良美
「対馬君、おはようっ」
佐藤さんが足早に駆けてくる。
レオ
「佐藤さんおはよー」
ふたり肩を並べて歩く。
良美
「カニっちは?」
レオ
「置いてきた、いつまでも寝てるから」
良美
「くす……また怒っちゃうよ?」
レオ
「いつものことだから」
軽い会話を交わす。
レオ
「……いっつも思うんだけど、
その肩にかけてるの、暑くない?」
良美
「私寒がりだから……5月の風でも身に染みるの」
良美
「だから、暖かいものが好きでね
部屋の内装も南国風にしてるんだ」
レオ
「ひょっとして髪長いのもそのせい?
なんか海老みたいだけど……」
良美
「海老はひどいよぅ……」
ちょっと傷ついたらしい。
レオ
「あ、ごめんごめん」
おかしい、佐藤さんは何故か話していると
微妙にいじめたくなってしまうのは何故だ?
エリカ
「→+中P、お嬢様バイシクルアタック!」
レオ
「痛ぇ!?」
折り畳んだMTBで殴られた。
エリカ
「何か知らないけど、マイフレンドである
よっぴーいじめたら、社会的に抹殺するわよ」
エリカ
「まず対馬クンのお父さんに業務不正疑惑を
なすりつけ会社を解雇させる」
レオ
「なんて陰険なやり方なんだ、やめてくれ」
レオ
「自分はいつもいじめてるくせに」
エリカ
「私のはコミュニケーションだもんねよっぴー」
姫が、自然な動きで佐藤さんの胸を揉む。
良美
「あんッ……ちょ。ちょっとエリー!」
エリカ
「んー。やっぱり1日1回はこれをやらないと
落ち着かないわね……」
レオ
「仲のよろしいことで」
レオ
「……つっ……」
マウンテンバイクで攻撃された
こめかみの部分から、血が滲んでた。
姫のつっこみ容赦ないからな……。
エリカ
「わんぱく坊主の勲章ね」
笑顔でそういうとワビもせずに去っていく姫。
良美
「あ、ごめんねぇ……エリー、強くやっちゃって」
佐藤さんが所持しているバンソーコを取り出した。
レオ
「いつも持ち歩いているの?」
良美
「うん、私ちょっとドジだから、軽いケガ
しやすいんだよねぇ……」
レオ
「あ、それ少し分かる」
良美
「うぅ……そうやって肯定されると
なんだか複雑な気分」
文句を言いながらも、優しく
手当てしてくれる佐藤さん。
良美
「ん、良かった……怪我自体はたいした事
ないみたい。ほんとごめんねぇ」
バンソーコの上から傷口をなでなでする。
レオ
「佐藤さんも大変だね、姫のお守りは」
良美
「うん! もうほんっっっっっと大変だよ」
良美
「それでも、エリーの事好きなんだけどね」
やっぱり、佐藤さんと話すと心が落ち着くな。
癒し系というやつかもしれない。
何故か俺には血の気の多い女性とか
集まってくるからな。
レオ
「……ん?」
周囲を歩くやつらの視線が、なんかこう痛い。
……………………
休み時間。
イガグリ
「なぁ、対馬ぁ」
レオ
「なによ、グリ」
グリ  イガグリ
「もうイガグリでもないんかい、せめて
イガグリにするべ」
レオ
「せまってくるな! 暑苦しい!」
レオ
「で、何よ?」
イガグリ
「おめーと佐藤さん、付き合ってないよな?」
レオ
「俺と佐藤さんが? 全然」
イガグリ
「んー、そーだよなぁ。でもハタから見ると
わりとそう見えるってさぁ」
レオ
「そうなのか?」
カニとは時々カップルと間違えられるが……。
レオ
「でも佐藤さんって誰にでも優しいじゃん。
だから俺だけ特別でもないだろ」
イガグリ
「んー、お前には特に優しいという説もあるが
…アーまぁ、付き合ってないならいいんだそれで」
イガグリ
「お前とオイラどことなく、キャラがかぶってるから
お前だけモテルのは納得いかねーんだ」
レオ
「どこがキャラかぶってんだよ、殺すぞマジで」
レオ
「しかし、やっぱ人気あるのかね、彼女は」
イガグリ
「優しくて可愛くて家事が出来て尽くしてくれそうな
タイプを嫌うやつはいねーべ」
レオ
「まぁ確かにな」
クラス委員長、佐藤良美は大人気だったとさ。
もう少しで校門に到着だな。
今日もカニは爆睡してるから放置プレイ。
良美  無音
「……」
佐藤さんがテクテクと歩いている。
えーと、昨日読んだ本に書いてあったな。
“今日も可愛いね”といって赤くなったら
その娘はあなたに脈アリです。
よし、佐藤さんなら冗談ですむだろうし。
いずれ姫に実戦してやる。
レオ
「佐藤さん、おはよ」
俺が話しかけると……
佐藤さんは、パァッ……って感じで
笑顔になった。
良美  共通
「対馬君、おはよう」
レオ
「今日も可愛いね、佐藤さん」
うわ、キザだなこのセリフ。
我ながら、声がうわずっていた。
日頃言い慣れない台詞を言うもんじゃないな。
良美
「……え……ぅ……ぁ」
顔が赤くなっていく……。
良美
「やだもう、可愛いなんて対馬君」
というか、うわ、真っ赤だ。
良美
「朝からからかわないでよぅ」
ぽんぽん、と腕を叩かれる。
良美
「えへへ……」
そう言いながらも嬉しそうだった。
心なしか距離も近い。
……か、彼女は誰にでも優しい……はず。
ここで自惚れたら、いつか自分を苦しめるぞ。
慎重に行こう。
その時、後ろからゾクリと殺気がした。
レオ
「――!?」
ばっ、と左方向に体を翻す。
エリカ
「ちっ、逃げたか。反応速度が上がってるわね」
さっきまで俺の立っていた位置に姫が
自転車をとめている。
レオ
「人を轢こうとしないでくれ」
エリカ
「よっぴーと和気あいあいと話してたんでヤキモチ」
レオ
「え、俺に」
エリカ
「バッカじゃないの? よっぴーによ」
レオ
「いや、ギャグなんだからそんな
冷たく否定しなくても」
エリカ
「あはは、いっちょまえに傷ついてんの?」
乙女
「そこ、自転車で暴走行為はやめないか」
風紀委員の介入で、朝の会話はここで終わった。
……………………
昼休みが始まって三十分以上経過。
俺達も昼飯を終わらせて
クラスの友達とトランプしていた。
新一
「ふぁー、微妙に眠いよ……」
豆花
「今さりげなく出したそれ、ダウト、ネ」
新一
「ぐ、通らないか……くそったれめ」
レオ
「お前も眠そうで大変だな。
昨日の夜も女子寮覗きに行ったのか?」
新一
「サラリととんでもない嘘つかないでくれよ!」
「フカヒレさん、発見されるのだけは
やめてくださいねー」
新一
「俺って信用ないなぁ…昨日なんて募金活動している
小さな女の子に興奮して500円も募金したのに」
良美
「そ、そういう発言が信用を失ってると思うな」
新一
「よっぴーのそれダウト!」
良美
「残念ながら通ってるんだよねぇ」
新一
「ちぃっ……! いじめがいが無いなぁ」
真名
「フカヒレ、それダウトや」
新一
「チクショー! やるじゃねぇか!!」
「フカヒレさんがダウト」
新一
「どういう意味っスか!?」
レオ
「よし、あーがり」
良美
「同じく。あがりー」
いえーい! と手をたたきあう。
新一  無音
「(あ、女の子に触りやがった。いいなぁ)」
「負けた人は館長室をピンポンダッシュですわねー」
真名
「ええなー、やろうやろう。どうせフカヒレや」
レオ
「アブね、あがって良かった」
レオ
「佐藤さんってこういう賭け事系強くない?」
良美
「ううん、必死なだけだよ」
あがった俺と佐藤さんは悠々と会話していた。
良美
「あ、ハンカチ落としちゃった……」
レオ
「!!」
……だから、無防備すぎだって。
皆からは見えない位置だからいいけどさぁ。
………………
平蔵  無音
「……」
平蔵
「ピンポンダッシュとは愉快な真似をするな
儂は気を探れるから、隠れても無意味だぞ」
真名
「ちゃうねん、館長! 罰ゲームでしょーがなく…」
良美
「よいしょ……よいしょ……」
新一
「あ、よっぴーが本運んでる、
さすがは生徒会書記、ガンバレーっ」
良美
「も、もう、よっぴー言わないでよぅ……ふぅ」
洋平
「佐藤さん。大変そうだな……手伝うよ」
良美
「あ、村田君。大丈夫大丈夫。1人でも持てるから」
洋平
「そうか? クラスは違えど委員長同士だ
遠慮はしないでくれよ」
洋平
「難儀な事に、君はあの超アホ集団2−Cの委員長だ
それだけで心労察して余りあるからな」
良美
「うん、でも1人で大丈夫だから」
良美
「そ、それに確かに苦労してるけど、
皆の事をアホって言うのはやめて欲しいかな」
洋平
「ん、失言だったな……すまん」
………………
さーて帰るかな……。
良美
「よいしょ……! よいしょ……!」
佐藤さんが重そうに本を運んでいた。
レオ
「佐藤さん、手伝うよ」
良美
「う、うん……それじゃお願いできるかな」
レオ
「ん……わ、結構重いねこの本」
佐藤さんが抱えていた半分以上の本を
持ってあげた。
良美
「わー、一気に軽くなった、ありがとうっ!」
レオ
「図書室から運んできたの?」
良美
「そうだよ。古い資料は、全部
データにしようって事で作業してるの」
2人で資料を執行部まで運ぶ。
誰もいなかった。
レオ
「これを全部データベースか。大変だね」
良美
「あ、ディスクが落っこちちゃった」
ぬぁ、またこのアングル……。
佐藤さん、お尻が大きくて、脚も
むっちりしているから眺めがいやらしいんだよなぁ。
良美
「とれたとれた」
レオ
「しかし、これ相当古い資料だね。
これって図書館棟の奥にある部屋まで
行かないとダメじゃない?」
良美
「執行部の書記だよ、鍵はもってるもん」
じゃらん、と鍵を見せる。
レオ
「なるほど。行動範囲は広くなるけど
仕事の幅も広くなる、か」
良美
「あはは、その分、いらなくなった本で
面白いのは、自分のに出来るけどね」
レオ
「佐藤さん、きったねー。ちゃっかりしてるな」
良美
「き、きた……な……?」
良美
「あ! あぁっ……! あぁぁぁっ……」
良美
「違ぁうっ!!」
レオ
「!?」
良美
「違う、違う違う違う違う違う違う違う!!
私は……私はキ、ヒ……! わたし、
き、き、た、ナイ、の……? ちがう、よ」
佐藤さんはブンブンと首を振っていた。
レオ
「佐藤さん?」
その場に倒れこんでしまった。
良美
「……ひゅっ………ひゅっーーーーっ…
ごほ、ごほっ、ごほっ……」
良美
「はぁっ……! はぁっ……! はぁっ……!」
レオ
「ど、どうしたの、大丈夫?」
良美
「……はっ!?」
良美
「ぅ……あ……そ、その」
良美
「つ、対馬君に、そんなこと、言われたくないから
取り乱しちゃって……ごめんね……」
ウルウルと涙目になっていた。
あぁぁ、なんてこった。
うろたえる俺。
いかなる時代でも男は女の子を泣かせてはいかん。
レオ
「ごめんね、傷つけちゃって……」
誠心誠意、謝る。
良美
「……う、ううん、いいの」
良美
「こっちもちょっと敏感に
反応しすぎたね……ご、ごめんね」
レオ
「いや、俺が悪い。ごめん」
良美
「ううん……こっちこそ、ごめん」
レオ
「ごめん……」
良美  無音
「……」
良美
「……あは、あやまりっこだね……」
レオ
「う、うん……」
良美
「それじゃあ、つ、対馬君が悪いって事に
していい?」
レオ
「え?」
良美
「こ、このままじゃラチがあかないから……
気分転換に喫茶店でお茶しようか。
何か一品おごってくれればチャラって事で」
レオ
「う……うん」
良かった、いつもの佐藤さんだ。
人間って繊細だよな……俺もそうだけど
ふとした言葉で凄い傷ついてしまう。
気をつけよう。
今朝も校門前で佐藤さんと挨拶。
良美  共通
「対馬君、おはよう」
レオ
「佐藤さん、おはよう」
パァッ……と明るい笑顔。
よし、今日も1日頑張ろう。
…………HR。
うちのクラスの連中は好き放題騒いでいた。
カード麻雀しているやつもいるし。
祈先生は、うたた寝していて機能してない。
良美
「みんなー静かにしようよー、他のクラスの
迷惑だからさー! ねー、聞いてよー!」
ざわざわざわざわ。
誰も聞いてない。
こんな時、お友達の霧夜エリカといえば。
エリカ
「優雅にっ! マージ・ジマ・バランガ!!」
エリカ
「はぁ……はぁ……今バラ何本出た?」
真名
「16本までいったで」
エリカ
「20本まで行かないのはエレガントさに
まだ欠けるのかしらね…でもいずれ極めて見せる」
異次元的な遊びをしていた。
なにやらバラの香気が漂ってくると思った。
よーし、ここは一発俺が言うしかない。
ガタッと席を立ち上がる。
レオ
「おいおいお前たち、佐藤さんが困ってるだろ!!」
レオ
「ちったぁ静かにしないと超殺すぜ?」
良美
「え……」
クラス中がシーンと静まり返る。
あれ、俺もっとさりげなく言ったつもりだけどな。
何か空気が……。
真名
「あれま、びっくり仰天や」
豆花
「よぴーをかばたネ! 愛ネ!」
レオ
「え、いや、違うそーじゃない」
レオ
「俺は一般常識をだな……!」
良美
「あ、ありがとうね対馬君っ……」
レオ
「い、いやぁ、何のこれしきですよ」
2人して、顔を赤くしてしまった。
気まずくなって、うつむく。
エリカ
「ヒューヒュー!」
真名
「ヒューヒュー!」
女子から一斉にからかわれる。
祈  無音
「(パアンッ)」
レオ
「先生、わざわざクラッカー鳴らさないで下さい」
イガグリ
「……なんか幸せそうで腹立つべ」
新一
「これから、レオはシカトしようぜ」
レオ
「程度の低い嫌がらせはやめろ」
豆花
「ちなみにシカトとは花札が起源ネ。
紅葉の札の鹿がうしろを向いて、まるで知らん顔
しているように見えることからというネ」
真名
「トンファー、ほんまに留学生か?」
生徒会活動が始まってから約1週間。
それだけで、平凡だった毎日が慌しい。
俺は1人気になる娘がいる。
佐藤さん……通称よっぴー。
殺伐とした人達が多い中で佐藤さんは
まさに癒される存在だ。
しかも、あっちは俺に気があるような感じだし。
正直、佐藤さんみたいな美少女に好かれるのは
とても嬉しい。
コロッと転んじゃいそうだ。
実際のところ、佐藤さんはどう思ってるんだろ。
新一
「某野球漫画のヒロインいるじゃん。そいつは
勉強も学年トップで性格も優しい皆からの人気者。
スポーツを始めれば、全国レベルにすぐなれる」
新一
「そんな余りにもリアリティのなさ過ぎる
ヒロインってのはどうよ? って前々から
思ってたけどよ……今なら信じてやってもいいね」
レオ
「何で?」
新一
「よっぴーさ。性格はついイジメたくなるぐらい
優しくて最高だし、ルックスも可愛いし
スタイルいいし、スポーツ出来るし」
レオ
「確かに佐藤さん、高スペックだな」
新一
「今日もさ、商店街であったんだ」
書店でさ、買い物袋置いて、
料理の本を夢中で立ち読みしてたから
袋取り上げちゃった。
良美
「さ、鮫氷君、何、何で私のを取り上げるの?」
良美
「返してよぅ! も〜、かーえーしてー!」
新一
「なんだか必死なよっぴーに萌えてたわけですよ」
レオ
「小学生みたいな真似すんなよ……可哀想に」
佐藤さんか……。
この時間帯は、何をしているんだろう。
読書とかかなぁ。
………………
なごみ  無音
「……」
良美
「椰子さん、珍しいところで会うね」
なごみ
「……佐藤先輩」
良美
「午前0時。1年生はもう帰って
寝なくちゃいけない時間だよ」
なごみ
「1年生も2年生も関係ないですよ、佐藤先輩」
なごみ
「そっちこそ、露出の多い格好で何をしようと
してるんですか?」
良美
「私はただの散歩だよぅ、そこらへん
周るだけで帰るもん」
良美
「椰子さんは、ずーっと駅前にいるから少し噂に
なってるよぅ?」
なごみ
「別に……気にしませんし」
良美
「そっか。まぁ深入りはしないよ。
それじゃあね椰子さん、また学校で」
なごみ
「はい、また“今日”」
なごみ
「……佐藤、良美先輩、か」
なごみ
「……なんか、嫌な感じがする」
6時限目終了時。
男子はソワソワしていた。
レオ
「女子は調理実習か……」
新一  共通
「皆、分かったぜ。今日はB組との合同実習で
クッキーを焼いたようだ」
イガグリ  共通
「おおっ、クッキー。甘いの好きだべ」
スバル  共通
「まぁ、3時の茶菓子には丁度いいな」
新一  共通
「手作り菓子が義理とはいえ食える。たまらんな」
…カニに無理やり菓子を食わされるかもしれない。
冗談じゃない、あんなマズイもの食えるほど
俺は人格者じゃないぞ。
教室のドアを開けて逃亡開始。
相手はスバルとフカヒレに任せよう。
……よし、早めの避難完了。
安堵した瞬間、執行部の扉がカチャリと開いた。
良美
「対馬君、執行部に来るの早いね」
レオ
「良かった、佐藤さんか……カニが
ここまで来たのかと思った」
良美
「丁度良かった。実習でクッキー作ったんだ。
良かったら食べない?」
レオ
「食べる食べる。佐藤さんが作ったものなら大歓迎」
良美
「うん、じゃあお茶入れるね」
佐藤さんと2人だとこの部屋も落ち着くな。
クッキーを捕食。
レオ
「……うん」
佐藤さんは上目づかいでチラッと
こっちの反応を見ていた。
レオ
「美味い」
良美  共通
「良かったぁ……」
レオ
「バレンタインの時といいお世話になってるなぁ」
姫相手にはりきって作り過ぎちゃった、との事で
大きなハート型のチョコをもらったのだ。
良美
「はい、お茶をどうぞ」
ティーカップを手に取る。
いい香りがした。
向かいに座ってニコニコと俺を
見ている佐藤さん。
良美
「いい食べっぷりだね、対馬君」
良美
「作り手側としても、見てて気持ちいいよ。
これからも何か作ってあげようかなぁ?」
レオ
「でも俺、ただ食うだけだぜ」
良美
「うんっ………そ、その………」
良美
「つ、対馬君のためなら……いくらでも
……作っちゃうよぅ」
カァッと赤くなる佐藤さん。
俺も恥ずかしくなって目線を逸らす。
……か、彼女は誰にでも優しいはず。
これを好意ととるのは自意識過剰だ。
他人を喜ばせるのが好きな人なんだろう。
にしても、それにしても好意的過ぎだ。
乙女
「ん、何だ。来てるのは2人だけか」
レオ
「乙女さん」
乙女
「ほぅ、クッキーか、私はクッキー好きだぞ」
良美
「あはは、鉄先輩も宜しければどうぞ
私が焼いたものですけど」
乙女
「そうか。佐藤の手作りとは嬉しいな、頂きます」
乙女
「うん……(モグモグ)……うん、美味しいな」
乙女
「お茶も実に美味い。佐藤はいい嫁になるな」
良美
「からかわないで下さいよぅ、先輩」
何故かしらないけど、佐藤さんは照れながらも
俺をチラッと見た。
今日の生徒会の業務は大変だった。
もう夕方になってるよ。
姫は用事があるからってさっさと帰るし。
1人2人と減っていって
残るは俺と佐藤さんだけになっていた。
レオ
「そろそろ帰ろうか、佐藤さん」
俺が自分のカバンを持つ。
良美
「あ、うん……あの、すぐ閉めるから……
い、一緒に帰ろうよ」
レオ
「……うん」
こういうお誘いは素直に嬉しい。
良美  共通
「ちょっと待っててね」
テキパキと片付けを開始する佐藤さん。
レオ
「俺も手伝うよ」
ティーカップぐらい洗おう。
良美
「あ、いいよ、洗うから」
佐藤さんが手を伸ばす。
でも俺はすでにティーカップを持ってたわけで。
手が重なり合う。
良美  無音
「!」
はっ、となって見つめあう。
良美
「あっ……いや、その……」
レオ
「あ……ごめん」
バッ、と手を離す。
……あー、な、なんともお約束な展開を。
お互い口数が少なくなってしまった。
代わりに胸の鼓動が高鳴っている。
レオ
「じゃ、帰ろっか」
良美
「……うん……」
佐藤さんは顔を赤らめながら頷いた。
………………
執行部を後にする。
校庭にもまだ生徒の姿があるな。
こんな夕方でも人は結構残っていた。
体育武道祭が近いからだろう。
俺と佐藤さんが並んで歩く。
それを他の人達に見られると照れる。
時々一緒に帰ってるのに、何故か今は
凄く恥ずかしい。
良美
「対馬君はさ、伊達君達と夜も遊んでるんだよね」
先に口を開いたのは佐藤さんの方だった。
レオ
「――え、あ、うん。そうだよ」
良美
「いいなぁー、そういうの」
良美
「私はね、一人っ子にくわえて、
今は地方から出てきて一人暮らしでしょ」
良美
「なんかそーいうのに憧れるなぁーって」
レオ
「どうしたの急に」
良美
「あはは、今日伊達君と対馬君が、和気あいあいと
作業やってるのを見て、そんな事考えちゃってね」
良美
「あんな風に仲良く昼も夜もやっていけるのは
幸せだろうなって」
レオ
「佐藤さんにも姫……霧夜エリカがいるじゃない」
良美
「うん、そうなんだけどねぇ」
良美
「エリーはホラ、普段仕事とかで忙しいから」
レオ
「……そっか……」
キリヤカンパニーの後継者候補も大変だ。
良美
「良かったらさ、今度家に遊びに来てよ」
レオ
「佐藤さんがいいなら、いくらでも」
レオ
「カニなんか、そっち住み着いちゃうかもよ」
良美
「あはは……別に皆集めなくても、
対馬君1人だけでもいいんだよ」
じっ、と見つめられる。
レオ
「佐藤さん……」
レオ
「あれ、そーいや佐藤さんの家ってどこなの?」
良美
「このまま歩いて、国道まで行ったところにある
レイオンズマンションの602号室」
レオ
「へぇ、ドブ坂の入り口にあるとこか。
あそこに住んでたんだ」
良美
「場所分かるんだ、さすが地元だねぇ」
レオ
「というか、めっちゃ近場」
良美
「あのぉ、その……良かったら……今から来る?
誰もいないから、2人っきりだから、気軽だよ」
レオ
「あ、ごめんね。今日はカニがバイトしている店で
新作カレーの味見バイトがあるんだ」
良美
「あはは、ほんとに仲良しなんだね」
レオ
「まぁ、腐れ縁というか」
良美
「いつでも……来てね?」
レオ
「う、うん……」
会話が途切れる。
良美
「……そ、そういえばさ」
レオ
「?」
良美
「対馬君、進路希望調査……何か書けた?」
レオ
「はは、無難に進学って書いた」
良美
「うん、私も……」
良美
「エリーにはキリヤカンパニーに誘われてるけど」
レオ
「そうなんだ。悪名高いけど世界に名を轟かせる
一流企業だし、いいんじゃない?」
良美
「うん……職業的な事はそれでいいんだけど」
良美
「それじゃ、ちょっと満たされないって言うか
精神的な事なのかな」
良美
「私は、ただ……幸せになりたいなって思うの」
レオ
「幸せ」
良美
「そう、幸せ」
レオ
「それはつまり……一人っ子の佐藤さんとすれば
優しい旦那さんと、可愛い子供、
それと犬あたりを飼って温かい家族、みたいな?」
良美
「…それはいいねー、うん、ほんと温かい家族だね」
レオ
「それにはまず、優しい旦那さん見つけないとね」
良美
「うん、対馬君ぐらい優しい人がいいなぁ」
俺の目を見て笑う佐藤さん。
気が付けば、もう分かれ道だった。
良美
「それじゃあね、対馬君」
レオ
「うん……バイバイ」
佐藤さんは、見えなくなるまで
ブンブンと手を振り続けた。
なんだか、プライベートな話題を
いっぱいしている気がする。
しかもこっちが聞くでもなく
佐藤さんが答えてくれた。
胸の奥がドキドキする。
甘酸っぱい気持ち。
明日も佐藤さんと話したくなった。
幸せになりたい……か。
ってあれ、じゃあ今は幸せじゃないって事?
つまり一人っ子で一人暮らしで寂しいから
幸せじゃないって事なのかな。
何かと気苦労が耐えないのも良く分かるし。
幸せにしてあげたいなぁ。
5〜6時間目。
HRで体育をやっていた。
平蔵
「さぁ儂が鍛えてやるぞ。いいか10分間
息を吐き続け、10分間息を吸い続けろ」
男子は館長監視の下で無茶なランニング。
女子は体育館でバスケをやっていた。
レオ
「はぁっ……はぁっ……疲れた」
スバルとフカヒレめ、サボりやがって。
平蔵
「それしきの事でへばっていては
熊を倒す事なぞできんぞっ!」
レオ
「いや、別に倒せなくてもいいし……」
館長が、ひゅるるるると息を吸い続ける。
“カマイタチ”が発生し物体を飲み込んでいた。
……とことん人間技じゃない。
帰りのHRも、グラウンドで済ませてしまった。
女子も体育館で済ませているのだろう。
喉が渇いた。
そうだ、執行部には冷たい麦茶が
冷蔵庫で冷えてるはず。
それを頂いてしまおう。
ガチャリ
良美
「きゃっっ……!!」
レオ
「えっ!?」
良美
「あ、あの、私、お昼休みここで作業してて
5時間目ホームルームで体育だから
ここで着替えたほうがいいと思って……」
レオ
「あ、あぁ、ご、ごめん! 着替え中だったのね」
レオ
「すぐに消える!」
部屋を出て行こうとすると、向こうから
声が聞こえてきた。
エリカ
「今日の私も、視線だけで女の子が
濡れてしまうぐらい美人だわ」
この自信とセクハラが入り乱れた発言、姫だ。
佐藤さんも姫の接近に気がついたみたいだ。
姫がここに来る。
佐藤さん下着で、俺がこの状態で?
