部に嫌がらせで送ってみたら何故か出版することになってさあ大変。そんな感じです。
出版にあたって色々直しました。最初はひかりちゃんが黒幕だったりしましたが、それはいくらなんでも読者が引くからダメゼッタイと言われて直しました。死体の数も最初は500体くらいあって主人公がそれを踏みつけながらおっかなびっくり歩いていくシーンがとても好きだったのですが、カットして死体の数も1体に減らしました。
おかげさまで黒いところの全く無い、誰にでも楽しめる甘酸っぱい爽やかなラブコメディになりました!
……と編集部に言ったらきっと嫌な顔をされるそんな作品になりました。
以下、キャラクター解説。
《久遠悠紀》
主人公です。最初女の子だということを知らなくて、エピローグで突然そんなことを言い出したのでどうしようかと思いました。作者さえ騙すすごい主人公。
《白咲深春》
ヒロイン。
《紀史元ひかり》
サブヒロインの電波少女。引ったくり犯に捕まった少女が突然電波なことをわめきだしたので急遽設定を作ってサブヒロインにしました。行き当たりばったりです。彼女の台詞はノリノリで書けるので大好きです。彼女と主人公の組み合わせはシリーズ中一番好きなコンビです。
《黒違和慶介》
テロリスト。
《未至磨ツネヨ》
超人です。二つ名はブーメランばばあ。マシンガンばばあかトマホークばばあにしようかと迷いましたがどうでもいいやと思ってそのままにしました。頑張っても結局何も出来ない主人公と、別に頑張ってないけどなんでも出来る超人という対比により、主人公をより情けないやつに見せるという役割を持ったキャラクターです。主人公だからってなんでも出来るとは限らない。努力が報われるとは限らない。結局、主人公が終盤で見せた頑張りはただの徒労であったことが、未至磨ツネヨの登場によって明らかになります。いくら足掻いてもどうにもならないことや努力が空回りすることは、世の中に数多くあります。むしろ人生における努力の大半は徒労だと思います。それでも足掻くのが生きるということだと僕は思うのです。久遠悠紀という凡人と未至磨ツネヨという超人は、そのテーマを浮き彫りにするためのキャラクターなのです。…………という説明を今考えた。
『ホーンテッド!2 コトコトクライシス』ネタバレ解説。
MF文庫J 2004年12月25日発売 イラスト:片瀬優
デビュー作の続編です。一作目が「一見ラブコメっぽいようで何かが違う変なもの」であったのに対して、今作は完全に学園ラブコメになっています。一作ごとにジャンルを変えてサブキャラも総入れ替えという、シリーズものとしては少々無謀なコンセプト。もちろん売り上げ的には失敗。なお、サブタイトルのコトコトクライシスは「京都(コト)&奈良(コト)が炎上(クライシス)」と「登場人物たちがことごとく玉砕(クライシス)」というダブルミーニングだったのですが、本編中で言及するのを完全に忘れていました。自分の詰めの甘さが嫌になります。
以下、キャラクター解説。
《久遠悠紀》
主人公。最初の一行目で女の子であることが明かされますが、中盤で入浴シーンのイラストが登場するまで「これは嘘に違いない」と思っていた人が多数おられる模様。みんな素直じゃないんだから……。僕としては、「自分が女の子であると嘘を吐く男」というのは絶対にNGなのです。だってキモいじゃないですか。
《白咲深春》
ヒロイン。
《一ノ瀬可夜子》
2巻の真のヒロイン。ツンデレで黒髪ロングで委員長。色んなところで大人気。W瀬さんやF原さんからも「俺にくれ」と求愛されています。だがやらん。僕もツンデレは大好きです。色々いじめたくなります。主人公が女性だと知ったときの彼女の反応が見ものです。
《紺藤数馬》
クラスメート。物語のキーパーソンであるにもかかわらず挿絵は股間を押さえてうずくまるシーンの一枚のみ。それはともかく、書きやすくて動かしやすくて重宝しました。主人公と彼の会話はどれもすごく気に入っています。
《神河史記》
男性の電波キャラって珍しいんじゃなかろうかと思って作ったキャラ。男性陣ではトップでお気に入りのキャラなのですが、なかなか動いてくれないのでストーリーに絡ませるのが難しかったです。