……それは嫌過ぎる。
一体何をされるか……。
良美
「対馬君、こ、こっち!」
腕をグイッとひかれた。
良美
「このロッカーの中に、急いで!」
バタン!
エリカ
「ハロハローっ、よっぴー着替え中だろうから
襲いにきたよーっ」
エリカ
「って、いないじゃん。なーんだ、つまんないの」
良美  無音
「……」
レオ
「……」
こんな状況になってしまったわけで。
つうかこれ俺が隠れる必要あったのか?
まぁ嘘が上手じゃないからバレてしまうかも
しれない危険性はあったけど。
足元には、佐藤さんの体操服と制服が。
良美
「……対馬君……」
レオ
「さ、佐藤さん……」
お互いの体が、ぴっちりと密着している。
しかも、佐藤さんはあられもない下着姿で。
むっちりとした感触がまんべんなく体中に……。
良美
「あ、あんまり声を大きくしないでね
見つかっちゃうから……」
きゅっ、と俺の袖を握る。
レオ
「うん、分かってる」
こんな状態で見つかってしまっては、
佐藤さんは身の破滅だ。
物音は立てない。
エリカ
「ま、いいやネットでもやろ。
巨乳サイト更新されてるかな?」
俺の位置からは外が見えない。
レオ
「どう、佐藤さん? 隙間から見える?」
良美
「うん……分かる。エリーがパソコンやってる」
レオ
「出るに出られないな」
良美
「もうしばらく……このままだね」
レオ
「うん」
佐藤さんと、ぴったりと密着。
体育が終わったばかりの佐藤さんの
体は火照っていた。
甘ったるい女の子の匂いが俺を刺激する。
レオ
「うぅ」
感触が気持ちいい分、地獄だ。
もぞ、と脚を動かす。
良美
「あん……っ」
レオ
「え」
良美
「あんまり……動かれると、その」
はぁっ、という切ない吐息が胸にかかる。
レオ
「あ、ご、ごめん」
ま、まずいぞ。
こんなに密着していては、もし勃起したら
すぐにバレてしまう。
こらえろ、気合でこらえろ俺。
きぬ
「オース」
「今のところ、お2人ですか」
なごみ  無音
「……」
ぞろぞろと人が集まってきた。
まずい、本格的に出るに出れない。
良美
「つ、対馬くぅんっ……」
佐藤さんが不安そうにしがみついてくる。
レオ
「大丈夫、バレないから」
ちゃんと目を見て話してあげたほうがいいな。
レオ
「安心して、佐藤さ――」
レオ
「!?」
良美  無音
「?」
さ、佐藤さん……胸、そんなに大きかったんだ。
こ、このアングルはまずい。
佐藤さんが動くたびに、量感たっぷりの
胸がムニッと揺れる。
た、たってしまう。かくなる上は
超奥義!
幻影友人!(ファントム・フレンド)
フカヒレの顔を思い浮かべる。
よし、これで血のめぐりもおさまった。
良美
「対馬君、大丈夫?」
レオ
「う……うん、大丈夫」
このアングルは危険すぎるが……。
佐藤さんが、上目づかいでこっちを
ウルウルと見ている。
まずい、不安がらせてはだめだ。
俺もしっかりと目を見てあげる。
うぅ、その胸は既に凶器だ。
しかもロッカーの中に押し込められてるので熱い。
佐藤さんの肌がうっすらと汗ばんでいる。
良美
「対馬君、どうしよう……」
レオ
「どうしたの?」
良美
「くしゃみが出そうで……」
レオ
「き、気合でこらえて」
良美
「か、体さすってくれない? そうすれば……」
レオ
「ン、分かった」
佐藤さんの背中を優しくさすってやる。
レオ
「どう?」
良美
「何とか……大丈夫」
レオ
「く……」
柔らかい背中をさすっているうちに……
俺のペニスが。
ついに勃起してしまった。
良美  無音
「……!」
レオ
「……くっ」
レオ
「ご、ごめんね、少し脚の位置をずらすね」
もぞ……。
良美
「あぁっ……つ、対馬君」
ヒクン、と震える佐藤さん。
脚が敏感な部分に当たってしまってるようだ。
レオ
「だ、大丈夫?」
良美
「うんっ……、だ、大丈夫」
レオ
「ちょっと脚を動かし続けるよ」
もぞもぞもぞ。
良美
「んっ……あ……あ」
佐藤さんがピクピクと反応している。
その声の艶かしさに余計ペニスが反応してしまう。
泥沼だった。
良美
「あ、どうしよう……制服の中の
携帯、鳴ったら音でちゃう」
レオ
「げっ」
レオ
「しゃがんで携帯とれる?」
良美
「うん、なんとか」
こうして俺達は問題を1つ1つ解消していった。
………………
良美
「はぁ……はぁ……」
レオ
「はぁ……はぁ……」
喉が乾いた。
2人とも、ぴっちりくっついているので
もう汗だくだ。
ムンムンとした熱気がロッカー内に充満している。
エリカ
「さて、それじゃ今日は解散しましょうか」
「そう言いながら寝ている私の胸を揉まないように」
エリカ
「あれ、起きてました?」
エリカ
「んー、それにしてもよっぴーどこ行ったのかなー」
バタン、と出て行く音。
そして外側から鍵をしめる音。
よ、ようやく解放された。
すぐに水分補給。
レオ
「佐藤さん?」
良美
「はぁっ……はぁっ……はぁっ」
佐藤さんは、くてっと力なく
床に倒れこんでしまった。
レオ
「あ、大丈夫?」
レオ
「は、はい……水」
佐藤さんにペットボトルの口を近づけ、
水を飲ませてあげた。
良美
「ん……んぐっ…んぐっ……んっ……んぐっ…んっ」
彼女の白い喉が、ごくりと動く。
口にはいらず、こぼれてしまった水が
佐藤さんの体を、ツーっと流れていく。
良美
「はぁ……はぁっ……」
レオ
「落ち着いた?」
良美
「うんっ……ありがと」
佐藤さんは、俺が目の前にいるというのに
ダラリと脱力状態になってしまった。
無防備な下着姿を晒している。
くっ……逃げ出したい。
でもここで放っておいて逃げるわけにはいかない。
とりあえずスカートと制服だけでも着せないと。
レオ
「佐藤さん、これ制服。置いておくから、着てね」
執行部を出る。
出口のところで、ようやく一息つく。
レオ
「はぁ……」
火照った体に風が心地よかった。
それにしても、桃色地獄とはあのことか。
むせかえるような色気だった。
理性を保てた俺に乾杯。
レオ
「佐藤さん……入るよ」
レオ
「あ、ちゃんと制服着れてるね」
レオ
「良かった。それじゃあ俺は帰るから」
レオ
「今日はほんと……ごめんね」
俺は脱兎の如くその場から逃げ出した。
…………………
夜。
レオ
「あぁぁーっ、なんか、もうなんていうの?」
すっごくムラムラする。
あんな事があったら、そりゃ誰だって。
でも自慰なんかしたら、佐藤さんに悪い気がする。
だから俺は我慢。
風呂で体洗うときも、この部分だけは
刺激しないことにする。
葛藤の中で眠れぬ夜を過ごした。
HRのはじまり。
相変わらずクラス全員、ザワついて過ごしていた。
好き放題に騒ぐダメ人間達。
真名  無音
「……?」
きぬ  無音
「???」
皆が気付く。
このザワザワした雰囲気を叱るものがいない。
いつもオタオタと皆をまとめをしようとしてた
佐藤さんがいない。
きぬ
「あれ、今日ボク達の委員長、よっぴーは?」
レオ
「……まだ来ていない」
佐藤さんを完全に意識してしまってる
俺は、彼女がいつ来るかチェックしていた。
だが、どういうワケか今日は来ていない。
「皆勤賞だった佐藤さんが……
霧夜さん、何かご存知ですか?」
エリカ
「いえ、トンと。こっちも心配しているぐらいです」
普段、優しい佐藤さんがいない、という事で
皆ザワついていた。
それぞれ佐藤さんには世話になってるからな。
クラスの委員長である彼女は、もはや
教室にいなくてはならない存在になっている。
エリカ
「……よっぴー、どうしたんだろ」
なんせ姫までアンニュイにさせるぐらいだから。
――放課後。
結局、佐藤さんは学校に来なかった。
豆花
「心配ネ、よぴー」
真名
「ただの風邪ならええんやけどね……
孤独死とかあるやん」
レオ
「縁起でもないことを言わないでくれ」
きぬ
「よっぴーいないとなんかこのクラス、
調和がとれないよね」
レオ
「自分で調和をメチャクチャ乱してよく言うよ」
「とりあえず皆さん、黒板が汚いままですわよ」
豆花
「それ、いつもよぴーが消してたネ」
「お花も元気が無いですわ」
真名
「よっぴーが水足しとったからなぁ」
「教卓のまわりも汚れてますわ」
新一
「よっぴーが……以下略」
「窓の戸締り……以下略」
スバル
「よっぴー以下略」
「以下略」
きぬ
「イカ」
もう何がなんだか。
要するに、佐藤さんに皆
甘えすぎというのが判明した。
「皆さん、これを機会に少し戒めてくださいな」
土永さん
「おまえもな」
エリカ
「よっぴー、大丈夫かな……」
姫が心配そうにメールをうっている。
レオ
「姫、佐藤さん風邪なのかな?」
エリカ
「うーん、それが携帯繋がらないのよねぇ」
エリカ
「お見舞いに行きたいけど、ここ前後一週間は
キリヤカンパニーの方が忙しいのよ
特に今日と明日は超重要でさ」
エリカ
「……ん、待てよ。対馬クンなら、最近の
様子を見るとよっぴーも気に入ってるっぽいし
真面目だから頼めるかも」
エリカ
「ってか、対馬クンしかいないか実は?」
レオ
「なにが?」
エリカ
「私の代わりによっぴーの家に行って
様子を見てきてくれないかしら」
レオ
「俺が?」
エリカ
「うん。で、よっぴーに伝言お願いできる?」
エリカ
「セリフ伝えるだけ、実際会わなくていいから」
エリカ
「頼めるかしら?」
レオ
「いつものように命令形でもいいよ」
エリカ
「ん。こればかりは、ヨロシクって形かな」
佐藤さんがらみだと姫も謙虚になるな。
レオ
「いいよ、俺も心配だしね」
つうか昨日の出来事のせいかもしれないし。
レオ
「佐藤さんの家もこの間教えてもらったんだ」
エリカ
「そこまで知ってるんだ、よっぴーがそこまで
心許してるって事はこりゃますます適任ね」
エリカ
「私も、もし風邪とかだったら明日から
家の用事をキャンセルしてでも
よっぴーのお見舞いに行くから」
レオ
「姫、そんな心配しなくても大丈夫だよ」
エリカ
「ン……でも私がメールなり電話なりしたら
絶対返事くれたのにそれが無いのが気になってさ」
レオ
「寝てるだけかもしれないじゃない。
とりあえず様子見てくるから」
エリカ
「くどいようだけど、中には入らなくていいから。
インターホン越しに様子を聞くだけで」
レオ
「うん、風邪だったら無理させちゃ悪いしね」
エリカ
「それじゃ、よろしく」
姫はポニーテールを揺らしながら教室を後にした。
……姫が戻ってきた。
エリカ
「あ……っと、はいこれ私の携帯番号。
様子見に行って、緊急的な事があったら電話して」
レオ
「ん、他の人には携帯番号秘密ね」
エリカ
「当然でしょ。そう簡単に教えないし」
姫は気をとりなおして、教室を後にした。
……姫が戻ってきた。
エリカ
「よっぴーが、私の事を口にしたら
なんでもいいから早く声を聞かせてって
言っておいて」
エリカ
「時間ギリギリだ……ったくもう!」
姫は今度こそ教室を後にした。
姫……本当に佐藤さんの事が好きなんだな。
よし、俺もきっちりお見舞いしよう。
というか昨日のあの一件。
ウブな佐藤さんの事だから、アレが
気まずくてこっちにこれないのかも。
実際、俺も顔をあわせるの恥ずかしかったし。
もしそうなら、きっちりフォローしておかないと。
佐藤さんは純真なんだ、優しさを心がけていくぞ。
……………………
ここが佐藤さんのマンションだな。
602号室……あ、あった。
ネームプレートに佐藤巧&良美 と書いてある。
……お、男の名前が書いてある?
なんでだ? お父さんか?
でも、1人暮らしなんだよな、佐藤さん。
それなのに男の名前。
ピンポーン。
レオ
「……返事が無いな」
心配だな、中で倒れてるのではないだろうか。
チャイム連打。
良美  無音
「……?」
ガチャリ、とドアが開く。
チェーンはしっかりかけているから
わずかしかドアは開かない。
そこに佐藤さんが顔を出した。
レオ
「やぁ、佐藤さん」
良美
「つ、対馬君……どうしてここに」
レオ
「お見舞い。多忙な姫に代わり
様子見て来いとも言われてるしね」
良美
「あ……あ……あ、ちょっと待っててね
片付けるから」
レオ
「あ、いいよいいよ。どんな感じか聞きに
来ただけだから」
良美
「そ、そういうわけにもいかないよぅ!
待っててね!」
バタバタと家の中に戻る佐藤さん。
……10分経過。
長いよ佐藤さん。
良美
「ご、ごめんね、もうちょっと待っててね!」
良美
「あ、あとちょっと、あとちょっとだから?
は、はい、漫画でも読んでてねっ」
レオ
「ゴノレゴとは……意外と渋い趣味を……」
結局、30分ぐらい待たされた。
良美
「ご、ごめんねぇ……さぁ、入って入って」
あれ、佐藤さんうっすらとお化粧してるのかな。
素でいいのに。
家の中に入る。
良美
「あはっ……」
レオ
「?」
良美
「対馬君が家に来てくれた♪」
佐藤さんは嬉しそうに言いながら、ガチャリと
ドアの鍵を閉めた。
さらにチェーンロックもかけている。
レオ
「おぉ……」
レオ
「南国風だ!」
良美
「うん……寒さ苦手だからねぇ。
まずは気持ちから。ここだけハワイだよ」
レオ
「へぇー」
布団が敷かれている、ここで寝ていたのだろう。
ゴミ箱には大量のティッシュが捨ててあった。
レオ
「やっぱり風邪?」
良美
「うん……少しだけ熱が出たみたい」
律儀にお茶を出してくれる佐藤さん。
レオ
「そ、それなのに慌てて片付けさせて悪いね」
良美
「ううん。もう完全に治ってるから」
レオ
「制服なんだね」
良美
「うん、学校行こうとは努力したんだけどね」
良美
「どうしてもダメだったから」
レオ
「うん、無理しない方がいいよ」
良美
「でも、もうすっかり良くなっちゃった」
レオ
「本当? はい、丁度ここに体温計があった」
良美
「もう、本当だって言ってるのに」
36、6。
うむ、平熱っぽい。
レオ
「佐藤さん、おでこ失礼」
ぴとっ。
熱があるワケじゃ無さそうだ。
レオ
「はーっ、良かった。本当に大丈夫そうだね」
良美
「そ、そんなに心配してくれたんだ」
なにやら佐藤さんが濡れた瞳でこちらを見ている。
いや、そんな感激されても……。
レオ
「ほら、き、昨日の事とか、あったし」
良美
「う、うん。まぁあれのせいだとは思うけど」
レオ
「あぐっ、やっぱり」
ロッカー密着のせいで発熱してしまったのか。
良美
「責任とってくれる対馬君?」
レオ
「とほほ、俺でよければいくらでも」
良美  無音
「……」
レオ
「佐藤さん、そういえばさ」
レオ
「表札のところにある巧って誰?」
良美
「あぁ、あれはダミーだよ」
良美
「女1人だと思われると、危ないから」
……あ、そうか。
世の中危険がいっぱいだからなぁ。
レオ
「えーと、他に用件は……あ、そうだ。
姫が電話してくれって」
良美
「うん、でも今忙しいんでしょ?
とりあえずはメールいれておくね」
レオ
「そうだね、それがいいと思う
電話はまた夜にでも。
あっちから電話かけてくるかもしれないし」
レオ
「それじゃ、俺帰るよ」
良美
「ええっ、もう!?」
レオ
「だって佐藤さん病み上がりじゃない」
良美
「ううん、大丈夫」
良美
「夜になっても1人だし、逆に心細いかも」
レオ
「そう?」
まぁ1人で暮らしてればそうだろうな。
よし、存分に話し相手になろう。
レオ
「なら、今日の学校での面白トークでも聞く?」
良美
「うん聞きたい、聞きたい」
話は弾んだ。
今日の学校の出来事とか、姫の事とか。
楽しい時間だった。
………………
会話にひと段落ついた。
気が付けば、もう完全に夜だ。
レオ
「さて、それじゃそろそろ本当に帰るよ」
良美  共通
「ええっ、もう!?」
レオ
「いや、夜だし。明日学校あるじゃない」
良美
「な、なんなら……その、と、泊まっていく?」
上目遣いで見る佐藤さん。
なっ……なんて……事を!
レオ
「佐藤さん、俺は佐藤さんが心配だ」
がしっ、と肩を組む。
良美  共通
「はぇ?」
蝿?
レオ
「そんな、クラスメートの男子に気軽に
泊まっていかない? なんて無防備すぎる」
レオ
「俺はまぁ、あの人はとっても紳士的ねって
近所でも評判なぐらいの男だからいいけど、
フカヒレとかだったら佐藤さん襲われちゃうよ」
良美
「あはは、だってクラスメートで家知ってる
男の子なんて対馬君だけだよ」
レオ
「え」
良美
「……泊まっていく? なんて
対馬君じゃなきゃ聞かないよ……」
レオ
「佐藤さん?」
顔が近付く。
良美
「対馬君には、いろいろ間接的に誘ってみたけど」
間合いをとろうとした。
良美
「どうにも鈍いみたいだから……正面から行くね」
だけど佐藤さんの手が俺を捕まえている。
――そして。
良美
「――ん」
レオ
「!」
レオ
「ん……」
いきなり、唇を奪われた。
佐藤さんが俺にいきなりキス?
え、これ俺の人生初キス?
唇が離れる。
レオ
「佐藤……さん?」
事態がつかめない。
いきなり、歯が当たるぐらいのキスされて、
これ何の冗談なんだろうか。
良美
「対馬君……」
事態が掴みきれない俺を佐藤さんが見つめている。
良美
「好き……ずっと前から……大好き」
それは、心をこめた一言だった。
レオ
「え……」
佐藤さんが……俺を好き……?
自惚れじゃなかったのか。
レオ
「でも、お……」
がばっ!
良美
「ン――ん……あ、ん」
レオ
「ん、ん……」
喋る事が許されなかった。
そりゃ、佐藤さんにかなりの好意は
もってるけどいきなり、こんな。
良美
「――ん、んっ……む」
レオ
「んっ……ん!?」
ぬるり……。
唾液でぬめった舌を口内にいれられた。
良美
「ん……んふ、ん……」
自分の口内を、他人の舌が生き物のように
這っていく、ヌラついた感触。
レオ
「んっ……ん」
だめだ、佐藤さんを突き飛ばそう。
落ち着いて状況を整理するんだ。
そう思った瞬間。
良美
「ん……ちゅ……くちゅっ……ん」
レオ
「!」
とろり、と佐藤さんの温かい唾液が
流し込まれる。
頭はパニくってるのに、体はその
甘美な感触にじぃんと痺れてしまった。
体に毒を注入し、相手を
動けなくしてから捕食する生き物を思い出す。
事実、俺は力が入らなくなってしまってる。
気持ちの整理がつかないまま
体はこの快感を貪りたいと思ってる。
良美
「ん、む……、ンッ……」
舌と舌がぎゅっと絡みあう。
そうして、俺の舌をとらえておきながら
自分の唾液を送り込んでくるのだ。
良美
「ん、ちゅる……ちゅっ……れろ」
俺の歯が一本一本舐められる。
いや、歯だけじゃない、歯茎の方まで
舌が伸びてきた。
良美
「んっ……んっ……んっ」
でも、これはテクニックとかそんなものは
一切無い。
うっすらと目をあけてみる。
レオ
「――!」
佐藤さんは既に目をあけて、俺を見つめていた。
目と目が至近距離で見つめあう。
ぐちゃ、と唾液を混ぜ合わす音が聞こえる。
まるで、本当に俺が襲われているような気分。
話し合いたい。
でも佐藤さんは許してくれない。
良美
「んっ……んん、ちゅるっ……んっ、ぷは」
俺の唾液をたくさん吸い取ってから、
佐藤さんは唇を離した。
良美
「やったぁ……対馬君とキス……できた」
レオ
「っ……佐藤さん」
既に俺の脳は、もうボウッと溶かされていた。
良美
「対馬君って……女の子とするのはじめてだよね?」
レオ
「……う、うん、男だってないよもちろん」
良美
「私もはじめて……」
レオ
「ちょっと待っ――」
レオ
「んんっ」
またキスされる。
手を体の後ろに回される。
間近で目と目が合う。
何が怖いかって……
佐藤さんは、その、今の台詞を察するに
男と寝るのが初めてらしい。
すぐ分かる嘘はつかないだろう。
キスだって、歯が当たって荒っぽい。
それなのに……
男の勝手な妄想かも知れないが、初めての女性と
いうのはもっと可憐な愛らしさがあると思った。
でも俺と抱き合っている佐藤さんには
それが無い。
良美
「ぷは……対馬くぅん……」
媚を売ったような眼差しを向けてくる。
良美
「好き……んっ……」
男を誘い込むような、濡れた感じ。
その瞳の奥に宿る妖しさにゾクッとする。
女は魔性、という言葉を思いだす。
レオ
「ぷは、さ、佐藤さん待って」
良美
「だめぇ、もっと!」
レオ
「んんっ……んっ……」
何だ、この強引な佐藤さん。
こんな彼女、はじめてみたっ……。
良美
「ちゅっ……んむ……あぁっ」
2人の口の中はもう唾液でビチョビチョだった。
あふれて口元からこぼれだしている。
それなのに、佐藤さんはやめてくれない。
男の俺の方が圧倒されてるなんて。
良美
「ちゅっ……ぷはぁっ……はぁ……はぁ……はぁ」
お互いの口と口との間に、透明の糸が
ツ……とひいていた。
良美
「対馬君……私……こんなにドキドキしてる」
佐藤さんが俺の手を取る。
そして、その豊満な胸にムニュっと添えた。
レオ
「う……」
心臓の音が確かに聞こえる。
トクン、トクン……という音が現実的だった。
これは夢じゃない、真実なんだ。
良美
「それに……ここもぉ……」
俺の知っている優等生の佐藤さんは目の前にいる。
いじめられっ子だけど優しくて……皆の人気者。
その人が、俺の手を持ったまま……。
自分のスカートの中に導いた。
良美
「――ね?」
下着越しに、自分の大事な部分に触れさせる。
そこは熱く火照っていて。
じんわりと濡れていた。
良美
「好きにしていいよ……」
レオ
「あ……さ、佐藤さんっ……!!!」
佐藤さんを、布団の上に押し倒す。
いや、佐藤さんに引っ張られたのか?
どちらにしても、こんなストレートな
求愛行動をとられて我慢できるほど人間できてない。
もどかしくなって、佐藤さんを組み敷いたまま、
服を脱ぎ捨て、トランクス一枚になる。
そんな俺の仕草を、佐藤さんは
頼もしいものを見るような目つきで見守っていた。
良美
「服は……対馬君が……脱がせて……」
そんな事を言ってくる。
なんだか、呼吸を荒げている俺より
冷静みたいだ。
それが少し頭にきて、俺は遠慮無く
制服姿の佐藤さんを
良美
「え? ……あぁっ!」
くるん、とひっくり返した。
スカートがまくりあがり下着が丸見えになる。
赤ん坊にオシメをしてあげるようなスタイル。
良美
「あぁっ……恥ずかしいよぉ……」
良美
「……で、でも、こうされるのが夢だったの……」
レオ
「佐藤さん……」
汗ばんだふとももを撫でまわす。
その吸い付いてくるような柔らかさと、
弾力にとんだ柔らかさにびっくりした。
その手を、大きく開かれている股の方に
近づけていく。
お尻をムニムニと揉んで
とろけるような柔らかさを感じながら
股間に顔を近づけた。
パンツの上から匂いをかいでみる。
じわっ、と湿るような、甘い匂い。
何度も吸って、佐藤さんの匂いを
肺に満たしていく。
良美
「もっと触って……いっぱい触っていいよっ」
もじもじと脚を動かす佐藤さん。
俺はお尻やふとももを撫で回しながら
佐藤さんの胸を眺めた。
レオ
「胸……見てていい?」
良美
「う……うんっ……」
佐藤さんの上着をグイッとたくしあげる。
ホックを続いて外す。
ぶるん、と勢い良く弾け出た若々しい白い乳房。
汗にうっすらと濡れていた。
驚いた事に、すでに乳首はツンと上を向いている。
レオ
「うわ……」
見慣れている制服姿の美少女を少しずつ
剥いていく。
それがこんなにも支配欲を
掻き立てるとは思わなかった。
さっさと下も脱がせないと暴発してしまう。
レオ
「佐藤さん、下着も脱がしちゃうよ」
良美
「……対馬くぅん……」
うっとりした顔で言う佐藤さん。
肯定と受け取った。
指でピトッ、と佐藤さんの下着に触れてみた。
良美
「あ……ん」
ピクン、と女体が震える。
ここが女の子の大事な場所……。
すりすりと人差し指で下着越しに刺激した。
レオ
「べ、べとっとしてるよ佐藤さん」
良美
「だって、んっ……対馬君に触られているんだもん」
ふにっ、とした柔らかい肉の感触が
下着越しに伝わってくる。
レオ
「こんなに濡れてるなんて」
下着を佐藤さんの股間に押し付けるように
スリスリと動かす。
良美
「ン……あっ、気持ちいいよっ……」
愛液が下着にじわっ……としみこんでいく。
レオ
「す、透けてきた……」
水分を含んだ下着は、タテスジをくっきりと
浮き上がらせている。
佐藤さんの陰毛までうっすら分かるぐらいだ。
熱がこもった下着に手をかける。
レオ
「見るね、佐藤さん……」
下着をするすると脱がしてしまう。
レオ
「うわ……」
処女の愛液をたっぷりすいこんだ下着。
レオ
「……この下着、後でもらっていい?」
良美
「う、うん。いいよ……」
さりげなく提案したのに了承されたのが
嬉しかった。
再び佐藤さんの足をグイッと広げる。
良美
「あぁぁっ……」
さすがに佐藤さんが恥ずかしそうな声をあげた。
レオ
「うわぁ……」
はじめて見る女性器。
しっかりと濡れていて、わずかだが
中の鮮やかなサーモンピンクが見える。
レオ
「さ、佐藤さん……結構……」
毛とか生えていないイメージだけど。
陰毛はうっすらと生え揃っていた。
指でむっちりと広げてみる。
良美
「あぅぅ……」
中は鮮やかな桃色で綺麗だった。
粘膜が濡れている。
肌色の出っ張りは、クリトリスかな。
これが、女の子も皮をかぶってるというやつか。
陰核が半分くらい顔を出している。
それを指でグイと押してみる。
良美
「あっ!!!」
佐藤さんが可愛い声をあげて反応した。
押しただけでこんなに反応するんだ。
本当にここは敏感らしい。
しかも、いじると女性器そのものが
生き物のようにヒクッと反応する。
トロリ、と。
中から白濁した液が滲んできている。
なんともエッチな眺めだった。
匂いをかぐ。
甘酸っぱい。
レオ
「じゃ、じゃあ、俺も脱ぐ……」
良美
「そ……その1枚は……私が脱がすね」
レオ
「え?」
良美
「えへ、脱がしっこだね」
佐藤さんが起き上がり、トランクスに
手をかける。
胸やアソコが剥き出しの女の子に
トランクスを脱がされる眺めはゾクリときた。
恥ずかしいけど、佐藤さんのを見た
以上、俺もみせないとフェアじゃない。
トランクスをグィッと引っ張りおろされた。
勃起していたペニスが獲物を前に
自己主張するかのようにそそり立つ
良美
「こっ……これが……対馬君の……」
良美
「たくましいね……凄い」
既に先走りが出ているペニスを優しく掴むと……
レオ
「な……」
良美
「熱い……」
それに愛しそうに頬擦りした。
綺麗な顔に、先走りのヌルヌルを
なすりつけている。
レオ
「さ、佐藤さん……はっ!?」
その時、気がついた。
俺昨日ペニス洗ってないんだ。
いや先日もカレー食べるバイトで疲れたから
顔と頭しか洗ってなかったし。
まずい、ここ何日かペニスを洗ってない。
レオ
「俺、昨日、その、ここ洗ってないから
シャワーに……」
良美
「じゃ……じゃあ……」
レオ
「え?」
良美
「私が……綺麗にしてあげるねっ!」
レオ
「え……」
良美
「対馬クンも……舐めていいよ」
……………………
自然とこんな形になった。
佐藤さんの脚の間に顔を埋める。
目の前に、佐藤さんの濡れた秘裂。
思わず喉を鳴らすが、むしろ俺の感覚は
下半身の方に集中していた。
良美  無音
「(……くん……くん)」
レオ
「さ、佐藤さんっ、匂いなんかかがないでよ」
佐藤さんのアグレッシブさにこっちが
押されているのだ。
かなり興奮しているのに、佐藤さんの
興奮がさらに俺を上回ってる。
良美
「……私は平気だよ」
俺のペニスを軽く握る佐藤さん。
物珍しそうに、細い指でいじくってくる。
良美
「対馬君の……熱い……固い……雄々しい」
しゃべるたびに、その吐息を亀頭が感じている。
電気だってつけっぱなしだから、俺のペニスは
佐藤さんにクッキリと見られているだろう。
こっちも佐藤さんのが見えているけど
恥ずかしい事にはかわりない。
良美
「……あ……んむ………」
びりっ、と甘い刺激が走る。
良美
「ん……ぺろ……れろ……」
ペ、ペニスが舐められたのだ。
良美
「ぺろ……ちゅっ……これが、対馬君の味なんだぁ」
舌の感触が、ここまで気持ちいいなんて。
しかも、佐藤さんの口内にとらわれた
らしく、亀頭全体を甘い熱気が覆っている。
良美
「美味しい……ぺろ、ちゅっ……美味しいよぉ」
佐藤さんの性器は、俺のを舐めながら
微妙にヒクヒクと動いていた。
良美
「舌が、火傷しちゃう……ちゅっ……ぺろ」
思いっきりたぎる俺のペニスを
宝物のように両手でしっかりと握り。
良美
「ん……ぺろ……ぺろ……えへへ……れろ
でも、やっと舐められた……ずぅと、ちゅっ……
舐めたかった……れろ」
唾液でネトついた舌で丁寧に舐めてくる。
佐藤さんが舐めながら何か言っているみたいだが
こっちは射精をこらえてるのでそれどころではない。
良美
「ちゅっ……ちゅっ、ねぇ、対馬くぅん、
気持ちいい?」
レオ
「……くっ」
良美
「ねぇ、対馬君ったら」
レオ
「あ、ご、ごめん。何?」
良美
「き、気持ちいいかな? 私の舌」
レオ
「うん、おかしくなりそうだよ」
良美
「おかしくなって、ぺろ……れろ……」
レオ
「くぅぅっ」
良美
「ぺろ、れろ……あ?……この白いの汚れだよね?」
レオ
「うっ……」
やっぱり少し垢がついていたか。
死ぬほど恥ずかしい。
良美
「大丈夫だよ、綺麗にしてあげるね、ちゅっ」
良美
「ぺろ、れろ、あむ、あむ」
レオ
「くっ……ぅあ、あっ……」
良美
「ん、ぺろ……、あ、裏側にもうっすらと
見つけた……れろ……あむ、あむ……ん」
佐藤さんはむしろ汚れているのを見ると
嬉しそうに舐めとっていた。
良美
「ちゅく……れろ、れろ、ぺろ、……ちゅっ」
そして、汚れていた場所を舌で
まわすようにして清めてくれる。
ペニスそのものだけではない。
伸びている皮の部分にも舌をのばして。
良美
「ちょっとこっちはしょっぱいんだ……ぺろ、ぺろ」
丹念に舐めあげてくる。
でも、上手いとは思えない。
歯はあたるし、なんというか餓えた子供が
久しぶりにパンを与えられてがっつくというか。
そんな、むしゃぶりつくような愛撫だった。
と、とりあえず歯は時々、痛みさえ覚えるので
当てないで欲しい。
レオ
「さっ、佐藤さん……」
良美
「んっ……ちゅっ……対馬君の……対馬君の……」
レオ
「佐藤さん?」
良美
「ちゅぱ、ぺろ、あ、苦くなってきた……」
き、聞こえていない。
良美
「ちゅっ……じゅっ……ちゅうぅうっ……」
レオ
「う、あ、あ」
良美
「ん、いっぱいでてくる、ちゅっ……ちゅうぅっ
ちゅっ、ずっ……ずずずずっ……」
その吸うような愛撫でもう昇りつめてしまった。
レオ
「さ、佐藤さん、もう出る」
良美
「ちゅうっ……ちゅっ、ちゅぱ」
出る、と言っているのに佐藤さんは
口を離してくれない。
俺が腰を引いても、その口はしっかりと
ペニスに食らいついてきた。
良美
「ん、ちゅっ……じゅるっ……ちゅうぅぅっ」
レオ
「く……あっ」
どくんっ!
熱い塊が尿道を通過した。
ドピュゥッ! ドクッ……ドピュッ……
良美
「ん! ん、んん、ん!」
佐藤さんの口の中に大暴発がはじまる。
苦しそうにうめいているのに、決して
ペニスを口から離さない。
良美
「んっ――ん……ん、ごく、ごく……」
の、飲んでるの?
良美
「んく……ん……ごくっ」
レオ
「くぅ……」
最後の塊のようなものが、どぷっと発射される。
良美
「ん! ん――くちゅ、くちゅ、くちゅ」
まるでそれを飴玉のように、口の中で
クチュクチュと味わっている。
良美
「ん……ごくんっ……」
レオ
「さ、佐藤さん……?」
本当にこれが佐藤さんなのか?
あの恥ずかしがりやで大人しい佐藤さんが。
な、なんなんだ一体。
レオ
「え?」
しかも、俺のを飲むと、その代わり佐藤さんの
股間からはトロトロと熱い雫がこぼれてきている。
俺、全然舐めてないのに。
俺の溜まった精子を飲んだだけで
勝手に濡れてしまっている。
つうっ、と柔らかい太ももをつたう白濁液。
良美
「ん……んむ……ずずずっ……」
尿道口に残る精子まで吸い取る佐藤さん。
まだ口を離していない。
発射直後の萎えているペニスを
熱心に舐めてくれる。
おかげで、あっという間に佐藤さんの口の
中で復活してしまった。
良美
「んん、ん、また大きくなってきたね、ぺろ」
引き続き舌が伸びてくる。
唇の、ぷりぷりと柔らかい感触が
サオの部分を摩擦してくる。
しかも亀頭は相変わらず舌に
チロチロと舐められているのだ。
レオ
「ぐ……ぅ」
このままじゃこっちの気が変になりそうだ。
佐藤さんのも舐めないと……。
そうすれば、下半身への責めを緩めてくれるかも。
レオ
「ん……ぺろ」
こぼれた愛液ごとふとももを舐めあげる。
すべすべした感触と、甘酸っぱい愛液の味。
良美
「んうっ……ちゅっ、ぺろ、ぺろ」
こちらの刺激にビクッとした佐藤さんだが、
衰えるどころか、ますます熱心に舐めてくれる。
そのまま舌を佐藤さんの秘裂へ。
どうやら佐藤さんは俺と違い、お風呂に
入ってたらしく、石鹸の匂いがした。
俺を30分待たせてる間に
軽く体を洗ったのだろうか。
ぴっちり閉じている秘裂だが、
液が滲んできて、ほぐれている感じが見て分かる。
このまま挿入しても大丈夫そうだった。
舌先で弾力のある陰唇をかき分ける。
中にはいりこんだ舌が、粘膜に触れた。
良美
「んあっ……」
佐藤さんの腰がビクン! と反応した。
さすがに中に舌をいれられると、辛いらしい。
中の粘膜は、温かくてヌルヌルしている。
その粘膜の1枚1枚を、丹念に舐め上げる。
その行為に、俺のペニスは早くも第2射めを
迎えようとしていた。
自分の指と他人の愛撫じゃこうも違うものなのか。
良美
「ちゅぱっ……ちゅぱ、んちゅ、ちゅぱっ」
俺に秘裂を舐められても、佐藤さんは
亀頭を丹念に刺激してくる。
レオ
「ん……ちゅ、ちゅっ」
お互いに股間を舐めあう音が響く。
佐藤さんはモジモジとふとももを動かし、
俺の顔に浮き出た汗をなすりつけてくる。
次々と中から分泌される白濁液は
ひたすらに甘酸っぱい。
レオ
「く……うっっ……」
初めて体験したフェラチオで、俺ははやくも
2回目に達してしまった。
どくっ、どくっ、と精液が佐藤さんの
口内に送り込まれる。
だがそれら全てを、彼女はまた飲み干していた。
2度射精させても、彼女は口を離さない。
それどころか袋の方を優しく揉んでくれている。
良美
「ぺろ……ぺろ、ぺろ……ぺろ……対馬君のここ、
震えているみたいで可愛い……ぺろ」
射精後のピクついている亀頭を子供をあやすように
優しく舌でマッサージしてくれる。
……すぐにまた復活しそうだ。
気をまぎらわすために、今度はクリトリスを
舐めてみる。
良美
「あッ、あ……そ、そこ、すご、ビリッときちゃう」
2、3回舐めただけでその薄皮がつるんと弾け、
初々しいピンクの陰核の全てが露になった。
コチコチに勃起しているクリトリスを
優しく舌で転がす。
良美
「あぁっ……あっ、対馬くぅん……」
やっぱりここは弱いらしい。
可愛いらしい声を出して、体をピクンと
反応させていた。
舌先をすぼめて、ツンツンと突つき、
転がすように舐めまわす。
良美
「んっ……あっ、あぁぁっ……あああっ」
その喘ぎ声を聞いているだけで、俺の
ペニスはムクムクと復活してしまった。
良美
「あっ……すごい、ちゅっ、ぺろ……れろ」
復活したペニスを、佐藤さんが舌で
磨きなおしている。
どうやら3度目でも、充分にいけるみたいだ。
お互いの性感は思いっきり高まった。
レオ
「佐藤さん……俺、いれたい」
腰を引いて態勢を立て直す。
良美
「あっ……あぁっ」
佐藤さんは手元から離れたペニスを
名残惜しそうに見ていた。
……あれ、俺このまま入れるって事は。
しまった。コンドームが無いっ!
レオ
「あ、あの佐藤さん。俺、ゴムが……」
良美
「あ……大丈夫……私、安全日だから」
良美
「だから、きて」
俺にすがりつくように抱きつく佐藤さん。
良美
「……はむっ、ちゅっ……ちゅっ……」
再びペニスを舐め始めている?!
レオ
「あ、佐藤さんっ、それは、もう、くっ、
いいからっ」
良美
「だってだって……ちゅっ、ぺろ、じゅっ……」
良美
「ちゅっ、私、とっくにもう、こんななのに、ぺろ」
良美
「対馬君そういうの気にするから……ちゅぱ、ぺろ」
レオ
「そ、それは、佐藤さんの為にも、くっ、当然だよ」
佐藤さんの頭に手を添え、クイとペニスから離す。
尿道口と佐藤さんの口は、一本の唾液の線で
橋をかけるように繋がっていた。
佐藤さんにしゃぶられ尽くしたペニスが
唾液でテカテカと光りながら勃起している。
レオ
「佐藤さん……」
エッチすぎる。
佐藤さんの体をグイッとひっくり返した。
特に抵抗するでもなく、身を任せてくれている。
ペニスはビクビクとうずき、
さっさと男にしてくれとねだっている。
レオ
「いくよ……」
良美
「うんっ……早く、早く来てっ」
この格好だと、電気もついているしやりやすい。
くちゅっ、ペニスの先端が水音を立てた。
にじみ出る愛液の中に、亀頭が埋まっていく。
レオ
「ぅ……く、さ、佐藤さん、こ、ここで
い、いんだよ、ね?」
良美
「うんっ……そこっ」
佐藤さんが恥ずかしそうにしながら頷く。
レオ
「ん……」
亀頭が膣口にめりこんでいく。
佐藤さんは、目をつぶらずに、ウルウルとさせて
結合の時を待っていた。
レオ
「ん……」
少しずつ腰を送り込んでいく。
良美
「あぁっ……あっ」
ズブズブと、掘り進んでいく感触。
ふとももをしっかりと掴んで挿入していく。
良美
「あぁ、対馬君が、あっ、入ってくるっ」
ズブ……ズブ……
愛液の助けを借り驚くほどスムーズに入っていく。
ぷつっ……ぷちっ……
処女膜を破っていく感触。
やっぱり……はじめてだったんだ。
良美
「あぁっ……あっ……あっ」
レオ
「さ、佐藤さん、い、痛くない?」
良美
「い、痛いよぅ、で、でもね、嬉しいっ」
良美
「これで一緒っ……も、もうずっと一緒ぉっ……」
レオ
「佐藤さん……」
良美
「よし、み」
レオ
「え……」
良美
「わ、わたしも……レオ……くんって呼ぶから
あ、良美って……呼んでっ」
レオ
「良美」
良美
「あぁっ、……んぁっ、レオ君っ」
糸を引くような粘っこい音をヌチッと
させて、ペニスを奥まで挿入した。
レオ
「あ……なんか、これ……」
レオ
「温かくて柔らかくて、すっごく、きもち、いい」
良美
「んっ……、わ、私も気持ちいいっ……」
中の粘膜がヒクヒクと激しく動いている。
襞がペニスにからみついてきてるのか?
まるでペニスそのものに貼り付くように
隙間無くぴっちりと包み込んできた。
レオ
「く……ぅ」
2回も出したのに、動いただけで出そうだ。
なんだか、ペニスのあらゆるところを
締め付けてくる感触がある。
このまま、くるみこまれたペニスが
溶かされるかと思った。
しだいに、結合に違和感がなくなっていく。
粘膜と粘膜がお互いにぴったりとくっつく感触。
これが、本当にひとつになることなんだと思った。
レオ
「ん……く」
こらえて、上下運動をはじめる。
ずっ……。
良美
「ふぁッ、あっ、ひあっ……」
佐藤さん……。
少し動いて粘膜をひっかいただけなのに
凄い反応だ。
このまま続けると、佐藤さんはおかしくなって
しまうんじゃないだろうか?
レオ
「ん……」
良美
「あッ、ふぁっ、あっ、あぁあんッ!」
初めての女の子の体がもたらす快感。
こっちもおかしくなりそうだ。
レオ
「くっ……あっ」
わずか5回の往復で限度だった。
奥の方にいれた時だった。
一気にこみあがってくるものに我慢が
出来なかった。
レオ
「良美……俺、もう」
良美
「んんっ……ああっ」
一応抜こうと思ったのに、無理だった。
ペニスは良美の一番奥深いところに
はめこまれている。
抜く時間なんてなく、爆発がはじまった。
レオ
「くっ」
ドクッ……ドクッ……。
良美
「ああぁっ……で、でてる……んだ」
レオ
「う……うん」
良美
「レオ君のあ、熱いのが……んっ、いっぱい……」
良美は火照った女体をピクピクと
痙攣させながら、俺の精を受け止めていた。
どくっ……どくっ……。
レオ
「はぁ……はぁ……」
3度目だというのに、たっぷりでる。
どぷっ、どくっ……。
良美
「んっ……あ、感じる、入ってくるぅ」
最後の一滴まで搾り出す。
レオ  無音
「(お、終わった……)」
萎えかけた愛液と精液にまみれた
ペニスを引き抜こうとした。
レオ
「あ……」
その時、良美がいかに恥ずかしい格好で
俺と交わっていたかを再認識した。
トップクラスの美少女とこんな格好で
SEXしてると思うと。
獣じみた感覚が、全身をかけめぐっていく。
良美を気遣うより、まだやりたりないから
とことん性欲を満たしたい、と体が訴えてきた。
良美
「――あ? な、中でまた」
良美
「あはっ、す、すごいレオ君っ、また大きく……」
良美は嫌がるどころか、とても嬉しそうだった。
レオ
「……?」
引き抜きかけていたペニスが、勝手に
奥に進んでいく?
良美の襞が、奥へ奥へと誘っているのだ。
俺以上にあさましい。
レオ
「よ、良美……」
良美
「動いてっ、動いていいよぉっ」
優等生で委員長の良美が、そんなエッチな。
腰が自然に動く。
良美
「あっ……ふぁぁっ、あっ……」
あっという間にのぼりつめる。
良美が感じる前に、こっちはイってしまう。
それだけ、良美の粘膜は貪欲な動きをしていた。
良美
「ま、また入ってくる……おなか……レオ君で
いっぱいに……なってるっ」
唇の端からツウッ、と涎を垂れ流しながら
俺の精を受け入れる良美。
その表情を見ただけで――
また勃起してしまった。
レオ
「くぅっ」
今度は違う体位で。
良美を抱っこして、しこった乳首を
指でいじくりながら、再び動き始めた。
きぬ
「ねー、乙女さん。レオはどこいったの?
今日起こしにこなかったし、家にもいなかったよ」
乙女
「昨日、夜かすれた声で電話があってな。
友達の所だから、深夜遅くに帰ると」
乙女
「しかし、帰ってきてないんだ。
私は姉として心配だ……」
きぬ
「友達の所ぉ〜? 帰ってきてなぃ〜?
なんだか、すっげー怪しいなソレ」
…………
「今日は佐藤さんに続き対馬さんもお休みですわね」
真名
「対馬はええとして、よっぴーは心配や」
豆花
「どうしたんだろうネ」
「佐藤さんは体調不良という連絡が入ってますわ」
「誰かさんが無理させすぎたのでしょうね」
「無論私のせいではありませんわ」
真名
「ウチかてちゃうわ」
新一
「当然、俺のせいでもない」
イガグリ
「オイラ達だって違うよぉ」
豆花
「このクラス……いい感じで腐てるネ」
きぬ
「姫、よっぴーから何か聞いてる?」
エリカ
「んー。メールもらってただの風邪だと
分かってるから安心したんだけど」
エリカ
「……コレ内緒ね?」
きぬ
「オーケー、約束すんよ」
エリカ
「対馬クンが昨日お見舞いに行ってるんだよね」
きぬ
「なにいっ!」
エリカ
「ちょっとよっぴーの携帯に電話かけてみるね」
きぬ
「ボクもレオの携帯にかけるもんね!」
………………
TELLLLL
ピルルルルルッ
良美
「あはぁっ、あぁっ、もっと、もっとぉ……」
レオ
「良美……良美ッ」
ずちゅっ、ずんっ、と水音が響く。
昨日の夜から換気してないここは
男の女の性臭で溢れていた。
レオ
「んっ……んっ……」
良美
「んあっ……あっ、あッ……レオ君、レオくぅんッ」
単純な粘膜の擦り合いにはまる俺達。
学校もさぼって。
レオ
「ん、出るっ……」
ただお互いの体を貪っている。
ピルルルルッ
携帯が鳴っていようだが気にせずまぐわい続ける。
ピルルルルッ
………………
エリカ
「んーむ。出ないわねー」
きぬ
「ぬぐぐ……一体何を」
……………………
放課後。
エリカ
「あ、よっぴーからメールきた」
“心配しないで、理由はちゃんと
日曜にでも話すから、それまではそっとしといて”
エリカ
「……ん、よっぴーがそういうなら」
きぬ
「姫! よっぴーの家どこ? ボク行ってくる」
エリカ
「2日休んだだけで、そう騒がないの」
きぬ
「だって、レオがあっち行ってるかも……」
エリカ
「何。カニっちはそれが心配でしょうがないの?」
きぬ
「ちげーよ! そーじゃねーよ」
エリカ
「だったら、まぁ週末まで様子を見ましょうよ」
きぬ  無音
「……」
……………………
すっかり夜も更けた。
コトが終わった後に名前で呼ぶのは照れがあるな。
レオ
「……良美、俺達何回したろ」
仮眠をとってSEXして、良美の家に
あった軽い携帯食を食べてSEXして……。
俺たちのまわりには、とんでもない数の
ティッシュが丸まって散らばっていた。
これをゴミ袋にいれていく作業がなんとも
バツが悪いというか。
シーツはさすがに別のものに変えてある。
良美
「……休憩はさみながら20回ぐらいだよね」
俺、頑張りすぎ。
というか、ダウンしそうになっても良美の
舌が全身をくまなく愛撫してくれるので、すぐに
それで勃起してしまう。
良美  無音
「……」
何かいいたげに俺を見ている良美。
目があうと、カァッとその顔を赤らめた。
良美
「あの……私、やっぱり……その、
いつもと違ってた……よね?」
レオ
「すごかった」
レオ
「女豹だった」
良美
「うぅぅ……恥ずかしいよぅ……」
耳まで赤くさせていやいやする良美。
すっかりいつもの状態に戻っていた。
でも、この恥らってる娘が俺の体を
唾液と愛液でベトベトにしてくれたんだ。
良美
「……えへへっ……恥ずかしいけど……」
良美
「横にいる……」
レオ
「え?」
良美
「レオ君が横にいる事が嬉しいよぅ」
レオ
「良美……」
レオ
「そんなに愛してくれるのは、俺だって
嬉しいけどさ」
レオ
「俺を好きになってくれたきっかけって何?」
良美
「……知ったらがっくりするかも」
レオ
「しない。約束する」
良美
「うん、じゃあ言うね。ほら、ここ……」
佐藤さんがツゥっ……と胸を撫でる。
俺の肌を手のひらで味わっている。
レオ
「そうか……胸。つまりハートだな」
良美
「違うよ。表面。皮膚」
レオ
「ひ、ひふ?」
良美
「筋肉、しっかりついているけど、
でもどことなく白くて、中性的な
感じも残ってる、そこが好き」
良美
「体育の後、首筋に汗が滲んでるのを見て
舐めてみたい、と思ったの」
レオ
「な……」
良美
「だから体育の後はカニッちと話すフリして
対馬君の席近くに来てたんだよ」
レオ
「そうだったんだ」
だからさっきも丹念に俺の全身を舐めてたのか。
レオ
「……皮膚、かぁ」
味も素っ気もロマンもない。
良美
「きっかけは、それだけ」
良美
「でね、そうやってレオ君を見ているうちに、
いろんな側面が見えたりしてきてね……
優しい所も、頑張る時は頑張る所も」
良美
「気付いたら、もうレオ君を完全に好きになってた」
レオ
「そっか……」
レオ
「でもびっくりしたよ。皮膚がきっかけで
惚れられるとは思わなかった」
良美
「うん……もっとロマンチックだったら
良かったんだけどね……」
レオ
「でもあれだね、それなら俺も告白するけど」
良美
「うんうん、もう何でも告白して。
隠しっこなしだよぅ」
良美がゴロゴロと甘えてくる。
それが犬チックで可愛かった。
レオ
「良美はドジだから時々、物を落とすじゃん」
レオ
「その時いつもパンツ見えてて、俺、それで
少し気になってた」
レオ
「はは、ストレートだけどさ」
良美
「あれは全部見せてたんだよ、レオ君だけに」
レオ
「えぇ?」
わざと俺だけに?
良美
「普通、あんなにポロポロ物は落とさないよ
アホな子じゃないんだし」
きっぱり言われてしまった。
レオ
「う……そりゃ、そうかも」
そういや、皆佐藤さんにラッキースケベは
無いって言ってたな。
そうか。コレはわざと俺だけに見せてたのか。
レオ
「って、何でそんなサービスを?」
良美
「襲って欲しかったから……」
レオ
「お、おそっ!?」
良美
「毎晩毎晩ずっと焦がれてた」
レオ
「ショ、ショックだ……」
レオ
「真面目だと思ってた
佐藤さんがそんなエッチだったなんて」
良美
「私は真面目な女子校生だよ……
模範生として表彰されたもん」
レオ
「そ、そうだったね」
レオ
「え、じゃあロッカーの件は?」
良美
「あれは本当に偶然だよぅ」
良美
「でも、そのせいで学校にもいけないほど
もんもんとしちゃったよ……」
女の子って怖いなぁ。
会話が途切れる。
良美
「……これは体質なんだ……」
レオ
「え?」
良美
「私、子供の頃からね……その……進んでた
というか」
良美
「例えば、食欲旺盛とか言うじゃない? 食欲は
三大欲求だよね」
良美
「私は、その……性欲の方が、旺盛というか」
良美
「今までは何とか抑えてたけど、好きな人が
出来てからは、もう毎日がたまらなかったよぅ」
だから、俺に襲って欲しかった、と?