《時山時雨》
ハゲ教師。
「かつてとある偉人がこう言った〜」という言い回しはかなり気に入っているのですが、偉人の言葉ありアンパンマンありと統一感皆無なのがちょっとどうかなあと思います。特に最後のエジソンの引用には今でもちょっと違和感を覚えています。
《美弥乃宮都古》
気付く人は気付くでしょうが一応説明しておくと、行方不明になった彼女の恋人というのは一巻に出てきた黒違和慶介のことです。他には特に説明することはありません。やられキャラです。……あ、そういえば彼女は驚くほど読者に人気がないです。MF文庫Jのアンケートはがきには「好きなキャラクター」を書く項目があるのですが、なんと彼女には一票も入っていません。今回登場しなかった紀史元ひかりや未至磨ツネヨにさえ票が入っているというのに0票。支持率0%。……まあ、解る気もしますが。
《逆本麻紀》
一部で大人気の淫乱バスガイド。プロットの段階では影も形もなかったのですが、いきなり登場して下ネタを怒濤のごとく吐き出し始めました。あのシーンはとてもスラスラ書けた覚えがあります。下ネタは大好きです。彼女は嫌いですが。なお、帰りのバスで彼女が言っている「素敵な男性」とは美弥乃宮都古を捜して京都にやってきた黒違和慶介です。
《抹白吏架》
割とヘビーな裏設定を持つ、人間嫌いなロリっ娘ちゃん。自分を含む全ての人間が嫌いなのですが、特に悠紀と深春には同族嫌悪を感じています。本当は壊れているのに普通の人間のフリをしているところが大嫌いらしいです。逆に時山先生や神河史記のことは人間だと思ってないので嫌いではありません。
『ホーンテッド!3 ラッシュ・アンド・ラッシュ』ネタバレ解説。
MF文庫J 2004年3月25日発売 イラスト:片瀬優
前編と後編でノリの全く違う二部構成の作品。一巻とも二巻ともまったくノリが違うため、ただでさえ賛否両論あるシリーズなのにますます賛否が分かれている模様。安定感とは無縁のシリーズ、それがホーンテッドです。おかげで売り上げはサッパリさ。
そんなひねくれた拙作を楽しんでいただいた読者様方、ありがとうございます。特に「感動した」という感想を幾つもいただき、本当に嬉しかったです。合わなかった人はすいませんが仕様ですので諦めてください。
ところで今回、二人の義妹が出てくるのですが、ストーリーが合わなかった人にも、義妹二人はおおむね好評のようで嬉しい限りです。
ぶっちゃけた話、ストーリーなんぞキャラクターを生かすためのギミックに過ぎないと執筆当時は思っていました。今はちょっと違いますが、そういうスタンスで書かれた作品もアリだと思います。
少なくとも三巻はまず、くおん(剣客少女)&イリス(心を閉ざした少女)というキャラクターの属性ありきで舞台や話を考えました。
以下、キャラクターの解説。
《久遠悠紀》
セクハラ小娘。妹属性持ちの一人目。
《白咲深春》
ヒロイン。
《久遠くおん》
ぱんつはいてない義妹。妹属性持ちの二人目。久遠くおんというネーミングは会心の出来だと自画自賛しています。
《イリス・クレセント》
ぱんつはいてる義妹。妹属性持ちの三人目。銀髪でゴスロリで無表情ロリで蛇腹剣という、作者の趣味全開で書いたキャラクター。誰がなんと言おうとトップでお気に入りです。なお、三巻発売前に前のウェブサイトで「義妹が出てくるぞー」という宣伝をたくさんしたのですが、彼女の存在はほとんど公開しませんでした。つまり隠しキャラ。どちらかというとストーリー的にはくおんより彼女の方がメインなのですが。ちなみに名前の由来は「暗殺者→殺める→あやめ→iris→イリス」。特にひねりのないネーミングなので分かった人もいるかと思います。
《リカルド・ザ・ブラックウィング》
マッスルなインディアン。深春と肉弾戦をやらせるために出したキャラ。インディアンにするか陰陽師にするかで迷いましたが、術とかはさすがにNGだろうということで肉弾戦専門のインディアンに。三巻の前半は超人バトルものではありますが、超能力バトルはホーンテッドの世界観でも完全にNOなわけです。その規制が少々バトルシーンを中途半端なものにしてしまった感は否めません。もっとはっちゃけた超能力バトルもいつか書こうと思います。