レオ
「よ、良美……」
そんな、そんな毎日もんもんと過ごしていたのか。
レオ
「それなら、その、告白してくれれば良かったのに」
良美
「……そしたらエリーが好きだとか言って
断ってたと思うんだけど」
レオ
「う」
その可能性、なきにしも在らず。
レオ
「やっぱ分かった?」
良美
「レオ君のこと、目で追ってればね」
レオ
「でも、姫は好きというか強さに憧れてるというか」
良美
「その表現良く分かるよ。私もそうだから」
良美
「……それで、どうかな?」
レオ
「?」
良美
「こんなエッチで……いやになった、私のこと?」
佐藤さんにすがりつくような目で見られる。
可愛い女の子が瞳を潤ませて俺に質問してくる。
レオ
「……そんな事は無い」
レオ
「俺だって……そ、その……自慰……するしさ」
レオ
「いーんじゃない? 体質なんだから仕方ないよ」
良美
「レオ君……」
レオ
「それに、歯止めが利かないからって色々な
男とするのは、浅はかだと思うけど
良美は俺の為に我慢してくれてたんだよね」
レオ
「逆に嬉しいかな」
映画の中で決めセリフを言っているような感じ。
少し自分に酔いそうになってしまった。
良美
「……ありがとうっ……」
ぎゅっ、と抱きしめられた。
レオ
「良美……」
良美
「受け入れてくれて、ありがとう……」
良美は大袈裟だな。
他の女の子より進んでるというか、
ちょっとエッチなだけなのに。
むしろ男にとってそれは嬉しい事ではなかろうか。
良美
「あぁ……ようやくこれで幸せになれそうだよぅ」
良美
「レオ君……もっと私を抱きしめて」
レオ
「ん……」
良美
「私ね、学校ではいい子でいないといけないんだよ
推薦で東応レベルの学校に入らないと、
故郷に戻されちゃうかもしれないから」
レオ
「そうなんだ」
大変だな、良美も……。
良美
「だからね……これから学校では仲良くはしても、
こうしておおっぴらに抱きつけないと思うの」
良美
「その分、今、いっぱいぎゅーってして……」
レオ
「俺も人に迷惑かけるバカップルは嫌いだし」
きゅっと、と良美を抱きしめる。
良美
「あぁ……このまま世界終わってもいいよ……」
だから、いちいちオーバーだって。
肌の温もりが心地よい。
良美は、スタイルいいのに体重軽いなぁ。
女の子を抱いて寝るのは、とても気持ち良かった。
朝立ちしていなかった。
さすがにあれだけやりまくって疲れたんだろうか。
立ち上がろうとすると、ガクッと力が抜けた。
レオ
「こ、腰がぁっ」
我ながら情けない。
良美
「くすっ……レオ君、無理しないでいいよぅ」
レオ
「良美は……元気だな。血色も良さそうだ」
良美
「うんっ! ……その……」
良美
「いっぱい愛してもらったしね」
レオ
「う……」
照れる。
良美
「はい、ご飯だよ。さ、最中は適当なもので
済ましちゃったから……今度はキチンと作ったよ」
レオ
「おぉ」
女の子の家で、手作り料理をごちそうになるとは。
なんだか全てが新鮮だ。
レオ
「あれ、これ……?」
見ると、俺の右腕に銀の腕輪がされていた。
良美
「気付いた? それはねレオ君へのプレゼント」
レオ
「え、ほんと?」
レオ
「これかっこいいなぁ。高いんじゃないの?」
良美
「気にしないでよ、そんなの」
良美
「仕送りは結構もらってるしね、
豆花ちゃんの中華飯店で、時々バイトしてたから
お金はわりとあるんだ」
レオ
「あ、そうなんだ……」
レオ
「つうか、これどうやって外すの?」
別に痛いわけではないが、がっちり
腕輪がはまってるんですけど。
外す所がない?
良美
「もう外せないよ」
良美
「そういうの選んだもんっ」
えへへ、と舌を出す良美。
レオ
「そ、そうなんだ」
別にかっこいいからいいけど。
レオ
「まぁ、確かにこれなら校則違反にはならないかな」
普段は目立たないし、特に派手なわけでもない。
良美
「うん、そういう所も考慮してあるよ」
レオ
「こんないいものをもらったからには
俺も何かあげないと」
良美
「私が欲しいのはもうもらったもん、レオ君から。
昨日たくさんね」
レオ
「そ、それって……」
この娘は可愛い顔でそういうことさらっと
言わないで欲しい。
レオ
「……ところで何か、下半身が微妙に
気持ちよくて気だるいんだけど」
レオ
「朝、俺が爆睡している間に何もしてないよね?」
良美
「……やだ、もう聞かないでよぅ」
え、何かされたの?
良美
「さて……と」
なにやらカプセルを取り出す。
レオ
「良美、それ、薬?」
良美
「うん、薬。妊娠しないためのね。
ピルって知ってる?」
良美
「安全日って言うのは嘘なんだ、ごめんね
やっぱりそうそう都合よくないよね」
レオ
「な……」
レオ
「そ、それいまさら飲んだ所で効くの?」
良美
「効かないねぇ」
良美
「あらかじめ、前から飲んでたから大丈夫」
良美
「その……レオ君に、いつ……
犯されてもいいようにね」
レオ
「良美……」
レオ
「そういう薬、その、体に平気なのか?」
レオ
「俺、ちゃんとゴムつけるよ」
良美
「いやだよ……ゴムなんて……」
良美
「それじゃ、本当のレオ君が感じられないもん」
そう言って、薬を飲む良美。
レオ
「……なんだか罪悪感」
良美
「そんなにオーバーに思うことじゃないよ
皆結構飲んでるし」
あっけらかんとした顔でいった。
………………
レオ
「そろそろ家に帰るよ俺」
良美
「えっ、帰っちゃうの?」
レオ
「乙女さんに説明しないと」
良美
「……鉄先輩に? それは家族としてだよね?」
レオ
「他に何かあるの?」
良美
「ううん、それならいいんだ」
はい、と鍵を手渡される。
良美
「いつもは必ず鍵かけてるけど、私が
留守だったりしたらあがって待ってていいから」
レオ
「うわ、無くさないように気をつけないと」
良美
「うん、しっかり管理していてね」
レオ
「分かった、ありがとね」
しかし、いきなり鍵までもらうとは。
俺、相当信頼されてるな。
ふう。
久々に吸う外の空気だ。
なんだかとても新鮮。
ふと上を見上げれば、良美が笑いながら
手を振っていた。
俺も良美に手を振り返した。
成り行きでこうなってしまったけど
別に後悔はしていない。
あそこまで自分を好きだって言われて嬉しいし。
………………
帰宅すると、待ち構えていた乙女さんに
みっちりとしごかれた。
しかし俺は、怒られながらもうわの空。
頭はただ、良美との甘いSEXを思い出し
記憶を楽しんでいた。
インターネットで、俺の右腕にはめられている
腕輪の値段を調べてみる。
こんな事をするのは無粋な真似だと分かっているが
改めて見てみるといくら何でも作りが良すぎる。
レオ
「10万ぐらいはしそうだよな?」
あ、出た。これと同じだよな。
レオ
「ごっ……!」
レオ
「50万円!?」
これのレプリカじゃなくてか?
うわぁ、マジだ……。
俺達、学生なのに。
これ良美の貯金全部使ってるんじゃないのか?
いい所の娘なのだろうか。
これを俺のために、ポンッと買っておいたなんて。
か、感激だ。
感激だけど……。
背筋にうっすらと何かが走ったような
感じはなんなんだろう?
エリカ
「よっぴー。私心配したんだからね」
良美
「ごめんねぇ、エリー」
エリカ
「うん、顔色なんか艶々して随分良さそうじゃない」
良美
「そりゃあねぇ……えへへ」
エリカ  無音
「?」
良美
「エリー、驚かないでね、実は」
………………
エリカ
「つ、対馬クンと交際を始めた!?」
良美
「うんっ……えへへ」
エリカ
「よし、ちょっと対馬クン殺してくるね」
良美
「え、何でそうなるの!?」
エリカ
「だってよっぴーのお見舞いにきて
そのまま襲ってきたとかそういうんじゃないの?」
良美
「エリーじゃあるまいし、レオ君は違うよぅ」
エリカ
「うわ、そういえば名前で呼んでるし!」
良美
「前から好きだったんだ、レオ君のこと」
エリカ
「ええっ? じゃ、学校に来なかったのは?」
良美  共通
「えへへ」
エリカ
「いきなり頬を染めるという事は、まさか」
エリカ
「そ、その、は、早くも……“あれ”を見せたの?」
良美
「……うん(ぽっ)」
良美
「性欲過多がコンプレックスだって話してもね
対馬君はいいって受け入れてくれたんだ」
良美
「時間の概念を超越して
19回ぐらいは対馬クンと愛しあったよ」
エリカ
「愛しあったって……そ、そうなんだ」
エリカ
「しかも、じゅっ、じゅじゅ19回!?
2、3日で!?」
良美
「エリー、落ち着いてよぅ」
エリカ
「むっ、すでに大人へ脱皮した余裕?
はいはい、どうせ私はまだ生娘ですよ」
エリカ
「それにしても、そんなにできるものなんだ……
生命は偉大ね」
良美
「あ、でも時々気持ちよくて意識なかったとき
あるから+3、4回足してくれるといいかも」
エリカ
「や、別にまぁそれはどうでもいいけどね」
良美
「まだここに入ってるような感じ」
エリカ
「き、聞いてるこっちが赤面するような事
言わないでくれる?」
良美
「普段からかわれてるから、仕返しだよ」
エリカ
「それにしても対馬クンが好きだったとは」
良美
「ずっと一緒にいるんだから普通エリーには
バレてて当然なんだけどねぇ」
エリカ
「どこがいいの? 意外と熱い所は
あるけど、ああいうチャラチャラした感じ
よっぴーは嫌いかな、と思ってたけどケド……」
良美
「エリー、レオ君の悪口は許さないよぅ!」
エリカ
「あ、ご、ごめん。別に悪口じゃないから」
エリカ
「まぁ、ともかくも。おめでとうよっぴー」
良美
「うん、ありがとう」
良美
「ほら、これ見てよエリー。腕の付け根のところ」
エリカ
「ちょっと何よそれ、入れ墨ってやつ?」
良美
「オーバーだなぁ、騒ぐほどのものじゃないよぅ
ここなら目立たないでしょ」
エリカ
「いや、それにしたって……」
良美
「これ何を象って彫っているか分かる?」
エリカ
「ライオンよね」
良美
「レオって言えば獅子座……つまり獅子だからね
土曜の夜にお店に行って彫ってもらったんだ」
良美
「こうしてると、ずっと一緒にいるような
気がしてね」
良美
「対馬君にはね、腕輪をプレゼントしてあげたの
一生外れないようにかっちりつけといたんだ」
エリカ  無音
「……」
良美
「エリーというお友達がいて、
レオ君という彼氏が出来て」
良美
「私、ようやく幸せになりそうだよエリー」
エリカ
「う、うーん。なんだかなー
あのさ、よっぴー……」
良美
「これぐらいで、ごちそうさまは早いよぅ。
たっぷりのろけてあげるねエリ−」
エリカ
「……ま、よっぴーが幸せならいっか、それで」
乙女
「弁当は佐藤が作ってくるからいらない、か
まさにアツアツというやつだな」
乙女さんが微妙に死語を言った。
乙女
「相手は優等生の佐藤だしな。交際を
反対するわけではないが」
乙女
「視野を狭めて学業をおろそかにだけはするなよ」
乙女
「それから、佐藤を泣かせる不実な
真似も勿論するなよ」
乙女さんは、風紀委員としての遅刻限界まで
俺に注意してから家を出た。
真名
「ホットなニュース聞きとうないか?」
豆花
「どうせ、いつもの下らない話だけど
私は優しいから聴いてあげるネ」
真名
「よっぴーと対馬君が付きおうとるっちゅー話や」
豆花
「あいや、それはびくりね」
エリカ
「こうやって噂は広がっていくわけね」
良美
「こ、困っちゃうなぁ。えへへ」
エリカ
「よっぴー、顔がゆるんでるって」
レオ
「こんにちわ」
おぉっ、なんだこの負のオーラは。
イガグリ  無音
「(対馬殺すべ)」
新一  無音
「(レオ俺と魂をチェンジしてくれ)」
なんだか男子連中から射殺すような
視線で見つめられているんですが。
スバル
「注目の的だぜオマエ。皆に愛される
委員長をゲットしたってな」
レオ
「……早いなぁ。月曜の朝でもうかよ
このクラスはちょっと普通じゃねぇぞ」
レオ
「浦賀さんだな、こんな広い速さでいいふらすのは」
真名
「Zzz」
本人は、噂を広めきった事に満足してか、自分の
机に突っ伏して寝ていた。
何故か俺にメールが入る。
“ごめんね。真名ちゃんに話したら
一瞬でこんな……”
あぁ、良美が自分で浦賀さんに話したのか。
しかし話したらこうなると分からなかったとは
良美らしくないな。
スバル
「ま、何はともあれおめでとさん」
きぬ
「おい、どーいうことだコラ。
ちょっと体育館裏にツラぁ貸せよ!」
「はいはい、HRはじめますわよ」
……………………
昼になった。
良美
「レオくーんっ」
豆花
「れ……れお」
真名
「く……ん?」
“既に名前かよ、対馬ぁ!”
“2人で休んでて何してたんだチクショウ”
“羨ましい! ひたすらに羨ましい!”
あー、もう男達のやっかみの声がうざい。
良美、大人気だったんだなぁ。
良美
「一緒にお昼食べようっ」
レオ
「あ。あの良美、みんな見てるっていうか」
良美
「あっ……や、やだ、恥ずかしいよぅ」
カァッと真っ赤になる。
新一
「よ、良美って、おまっ、そりゃ何だよ」
レオ
「え、あ。まぁ、そういうことだけど」
新一
「お前、俺を差し置いてよくも……」
レオ
「やめてよね。フカヒレが僕にかなうわけ……」
俺とフカヒレの間にぐいっと良美が割り込む。
良美
「なにか文句があるのかな?」
新一
「ヒィッ?」
新一
「ご、ごめっ、なっ、何もありませんハイ」
良美
「だよねぇ、良かったぁ」
新一
「イマネ、トテモ、コワイカンジガシタ」
スバル
「思わず外人口調になるぐらい怖かったか……
なんだかレオは苦労しそうだなー」
………………
良美
「じゃーん、お弁当でーす」
エリカ
「おおっ、重箱? というか後光が出ているっ!?」
エリカ
「何の負けるかっ!」
……何やってるんだろうこの人。
レオ
「これはまた何とも豪勢な……学生のお弁当としては
どうなんだろうか」
良美
「レオ君のために頑張ったよ。どんどん食べてね」
エリカ
「……あれ、よっぴー私の分は?」
良美
「はい、これがエリーのお弁当ね」
エリカ
「ちょっと、中、白米とめざしだけなんだけど」
良美
「あはは、冗談だよぅ、はい本物はこっち
エリーも同じ中身だからね」
エリカ
「うぅ? よっぴーがハイだ」
超珍しい、姫が押されている。
こんなのは、はじめてみたかも。
姫、グイグイ押されると弱いのかな。
ちょっと試してみよう。
(テスト中)
エリカ
「次また自惚れた事言ったら指一本脱臼させるわよ」
レオ
「……ダメだ、やっぱ姫が弱くなるのは
良美限定みたいだ」
エリカ
「ところでなんでまた赤飯なの、コレ」
良美
「付き合った記念ということでね」
エリカ
「あーはいはいそうですか」
エリカ
「ん、美味しい。これ更に磨きがかかってるわね」
良美
「中華料理やってる豆花さんに頼んで
朝市に一緒に連れて行ってもらったんだ
その金目鯛は今朝、市場にあったやつだよ」
良美
「活きのいいのを使用してるから、その分
美味しくなるよね」
エリカ
「うん、イカや鶏の竜田揚もいけるわ」
良美
「これこそ愛妻弁当って感じだよね」
エリカ
「いや、まだ結婚してないでしょうが
っていうか自分で言うな」
姫がビシッ! とツッコミをいれた。
レオ
「しらたき&ごぼうも美味しいよ」
初めは全部食べれるか? と思ったがいけそうだ。
エリカ
「相当早起きしたでしょ、えらいえらい」
レオ
「えらいえらい」
良美  共通
「えへへ……」
良美は照れくさそうに笑った。
良美
「私、自分の飲み物買ってくるね」
良美は席を外した。
エリカ  無音
「(キラーン)」
レオ
「おぉ!?」
エリカ
「お嬢様チョップ!」
レオ
「痛!」
良美がいなくなった途端に姫が機嫌悪くなったぞ。
エリカ
「ふんだっ」
エリカ
「はんっ」
レオ
「な、なんだよ。いきなり逆ギレ?」
エリカ
「……対馬クンによっぴーを寝取られた……」
レオ
「人聞きの悪い事言わないでくれ」
エリカ
「いや、よっぴーが幸せなのは嬉しいんだけどね」
にんじんのきんぴらをつまみながら姫がグチる。
エリカ
「でも、初々しいを通り越してなんかラブラブだし
からかい甲斐がない……」
エリカ
「しかも、いじめていじめていじめまくってた頃の
仕返しか、なんかチクチクと反撃されるし」
エリカ
「やっぱり、空の上でいきなりヘリから
突き落としたのがまずかったのかなー」
レオ
「それ普通に殺人に該当する行為では」
エリカ
「ううん、どっきりスカイダイビング
ちゃんとその後私も続いたし」
エリカ
「それともよっぴーが寝ている間、あの髪に
海老をくくりつけて写真を撮ったのが
いけなかったのかな……」
この人好き放題やってるなぁ。
レオ
「……まぁ報いだね?」
エリカ
「……よっぴー泣かせたら、対馬君は
パラシュート無しでスカイダイビングさせるから」
つまり殺すということですか。
レオ
「もちろん、努力する」
レオ
「姫も相談に乗って欲しい」
エリカ
「ま、よっぴーがらみならいいけどさー」
おぉ、自分勝手な姫が折れるとは……。
良美
「随分楽しそうに話してるね、エリー」
エリカ
「よっぴーが対馬クンとベタベタしてるから
ジェラシーをね」
良美
「大丈夫だよ。エリーのこと大好きだから」
良美がぽんぽん、と姫の肩を叩く。
エリカ  無音
「……」
姫はいまいち釈然としてないようだった。
まさか女の子から嫉妬されるとは思わなかった。
……………………
午後の授業。
腹が満たされているので眠い。
案の定、姫はいないし。
今頃生徒会室で寝てるんだろう。
俺も寝ようかな。
ふと、良美を見る。
真面目に授業に取り組んでいた。
早起きして弁当作ったのに、偉いなあいつ。
俺も見習わなくちゃだめか。
よし、頑張ろう。
ふいに、紙切れを丸めたヤツが机に投げ込まれた。
真名  無音
「(……)」
投げ込んだ浦賀さんがなにやら合図している。
頑張ろうと思った矢先にこれだよ。
紙を開いてみた。
“よっぴーと、どこまでいったん?”
レオ
「こいつは……! よし、こう書こう」
“S”
先生のスキを見て、浦賀さんに返す。
真名
「え、エス! エスってなんやねん!!!」
鉢巻先生
「浦賀さん、元気ありあまってるようだから
グラウンド3周して帰ってくるんだ」
真名
「しもうた、声が……」
レオ
「Sは添い寝のSね」
さぁ授業授業。
……………………
西崎さんがフラフラと歩いている。
たくさんのプリントを抱えているぞ。
なんだか、荷物を重そうに運ぶ姿が
良美とちょっと似てて微笑ましい。
手伝わないと。
レオ
「大丈夫? 半分手伝ってあげようか?」
紀子
「あ、あり……がと。でも、もうすぐそこだから」
レオ
「そう? じゃ、頑張ってね」
紀子  共通
「うんっ」
頑張り屋だなぁ。
あんまり仲が良いわけじゃないから
無理に手伝うのもなんか悪いし。
俺はそのまま靴箱へと向かった。
紀子
「よいしょ……よいしょ……」
たたたっ!
どんっ!
紀子
「あ……あぁっ」
紀子
「くー、い、いたい……」
良美
「レオ君、一緒に帰ろう」
レオ
「うん、言われなくても登竜門のところで
待ってるつもりだった」
良美
「登竜門……校門で?」
レオ
「あそこの所にある石って待合いのスポットじゃん
彼女できたら1度やってみたいと思ってたんだ」
良美
「なるほどね、じゃあ明日はそうしよっか」
紀子
「いたた……ひ、ひろわないと」
洋平
「お前何回ドジれば気が済むんだ西崎……」
洋平
「自分の不始末だ。しっかり片付けておけよ」
紀子
「……う、うん」
洋平  無音
「……」
紀子
「よいしょ……んしょ……」
洋平
「あーもう、手伝ってくれぐらい言えばいいだろ
ほら、僕もやってやる」
良美
「一瞬でクラスの話題になっちゃったねぇ」
レオ
「そうだねー。本当に騒がしいクラスだよ」
良美
「でも、これで対馬君を好きだった人達は、
あきらめてくれるといいな」
レオ
「そんなにいるかねー?」
レオ
「俺としては逆だよ」
良美  無音
「?」
レオ
「良美狙いの連中が予想以上に多い事にびっくり」
良美
「うん、まぁ何人いようが変わらないよ」
良美
「私はレオ君だけを見てるから」
レオ
「良美……」
良美
「今日1日は、お互い男女ひっくるめて
“本当に付き合ってるのかっ”て
質問攻めだったねぇ」
レオ
「ほんとそうな」
良美
「だから今日はさ。周囲に付き合ってる
事実を認知させるって事で、レオ君と他の女の子が
話してもなんとか我慢したけど」
良美
「これからは、レオ君も私だけを
見てくれると嬉しいな」
健気な事を言ってくれる。
いちいちときめかせてくれるぜ。
レオ
「うん、分かってる」
良美
「えへへ……やったぁ」
良美
「それじゃ、その……家によってかない?」
くいくいと袖をひかれた。
レオ
「え、今から」
ドキッとした。
内心とても嬉しい。
上目でじーっとみてくる。
レオ
「でも、先週こっぴどく怒られたばっかりだし
さすがに夕飯ぐらいまでにはかえらないと」
良美
「うん、でも今5時だから……夕食まで
2時間ぐらい時間あるし」
良美
「2時間あれば……ね?」
レオ
「う、うん」
ごくりと喉が鳴る。
そのまま良美の家にテイクアウトされてしまった。
――その部屋に入る。
鍵をかけて、カーテンを閉めた途端。
良美
「レオくんっ……」
レオ
「――っ」
またも、いきなりキスされた。
良美
「ぷは、我慢するのつらかったよぉ………」
レオ
「良美……」
良美
「レオ君っ……レオ君っ……」
押し倒したのか、押し倒されたのか。
気が付いたら俺と良美はお互い、シャワーも
浴びずに求め合っていた。
……………………
乙女
「で、また佐藤と遊んでて帰るのが遅れた、と
仕方無い奴だな」
乙女
「デートなら週末でいいだろうに。期末考査も
近付いているんだ。気をつけろよ」
レオ
「うん、ごめん」
乙女さんの言う事は、正論だ。
それでも俺は、ベッドの中に入るとつい良美の
体を思い出してしまう。
あの、浴びるシャワーの水を弾く瑞々しい肌と、
柔らかい体。
俺を求める、少女とは思えない艶かしい声。
そして、ぴっちりと一体化してくる膣内の感触。
気が付けば自身を慰めていた。
きぬ
「ふぁー。朝からカッタリィなぁ」
レオ
「どうしたの? なんか覇気がないじゃん」
きぬ
「別に。テメーがウカレポンチなだけだぜ」
良美
「レオ君、おはようっ」
レオ
「あ、良美おはよう」
良美がギュッと抱きついてきた。
きぬ  無音
「……」
レオ
「お、おいこのまま歩くと人目についちゃうぞ」
良美
「ごめんね。つい我慢できなくて」
すっと離れる。
レオ
「あれ、カニ?」
いつの間にか消えている。
良美
「カニっちはさ、毎朝一緒に来てるみたいだけど
あれってレオ君が起こしてるんだよね?」
レオ
「そ、全く手間がかかるよ」
良美
「ふーん」
……………………
祈先生の授業の途中だった。
「なので、ここの訳は“欲望に流される
人間は愚かである”になります」
欲望に流される人間は愚か、かぁ。
確かにその通りだとは思うけど。
今の俺と良美は愚かなんだろうか。
レオ
「……今の英語はなかなか難しかった」
レオ
「良美、ここちょっと教えてくれない?」
良美
「うん、いいよっ。座って座って」
良美
「まずね、ここは……」
あぁ、なんか幸せだな、この空気は。
“ちくしょう、対馬ぁ”
“佐藤さん、俺に優しくしてくれたのに”
“呪いで人が殺せたら”
すまん、クラスの男達よ。
俺は幸せ者だ。
そう思っていた――。
次の休み時間。
浦賀さんが俺の席の隣に座る。
真名
「対馬。昨日のサッカーの試合見おった?」
レオ
「あぁ。点数浦賀さんの言うとおりだった。
……あそこでフォワードが点取ってりゃ
俺の予想も当たってたのに」
真名
「負けは負けや。食券もらうで」
レオ
「ちっ……」
真名
「毎度あり。これでウチの5勝2敗やな」
真名
「次はどの試合で賭ける? ハンデや。
そっちで決めてえーよ」
レオ
「くそっ、なめるなよ。
次こそ当ててやる……
俺だって結構サッカーに詳しいんだ」
真名
「あほやなー、ウチは本職やで?
そっちゲームで詳しいだけやん。
とっとと負け認めりゃええのに」
レオ
「なんのまだまだ」
真名
「この試合なんか賭けるの面白そうや
スペイン対ドイツ」
レオ
「いや、中国対バーレーンの方が通好みのような」
良美  無音
「……!」
レオ
「えっ……?」
なんか今、良美がこっちをジロリと見たような。
真名
「どないしたんや、ボーっとして
熱でもあるちゃうん?」
おでこに手を当てられる。
良美  無音
「……っ!」
乙女
「佐藤、生徒会の話でちょっといいか」
良美
「あ、はい。何でしょうか鉄先輩」
あれ、普通だ。
……き、気のせいか。
気のせいならいいけど。
真名
「それでどないするんや?」
豆花  共通
「マナ、少しいいかネ?」
真名  共通
「トイレなら、1人で行けばええやん」
豆花  共通
「ち、違うネ、いいから来るネ」
浦賀さんは、豆花さんに引っ張られていった。
真名
「ウチ、なんかした?」
豆花
「新婚カプルに近付くよくないネ。火傷するネ」
真名
「よっぴーと対馬のことかいな?
そこまで気ぃ使わんでもええんちゃう?」
豆花  共通
「……だから空気読めない言われるネ……」
真名  共通
「グフッ!」
――昼休み。
きぬ
「あれ、マナの馬鹿はなんで倒れてんの?」
豆花
「繊細だから私の一言で傷ついてるけどいい薬ネ」
レオ
「どしたの、こんな所呼び出して」
昼の執行部には誰もいなかった。
レオ
「学食で姫が待ってるよ?」
良美
「レオ君さぁ」
良美
「私の事大好きだよね?」
レオ
「うん!」
良美
「私もレオ君のこと大好きだよ
幸せを目指すカップルだよね」
レオ
「あぁ、そうだな」
良美
「――だったら、何であんな風にマナちゃんと
仲良く話すのかな」
レオ
「え……」
良美
「私、言ったよね。これからは、レオ君も
私だけを見てくれると嬉しいなって」
レオ
「うん、分かってる」
良美
「そうそう、そう答えてくれたよねぇ」
良美
「――だったらマナちゃんと仲良く話すのやめてよ」
レオ
「――」
レオ
「ちょ、ちょっと待て」
その迫力に思わず圧倒されてしまった。
レオ
「俺は別に浦賀さんを
どうこうしようという気は無いぜ?」
良美  無音
「……」
レオ
「彼女とは今まで通り仲の良いクラスメートとして」
良美
「だめだよ。マナちゃん、空気読めないうえに
頭悪いんだから。勘違いしたらどうするの?」
レオ
「勘違いって……」
良美
「私だけを見てないよ、レオ君は」
良美
「私がどういう風に男子と接しているか良く見て
考えを改めてよね」
良美が腕に手を添える。
……そこは獅子の彫り物がしてるところか。
良美
「あ、ネクタイ曲がってるよ」
曲がったネクタイをキュッと直される。
その時、グッと首が絞まって窮屈だった。
良美
「……束縛してるみたいだけどね。
私は、レオ君の事が本当に好きなの……」
キスされる。
良美
「……これも、2人で幸せになるためだから」
レオ
「良美」
良美
「さ、行こっ、エリーが待ってるよ」
いつもと同じ、温和な良美に戻る。
じょ、情緒不安定なのかな?
少し気をつけよう。
良美
「おはようございます。私、蟹沢さんの
クラスメートで佐藤良美といいます」
マダム
「なんだかえらく上品なのがきたね。何の用だい?」
良美
「きぬさんはご在宅でしょうか?」
マダム
「在宅も何も、まだ2階で爆睡してるわ
叩き起こしてもOK。バットなら部屋にあるから」
良美
「ありがとうございます」
マダム
「ありゃ、すごい美人になるねぇ……」
良美  無音
「……」
きぬ  共通
「Zzz」
良美
「へぇ、こんな格好で毎日起こされてたんだ」
良美
「カニっちの携帯履歴は……と」
良美
「ふぅーん。
1日でレオ君にだいたい5回かぁ」
良美
「日記は………………性格上、ないみたいだねぇ」
良美
「それでもやっぱり要注意人物みたいね、カニっち」
良美
「ほら、起きてよう、起きてカニっち」
ビシッ、ビシィッ!!
きぬ
「ぬ……お、おぉぉ、痛ぇ! 頬が痛ぇ!」
きぬ
「ん……んん……あれ、あれ? 何でよっぴーが?」
良美
「とりあえず制服に着替えようよホラ」
きぬ
「あ……うん」
きぬ
「うー、頬がジンジン痛ぇ」
良美
「ご、ごめんね。あんまり起きないもんだから
どんどん強くしちゃって」
きぬ
「あ、うん。別に慣れてっけどね」
きぬ
「んで、なんでよっぴーがボクを
起こしてくれるの?」
良美
「レオ君が、カニっち起こすのは手間がかかるって」
きぬ  共通
「え……」
良美
「だから私、レオ君の役に立ちたいから
カニっち起こすのを手伝ってるの」
きぬ
「い、いや、よっぴーがそこまですることないって」
きぬ
「今までレオに起こしてもらったし、
これからもレオでいーよ」
良美
「ううん、私、レオ君のためなら
何でもやる所存だからっ」
きぬ
「なんか弱みでも握られてんの?」
良美
「レオ君がそういうことする人に見える?」
きぬ
「いや、もちろん見えねーけどさ」
良美
「私ね……その……」
きぬ
「? どうしたい、頬染めて」
良美
「レオ君とね、もう寝ちゃったの」
きぬ
「……………え?」
良美
「あははっ、皆にはナイショだよ?」
良美
「だから、身も心もって言うか、頑張るって言うか」
きぬ
「……そうなんだ」
きぬ
「……いや、いいよボク。よっぴーに
迷惑かけたくないし、自分で起きれるってば」
きぬ
「さ、さすがに幼馴染以外に叩き起こされるのは
恥ずかしいしねー」
良美
「そうなんだ、分かったよ」
きぬ
「あはは……」
………………
乙女
「なんだ、佐藤ではないか。おはよう」
良美
「おはようございます。レオ君起きてます?」
乙女
「あぁ、朝飯を食べている頃だろう。
私は風紀委員の仕事があるから行かなくては
いけない。遅刻しないよう見張ってやってくれ」
良美
「はい、分かりました」
アナウンサー
「俺は鳥だと主張する中年男性が、高層ビルの
屋上から飛び降りて死亡しました」
レオ
「(もぐもぐ)夏になると変なのが沸いてくるなぁ」
良美
「レオ君おはようーっ」
レオ
「あれ、良美おはよう」
良美
「やっぱり朝ご飯もおにぎりなんだ」
レオ
「あぁ、乙女さんが丹精こめて握ってくれたやつ」
レオ
「うまいよ」
良美
「ふぅーん……鉄先輩が、丹精こめて握った……」
レオ
「どうしたの良美」
良美
「ううん……」
良美
「あの、それじゃあ……私も朝ごはんいい?」
レオ
「んー、良美の分の飯あるかなぁ」
良美
「朝はミルクとソーセージで充分栄養とれるよ」
レオ
「牛乳は乙女さんがいつもラッパ飲みしているので
良ければ、置いてあるよ」
良美
「ううん、絞りたてがいいな」
そういいながら俺の下半身を見る。
レオ
「……し! 下ネタだったのか!?」
良美
「エリーのクセがうつっちゃった、えへ」
レオ
「いや、そんな可愛く言われても」
姫はそこまでエゲツなくないぞ。
良美
「わ、朝だから既におっきくなってるんだね」
気付けば、すでに俺の前でひざまずいている。
レオ
「ちょっと待ってみようか良美」
良美
「いただきますっ……」
レオ
「いただきますを言う行儀のよさは
いいんだが、朝からオーラル行為なんて」
レオ
「俺は風紀委員を姉に持つ身をとして……アウッ」
良美が、朝立ちしているペニスに口をつけた。
そうされてしまえば、もう抵抗できない……。
桃色空間に引きずりこまれた。
……………………
アナウンサー
「それでは、お別れの映像は神奈川県の松笠市を
上空から見た風景で……」
あぁ、俺達の住んでるところが映っている。
今、その屋根の下の1つでフェラチオ行為が
行われてるとは視聴者の皆さんも夢にも思うまい。
良美
「ごちそうさまでした。洗面所ちょっと借りるね」
レオ
「お、おそまつ……さま……でし……た」
短時間に2発も口で絞りとられた。
ペニスはティッシュで優しく清められ、
そっと、ジッパーの中にしまわれる。
良美
「じゃ、いこっか。今からでも充分間に合うよ」
レオ
「お……おうよ……」
ま、まぁでも昨日、一瞬機嫌が悪くなったのは
完全に治ってるみたいだな。
良かった良かった。
いや、でもハタから見れば清純派カップルで
ある俺達がそういうのもなぁ。
レオ
「はぁ……カルチャーショックでございますです」
朝から官能小説みたいな事を。
良美は栄養ドリンク飲んだみたいで
元気マンマンになっている。
エリカ
「お嬢様ファイヤーストーム!」
姫がチャリをウィリーさせながら突っ込んできた。
レオ
「おわっ!」
自分で驚くぐらいの瞬発さで、横に跳んで避ける。
レオ
「あ、危ないなぁ。故意というか殺意を感じたぞ」
良美
「エリー、レオ君に怪我させたら駄目だよ?」
エリカ
「朝から精根尽き果てた顔してるから
ちょいと驚かせてやったのよ」
レオ
「う……的確な表現」
エリカ
「あんまりボーッとしてると、祈センセイに
烏賊(イカ)島に送られちゃうわよ?」
レオ
「イカか……イカって、インテリっぽいフォルムして
結構イケ面だよね。特にユウレイイカ」
レオ
「タコはだめだ。あれは何も考えてない
温室育ちのおぼっちゃんって感じだ」
エリカ
「どしたの、コレ」
良美
「朝から色々頑張って
疲れてるんだよ(お顔ツヤツヤ)」
良美
「おはようございまーす」
鉢巻先生
「やぁ佐藤さんおはよう。礼儀正しくて偉いね
欠かさずしっかり毎日挨拶する生徒は意外と
少ないもんなんだ」
良美
「ありがとうございますっ」
そうだよなぁ。朝からフェラするような
娘には見えないよな。
……………………
休み時間。
イガグリ
「佐藤さん。野球部のマネージャーが
風邪で倒れちゃって。
今日だけヘルプ頼めないべか」
良美
「あ、ゴメンねぇ。今日は忙しいんだ」
イガグリ
「そ、そっか」
山田君
「佐藤さん、ここの所教えてくれないかな?」
良美
「ごめん、説明するほど上手くわかってないんだ」
……確かに。
愛想がいいのは変わってないが、
なんとなく近寄りがたくなってる。
良美  共通
「えへへ」
そのくせ俺との距離は近い。
俺を大事に思ってくれてるのは分かった。
俺も、少しだけ気をつけるかな。
……………………
放課後。
グラウンドで西崎さんが撮影していた。
彼女は何を熱心に撮ってるんだ。
あぁ、フェンスの上に止まってる松笠トンビか。
松笠トンビは通常のトンビとは違い羽根の色が
赤みを多く含んでいるのが特徴らしい。
写真家なら確かにシャッターチャンス。
しかし、集中してアングルを変えながら
撮影しているのはいいが。
すぐそこ、段になってて危ないぞ。
レオ
「西崎さん、ちょっと……」
紀子
「う……うぁっ」
レオ
「あ、遅かった」
やっぱり、脚を踏み外して転んでしまった。
ちょっとこの娘ドジすぎるぞ。
レオ
「大丈夫? いろんな意味で」
紀子
「あ……う、うん」
元気が空回りしているというか。
ハタ目から見ると危なっかしいタイプだな。
ひざの所を深く切ったらしく、血が
タラリと出ている。
レオ
「わ、思ったより切れちゃってるみたい。保健室へ」
紀子
「だ、だいじょぶ。それより、あれをとらないと」
シャッターをきりはじめる。
うーん。怪我をしてもなお頑張るとは。
さすが写真家、別に重症ってわけでもないんだし
ここで無理に止めるのは野暮だろう。
でも、血が気になるな。
ハンカチで縛っておいてあげよう。
レオ
「撮り終わったら、保健室へ行ってよね」
レオ
「これでよし……と」
良美  無音
「……」
………………
紀子
「ふぅ、とりおえた」
紀子
「あれ、あしに、ハンカチ……?」
紀子
「そっか、つしまくんが……まいてくれたんだ」
紀子
「……やさしいなぁ」
良美
「そういうの、いけないねぇ西崎さん」
紀子
「くー?」
良美
「ケガしたなら、ちゃんと手当てしないと」
良美
「こっちこっち、消毒してあげる」
ぐいぐい。
紀子  共通
「う、うん……」
良美
「保険室は遠いから、ここでチョチョイと
やってあげるよ」
良美
「まず、傷を縛ってるハンカチはとらないとねぇ」
ピッ
紀子  無音
「(……いたっ)」
良美
「これは私が返しておくね」
紀子
「あ、それは、あらって、かえすから」
ぐいっ。
良美
「ううん、いいよ私が返しておくから」
ぐいぐい。
良美
「もー、西崎さんったら。ハンカチ引っ張ってる手を
離してよぅ。これじゃ引っ張り合いじゃない」
紀子
「でも、てあてしてもらったの、わたしだし……」
良美
「いいから離してよ」
紀子
「うぅっ……?」
良美
「なーんてね、はい、じゃあ消毒するね」
紀子  無音
「……」
良美
「? どうしたのかな」
紀子
「しみるの、こわい」
良美
「あっはっは。いちいち可愛いねぇ西崎さんは。
はい、いくよー」
ビシャッ
紀子
「あぐっ……うぅっ……」
良美
「染みない染みない」
ビシャビシャ
紀子
「ぐっ……ぅっ……」
良美
「……レオ君ってさぁ」
紀子
「?」
良美
「口下手な女の子ってね、
何が言いたいか分からないから嫌いだって」
紀子
「え……」
良美
「ま。だから何だってわけじゃないけどね
はい、包帯巻いてあげるね」
乙女
「ん、せんべいが置いてあるな。私の好物だ。
……っと、どうした、怪我人か?」
良美
「あ、鉄先輩。2−Aの西崎さんが
撮影に夢中になってて怪我しちゃって……」
乙女
「なんだ、またか。熱心なのはいいけど
気をつけろよ、西崎」
紀子
「そ、それじゃあ、わたしこれで」
良美
「あっ、お茶でも飲んでいけばいいのに」
紀子
「いい、です、ありがとうございました」
乙女  無音
「?」
良美
「一生懸命でいい子ですよね、西崎さん」
………………
グラウンドで、運動部の連中と喋っていた。
洋平
「伊達。こいつは僕の妹でちょっと生意気系な
ツインテールでサクナという名前なんだが、
彼女にどうだ?」
レオ
「悪くないな。顔が野猿みたいだと言う事を除けば」
スバル  無音
「……」
レオ
「ほら、スバルは迷惑そうな顔してるだろ
いい加減、自分の妹を紹介するクセなおせよ」
洋平
「チッ、お前にも1人紹介してやろうと
思ったのに、佐藤さんが彼女になったんだって?」
レオ
「……どうしてお前のクラスまで情報が
出回っているんだ」
洋平
「クラスに出回るというか、僕もついさっき
女子サッカー部から聞いたばかりなんだが」
レオ
「浦賀さんか」
良美
「レ・オ・く・ん」
レオ
「あぁ、良美」
良美
「帰ろ」
レオ
「うん、それじゃあな」
洋平
「すでに名前で呼び合ってるとはな……僕の
クラスにも彼女のファンは多い。皆悲しみそうだ」
洋平
「……っ! 伊達! 逃げたなぁっ」
良美  無音
「……」
レオ
「どうしたの、良美?」
良美
「手当てまでしてあげて、親切だったね?」
レオ
「ん、西崎さんの事か」
良美
「同じクラスがダメだからって隣のクラスが
OKな道理はないんだけど」
レオ
「それって、俺が西崎さんを手当てするから
怒ってるってこと?」
良美
「そうだよ、分かってるんならやめてよね」
レオ
「ちょっと待て。人助けしないような
冷血なやつは対馬レオじゃないぞ」
良美
「うん、それは分かってるよ」
良美
「でもそれなら保健室に連れて行くなり
誰か呼ぶなりで済む話じゃないかな」
良美
「それを手当てまでして……レオ君
ちょっとおかしいよ」
レオ
「俺は純粋な親切心でやったんだぞ」
良美
「でもあの娘、嬉しそうにしてたよ」
レオ
「え……」
良美
「ハンカチは私が取り返しておいたから」
レオ
「取り返したって……」
良美
「血がべっとりついてたから捨てちゃった」
レオ
「お、おい」
良美
「同じのはしっかり私が買ってあげるから」
レオ
「西崎さんは……」
良美
「大丈夫、しっかり手当てしておいたもん」
レオ
「良美」
良美
「まぁ2度と西崎さんはレオ君に近付いて
こないと思うけど」
レオ
「良美! 俺を思う気持ちは嬉しいけど
だからって周りに攻撃的になるのはやめろ怒るぞ」
レオ
「お前、少しへンだぞ」
良美
「じゃあクラスメートのお見舞いにきたのに、
いきなりそのクラスメートと2日間ずっと
セックスしてたレオ君はヘンじゃないと言える?」
レオ
「……う」
良美
「皆、どこか狂ってるの」
良美
「でもそんな事は問題じゃないんだよ」
良美
「怒っても、叩いてもいいよ、私だけを
見てくれれば、それで」
良美
「他には何もいらないんだから……
それぐらい……守ってよ……」
レオ
「よ、良美?」
うつむいて、しょぼくれてしまった。
まさか落ち込んでしまったのか?
怒ったと思ったら落ち込んで……。
む、難しいな女の子は。
彼女が出来て凄い嬉しいけど制限も
多くなった気がする。
これからはもっと気をつけよう。
ピンポーン
乙女
「ん、なんだこんな朝早くに」
乙女
「変身っ!」
乙女
「よし……我ながら着替えも風のごとし」
良美
「鉄先輩、おはようございますっ」
乙女
「おはよう。佐藤じゃないか、どうした?」
良美
「レオ君は朝ごはんは済まされましたか?」
乙女
「朝飯はこれから私が作ってやる所だが?」
良美
「あ、じゃあ丁度良かった」
良美
「私が作りますよ、これから」
乙女
「いやいや、そこまでさせては立つ瀬が無い」
良美
「いいです、いいです。実は…さりげなく…その…
朝ずっとおにぎりだとちょっと飽きるって
言ってましたし」
乙女  無音
「!」
乙女
「くっ……あいつ贅沢な奴だな」
良美
「鉄先輩のも一緒に作りますから。
ほら、朝ごはんって1日のエネルギー源だから
重要じゃないですか」
乙女
「そうしてくれると助かるが……いいんだな?」
良美
「はい、頑張りますっっっ!」
乙女
「そうか。健気だな佐藤は。よし任せる」
良美  共通
「はいっ」
乙女
「うんうん。レオもいい相手を見つけたものだ」
乙女
「それでは私があいつを起こしてこよう」
良美
「あ、それも私がやりますっ」
乙女
「なら私はレオの着ていたものを洗濯するか」
良美  共通
「あ、それも私がやりますっ」
乙女
「弟の彼女が姉の仕事をとる……複雑な心境だな」
………………
レオ
「朝から豪勢な食事だなぁ」
乙女
「佐藤は食材持ち込んで来たからな」
乙女
「それでは佐藤の金が持つまい。これからは
家の中にあるものを使って料理してみろ」
良美
「はい。そうしますね。今日はこっちの
台所事情が分からなかったものですから」
レオ
「はは、お米だけは沢山あったでしょ」
乙女
「む。悪かったな。どうせおにぎりだけしか
作れないさ。ふん、先に学校へ行くぞ」
乙女さんがいじけた。
風紀委員も大変だ。
良美  無音
「……」
レオ
「うん、朝から豪勢な和食で俺は大変満足です」
良美
「はい、卵も。いっぱい精をつけてね」
良美
「なーんてね、きゃっ」
いや、きゃっじゃなくて。
まぁ食べるけどさ。
レオ
「って、そろそろ行かないとやばいな」
良美
「うん、今度はもっと早く作るね」
レオ
「どうした、おいていくぞ?」
良美
「動けないからスイッチいれてよ」
レオ
「どこにあるんだよ、スイッチなんて」
良美
「ここと、ここと……」
自分の胸の両方を指す良美。
レオ
「ちょっと姫の影響受けすぎ!」
良美
「あ痛っ」
強烈にデコピンしてやる。
レオ
「行くぞ、マジで時間ないでしょ」
良美
「あぁん、待ってよぅ」
また朝から桃色空間に引きずりこまれる所だった。
デコピンされても良美は嬉しそうについてくる。
ここで遅刻したら乙女さんに、朝ごはん作りに
こなくていいと言われかねないからな。
2人きりだと機嫌いいんだよな。
………………
土永さん
「明日は創立記念日だが、はしゃぎすぎるなよ。
いいか霊長類ども、鳥類はいつだって貴様等を
見下ろしてあざ笑っているんだからな」
「いよいよ期末考査も近付いてきましたわね
私が不安に思う人は、個別に放課後補習しますので
残ってくださいな」
「今日は対馬さん、月曜日は楊(ヤン)さん
火曜日は伊達さん、水曜日は山田さん、
木曜日はフカヒレさん……」
きぬ
「はっはっは、こいつら補習くらってやんのー」
真名
「アホやなぁ、大爆笑や」
レオ
「先生、蟹沢さんと浦賀さんはいいんですか?」
「はい、彼女達は呼んでませんわ」
真名
「ウチらなんだかんだで信頼されとるな」
「もう諦めてますから。切り捨てました」
きぬ
「え”え”っ!?」
……………………
祈先生って……良美の胸より大きいよな。
良美は体を揺らせば、プルンプルン揺れてたけど
こっちも凄そうだ……。
いかん、思考が首都高エロ方面にまっしぐら!
「もっと危機感を持たないと、期末危ないですわよ」
祈先生が体を揺らす。
たぷん、とその巨乳が揺れた。
レオ
「ウ……」
「対馬さん。集中ですわ。机の下を見てくださいな」
レオ
「うお、土永さんいつの間に」
土永さん
「何か妙な動きを見せようものなら、
我輩がここをキツツキのように連射するぞ」
レオ
「……恐ろしい。砕かれてしまうじゃないか」
「分かったら勉強しますわよー」
レオ
「く、くそう……」
レオ
「……?」
何だか視線を感じる。
良美  無音
「……」
良美……。
じーーーーーーーーっと見ている。
やばい、これは乳にうつつをぬかしている
場合ではない。
………………
補習は終了……したんだけど。
レオ
「よぉ」
レオ
「わざわざ待っててくれたの?」
良美
「……なんだか、楽しそうだったねぇ」
レオ
「う! 痛いところを」
良美
「20代のホルスタインみたいな胸がいいんだ
バスケでドリブルしたらどれが
ボールか分からないのがいいんだ……」
レオ
「違う」
良美
「だって見てたじゃない……じーっと……
私だって結構胸大きいのに、それを無視してさ」
レオ  無音
「……」
良美
「いい加減にしてよね、それじゃ幸せになれないよ」
レオ
「……正直に言おう」
良美  無音
「?」
レオ
「胸みてました。ごめんなさい」
良美
「うん、じゃあその悩みは解決させてあげる
要するに、欲情してるって事は私が満足させきれて
なかったって事だよね。こっちにも責任あるよね」
グイッと俺の腕をとる良美。
良美
「明日は休みだし。今夜はウチに泊まってね」
レオ
「お、おい」
良美
「行きましょ」
豆花
「御二人さん、お似合いネ。再見」
レオ
「さよならー」
良美
「さよなら」
良美はニコニコと笑顔を振りまいている。
ちなみに俺達は手を握っているわけだが。
良美は絶対に逃がすまいと、俺の手を
力いっぱい握ってきている。
こりゃ、外泊決定だな……。
初めは体で流されたけど、良美の事は好きだ。
だから、良美の迫力に押されながらも
なんだかんだで外泊が楽しみだったりして。
レオ
「良美。手の力緩めて。どこにもいかないから」
良美
「……ん」
手にこめられた力が軽くなる。
エリカ
「御二人さん、熱いねーっ。それじゃねー」
レオ
「姫、ちゃんと前見てチャリこぎなって!」
レオ
「……全く、しっかりしてそうで危なっかしいぜ」
良美  無音
「……」
ぎゅううううっ!
レオ
「な、なんでまた手に力を入れる!」
……………………
この部屋に到着すると、良美は必ず鍵をかける。
そして、俺にペットボトルのお茶を出すと、
干してあった洗濯物を片付けて。
そして窓を閉め、鍵をかけてカーテンも引く。
良美
「よいしょっと」
レオ
「なんで電話線を抜くの?」
良美
「携帯の電源もOFFにする……と。レオ君のも」
レオ
「ん、OFFにしたぜ」
良美
「家のインターホンも外して、と」
レオ
「?」
それだけの過程を踏んで、初めて良美は
俺の胸に飛び込んできた。
その勢いのよさに、こっちはよろめく。
良美
「ん……ちゅっ、んむっ……ン……レオ君っ……」
レオ
「ん……んんっ……」
良美
「……えへへ、これで外の情報は一切入ってこないよ
ささやかだけど。2人きりっの世界だね」
良美
「学校には邪魔が多すぎるよ……ほんと、
こんな風に世界で2人だけならお互いを絶対
独占めできるのにね……」
良美
「んーっ♪」
熱烈なディープキスだった。
愛を確かめるというより、奪うようなキス。
レオ
「ぷは、その世界には、姫はいないの?」
良美
「エリーは……猫になって欲しいな
毛並みのいい、誇り高い猫」
良美
「私がずっと可愛がるから」
良美
「んんっ……ん……っは……ん」
良美
「シャワー……補習待ってる間に学校の
使って浴びてきたから」
耳元でボソッとつぶやく。
レオ
「あ……俺浴びてない」
良美
「ううん。そっちは今のままでいいよ」
そう言いながら、俺の首筋に舌を這わせ
滲んでいた汗を舐め取る。
レオ
「良美っ……」
良美
「今日はレオ君が好きなことしていいよ……」
レオ
「え?」
良美
「日頃から、セックスでしてみたい事あるんでしょ」
良美
「我慢せず、それを全部ぶつけていいよ」
レオ
「良美……」
良美
「気を使って我慢なんかしてるから、
祈先生の胸に目が行くんだよ……」
良美
「全部受け止めてあげるから……来て」
レオ
「良美……」
レオ
「じゃあ……その」
日頃、教室や生徒会室で見せ付けられていた
お尻を撫で上げる。
レオ
「こっちを色々やってみたいんだけど……いい?」
良美
「……うん。色々やってみて」
……………………
良美に四つん這いになってもらった。
良美
「……うぅっ……はっ……恥ずかしいよぅ」
レオ
「み、見ている俺も恥ずかしいけど……」
恥ずかしがってる割に良美、なんか……。
良美
「はぁ…はぁ…犬みたいな格好…させられちゃった」
興奮してないか?