《カルロス・リンドバーグ》
カウボーイ。「馬を連れている」という属性のみが重要で作ったキャラクター。前半はサッパリ出番がありませんが、後半登場の丸橋千夏と組ませることで意外と良いキャラクターになったと思います。一巻の紀史元ひかり&久遠悠紀のコンビもそうですが、他のキャラクターと組ませることでその魅力が倍増する組み合わせがあることを学ばせていただきました。キャラクター小説とはキャラクター個人ではなく、そのキャラクター達の織りなす人間関係を書く小説なのだと再認識しました。
《丸橋高志》
二巻から引き続き登場している唯一のサブキャラクター。ひそかにお気に入り。出番はほとんどありませんが二巻でもちゃんと台詞はあります。32ページ二行目の「ひでぶっ」がそうです。
《丸橋千夏》
後半から登場の牧場の娘。妹属性持ちの四人目。本作中唯一の一般人ですが、精神面では誰よりも強い。強い女性は大好きなので、いつかこういうタイプのキャラクターをヒロインにしたいと思います。タイプは真逆なのですが、イリスと並びシリーズ中トップでお気に入りのキャラクターです。
《ヒンデンブルグ》
馬です。実は丸橋牧場の生産馬だったりします。競走馬時代の「グレートインテンション」を意訳すると「高い志」。つまり「高志」となります。彼女が産まれる直前、長男の丸橋高志が家を出て行き、それを悲しんだ彼の両親が、産まれた仔馬に息子の名前を付けたというわけです。なお、千夏は既に忘れていますが、千夏が初めて見た馬の出産がヒンデンブルグの誕生でした。それから17年以上の歳月が過ぎ、グレートインテンション改めヒンデンブルグは、自分の産まれた牧場で息を引き取るのだった。…………というちょっとホロリとする裏設定があるのですが、よく考えると競走馬の名前は生産者ではなく、馬を買い取った馬主さんが決めるのでした。本当に僕は詰めが甘い……。
《未至磨ツネヨ》
ブーメランばばあ。デザートイーグルの二丁拳銃。
《喪神象事》
物語のラスボスであり黒幕。…………というわけではない。
『ホーンテッド!4 エンドレスラビリンス』ネタバレ解説。
MF文庫J 2005年8月25日発売 イラスト:片瀬優
《シリーズの総まとめ的な解説》
僕はこのシリーズで、一巻では「頑張ったけど結局駄目だった話」を、2巻では「頑張らなかったらやっぱり駄目だった話」を、3巻では「頑張ったらなんとかなったけど特に嬉しくなかった話」と「頑張ることさえ出来なかった話」を書いてきました。なので完結編となる4巻は、シリーズを通して主人公が体験してきた「世界には救いなんて用意されていない」という事実を肯定し、ならば救い(ちなみに本編中でこれは《愛》という単語で表現されています)は自分の内側に見出していくしかなくて、それが「頑張って生きていく」ことなのだと主人公が気付くという、これまでの話の解答編みたいな話です。ネガティブな方向に行ききった末に、それでも前に進むことを諦めないという、限りなくネガティブに近いポジティブさみたいな、そんな感じを意図していたのですが、読者の皆さんには伝わったでしょうか。つまるところ『ホーンテッド!』シリーズは、主人公・久遠悠紀が現実に絶望しながらも足掻き、最終的に前に進めるようになるまでの、戦いの物語だと言えるでしょう。ただし、僕が描く久遠悠紀の物語はこれで終わりですが彼女の戦いはまだ続きます。あの終わり方がまるで打ち切りみたいだという声も多少あるのですが、僕はこれでよかったというか、これ以外、つまり「戦いはこれからも続くぜ」みたいないかにも少年漫画の打ち切りっぽい終わり方+「主人公が世界の中心にいるわけではない」というちょっと投げやりな感じの展開以外にはありえなかったと思います。強いて他の終わり方を考えるとすればそれは主人公の戦いが終わるとき……つまり主人公が死ぬ以外にないのですが……まあ、そんな終わり方は誰も望まないでしょうし。……あとはまあ、「ジャンル不明のなんか変な話」「ラブコメっぽい話」「アクションものっぽい話」「泣かせ系っぽい話」「ミステリっぽい話」と、これまで毎回ジャンルを変えてきて、もうやれるジャンル(および、そのジャンルでなくては表現できないテーマ)があまり残ってないという個人的な事情もあったりするのですが……まあ、そのへんはスルーで。