良美
「レオ君……あんまり、いじめないでね?」
その声はむしろ、いじめてくれと言っている
気がする。
雪のような白さをもつお尻をながめた。
つん、と上を向いている。
それでいて、少女のお尻なのかと
思うほど豊満で、美味しそうだ。
これを毎日のように教室で俺に
見せつけてくれたのか。
レオ
「良美は、体のすべてが美しくできてるな」
レオ
「顔や胸も綺麗だけど、お尻もボリュームあって
ラインも綺麗で……俺は幸せものだ」
触らなくても、その丸みでむちむちとした
肉づきを感じさせる。
やはりこの体勢は恥ずかしいのか、
積極的な良美がモジモジしている。
レオ
「もっとお尻あげて」
良美
「は、はい……」
レオ
「いや敬語じゃなくていいから」
なんか命令されて悦んでるし。
くいっ、とお尻を俺に差し出すように高くあげた。
レオ
「うん……そうそう」
そのまま、汗ばんだ手のひらで高々と
突き出された尻肌を撫で始める。
良美
「な、なんか遠慮してない……?
舐めたり、叩いたり……しても……いいよ」
レオ
「別に痛めつける気は無いよ」
お尻の肉を揉みながら、その柔らかさを味わう。
肌が手に吸い付くようだ。
おっぱいよりも硬いけど、その分弾力はある。
慈しむように、撫で回し続ける。
良美
「ん……なんか、じれったい」
リクエストに応じるように、尻肉を
強めにこねまわす。
そのまま指を一本、良美のお尻の割れ目にいれた。
そして、ピトッ、とお尻の穴に触れる。
良美
「あっ、そ……そこはっ……」
レオ
「ここも柔らかいね」
指の腹でマッサージするように、ぐにぐにと
可愛らしい尻穴をいじった。
お尻の穴をつつくようにして、ほぐす。
良美
「んっ……んんっ……」
ひょい、と良美の顔を覗き見た。
羞恥に顔を染めていた。
そうだよなぁ、いくら気持ちいいとはいえ
好きな男子にお尻の穴をいじられてるんだ。
爪を立てるようにして、刺激していく。
良美
「す……すごい恥ずかしい……けど……
いじられると……くすぐったくて……」
レオ
「ピンクで綺麗だよ、もっと良く見せて」
お尻の肉を割り開くようにして、
後ろの穴を丸見えにする。
良美
「あぁっ……やぁん」
羞恥に満ちた声が脳を刺激してくる。
やはり嬉しさ半分恥ずかしさ半分といった感じだ。
唾液にぬらして、ネトネトになった指で尻穴の
まわりを刺激する。
レオ
「指、いれるよ」
良美
「うんっ……こっちも……可愛がって」
人差し指を軽く押し込んでみた。
良美
「んあっ……あ、気持ち、いいかも……」
わずかながらに、俺の指は良美の
後ろの穴を犯していた。
侵入者を締め出そうと、良美の筋肉が
反抗的な態度をとってくる。
わずかに入れた指先を、グイグイと
小刻みに動かし、入り口をほぐしていく。
皆の人気者であるクラス委員長の尻穴を
ほじくってたなんてバレたら殺されそうだな……。
そんな事を思う余裕も出てきた。
レオ
「良美、力抜いて。指、もっと中にいれるからさ」
良美
「うん……い、いいよ……もっとお尻にいれて」
その答えには、期待の色が混じっていた。
人差し指をさらに、奥へと進めていく。
思ったほど中は熱くなかった。
良美
「ん……はうッ」
一瞬、良美が苦しげにうめく。
良美
「あぁッ………入ってくる…レオ君の指が……
中に……入ってくるっ…………」
入り口はすごい窮屈だが、中に入れば思ったより
スムーズに進む。
中の襞を、指でひっかいてあげた。
良美
「あ……ふぁんッ!」
指先をグルグルと回すように動かす。
良美
「あはぁっ……あっ……あぁぁっ……
ここ、こんな、気持ちよかったんだ……」
レオ
「いいの良美、お尻、そんなに気持ちいい?」
良美
「うんっ……レオ君の指、中ですごい暴れてるぅっ」
レオ
「良美のも、すごい締め付けてくるよ」
中で指を曲げて、その穴をさらに広げようとする。
中から刺激され、良美はふるふると
お尻を振った。
擬似セックスとして、さしこんだ指を
出したり入れたりしてみる。
良美
「あっ……あぁっ……」
お尻から指を引き抜く。
良美
「あぁぁんっ……」
良美
「……は…あ……はぁ〜はあぁ〜」
ヒクヒクと震えるようにピクついている尻穴。
レオ
「……濡れてる」
気が付けば、はっきり分かるぐらい
その清楚な股間をぬらしていた。
お尻を指でいじられたぐらいで……。
ふとももにツゥッ……と白い蜜が流れている。
良美
「うぅっ……レオ君がヘンなところばっかり
いじるからだよぉ……」
レオ
「ん、じゃあ責任とるよ」
とっくに勃起しているペニスに手を添える。
後ろから、指でむちっと開いた秘裂に
亀頭をあてがい、そのまま腰を突き出した。
良美
「あはぁっ……こ、今度はこっちに
はいってくるよぉ……」
愛液で溢れるそこはスムーズに挿入できた。
良美
「あぁああぁっ、熱い……」
良美が滑らかな背中を、クンと反らせて喘いだ。
良美
「あぁっ……、こ、こんな風に、私とすること
か、考えてたんだね……お尻をいじって……
後ろから犬みたいに……」
後ろから犯すと、少し襞の感触が違う気がした。
レオ
「うん……」
しっとりと濡れている襞の感触が心地良い。
良美
「う、嬉しいな……わ、わたしも、レオ君に……
後ろから、お、襲われたかったっ……」
レオ
「良美!」
良美
「だ、だから動いて……いっぱい、動いて……」
良美
「は、早くぅ、早く動いてぇ……お願ぃ……」
良美が、おねだりするようにお尻を振る。
レオ
「……っ!」
動いてないのに、それだけでペニスが
膣壁に刺激されていく。
レオ
「良美ッ……」
そのお尻のダンスをとめようと、ペニスを
寸前まで引き抜き、勢いよく突き刺した。
良美
「くっ……あぁぁんんっ」
ピクピクと痙攣する細腰をかかえて、俺は
腰をふりはじめた。
良美
「あぁぁッ……はぁ、んっ…」
良美
「やぁんっ、レオ君、レオ君……」
レオ
「き、きついか? 良美……」
良美
「ち、ちがう、違うのぉ、もっと……もっと
強く犯して……まだ遠慮してるよぉ……」
レオ
「こ……の、良美ッ」
ぱんっ、と勢い良く音がするぐらいに打ち付けた。
良美
「あぁっ、そ、そうっ……はぁぁっ
ほんとの、ライオンみたいに荒々しいよぉっ……」
良美の髪が、突かれる度に揺れる。
良美
「んあっ……あぁっすごいっ、レオ君すごいっ……」
キュッと甘く絡みついてくる粘膜を擦りあげる。
レオ
「クッ……そっちも……すごい」
ぷるぷると揺れている乳房を力強く揉んであげた。
良美
「ひあッ…お、おかしくなっちゃいそうっ…あぁっ」
ペニスを包み込んだ粘膜がさらに刺激してくる。
あやうく射精してしまう所だった。
レオ
「良美、すごいよ、中で俺を思いっきり
抱きしめてくるっ……」
巨乳の柔らかい揉み心地を味わいながら、
バックから容赦なく犯し続ける。
良美
「あぁんっ…はァン…、れ、レオ君が……あんっ
そんなに……んぁっ……するから」
レオ
「良美……委員長がそんなエッチだって知ったら
クラスのみんな、驚くぞ……」
良美
「やぁっ……いま、そんなことは考えないでぇっ……
私を、あっ、ただ……愛してっ」
レオ
「あっ……あぁ……んっ」
腰をクイッと引いては、力強くズブッと
良美の粘膜を刺激していく。
良美
「あぁぁっ、もっと、もっとついてぇっ……」
しかし、責められているのは良美だけではない。
俺のペニスに、ぴっちりと吸い付いてくる
粘膜がヒクヒクと動いて刺激してくるのだ。
良美
「レオ君っ……レオくぅん……動いて…動いてよぉ」
射精をこらえる為に、グッと我慢しようとしても
良美がお尻を振ってきて、こらえきれそうにない。
レオ
「くぅ……良美っ」
名前を呼びながら力強く早いリズムで突いていく。
良美が汗ばんだ背筋を反らせてもだえた。
良美
「あぁあッ、ああぁッ……レオ君っ」
レオ
「はぁ……はぁっ……」
良美
「ひゃあ、んぁ……く、もっと、もっとぉ!!」
ズンズンと、放出へ向けてスパートをかける。
良美
「あ、アっ、あっ、あっ、あッ……あぁ!」
途切れ途切れの良美の喘ぎ声。
言葉を出すのも辛そうだった。
最後に出来るだけ一番奥に打ち込んだ。
良美
「あっ、あぁぁぁっ、レオくんっっっ!!!」
良美の膣壁がキュゥッと締め付けてくる。
レオ
「くぅっ……」
我慢していた濃い精液を、良美の中に放出した。
ドビュッ……びゅっ……
良美
「はぁっ、はぁっ、熱いっ……」
良美の膣がピクピクと震えるのにあわせるように
俺のペニスも精を吐き出していた。
良美の腰をグイッとひきつけ
汗ばんだ尻に俺の下半身をぐりぐりとなすりつける。
良美
「あぁ、感じる……いっぱい……
流れ込んできてる……」
そうしてできるだけ、奥深くに精液を出していく
良美
「はぁ……はぁ……はぁ」
良美は突き上げたお尻をおろさず、俺の精を
全て受け止めていた。
……………………
引き抜いたペニスは、瞬く間に勃起していく。
我ながらすごい回復力だった。
良美
「わぁぁ……げ、元気だねぇ」
レオ
「良美が可愛いから」
良美
「えへへ、じゃあ可愛がられるよう頑張るよ」
さんざん自分の中で暴れまわったペニスを
愛しげに手にとる良美。
愛液と精液に濡れてテカっているのに
ためらいもなく自分の口にいれた。
良美
「ん〜あむっ……ちゅっ……ぺろっ」
暴れまわったペニスをマッサージするかの
ような舌の動き。
良美
「んむ……」
射精後の敏感になっている亀頭部分に
ねっとりと舌をからませてくる。
そうしているだけで、良美もまた濡れてくるのだ。
レオ
「ん……」
俺は良美の後ろの穴に舌を伸ばした。
ほんの少しだけ舌に刺激が走る。
特に味はしない。
レオ
「ん……ぺろ……」
委員長は、お尻まで優等生だった。
別に汚れも無いし匂いもしない。
表面のピンク色の入り口を、優しく舐め続ける。
良美は、腰をピクンと反応させながら
モジモジしている。
そりゃ、女の子としてこんな所を
舐められれば当然の反応だろう。
それでも俺は、可愛いピンクの穴を
ひたすら舐め続けた。
舌を離すと、そこは唾液に濡れて
ヒクヒクと可愛く反応していた。
今度は、唾液でぬめった舌を
とがらせるようにして尻穴に挿入してみる。
良美
「あぅっ……んん……ん、あ」
レオ
「良美……そろそろ……いい?」
良美
「うん……いいよ……こっちの処女もあげる」
レオ
「う……」
レオ
「力は抜いててね」
良美
「うん……よ、よろしくね」
なんだかヘンなやりとりだった。
切れて血が出る事があるらしいからな。
無理はやめよう。
良美
「レオ君、我慢したら怒るからね」
レオ
「わ、分かった」
見透かされているし。
なら行くしかあるまい。
亀頭を良美のお尻にあてがう。
レオ
「いくよ……」
腰を前に突き出した。
めりっ……。
うわ、生々しい感触。
肉にそのままめりこんでいく感じ。
膣口と違って、こっちの侵入を明らかに拒んでる。
レオ
「ん――」
無理やりに、中へと亀頭を押し込んでいく。
良美
「あっ――あぁぁっっっ!!」
濡れているおかげで、力をいれればなんとか
入りそうだ。
レオ
「良美……」
良美
「あぅっ!! う、あ、あぁぁ……」
痛みが混じる良美の声。
レオ
「ん……良美、力抜いてる?」
良美
「う……うんっ、出来るだけ、んあっ、ぬ、
ぬいてるよぉっ……」
レオ
「そ、そっか……」
亀頭の出っ張りがひっかかってる。
これ以上はかなりきつい。
というか、俺の方も良美の圧迫で痛い。
良美の筋肉と、俺の侵入する力との戦いだ。
良美
「レオ君の、結構、大きい方じゃない、かな?
だから、入れるのが……難しい、んだよっ」
レオ
「ん……ちょっとグイッといくぞ」
良美
「うん……レオ君きて……」
レオ
「んっ」
ズブッ!
良美
「あああああぁぁっ!」
レオ
「だ、大丈夫――か?」
槍で肉をついたような感触。
まさしく突き刺す行為だった。
良美のお尻の中に、ほぼはいりこんだ亀頭。
レオ
「ん……あと……少し」
全て埋めるべく、腰を突き出す。
良美  共通
「あ……く、ぁ、あ、あ……ッ」
レオ
「ん、ん……」
お互いが、必死に痛みをこらえている。
レオ
「……あ、入った……頭の部分、全部入ったぞ」
良美
「ん……ん、分かるよ……お尻が、熱い……」
いったん、息を吐いて休憩。
結合部分をじっ、と見てみる。
小さくて愛らしかった良美のアナルに
俺の亀頭がズブリとめりこんでいる。
それは、なんとも淫靡な眺めだった。
レオ
「軽く……くっ、動くよ」
もの凄い締め付けに歯を食いしばるようにして
腰を動かしはじめる。
良美
「ん……アッ! あぁぁっ!! 動いてるっ…」
痛みと快感が紙一重とは良く言ったものだ。
この圧迫感は病み付きになりそうだった。
レオ
「良美のここ、なんか、クセになりそう」
良美
「んんっ……わたしも、いたい、けど……
なんか、じんわりと……」
レオ
「気持ちよくなってきた?」
良美
「ん、まだ、ちょっと……痛い、かな」
レオ
「そっか、それじゃほぐすよココ」
中は唾液で濡らしてあったので、
入ってしまえば意外と楽だった。
少しだけ奥へ進む。
良美
「はうっ………」
そして、また戻す。
レオ
「ん……」
俺だっていきなり奥深くまでいれる
度胸はない。
じんわりと浮き出た良美の汗を見ながら
軽いピストン運動を繰り返す。
良美
「んんっ……あァッ……しびれて、きちゃう……」
もう少しだけ奥へ。
良美
「ふあぁっ……また、奥にきた……」
奥にいれるたびに反応してくれる良美。
くねくねと白い背中を揺らして、反応している。
あせったらダメだ、開発はゆっくりと。
良美
「ん、あ、はあ、あ、あァ、あ………!」
ゆるやかにお尻を掘っていく。
しかしこれで、みんなの委員長の
口と膣と尻の穴全部犯してしまったわけで。
良美もそれを望んでいたとはいえ我ながら獣だ。
ズブズブッ……
良美
「あぁぁっ……ひっかきまわされてるうっ」
レオ
「良美、どう?」
小刻みに動きながら、優しくたずねた。
良美
「う……うんっ、き、気持ちいい……よぉ」
レオ
「そっか、よかった」
ならば、さらに奥に。
良美の尻肉をむにっと掴みながら。
ペニスを出来るだけハメこんでいく。
良美
「……ふぁ……あっ! あぅ……」
息をするのも苦しそうだけど、それでも。
良美
「も、もっと……奥に……い、いいよ」
ズブズブズブッ
良美
「レオ君の……あぁっ、全部、いれ……てっ」
ぎゅうっと、くわえ込まれて、もう
射精して萎えない限りは引き抜けない気がした。
これ以上いくと、なんだか内臓というか
突いてはいけない所を突いてしまいそうで怖い。
良美
「レオ……君っ、犯したなら、ん、責任
もって……、最後まで……きちん、と
……犯して……」
レオ
「良美……こら、お尻ふるな」
レオ
「ん、ちゃんと最後までいれてあげるから」
良美にそこまでの覚悟があるなら
俺も進んでいくだけだ。
レオ
「んっ……んんっ」
良美  共通
「あぁぁっ……」
窮屈さを味わいながら、ついに
奥まで掘り進んだ。
レオ
「こ……これで、全部、だよ……」
良美
「……はぁ……はぁ……はぁ」
良美はぐったりとしている。
レオ
「……大丈夫?」
良美
「うん、ちょっと……ボウッとしちゃった……」
奥までいれてしまうと、じっとりとした
良美の温もりが伝わってくる。
そのまま、俺は動き始めた。
腰を引くと、お尻の穴がいっしょに
はりついてくるような感覚がするぐらい
ガッチリとはまっている。
そして、また深く突き入れる。
良美
「ン――……く、ふぁ、すごっ……」
お尻の穴も少しずつ慣れてきたみたいだ。
良美
「き、きもちいい、お尻が、気持ちいいっ」
わりとスムーズにピストンできる。
良美
「あ……あぁっ、いいっ……」
レオ
「あ、良美……もう、いきそうだ」
良美
「あぁっ、あ、レオ君、私の……お尻で
感じて、くれたんだ」
レオ
「うん、というか、俺もすごい、キモチイイ」
レオ
「な、中で出していい?」
良美
「中じゃなきゃだめっ……外なんていや」
レオ
「ん……分かった。いくよ良美」
良美
「うんっ……きてっ、いっぱい出してっ」
レオ
「んッ」
ずぶっ!
良美
「くっ……はぁぁぁぁぁぁっんっ!!!」
遠慮の無い一撃を良美の尻に叩き込んだ。
それと同時に、一気に精液が暴発する。
ドプッ……ドクッ……ドクンッ……
レオ
「くあ……」
良美
「あっ……す、凄い、これっ……」
良美の中に、浣腸の如く注ぎ込まれていく精液。
レオ
「んあ……まだ出るっ」
良美
「お、お腹の中に…レオ君のが…入ってきてるぅ」
萎えていくペニス。
それでも、お尻はかなり窮屈なわけで。
レオ
「ん……と」
引き抜くときも、少し力をいれる必要があった。
ぬぷっ、とお尻からペニスを取り出す。
レオ
「――あ」
良美  無音
「……?」
レオ
「い、いやなんでもない」
お尻の穴から、精液が溢れている。
凄いHな光景だった。
それとは裏腹に、自分のペニスの
清潔さにびっくりした。
腸液がついている以外は別に汚れていない。
綺麗好きの委員長は、この中まで綺麗なのか。
………………
その日の夜。
レオ
「良美……お尻……大丈夫?」
良美
「うん、切れても無いし。大丈夫だよ」
良美
「恥ずかしいなぁ……あんなところ
いれられて、あんなに感じちゃうなんて」
レオ
「そうだな、エッチな娘だ」
良美
「もぉーっ、そっちだってすごかったくせにぃ!」
ぽかぽか、と軽く叩いてくる。
レオ
「ははは……」
やっぱりこっちの良美の方が可愛くていいな。
良美
「こ……これだけやれば……レオ君も
他の女を見ないよね?」
良美
「私だけを……ずっと見てくれるよね?」
レオ
「言っただろ、先週からお前だけ見るって」
良美
「今週、見た限りじゃ全然だめ……
私以外の女のコとあんな仲良くしてるんだもん」
良美
「それじゃ、幸せになれないよ……レオ君」
レオ
「な、なぁ……もちろん俺も気をつけるけど
共学である以上、少しぐらい話すのは仕方ないよ」
レオ
「だから、少しぐらい多目にみてくれ。な?
じゃないとお前の心が持たないぞ」
良美  無音
「――」
レオ
「良美?」
良美
「ぜ……全然分かってくれてない……」
レオ
「え……?」
良美
「少しぐらいってどれぐらい? 何が
ボーダーラインなの?
何をもって少しぐらいって言うの?」
レオ
「いや、それは……」
良美
「そう言ってまた他の女の子と話し込むの?
私の事、これだけ好きだって言って
これだけ好きにして、それでまた――」
レオ
「だから、その考え方やめろよ」
レオ
「少しは信じてくれ、浮気なんてしねーから」
良美
「浮気じゃない、本気とか言うんでしょ!」
レオ
「良美!」
良美
「絶対有効な契約書とかあればいいのにな。
2人が2度と離れないような契約書が……」
良美
「レオ君に裏切られるのだけは、やだよ……」
レオ
「だから、裏切らないから」
良美
「今、痛い女とか思ったでしょ……
素直な西崎さんあたりに乗り換えようとか
思ってない?」
レオ
「思ってねーよ!」
良美
「ほら、口調が荒くなった!」
レオ
「お前……」
なんて情緒不安定なやつなんだ。
ほんと、あの委員長と同一人物とは思えない。
レオ
「……分かった。態度で証明するから」
良美  無音
「?」
レオ
「来週から態度で証明するから。それでいいだろ?」
レオ
「良美、お前ちょっと人間嫌いだと思う。
椰子とかとは別の意味で」
良美
「……人間は言っている事は
全て嘘だと思えって教わってきたもん……
そりゃ好きにはなれないよ」
レオ
「どこの誰がそんな馬鹿なこと教えたか
知らないけどさ」
レオ
「嫌いなら、好きにさせてやるよ」
レオ
「ちょっとムカついた。そこまで
いじけてる思考に」
レオ
「俺、本気でお前の事好きになってるのに」
レオ
「お前にそれを思い知らせてやるからな」
良美  共通
「レオ君……」
良美
「じゃ、じゃあ、じゃあ!
今日からここで暮らすんだよね?」
レオ
「何でそうなる」
レオ
「同棲なんてバレたらそれこそ大問題だろうが」
良美
「私への愛を証明したいのに
そんな事もしないの? その期間だけでも
一緒に暮らしてよ!」
レオ
「そういうわけには行かないだろ」
良美
「あ、分かった。グチる気でしょ
家帰ってスバル君に、私が痛い女だって!」
……こいつ、どこまでマイナス思考なんだ。
レオ
「……上等だな、良美。久しぶりにキレちまったよ」
レオ
「誰がお前をそうさせたかは知らないけどさ」
レオ
「そいつと俺の人間性を一緒にされるのは
いたって不快だね、ほんと」
家に電話をかける。
レオ
「あ、乙女さん? 今日から俺、1週間だけ
良美の家に泊まるから」
良美  無音
「……!」
乙女
「……何をふざけた事言ってるんだお前は
早く家に帰って来い」
レオ
「非常識なのは分かってる。でも、
良美の力になりたくてさ」
乙女
「? 何かあったのなら私が
協力してやるぞ。どうしたんだ。相談してみろ」
レオ
「ありがとう。でも、これは誰でもない
俺じゃなきゃだめなんだ」
乙女
「……要領を得ないな。いいから1度帰って来い」
レオ
「帰れない。真剣なんだ。信じてくれ」
乙女
「信じるも何も、佐藤は1人暮らしだろう
そこに泊まって学校に来るというのかお前」
レオ
「……俺さ……自分で言うのも
なんだけど、小さい頃から乙女さんに
根性無し言われ続けてさ……」
レオ
「確かにその通りかもしれないけど
普段根性が無い分、余計ここぞって時に
根性を出さなきゃいけないと思う」
レオ
「だからってわけじゃないけど……
信じてくれないかな。今がその時なんだ」
レオ
「真剣なんだよ。良美の為に……好きになった
女の子のために出来る事をしてあげたいんだ」
乙女
「だめだ。風紀委員として
その事実を見過ごす事はできない
私の弟だからこそ、規律は守らねばならん」
レオ
「……」
乙女
「だが、それは学校のルールだ。お前が学校を
例え退行処分になっても構わない覚悟があるのなら
勝手にするんだな。私はその件に関し口出しせん」
レオ
「……!」
レオ
「うん、大丈夫。ありがとう」
電話を切る。
レオ
「乙女さん説得完了」
良美
「……自分で言い出してなんだけど……
あの、ルールにうるさい鉄先輩が……
よく家に泊まる事を許可したね」
レオ
「あの人は俺を、なんだかんだで信じてくれるから」
良美
「……仲いいんだねぇ……」
レオ
「そこは、嫉妬する所じゃなくて乙女さんを
見習うところだろ」
良美
「だって、私レオ君好きだもん。
好きだから、こんなに苦しんでるの」
レオ
「とにかく、お前のいじけた思考を直してやる」
抱きしめる。
良美
「……ほんとに、裏切らない?」
レオ
「裏切らない」
良美
「……レオ君、私……それでも、どうせまた、
裏切られるとか、思っちゃってる……」
レオ
「だから、それをこれから直してやるさ」
良美
「……怖いよ」
レオ
「え?」
良美
「レオ君のこと、好きだったのに
今のでもっともっと好きになっちゃった……」
良美
「だから裏切られるのが怖いよぉ……」
レオ
「しつこいぞ良美」
ピシャリ、とお尻をはたいた。
良美
「うぅ……、ズキッと響いたよぅ」
レオ
「いくら怖がったところで、ありえないから
関係ないもん」
レオ
「それより俺が1週間、ここで一緒に暮らすんだ。
なんでもっとプラス方面に考えられないの」
良美
「そ、そっか…レオ君とここで同棲生活なんだよね」
レオ
「ああ、よろしくな。お前が俺を見飽きたって
言うぐらい一緒にいてやるよ」
良美
「そんなことありえないもん。レオ君命だもん!」
レオ
「ん……命とまで言ってくれるなら、その」
良美  無音
「?」
レオ
「かっこいい事言った直後で
しまりがないけどさ、メシにしてくれない?」
レオ
「俺、すっごくおなかすいた」
良美  共通
「……くすっ」
良美は、やっとここでクスリと笑った。
良美
「うん、ちょっとまっててね」
良美
「えーと、何がいいかなぁ……やっぱり
うなぎは必須だよねぇ……」
良かった……いつもの良美に戻った。
好きな人に尽くすのが好きなタイプと
いうのは変わらないみたいだな。
精神の不安定ささえ治れば
メチャクチャいい娘なんだ。
こんな感じでリードしていってあげよう。
レオ
「今日も頑張った……」
良美
「レオ君……獣みたいで素敵だったよ……」
レオ
「土曜日か日曜日どっか行く?
そろそろ海開きみたいだし」
良美
「やだよぉ……ここがいい、2人きりがいい。
そりゃ旅行とかにも行きたいけど、今は
ずっとずっとずっとずっと一緒がいい」
レオ
「分かった、分かった」
レオ
「ところで、前から気になってたんだけど
良美の服の上に置いてある人形って」
良美
「あぁ、あれはエリーの人形だよ」
レオ
「やっぱり? なんでまた姫の人形を」
良美
「うん、2人でね、オマジナイしたんだー」
良美
「エリーは、私が性欲が強くて悩んでるって
思いきって言ったら、私は権勢欲が強いから
同じようなものねって、言ってくれてね」
良美
「この人なら本当の友達に
なれるって私も思って……」
良美
「お互い仲良くずっとやっていこうねって……
オマジナイしたの」
レオ
「それで、あんなに仲が良いんだね」
耳の裏を優しく掻いてあげる。
良美
「ふみゃーん、くすぐったいよぉ、レオくーん」
思いっきり甘えてくる良美。
こんな可愛い態度をとりながらも、
俺の裏切りを恐れているというが。
いったい何がお前をそうしてしまったのか。
辛い過去かもしれないし
聞くのは、やはり無粋だろうか。
ん……もう朝……か。
良美
「ん……んあ……くぅん」
レオ
「?」
良美
「あん……ん、ん」
隣で良美かモゾモゾと何かやってる。
俺に背を向けて、手で自分の股間をいじくってる。
良美
「あぅん……」
ってこれは、もしかしなくても自慰?
レオ
「よ・し・み」
良美
「はぁぅっ!!!」
びくっ、と体を震わせる良美。
レオ
「この手で何をやってたのかな?」
良美
「こ……これはそのぉ……」
レオ
「言ってごらん」
良美
「あぁん、もういじわる〜」
レオ
「ははは」
レオ
「で、言ってごらん」
良美
「うぅ……そ、その、あ、あさ、おなにー」
レオ
「彼氏としては、傷つくぞ」
良美  共通
「え?」
レオ
「その、昨日のじゃ満足しきれなかったのか?」
良美
「あ、ううん、それは違うよ」
良美
「昨日は昨日、今日は今日だもん。その、これ
日課だから……」
レオ
「に、日課!」
朝オナニーが日課……なんて桃色娘なんだ。
この委員長はそんな事して学校に来てたのか。
良美  無音
「……」
良美は怯えた子犬のような目でこちらを見ている。
俺に嫌われないか心配なんだろう
レオ
「良美、俺が気付かなかったら毎日これしてる
つもりだったのか」
良美
「だって、だって体が……」
レオ
「俺がいいたいのは!」
俺のペニスに、良美の手を添える。
良美
「あ……元気だ」
レオ
「何故俺を頼らなかった。隠し事無しとか
言ってたくせに」
良美
「だってだって、こんな事、レオ君に
言ったら、呆れられちゃうかなって」
レオ
「大丈夫俺も朝は立ってる。もうビンビンだから!」
レオ
「だから、こうして朝もHしてやる」
トランクスからペニスをとりだした。
良美の喉がゴクッ、と鳴る。
レオ
「まずは。起き掛けで寝ぼけている
俺の息子を完全に覚醒させてくれ」
良美
「うんっ……頑張って起こしちゃうよぅ!」
……朝っぱらから元気な2人だった。
……………………
午後になった。
よく見ると外は微妙な天気だった。
レオ
「さーて、何をしようか」
午前中はずっとセックスしてて、体がだるい。
何かこう健康的なものがしたい。
あれ、それってセックス?
首を横に振る。
いかん、思考が……肉欲に支配されている。
何か遊べる物は……。
レオ
「あ、この部屋にジョイステ2(ゲーム機)が
あるんだ。驚きだね」
良美
「エリーと時々遊んだりするからね
エリー、負けると次は本気出すから、とかいう
タイプで面白いよ」
レオ
「へぇー。何か得意なのある?」
良美
「落ち物パズルとか野球とかなら出来るよ」
……頭を使いそうなのが強いのか。
レオ
「よし、勝負だ」
特に何の問題も無く、良美と暮らした。
毎日がこうだったらどんなにいいだろうか。
今日も良美と一緒に、この部屋で過ごす。
ベランダからは、松笠の街や東京湾が見渡せた。
部屋の中に入って窓を閉めれば、セミの声は
シャットアウトされる。
良美
「はい、クリームシチューができたよう」
良美
「今日はほんのり寒いからね」
レオ
「それは1日中クーラーの効いた部屋に
いるからだ」
良美
「明日からは学校だし。嫌でも外に出るよ」
良美
「それより今はこの2人っきりの世界で
長く一緒にいたいもん」
レオ
「そっか……まぁ、とりあえず食べようぜ
いただきまーす」
良美
「はい、レオ君。あーんしてぇ」
レオ
「ん、あーん」
良美
「美味しい?」
レオ
「うん。マジで美味い。自分でも分かるでしょ」
良美
「特訓したからねぇ。はい、またあーん」
レオ
「ん、もぐもぐ」
良美
「んー、なんかこういうの
女の幸せを実感できるねぇ」
良美
「はい、またまたあーん……あっ」
スプーンからシチューが、テーブルの上に
こぼれてしまった。
良美
「あはは、大丈夫だよ、3秒ルール」
テーブルに落ちたシチューを手につけて
ぱくっ、と自分の口に運ぶ良美。
レオ
「良美、意地汚いぞ」
冗談半分で、そう言った。
カラン、とスプーンがテーブルに落ちる。
良美
「……あ……あぁあああ……っ!」
レオ
「!?」
良美
「ち、違う違う違う違う違う違う……
汚くない、汚くないよ……私はっ……」
レオ
「良美?」
良美
「やだ、そんな目で見ないで、やだ、やだ
嫌いにならないで、私は汚くなん……」
良美
「あぁ、ぁ!? 汚い、汚い!?」
“部屋でこっそり、机の角に股間を
押しつけてたなんて……おぞましい、なんて子なの”
“やはりお前はあいつの血が入ってる!”
“汚い子!”
良美
「…あ…あぁあ…あ…ごめんなさい、ごめんなさい
ごめんなさい、体質なんです、ごめんなさいっ…」
泣くでもなく、怒るのでもなく。
部屋の隅でうめきながら見えない何かに謝ってた。
レオ
「良美……」
歯をガチガチと鳴らしながら、震えている。
…優等生で完璧な人間かと思ってたこいつは…。
肝心な根っこの部分がどこか壊れている。
姫に電話をかけるか……?
いや、まだだ。自分でもうちょっとやってから。
レオ
「良美……大丈夫か」
抱きしめる。
良美
「ぅ……うぅ?」
レオ
「俺がいる……俺がいるから……な? 良美」
名前を呼び、その体を強く抱く。
良美
「……レオ君…………あ……私、また」
レオ
「良美、俺がいるぞ」
良美
「うう、レオ君……私は……私はね」
レオ
「俺はどこにもいかないから」
良美
「レオくぅん……」
良美
「だ……抱いてぇ……っ!」
良美
「こんな……奈落の底に沈んでいくような気持ち……
吹き飛ばすぐらい……めちゃくちゃにしてっ!」
レオ
「あぁ、分かった!」
そのまま勢いに任せて良美を押し倒す。
………………
ギャル1
「あっれ、伊達君いないのー?」
ギャル2
「それじゃ、私達帰る」
ギャル3
「ちょっと、あいつらじゃねぇ。
ダサイわよね」
新一  無音
「……」
イガグリ  無音
「……」
新一
「……た、楽しみにしていた
緑岡学園とのデートの日だったのにっ……」
新一
「あーくそ、スバルをダシして女を呼び寄せこの
イガグリを比較対象にすれば俺がモテモテになる
諸葛孔明も舌を巻きそうなパーフェクトな計画が」
イガグリ
「……なぁ、フカヒレ。遊園地のタダ券、
せっかくあるんだし、2人でいくべ」
イガグリ
「こういう時は遊んでウサをはらすべ」
新一
「そ、そうだな」
イガグリ
「オイラ、観覧車好きなんだぁ。一緒に乗ろうぜ」
新一
「……くぅーっ、イガグリと2人でデートかよ!?」
新一
「ま、まぁ、いいや。こんな日もあるさ
きっとレオやスバルも俺と同じような感じで
1日を過ごしているに違いないさ」
……………………
ぱんっ ぱんっ ぱんっ ぱんっ
良美
「あぁんっ、もっと、お願い、もっと壊してっ……」
俺はこの3日で、良美を尻から犯す事に固執した。
この獣のような体位なら、お互いが理性を捨てて
ただの結合にのめりこめるからだ。
良美は貪るようなSEXを好む。
だから、この体位が一番いい。
良美も、喜んでお尻を俺に差し出してくる。
そして、疲れたペニスは乳房に挟んでもらい
フェラチオで優しく癒してもらうのが通例だった。
良美の体は、食べても食べても甘い蜜を
出してくる果実のようだ。
……………………
エリカ
「うーん。よっぴーから連絡は来るんだけど
私から電話かけても出ないなー」
ばあや
「嬢、女の友情なんぞ男が出てくれば
もろいものぞ?」
エリカ
「私より対馬クンのが魅力的だっていうの?
ぶっちゃけありえない」
ばあや
「個人の差ではない。男と女という動物の
違いじゃよ」
ばあや
「おぼこの嬢にはまだ早い話じゃったか。
フォ、フォ、フォ」
エリカ
「またそーやってからかう。どーせ生娘ですよ」
………………
夜になった。
良美は、抱き合ってスッキリしたのか
今はとても安定している。
テレビの音だけが、俺達の耳をうつ。
アナウンサー
「本日、遊園地で観覧車が突然、原因不明の停止をし
乗っていた人達が6時間近く中に
閉じ込められるというアクシデントが……」
おやおや大変なアクシデントだな。
良美の携帯に電話がかかってくる。
さすがに電話は電源ONにするようにしていた。
良美
「あ、お父さんからだ……」
良美
「はい、もしもし……」
良美の乳を後ろから揉みしだく。
良美
「も、もぅ……あ、ううん、何でも無い」
このテレホンセクハラはちょっと
やってみたかった。
とはいえ相手はお父さんみたいだから
変に刺激しないでソフトに行こう。
良美
「……うん、じぁあね」
良美
「もーっ、レオ君いきなり触ってくるから
びっくりしたよぅ、何その調教プレイは」
レオ
「はは、ごめんごめん」
良美
「望むところなんだけどね」
レオ
「望むの!?」
良美
「お父さんから、元気でやってるかって
電話だった」
良美
「だから、うん。元気でヤってるよ! って
答えたよ」
レオ
「なんか良美オヤジギャグ増えたぞ」
レオ
「しかし良美のお父さんも、もはや娘が
男にチチモミされながら電話で
応対してたとは思うまい」
俺が父親になったら、娘を1人暮らしさせるのは
やめようかな。
良美
「私がオヤジギャグ増えたのはエリーと
レオ君のせいだと思うな……」
レオ
「お父さんは何をやってる人なの?」
良美
「うん、県の議員さん」
レオ
「あら。お偉いさんじゃない」
良美
「そうだねぇ。地元の顔ともいえるよ」
良美
「でも、それはあくまで地元だけなのに
とっても威張り散らしているんだよ」
レオ
「お父さんをそんな風に言っちゃいかんぞ」
良美
「……女性の権利を主張する議員でね
女性からの支持者も多いんだ」
レオ
「へぇー」
良美
「でも、家庭内では実はすっごい亭主関白で
言ってる事と全然かみ合ってないんだよねぇ」
良美
「だから、人間はあいつのように必ず
嘘をついてるって母さんが……」
レオ
「良美?」
良美
「あ、ううん、ねぇ、レオ君の
お父さんは何をやってるの?」
露骨に話を逸らされた。
親による教育というか家庭環境に何かありそうだ。
明日から学校だ。
爽やかな朝だった。
それでも朝に1回SEXする俺達。
シャワーから出ると、清々しい気分になった。
レオ
「さぁ、いよいよ学校だな」
良美
「レオ君のアイロンかけてあるから」
レオ
「あぁ、サンキュ」
ビシッ、とされているYシャツを着込む。
良美  無音
「……」
良美は微妙な表情で野菜を刻んでいた。
レオ
「どうした」
良美
「レオ君……他の女と話さないでね?
私だけのレオ君でいてね?」
レオ
「なんだ、まだ不安がってるのか」
いちいち深刻に付き合ってもダメだな。
レオ
「お前だけのレオでいるから、
美味い朝飯頼むぞ」
後ろからお尻を優しく撫でながら囁いてあげる。
良美
「うん……分かった」
トントントン、と野菜を刻む良美。
みそ汁の匂いが家庭的だった。
レオ
「さすがに同じマンションから一緒に出る所を
目撃されるのはマズイからな。
俺、ちょっと先に行くから。分かった?」
良美
「うん。バレたら最悪退学で……
私は故郷に帰りたくないし
それぐらいは仕方ないね」
レオ
「ん。じゃあ飯食っていこう」
朝飯を食べる。
納豆ご飯、みそ汁、魚、卵焼き。
レオ
「うん、しびれるほど美味い」
良美
「えへへ、愛情たっぷりだからね」
精神的な要素が不安払拭できれば
マジで最高の女の子だ。
よし、俺も頑張って良美に信用されるぞ。
良美のマンションをこっそり出発。
人目にはついてないな。
後は普通に歩けばいいだけだ。
念の為、良美とは距離を開ける。
自分のかなり後ろを良美が歩いている。
一緒に行くのは校門あたりからでいいだろう。
豆花
「対馬君、ニーハオネー」
レオ
「おはよう」
豆花さんは、俺に元気良く挨拶すると
友達と一緒に歩いていった。
こんな風にサラリと挨拶するぐらいなら
良美だってやってる事だし、全然いいんだろうけど。
真名
「こんちゃー!」
レオ
「おはよ」
真名
「対馬さ。話あるんやけど」
浦賀さんがぴったりと近付いてくる。
なにやら耳打ちしようとしているらしい。
レオ
「ん、何?」
距離をとり、これ以上接近しないで
くれという態度を見せる。
しかし、悲しいかな空気を読めないこの娘は
グイグイと距離をつめてきた。
真名
「ウチこー見えて結構寂しがり屋なんや
トンファーには釘さされたけど、誰かの恋人とか
意識せずふつーに喋ろうや、な?」
真名
「対馬とは話合うし、なんかこれであんま
喋らなくなるのも悲しいやんか。
友達感覚でよろしゅうー」
浦賀さんはそう言うと、ピースして走っていった。
良美
「レオ君……真名ちゃん何だって」
いつの間にか良美が近くにいた。
レオ
「あぁ、これからも普通に話そうって」
良美
「とことん空気読めないよね、基本的に自分勝手だよ
真名ちゃんは。それでレオ君は?」
嫉妬に燃えた瞳で俺を見る良美。
レオ
「返事する暇も無く逃げられた」
良美
「それは即座に返事しなくて迷ってたから
逃げられたんじゃないのっ!?」
レオ
「違う、落ち着け。皆に注目されちゃうぞ」
良美
「あ……そ、そうだね」
こいつは世間体を気にするから、落ち着かせるには
こういうのが一番だ。
乙女
「レオ、ちょっとこっちへ来い」
そうだよな、やっぱり聞いてくるよな。
レオ
「良美、乙女さんに状況を説明してくる」
良美
「ここで見てるからね!」
……はぁ。
乙女
「どういう事情か昼休みに説明してもらうぞ」
そう言いながら俺のネクタイを
直そうとする乙女さん。
レオ
「いや、それはちょっと」
距離をとる。
乙女
「ワガママもいい加減にしろ」
乙女
「私はお前のご両親に息子の面倒を見てくれ、と
頼まれて家に来ているんだぞ」
乙女
「事情ぐらい説明したっていいだろう
他言無用は、もちろん守る」
良美
「教室行こう。遅刻しちゃうよ」
ぐっ、と笑顔で俺の手を握る良美。
その手には女性とは思えない、万力のような
力がかけられていた。
レオ
「それじゃ、乙女さん」
乙女  共通
「おい待て!」
良美
「失礼しますっ」
乙女
「……まったく、今の若い者は」
乙女
「はっ!? なんという年寄りな発言を」
土永さん
「3年生はバアサンってとこか? ま、気にするな
年増は年増で味があるってことよ」
乙女
「うるさいな、さっさと飼い主の所に戻れ」
土永さん
「ぬお、黙らせる為にいきなり
殴りつけるとはなんてマキャベリな奴だ!
我輩は断固戦うぞ。訴訟を起こしてやる!」
乙女
「何かと私につっかかるな。何か
言いたい事でもあるのか?」
土永さん
「……う、そ、そりゃあまぁな」
土永さん
「よし、我輩も男だ。単刀直入に言うぞ」
乙女
「サングラスをつけるな。違反だと言うのに」
土永さん
「お、乙女。我輩はお前に惚れている
我輩の女にならないか?」
乙女  無音
「……」
乙女
「私は鳥類を愛でる嗜好は無い」
土永さん
「今、ひとつの恋がここで終わった!!」
……………………
教室に入る。
視線が集まるが、ここは平静で行くぜ。
良美
「おはよーっ」
良美は、いつものようにスマイル顔に
戻っている。
これを見習わなくてはな。
……………………
…………
レオ
「どうよ。俺今日、誠実だったろ」
良美
「……まだまだ足らないと思うよ」
レオ
「そうかぁ?」
良美
「……まぁ、気をつけてくれているなら
いいけどさぁ」
レオ
「……うーむ、セックスすると眠くなる」
レオ
「おやすみ、良美」
俺は気だるさの中、眠りに落ちた。
良美  無音
「……」
もぞもぞ……
もぞもぞもぞ……
レオ  無音
「?」
何か物音がした。
目が覚める。
良美が隣にいない。
良美は……部屋の隅にいた。
レオ
「!」
良美  無音
「……」
うつろな表情で、俺の携帯をいじっている。
……履歴をチェックしてるみたいだ。
安心しろ、何もねぇよ。
良美  無音
「……」
何も無いと分かったのか、良美は携帯を
ティッシュで綺麗に拭いてから、布団に入ってきた。
そして俺の胸にすりすりと顔を擦り付ける。
良美
「行かないで……どこにも行かないで」
そうボソボソとつぶやく。
行かないって俺は言ってるのに。
良美
「どっか……行こうとしたら……すから
そして私も……ぬから」
レオ
「?」
良美の声はもはや間近の俺ですら
判別不能になっていた。
レオ
「よし、今日も学校頑張ろうな」
良美
「私レオ君のこと見てるから……」
良美
「ずっとずっと見てるからね、他の女の子と
仲良くしないでね……幸せになりたいから」
レオ
「安心しろ。そこまで心配しなくても大丈夫だ」
レオ
「まぁ心配って言うなら好きなだけ見てろ」
レオ
「ただし成績は落とすなよ。
故郷には戻されたくないんだろ」
……………………
クラスでは何故か男子が俺のところに
殺到していた。
新一
「最近、よっぴーが妙に冷たい件について」
イガグリ
「オイラ達、つまり対馬以外の男子とは
よそよそしくなったべ」
新一
「昔は、いじめればもっと
必死に反応してくれたのに!」
レオ
「いや、いじめるなよ可哀想だろ」
新一
「独占禁止法違反に抵触するぞ」
イガグリ
「そうだべ、委員長はみんなの委員長だべ!」
他の男子からそうだそうだ、という声が
一斉にあがる。
な、なんだなんだこいつら一斉に。
そこまで良美の人気は高かったのか。
スバル
「おいおい、テメェらよってたかって1人を
みっともねぇぞ」
こういう時も常に味方してくれる男、スバル。
新一
「いくらスバルが出てきてもこればっかりは
譲らないぞ! よっぴーが俺と唯一、しっかり
話してくれる女子だったんだぞ!」
きぬ
「おい、ボクはどーなんだよ」
新一
「お前は女子ではなく、バカであって
それ以上でも、それ以下でもない!」
さらに他のヤツラが詰め寄ってくる。
良美
「みんな、ダメだよぅ、レオ君をいじめちゃ」
良美
「皆とはこれからも友達でいたいから、ね?」
レオ
「良美……」
さすがに男子は黙ってしまった。
代わりに殺意に満ちた目で見られるようになった。
“俺の委員長を”
“まともに話してくれる、唯一の可愛い子なのに”
“佐藤さんには密かに憧れてたのに!”
あぁ、聞こえる。聞こえるよ皆の声が。
新一
「友達かぁ……女友達。英語になおすと
ガールフレンド。あら、いい感じ」
1人、無理やりいい方向に解釈してる
………………
廊下を歩いていたら、女のコ達に話しかけられた。
1年女子A
「あのお、2−Cの対馬センパイ、ですよね」
レオ
「うん。そうだけど?」
レオ
「姫……霧夜生徒会長の話を聞きたい?」
レオ
「本人に聞けばいいじゃん。今クラスの
女子たちとお菓子食ってるよ。
呼んでこようか?」
1年女子A
「いやいや、それは恥ずかしいですよぉ」
レオ
「なるほど。俺が一番温和っていうか、
話しかけやすそうな雰囲気だったってワケね」
良美  無音
「……」
レオ
「う」
刺すような視線を感じる。
ほんとにいつでも見ているな。
あいつをケアするまでは、疑われてはいけない。
かといって俺の名声も下げないように。
2つともやらなくちゃいけないのが
主人公の悲しいところだぜ。
レオ
「そーいうのは、こいつに聞いてくれ
おーい! 良美ー!」
良美
「なにかな、レオ君」
良美はスマイルを絶やさずこちらにやってきた。
レオ
「姫の話が聞きたいそうだ、聞かせてあげてくれ」
良美
「へーえ、執行部に興味があるの?」
凄く優しそうな先輩として後輩にたずねる良美。
俺はなんだか女が怖くなってきた。
………………
かきかき。
ん、なんだか俺の息子に違和感が。
レオ
「なんだ、良美。何かやったか?」
良美
「自分の持ち物に名前を書いているだけだよぅ」
レオ
「?」
良美
「さぁ、寝よう寝よう」
良美
「……レオ君の態度が段々分かってきて
私は今、嬉しいよ」
レオ
「ふん、もっともっと嬉しくさせてやる」
………………
夜中トイレに起きる。
レオ
「……げっ」
自分のペニスに佐藤良美(ハートマーク)と
書かれていた。
まぁいいけどさ。
四葉のクローバーは幸せを運んでくるという。
友達はそれをしたら母さんがとっても
喜んでくれるって言ってた。
だから私も探してきた。
日が暮れてしまったけれど、見つけた。
いつもカリカリしているお母さんは喜んでくれる。
そう思った。
良美
「おかーさん、はい、これ……
しあわせの、くろーばー……」
良美の母
「こんなもの、ただのシロツメグサじゃない」
良美の母
「何が幸せのクローバーよ」
良美
「え……」
良美の母
「こんな草1つのために遅くまで遊んできて!」
良美の母
「しかもこんな泥だらけになって、おお、汚い!
お前は汚い子だ! あの男にそっくりだ!」
その場で踏み潰されたクローバー。
私はただ、誉めて欲しかっただけなのに――
その週、父は出張で帰ってこなかった。
母は汚れた罰として、私にしばらく
食事を与えなかった。
とてもひもじいから調味料を食べて飢えを凌いだ。
良美
「はうっ……はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
良美
「また……あの夢……」
良美
「あれのおかげで、ずっと私はっ……」
レオ
「どうした、良美。汗びっしょりじゃないか」
良美
「ん……なんでもない」
レオ
「うわっ、汗をこすりつけるな、こら」
良美
「えへ、一緒に溶けちゃおう、レオ君」
良美
「そう、このまま2人で溶けて
永遠に混ざり合いたいね……」
良美
「何でそういう風にできないんだろうね」
レオ
「自分の中に他人が入ってくるのを
受け付けない人もいるだろ」
良美
「寂しい人だね」
……そうだろうか。
姫なんかその典型だと思うが。
……………………
…………
夜が明けた。
学校近くまで来たので良美と一緒に歩く。
良美は顔こそ笑顔だが、俺との距離は近い。
他人は近付いてくるなオーラを
どことなく振りまいてた。
エリカ
「お嬢様デッド・エンド!」
姫が自転車を回転させながら突っ込んできた。
レオ
「うわっ!」
横っ飛びして回避する。
俺だけを巧みに狙ったな……。
エリカ
「おはよ。なかなか朝から仲良しっぷりを
存分に見せ付けてくれるじゃん?」
レオ
「な、なんだよ姫、嫉妬?」
エリカ
「うん。最近よっぴーと私の夫婦の
会話が減ってるわね」
良美
「あはは、そーかなぁ?」
エリカ
「ほら見た? いつもの“別に夫婦じゃないよぉ”
とかいうツッコミが無いでしょ?」
レオ
「うん、まぁそう言われればね……」
エリカ
「こっちはよっぴーの事、
考えただけで受精するぐらい好きなのに」
レオ
「そーいう微妙なセクハラ会話はやめましょう」
良美  無音
「……」
エリカ
「ん、どうしたのよっぴー」
良美
「あ、ううん、別になんでもない」
乙女  共通
「閉門1分前ーっ 歩いている奴は走れーーっ!」
レオ
「うわ、この声は乙女さん」
俺達は校門へと急いだ。
良美は最後まで何か考えているようだったが。
今日は体育武道祭だ。
お祭りイベントなので、校内が
活気に満ち溢れていた。
ただ、今1つ2−Cには団結力が無かった。
「ううーん。どうもこちらの西軍は
東軍に押されっぱなしですわね」
皆の好き放題をたしなめる良美が、
常に俺をチェックしていたからかも。
姫やスバルが点数稼いでくれてるけど。
2年女子 徒競走 1位 佐藤良美
良美
「ふぅ……ふぅ……やったぁ」
レオ
「ナイス良美。なにげに運動神経いいよなお前」
良美
「うん、まぁ……わりとね。えへへ」
2年女子 トライアスロン1位 霧夜エリカ
エリカ
「体力勝負でも負けないわよー!」
レオ
「ナイス姫! さすが武道派お嬢様!」
元気な人だなぁ、ほんと。
良美  無音
「……」
レオ
「次は俺の借り物競争だな」
洋平  共通
「ふん。対馬が相手か、面白い勝負だ」
レオ
「お前、何種類の競技に出てんだよ」
洋平  共通
「もちろん1人が出れる限界までさ」
洋平  共通
「僕は負ける事が大嫌いでね、借り物競争と
言えども手は抜かないぞ」
レオ
「ふんっ、熱血君が」
俺達の組がスタートする。
レオ
「ちっ、村田のやつ無駄に脚が早い」
ええと、俺の札には……。
“金髪”
レオ
「勝つためには、やはりあの人だな」
自分の味方陣地に行く。
スバル
「おい、借り物は何だ?」
レオ
「これだ、これ金髪!」
書いてあった紙を皆に見せる。
きぬ
「ボクどっちかっていうと金じゃね?」
レオ
「どこがだよ」
レオ
「姫、協力よろしく」
エリカ
「仕方ないわねー」
競技なんだから、良美もこらえてくれるだろう。
エリカ  共通
「私が関わるんだから、絶対1位を狙うわよ」
レオ
「了解」
すったかたー。
洋平
「あ、くそ、あいつらもうゴールに!」
洋平
「だいたいボクの課題、“童貞”って何だよ、
卑怯だろコレ。誰も名乗り出てこないぞ!」
レオ
「やった……1位とれたぜ!」
エリカ
「ほらほら可愛い彼女に手を振って1位を
アピールしてあげなさいよ」
レオ
「わ、分かってるって」
良美  無音
「……」
…………………
レオ
「ふー、体がもうヘトヘトだ」
今日は我ながら頑張った。
体育祭の1日目は無事終了だ。
レオ
「今日の体育武道祭は楽しかったな、良美」
良美
「……そうかな。私は楽しめなかった」
レオ
「ん、何で。お前、活躍してたじゃないか」
その声の暗さにドキッとした。
良美
「体育祭の内容なんてどうでもいいよ……」
良美
「私が不機嫌なのは、レオ君とエリーが
仲良く話してるから!」
レオ
「おいおい、姫はお前の親友だろうが」
レオ
「姫にまでそんなヤキモチ妬くのか?」
良美
「私だってどうかと思ったけど!