《物語構造について》
4巻は久遠悠紀と白咲深春の過去編と、学園祭を舞台にしたミステリ編で構成されています。どちらも「殺人」というキーワードで繋がっており前者が「ゴーストのいない普通の世界での殺人」、後者が「死者がゴーストになる異常な世界での殺人」なのですが、どちらも救いのない終わり方です。対比構造にも関わらず「やっぱり人を殺すのは取り返しのつかないことである」という同じ結果になっているわけで、この二つの事件(+これまでのエピソード)をもとに、エピローグで主人公が言う「ゴースト化現象があろうがなかろうが、世界はそれほど変わらない」という答えに繋がっていくというわけです。……でもまあ読者の皆さんはそんな細かい作者の意図なんて気にせず好きなように読んでいただければいいと思います(だったら解説なんて書くなという話ですが)。
ちなみにミステリパートでは、紺藤と一ノ瀬さんがアレなことをやってるシーンとか久遠家の食卓のシーンとか、ほぼ全てのシーンが解決編への伏線となっています。ちょっとヒントを出し過ぎてしまって犯人どころか事件の真相まであっさり予想が出来てしまった読者さんもいるみたいですが、もともと重要だったのは「探偵が殺されて自分を殺した犯人を追う」というイカれた構図だけで、トリックなどはそれほど重視してなかったので、これはこれでアリかと思います。
最後にあとがきのあとの「エピローグ&プロローグ」ですが、あそこで悠紀が幻視する光景は、一巻から四巻までのピンナップイラストに描かれているシーンです。さらには1巻、2巻のオビにあった「生きてればきっとイイこともあるよ」とか「この戦いは負けられない」いう台詞(ちなみにオビのこの台詞は僕が考えたわけではありません)を深春に言わせてみたりとか、色々小ネタを詰め込んでみました。こんなのはほとんど自己満足の領域なのですが、ちゃんと気付いてくれた読者さんもいるみたいで作者としてたいへん嬉しいです。
《キャラクター解説》
【久遠悠紀】
主人公です。髪をのばしたため、イラストが本作で屈指の可愛さになってしまいました。なお、表紙をめくったらでてくる扉絵のイラストは、この巻のエピローグが終わったあと、いずれ訪れるゴーストが消えてしまったあとの世界というイメージです。3巻を執筆していたあたりでは最後は深春が消えて終わりというのを考えていたのですが、シリーズを通してこの主人公を描きながら彼女の成長を見ていくうちに、あえて別れのシーンを描く必要はないだろうと考えるようになり、こういう形になりました。ちなみに冒頭のロリゆうきちゃんは僕がこれまで作ったキャラクターの中でトップでお気に入りです。書いていてめちゃくちゃ楽しかったのですが、出番が少なかったのでいつかリボーンさせたいと考えています。
【白咲深春】
ヒロインです。物語の主人公はあくまで久遠悠紀だという考えがあったため、彼女には「ヒロイン」という記号以上の役割を物語の中で与えてこなかったのですが、最後の最後に黒い本性を現してしまいました。まあ、2巻のラストとかで黒さの片鱗は見せていたのですが。僕は黒い女の子が好きなので、この巻で初めてこのキャラクターが好きになりました。なんて厭な作者だ。
【奈多彰人&尾張伊呂波】
「気持ち悪い関係の幼なじみ」という悠紀&深春の合わせ鏡的なカップル。悠紀は深春を大切に思いつつもちゃんと自分の足で歩いていく方向に進み始めましたが、一歩間違えば奈多先輩のような完全な依存へと陥る可能性もあったということです。
【風原夏樹】
真人間に見えて変人。このシリーズに真人間など存在しません。なお、風原夏樹が演劇の脚本をボロクソにけなすというシーンがありますが、あれは一巻発売当時、編集部から見るなと言われていたにもかかわらずネットで自著の書評(気取りの文章)を見て、そこで言われていたことを適当に抜粋しまとめたものです。自虐の意味もまああることはあるのですが僕としてはこういった部分を含めて『ホーンテッド!』だと思っているので、どちらかといえばあれは「君たちの書評(だと本人は思っているであろう何か)はしかと拝見させていただきましたよF●CK!」というメッセージです。悠紀の「さすがプロ志望だけあって的確な指摘だ」のあたりは完全に皮肉というか嫌味。一巻を酷評しやがった野郎が四巻まで読んでいることはまずないので割と無意味なのですが、自己満足っぽいささやかな抵抗。我ながら性格悪いですね。大人げないのでもうやりませんしネット書評も見ません。とりあえず、作家だろうがむかつくものはむかつくということだけは覚えておいてください。というかむしろこういう感性が重要な職業には大人げない人間の方が多いような気がします(知りませんけど)。で、ときどき僕のようにとりわけ常識知らずのアホが空気を読まずにこういうところで文句を言ったりするわけです。そしてさらに嫌われる。
【舞坂霧子】
女教師。実は彼女のキャラが最後まで掴めませんでした。とりあえず、空気が読めないことだけは確かです。
【紀史元ひかり】
せっかく美味しい設定を持っているので再利用してみました。
【一ノ瀬可夜子】
…………まあ、なんというかその……すいませんでした。
【紺藤数馬】
貴様はやってはいけないことをした!(←責任転嫁)
【時山時雨】
彼と神河史記だけは、いつまでもこんな感じで変わることなく生きていくことでしょう。
【神河史記】
最後に美味しいところをもっていく天才君。ちなみに悠紀は伊呂波先輩に言ったように彼のことが割と本気で好きです。深春に告白されていなければ、2巻ラストでの彼の告白にOKしていたと思われます。
【久遠くおん&久遠イリス】
萌え&ギャグ担当。くおんは天然ですがイリスはちょっと計算しています。
【久遠可憐】
主人公の義理の母。大抵この手の「主人公の母親」キャラは美人さんなので、あえて王道を外してみました。片瀬先生のラフもあるのですがここで公開できないのが残念です。
【未至磨ツネヨ】
今回は主人公達とは関係のないところで動いているようです。あくまで世界の末端にしかいない主人公と、世界の中心で動いている彼女との対比構造。これまで主人公達が世界の裏側に属するような事件に関わってきたのはみんなツネヨの行動のアオリをくらったようなものだったので、ツネヨが主人公達に関わらなければ必然的におかしな事件には巻き込まれないというわけです(悠紀も言っているように、今回の殺人事件は「ごく普通の事件」です)。ぶっちゃけ、ゴースト化の謎とかを主人公が知る必要はなかったとも思っているのですが(悠紀本人も興味なさそうですし)……まあ、ほとんど読者サービスです。サービスシーンなのにババアとおっさんしか出ないのはアレなので吏架ちゃんも追加。そんな感じ。
【喪神象事】
黒幕のようで黒幕でない人。ちなみに恐らく誰にも解らないであろう《論理の跳躍》と書いて「オオクジャクヤママユ」と読む元ネタですが、これはアンリ・ファーブルがフェロモンの存在を予測するに至ったエピソードに由来します。オオクジャクヤママユ(オオクジャクガ)の雌を偶然手に入れたファーブルは、その夜、窓に雄の蛾が大量に群がるのを見て、これは雌の蛾から雄を呼び寄せる物質が出ているのではないかと思い至り、その翌日貴重なオオクジャクガの雌の腹をかっさばいて出てきた液を窓に塗りたくりました。するとファーブルの予想通り、その夜も雄の蛾が大量に群がってきました。……うろ覚えなので細部は異なるかもしれませんが、この話がまあ、「特に明確な根拠もなくほとんど勘だけで一足飛びに結論を出したエピソード」として僕の中に印象に残っており、今回喪神の抱える特殊部隊の名前として採用したというわけです。超不親切な元ネタですいませんでした。
【抹白吏架】
最後の最後ですごい正体が明らかになってしまうロリっ娘。出番が少ない割に何故かイラストが二枚もあって優遇されています。前述の深春が消滅するエンディングを考えていた時期、主人公が最終的に彼女とくっつくという結末を考えていました。つまりキャラ紹介文の「実はこのシリーズの正ヒロインだった」というのは実話です。まったくロクなことを考えませんね僕は。なお吏架という名前についてですが「世界を欺いて生きている少女→嘘吐きな主人公と同属→主人公の二つ名が《墓穴掘り人形》→人形といえばリカちゃん人形→よって吏架」というこれまたろくでもない意味が込められています。
【黒違和慶介&美弥乃宮都古】
最後の方にこっそり台詞のみ登場。ファンサービスのつもりでほとんどファンがいないキャラをもってくるあたりがいかにも僕だなあと思う。本当はリカルドとか丸橋高志とかも出したかったのですが、ページもないし出しても誰も喜ばないので出しませんでした。
【白咲紅太郎】
白咲深春と久遠悠紀の実の父親。「黒」という名前(本編では明記されませんが)の別の人格を持っています。彼が多重人格になってしまった経緯については特に設定はありません。白咲秋奈、真里真理とは大学で知り合いました。出会い〜紅太郎が真理を陵辱するに至るまでのエピソードはちょっとだけ考えてあるのですが……まあ、この先も書く機会はないと思います。面白くないし。
【白咲秋奈】
深春の母親です。旧姓は秋月。美人で幼い頃から優等生として通っていたのですが、昔から虚栄心が強く精神的に脆いところがありました。大学で知り合った白咲紅太郎と真里真理と仲良くなり、いろいろあったあげく紅太郎と結婚するに至るのですが……そのへんのいきさつは暇なときにでも色々適当に想像してください。割と暗い話です。
【真里真理】
悠紀の母親です。享年23歳。生まれつき病弱で病院暮らしをしていたのですが、強靱な精神力で奇跡的な快復を遂げました。なお、未至磨ツネヨ&久遠可憐とは、妊娠数ヶ月の頃、一般参加者を募って行われた「未至磨抗限流護身術講座・地獄編」で知り合って意気投合しました。ちなみに未至磨ツネヨがただ一人「尊敬に値する」と認めた女性でもあります。
《おまけ》
今回キャラクター紹介ページの文章がアレな感じになっていますが、実はスペースの都合で載せられなかった他の登場キャラにも放射線系のウソ紹介文を用意してあったりします。せっかくなのでまとめて全部公開。
【久遠悠紀】ごく普通の恋する乙女。ちょっぴりドジなのが玉に瑕かも。
【白咲深春】悠紀の幼馴染み。ちょっとわんぱくなところもあるけど優しい女の子。
【尾張伊呂波】演劇に情熱をかける美少女。曲がったことが大嫌いな正義の味方!
【奈多彰人】成績優秀な出来杉君。性格も親切でみんなに愛されているぞ。
【舞坂霧子】普段は優しいけど怒ると怖い。悪い子はオシオキしちゃうゾ☆
【風原夏樹】札付きのワル。女好きで手が早いことで有名。
【紀史元ひかり】少し内気な女の子。リストバンドが好きなオシャレさん。
【久遠くおん】明るく元気な妹で、お兄ちゃまのことが大好きなんだ。
【久遠イリス】いつもすまし顔のおしゃまさん。本当は照れ屋さん。
【一ノ瀬可夜子】眼鏡が特徴的なクラス委員長。
【紺藤数馬】バカ。
【神河史記】なんでもできちゃう完璧超人。非科学的なものは信じない。
【時山時雨】フサフサな髪の毛が自慢で、触ると怒るぞ。注意!
【抹白吏架】実はこのシリーズの正ヒロインになる予定だったのだ!
【久遠可憐】いつも若々しいスリムで美人なお母さん。
【喪神象事】おちゃめ&おしゃれな恐るべき黒幕。
【未至磨ツネヨ】その正体は過去の世界に飛ばされた久遠くおん。
……どれが本当でどれが嘘なのかは想像におまかせします。
というわけで、これで『ホーンテッド!』シリーズに関して僕がやるべき作業はとりあえず全て終了です。デビューして約一年、なんか長かったような短かったようなアレな感じなのですが、この作品の中でやりたかったことは一通りやりきったと思います。好きなようにやったせいか売り上げが少々アレなのですがそこはそれ。少なくとも僕はこの作品を愛してるし最高に面白いと思います。こんなクセの強いシリーズを最後まで見捨てずに読んでくださり、あまつさえこんな解説コーナーにまで足を運んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。皆さんの応援のおかげで、僕はこれからもこの業界で頑張っていこうと思えるようになりました。今後ともどうぞよろしくお願いします。
平坂読 拝