エリーを見るレオ君の目が嫌なの!」
レオ
「嫌だって……何が」
良美
「目がキラキラしてるもん!
エリーと会話してると、本当に嬉しそうにしてるし
私にはあんな顔したこと、全然、無いのに!」
そうなのか? そんな事は意識してないんだが…。
良美
「ここ2、3日でレオ君の言う通り、他の人達への
態度が結構良くなってるから
安心してたのに……幸せになれると思ったのに!」
良美
「エリーが一番危険だっていうのが、今日で
再認識できたよっ……」
レオ
「危険なんて言い方するなよな……」
良美
「エリーに憧れてたのは分かるけど
今は、私が好きなんでしょ!」
良美
「だったら、エリーを見る時あんな目を
しないでよ、あんな、純情そうな目っ……
私といっつもセックスしてるのにっ」
良美
「自分だけ少年っぽい目をしてさ……
エリーに、レオ君は私の穴全部
犯したって教えてあげようかな!」
レオ
「良美、落ち着け」
良美
「だいたい不公平だよ、私は幸せになりたくて
レオ君の事ばっかり考えてるんだから
レオ君も私の事を考えて! エリーを見ないで!」
レオ
「……き、気持ちは分かるけどさ良美。
そんないちいち押し付けがましく言うなよ」
レオ
「違うだろ、それ」
レオ
「何か物を与えたから、自分も
もらおうみたいな考え方したら……」
良美
「何か物って何よ!
私の愛情をちっぽけなものと同じに計らないで!
そんなたとえ話ができる次元じゃないのよ!」
良美
「私が与えているのは、体だけじゃない……
私の全て……世界そのものなんだよっ!?」
世界……。
良美
「それなのに……それなのに……」
レオ
「良美」
良美
「もしかして……裏切る気……? そうなら……」
レオ
「裏切らない!」
良美
「だったら、エリーとはもう話さないでっ!」
良美
「……はぁっ……はぁっ……はぁっ」
がっくりと力なく座り込む良美。
レオ
「……わかったよ」
レオ
「お前がそうしろって言うならそうするよ」
ここは刺激しない方がいい。
何を言っても無駄だろう。
良美の頭を優しく撫でてあげた。
……これって痴話喧嘩だよな。
この年で、こんな事をやるとは思わなかった。
体育武道祭2日目。
その結果はボロボロだった。
「皆さん、雁首揃えて情けないですわねー」
俺達の息が合ってない事もあり
2−Aふくむ東軍に負けてしまったのだ。
洋平
「当然だな。僕達があいつらには負けないさ
先生。商品のラーメンお願いしますよ」
イエーイ、と手を叩き合うA組。
3年のヒーローインタビューでは東軍の
乙女さんが得意そうに語っていた。
新一
「今ひとつ、団結心に欠けるんだよなぁ」
やはり、まとめあげていた委員長の注意が
俺にむいているせいだろうか。
その良美は、テクテクと生徒会執行部の方へ
歩いていった。
麦茶でも補給するのかな?
レオ
「よし、ここは彼氏として1つサービスしてやろう」
先回りして、人気の無いポイントで
良美を待ち受ける。
よし、良美歩いてきたな、隠れよう。
エリカ
「あー、喉渇いたねー」
こっちに来るぞ……5……4……3……2……1。
レオ
「やっ。愛しているぜ!」
さりげなく抱きつく!
エリカ
「わっ!?」
エリカ
「ちょっと対馬クン……何の真似よ。
死にたいの? 確かにどうせ死ぬなら私を
触ってから死にたいという気持ちは分かるケド」
あ、あれぇ、この傲慢な意見?
レオ
「ひ、姫! あの、これは、いつすり替わったの?」
げぇー、良美!
良美  無音
「……」
まずい、烈火のごとく睨んでくる。
エリカ
「この、離しなさいっ!」
抱きしめてた俺から離れたと思えば……。
エリカ
「お嬢様ねりちゃぎ!」
ゴツン!
レオ
「がは……っ!」
すんごい踵落とし食らった。
視界が暗転し、思わず膝をつく。
エリカ
「よっぴー、これ誤解だからね」
レオ
「あ、あぁ……俺、良美が見えたから
驚かせてやろうと思って……痛……」
良美
「うん、さっきまで私はエリーより
前を歩いていたし、アクシデントだって
いうのは分かったよ」
良美
「それに、私に対してそれをやろうと
したのは、すごく嬉しいよ」
レオ
「いや、分かってくれればそれでいいんだ」
良美
「ただ……間違えてた相手がエリーだった時の
レオ君、嬉しそうだったねぇ?」
良美
「どういう事かな……エリーがそんなに
嬉しいって言うのは……」
ずいっ、と良美が詰め寄ってくる。
エリカ
「ま、誤解だったんだからいいじゃない?
その程度は許してあげれば」
良美
「エリーは黙っててよ……」
エリカ
「む。何その言い方」
良美
「エリーもエリーだよ。レオ君に
色目使うのやめてよ」
エリカ
「はぁぁ!? 私がいつ色目使ったのよ?
こんなのに」
こんなのときた。
エリカ
「だいたい、よっぴーちょっと過剰に
反応しすぎじゃない」
良美
「エリー……なんでそういう事言うの?
私の味方じゃないの?」
エリカ
「味方よ。あの誓いにかけて」
良美
「そっか。良かった……」
良美
「じゃあ悪いけどさ。これからは、レオ君と話すの、
やめてもらえないかな」
エリカ
「ヤダ」
良美
「え……?」
エリカ
「私の行動にまで口を出すのはやめてよねー
よっぴーの物である対馬クンをとりゃしないわよ。
だからといって、別に無視はしないわよ?」
エリカ
「私は私のしたいようにするだけだし」
良美
「エリー……!」
エリカ
「そんな怖い顔しないでスマイルスマイル!
せっかく可愛い顔してるんだから」
エリカ
「よっぴーはそういうマイナス思考さえ直せば
もっともっと素敵な女の子になれるんだからさ」
良美  無音
「……」
良美の頭を優しく撫でてあげる姫。
エリカ
「とにかく、私は指図されて動く人間じゃないから。
他ならぬよっぴーだから、気には留めておくケド」
エリカ
「ほら彼氏が1人取り残されて呆然としているわよ」
良美  共通
「う、うん……」
エリカ
「それじゃね、頑張ってよっぴー!」
良美  共通
「……うん……」
レオ
「良美、俺は……」
良美
「分かってる。もういいよ、レオ君」
良美
「……私はトイレだから、それじゃあね」
レオ
「あ、あぁ」
………………
良美
「はぁっ……」
良美
「やっぱりエリーは綺麗だなぁ
キラキラして、堂々として、元気いっぱい。
レオ君が目をとられても仕方ないのかも」
良美
「どうすればいいのかな……
このままじゃ私が幸せになれないよ」
良美  無音
「……」
良美
「……あ!」
良美
「そうだ、そうだよ」
良美
「あはっ、あははっ、あはははっ
なぁんだ! とっても……とっても
とっても簡単な事だったんだ」
良美
「エリーが綺麗じゃなくなればいいんだ」
今日は雨だった。
レオ
「いやな天気だなー」
良美  無音
「……」
レオ
「お前。昨日の夜から口数少ないなー」
レオ
「で、俺の一週間を見てどうだった?」
良美
「うん、レオ君の誠意を感じたよ」
レオ
「お、本当か!」
アクシデントもあったが頑張った甲斐ありだね。
レオ
「それなら、余裕で続けていけそうだな俺達は」
良美
「……ただ1つだけ……」
レオ
「ん、何?」
良美
「エリーだよ……エリーの真実をレオ君に
見せてあげる」
レオ
「え?」
良美
「エリーはね、レオ君が思ってるほど綺麗じゃないよ
それをね、これから見せてあげる」
良美
「レオ君は洋服ダンスの中に隠れてて。
それで、これからエリー呼ぶから、真実を見て」
レオ
「……なんだそりゃ」
良美
「だから! レオ君はエリーの綺麗な所しか
知らないの! カッコイイとこしか知らないの!」
良美
「エリーのどうしようもない女の子の部分を
見せてあげる。そうすれば、レオ君も
エリーをあんなキラキラした目で見なくなるよ」
レオ
「よ、良く分からないけど、姫を罠にはめるのか?」
良美
「エリー、私のためなら喜んでやってくるから」
良美
「レオ君は見てればいいんだよ。
エリーのHな姿も見れるかもね?
私もその事に関してだけは目をつぶってあげる」
良美
「ね? 面白そうでしょ? あははっ」
レオ
「良美……」
俺は……
いい加減、叱る
言う通りにする
この子は……どこまで爆走する気だ。
……俺も我慢の限界だ。
レオ
「あのな、良美」
良美
「うん、なぁにレオ君」
レオ
「ていっ!」
ピシャッ!
良美
「…………え」
いい音だった。
良美
「ぶ……ぶったの……?」
生まれて初めて、真剣に女の子に手をあげた。
レオ
「……」
ぶった俺自身の心がどうしようもなく痛い。
良美
「……どうして?……」
頬をはたかれた良美は呆然としていた。
良美
「……どうして……どうして……叩くの……」
良美
「私は……レオ君と……幸せになりたいの
そのためには、エリーを堕とす事が必要、なのに」
良美
「私達が幸せになるために」
レオ
「幸せになりたい?」
良美
「そうだよ……そう言ってるじゃない」
良美
「幸せになれば……あの夢を
見なくなるかもしれないから」
レオ
「でもお前さ、恋人の俺も、親友の姫も。
信じてないよな?」
良美
「え……信じる?」
レオ
「あぁ、お前疑うばっかりで全然信じようとしない」
良美
「そんな、何を今さら! レオ君だって私を
人間嫌いだって言ってたじゃない」
レオ
「別に人間全部を好きになったり信じろ何て
言わない。でもさ」
レオ
「はっきり言わせてもらうが、友達も恋人も
誰1人信じないで、幸せになんかなれるわけない」
レオ
「良美がいくら幸せになりたくても
その状態である限り永遠に無理だよ」
良美
「で……でも私は、エリーとおまじないして
2人だけは信じていこうって約束したもん!」
レオ
「じゃあその姫を何で罠にかけるような真似するの」
良美
「罠じゃないよ! 友達だから! 対等だから!
私と同じになって欲しいの!」
レオ
「……今のままじゃ信用できないからだろ」
レオ
「姫はお前と人形交換のおまじないを
やったんだよな」
レオ
「でもさ、姫を信じられないから、そんな
人形同士の交換なんてモノをもちかけたんだ」
良美
「ち、違うよ、違うよ……」
レオ
「そうだろ。友情の契約書みたいなもんが
欲しかったんだろ」
レオ
「俺の腕輪も、お前の腕の付け根にある
獅子の刺青も似たようなニュアンスなんだよな」
良美
「わ、私は!」
レオ
「でもよ、友情も愛情も契約書なんてないんだ」
レオ
「姫は俺をとらないって言ってるし!
俺も姫の事は正直、憧れてたけど!
今はお前が一番好きだよ!」
レオ
「不安なのは分かるけど、信じてくれよ」
レオ
「信じないで、姫を罠におとしいれる、なんて
そんなの友達のする事じゃないだろ!」
レオ
「お前は自分から姫を裏切ろうとしてるんだぞ」
良美
「う、裏切りじゃない……裏切りじゃない……」
顔をぶんぶん振る良美。
レオ
「お前に問題がある」
可哀想に、半狂乱だ。
レオ
「本当はお前が言うまで、待ってたいけどさ」
レオ
「もういい、言っちまえ。何でそんな風に
人を信じられなくなっちゃったんだよ」
良美  無音
「……」
レオ
「何か、毒をためこんでる気がするぜ」
レオ
「言って楽になれ」
レオ
「過去を聞くのは良くない、と
思ったけど。今はそれが重要な気がした」
レオ
「話してみろ!」
良美  無音
「…………」
レオ
「俺はどんな事実でも受け止めてやる」
良美
「ないよ……」
レオ
「え?」
良美
「特にお涙頂戴するような
エピソードなんか……ないよ」
良美
「親に、ガスコンロで熱された、とかそんな
暴力を振るわれたわけでもないし……
友達にいじめられたわけでもない」
良美
「不幸自慢にすら、ならないんだよ……」
レオ
「おい、良美?」
良美
「……レオ君、ありがとね」
レオ
「何が」
良美
「ひっぱたかれて頭が冷めたよ……
私、言われた通りエリーを罠にかけようとした」
良美
「親友のエリーをそんな風にしてしまったら
もう何がなんだか分からなくなるから
やめようって思ったのに……!!」
良美
「それなのに私は、大嫌いな裏切りを
自分で……自分でやろうとするなんて」
良美
「エリーが綺麗だから……
それをレオ君に眩しく見られてる事が許せなくて」
レオ
「分かったならそれでいい」
良美
「嫌な女だね……私」
レオ
「そこまで深く自己嫌悪に陥るな」
良美
「いいよレオ君。帰っても……」
レオ
「良美?」
良美
「こんな女嫌いになったでしょ……
いいの。もういいから」
良美は糸が切れた人形の様になってしまった。
ズルズルとその場に座りこんでしまう。
良美
「そうだよね。疑うばっかりで人を信じないで
幸せになんか……なれないよね……」
良美
「簡単な事だったんだ……」
レオ
「これからやっていけばいい」
良美
「でもね、レオ君……私、人、信じられないんだ」
良美
「何を言われても、どんな綺麗事を言われても
ウソに聞こえるよぅ……」
レオ
「……どうしてそうなったんだ」
レオ
「原因が分かれば、少しはマシな対処が出来るかも」
良美
「あはは……だから特に理由なんて無いよ
家にいたらこうなってたんだもん」
レオ
「家に……いたら?」
良美は、虚ろな目で床を見ていた。
生気が無い。
いかん、今の良美から目を離したら危ない。
冗談抜きで自殺さえしかねない雰囲気だ。
レオ
「とにかく、俺はココに居るぞ」
俺は良美の隣にドカッと腰を下ろした。
良美
「帰ら……ないの?」
レオ
「うん」
良美
「いいよ、帰っちゃいないよ。
というか、帰ってよ」
レオ
「やだ」
レオ
「安心しろ。まだまだしばらくはここに居てやる」
良美
「レオ君……物好き……だね」
レオ
「物好きかどうかは知らないけど
お前は好きだ」
良美
「それ、全然うまくないよ」
レオ
「うん……そうな」
良美  無音
「……」
レオ
「……」
体を抱き寄せる。
とにかく良美を暖めてあげないと。
後は、ただ無言で。
ひたすら良美の傍にいてあげた。
深夜1時過ぎ。
眠っていたと思った良美が口を開いた。
俺の粘り強さに観念したのか、ボソッと口を開く。
良美
「私はね……ひとりっ子だったの」
レオ
「……」
良美
「議員をつとめ、モラリストで潔白な
イメージのある父親と……」
良美
「美人で、尽くすタイプって言われてるお母さん」
それは、ぼそぼそとした声だが
告白のようだった。
俺は聴覚に神経を集中させた。
良美
「はたから見れば笑顔が溢れた幸せな家庭だったよ」
良美
「でもお父さんは、表向きは女性の権利を
うたっているけど、浮気をよくするタイプでね
まぁ、私のことはとても可愛がってくれたけど」
良美
「お父さん……お母さんに冷たくて。
そのお母さんは、とても愛情深いけど、
反面凄く嫉妬深い人でね……」
良美
「お父さんの行動から、浮気の痕跡を
探り出しては、お父さんを激しく問い詰めてたよ」
しかも、それは漫画で見るような皿が
飛び交うような感情のぶつかり合いではない。
お互いが小声でボソボソヒソヒソと
いつまでも夜中じゅうずっと言い合う
ネチネチした喧嘩だった。
その声に耳を塞いで過ごしていた。
それでも夜が明けると、2人は仲の良い
夫婦に戻り、ご近所に見えるように
朝のお見送りをしていたのだ。
良美
「お母さんは、ことあるごとに私に言ったの」
良美の母
「ね。お父さん、嘘だらけでしょ。人はね
ああやって必ず嘘をつくの。だから、みーちゃんも
私みたいにダマされちゃ、だめよ?」
レオ
「みーちゃん?」
あぁ、よしみ だから、みーちゃんか。
良美
「……私から見れば、お母さんも同類だったんだ」
良美
「買い物とかでは愛想良くして、良妻と
評判が立っているのに……」
良美
「家ではお父さんへの恨み言を呟いたり、
怒りのやり場を私に向けたりしていたんだ」
レオ
「家庭内……暴力ってやつ?」
良美
「ううん。お母さんは、私を殴ったり
体を傷つけたりする事は絶対にしなかったよ」
良美
「それは、私のことを思ってのためだろう、と
当時は思いこんでいたけど、今考えると
世間体の為なんだろうね」
良美
「そんなわけだから……お母さんに
嫌われるわけじゃないから、
だったら好かれたいと思ってね……」
良美
「誉めてもらいたくて、家事とか色々
頑張ったけど……なんくせつけられては怒られた」
言葉でひたすら、汚いと言われ続けた。
結婚式で互いへの貞操を誓っておきながら
平気でそれを破る父がおぞましい。お前は
その血をひいているから、汚い、と。
良美
「それでも誉めてもらえる方法をやっと見つけてね」
良美
「学校でいい成績をとっていい子に振舞う事」
良美
「そうすれば、あの子は立派ね、と
お母さんが他の人から誉められるから」
良美
「そうすると、お母さんは嬉しそうに
応対していたよ」
良美
「それは、お母さんを喜ばせるのと同時に、
怒りを私に向けないための護身術でも
あったからね……」
良美
「必死に勉強して、常に最高位の成績を
キープし続けたよ」
そうして、しばらく風当たりが
弱くなったと思えば。
良美
「今度は自分の体の疼きに歯止めが
効かなくなってきたんだ」
小さい頃から性欲をもてあまし続けている。
部屋でこっそり自慰をしているのがお母さんに
見つかった時は、狂ったように罵倒され続けた。
その後は、わずかな私の表情の変化でも
お母さんは過敏に反応し、叱るようになった。
だから私は、楽しくなくても自然体で
笑うようにする事を心掛けた。
腰を低くし、相手を立てて、笑顔を絶やさない事。
へらへらして過ごしているうちに、それが
だんだん地となって定着していく。
良美
「腰を低くして相手を立てるというのはね
我慢が出来る人には、なかなかの処世術なんだよ」
良美
「他者に敵意を向けなければ、人は
平穏に生きていける、と思ったよ」
良美
「でも、また問題が生じてね……」
良美
「お父さんは、相変わらず私を
可愛がってくれるけど……」
良美
「それを後ろから見てるお母さんの顔が
何よりも恐かったの」
女として成長してくる私を、お母さんは
何故か敵視していた。
父が私の頭を撫でたりすると、烈火の如く
やきもちをやく。
良美
「自分の娘にまで嫉妬しているなんて、この
お母さんはもうダメだ、と思ってねぇ……」
私はお母さんに殺されてしまうかもしれない。
そんな事をうっすらと思ってしまえば
もうここにはいられなかった。
西洋や中国の歴史書を見ると、命の危険を
感じた君子は、遠くの地に身を寄せるという。
確かにそれが一番いい方法だと思った。
私は、父と母の世間体の欲しさを利用して
村では出世コースと言われる上京を望んだ。
そして、竜鳴館の入試をTOP5位以内で
合格し、学費免除をもぎとった。
レオ
「それで、こっちに出てきたのか」
良美
「そう……そこで、出会ったんだ」
こうして私は地元から出世頭とか言われて
出れる事になった。
気持ちが晴れ晴れしかった。
今まで損をしていた分、私はとにかく
幸せになりたかった。
そして、竜鳴館の入試をTOP5位以内で
合格した人間が集められた説明会で私達は出会った。
平蔵
「うむ? 肝心の1位の生徒が
来てないではないか」
洋平
「1位の奴な、全科目満点だったらしいぞ」
良美
「えぇっ……凄いそんな人がいるんだ」
洋平
「ふん、だが説明会に遅刻なんてロクな人間では…」
だだだだっ
がらっ!
エリカ
「遅れましたーっと」
良美
「……外人?」
入学前で私服だったから余計派手に見えた。
洋平
「おぉっ……美しいっ……!?」
エリカ
「あれま、周囲が固まっちゃってる」
エリカ
「そんな時には薔薇の香気を……」
良美
「ぽ、ポーズを取っただけで薔薇が!?」
平蔵
「ぬぅっ! 何も無い空間に薔薇を
咲かせるとは……なかなかやりおる」
平蔵
「だがワシとて負けておらぬわ!」
洋平
「おいおい、何だこりゃ、はは、
噂にたがわぬ変な学校だな」
良美  無音
「……」
エリカ
「えーと、女子は私とあなただけか」
良美
「あ、うん。そうだね」
エリカ
「私は、霧夜エリカ。あなたは?」
良美
「佐藤良美」
エリカ
「良美か。よし、じゃあこれからよっぴーっで!」
良美
「えぇっ!? そ、その呼び方はちょっと」
エリカ
「あ、もうコレに決めたから」
良美  無音
「……」
限りなく不遜で奔放で傲慢で我侭で
そして美しくて。
私は、すぐにこの人物に惹かれて行った。
……………………
レオ
「なるほどね」
良美は、相変わらずヘラヘラ笑っていた。
良美
「ね、特に衝撃的なエピソードなんて
無かったでしょ……」
良美
「話のネタにもならない……
つまらない人間なんだよ」
良美
「それでも、私は必死だったんだ……」
良美
「ヘラヘラするのに必死というのも
変かもしれないけど、必死だったよ」
レオ
「確かに、派手な話というより、
なんというか澱(よど)んでるよな」
良美
「いい表現だね、澱みかぁ……」
レオ
「でも、全て話して少し楽にならなかったか?」
良美
「そりゃあ、少しはね」
レオ
「……お前のお母さんここにはいないんだからさ」
レオ
「自由に振舞えばいいんじゃないかなぁ」
良美
「そう思ってるんだけどね……夢を見るんだよ。
夢の中に出てくるんだ……」
良美
「だから、幸せになれば、
その夢ももう見ないかなって……思って……」
良美
「結局、ここでも自分をいっぱい出せる時って
レオ君とのセックスだけ」
レオ
「良美、決め付けるな。まだ分からないだろ」
良美  無音
「……」
良美は黙りこくってしまった。
………………
朝。
良美はいまだにボーッとしている。
うーむ、まずい。
何か精のつくもんでも食べさせてやるか。
ティッシュとか生活必需品も残りが
少なくなってきたから、補充しておかないとな
レオ
「ちょっと買い物行って来る。一緒に来るか?」
良美
「ううん、いい……」
レオ
「うーむ」
台所に置いてある剥き出しの包丁や
洗面所のカミソリが何か不安だな。
こいつ1人にして大丈夫だろうか?
良美  無音
「……」
ボーーッとしているだけだな。
よし、さっさと買い物済ませよう。
……………………
レオ
「これだけ買いこみゃいいだろ」
後で乙女さんに電話でフォロー入れておかないと。
結局、もうしばらく逗留しないとまずいし。
レオ
「……ん?」
空き地に、クローバーが生えているのを見つけた。
レオ
「良美はオマジナイとか好きなら、
こういうのも好きかもな」
調べてみる。
レオ
「……あった」
四つ葉のクローバーだ。
今のあいつには、こういうメンタル的なものが
ケアになるかもしれない。
早いとこ戻ろう。
レオ
「良美、戻ったぞ」
良美  無音
「……」
いまだに生気が無く、ボーッとしている。
レオ
「ったく、そこまで落ち込むなよ……」
気の迷いとはいえ、姫を裏切ろうとした
自分が許せないのか……。
レオ
「俺がお前を好きなのは変わりないんだからさ」
良美
「だって……冷静になって考えると
私、レオ君に焼きもちばっかりして……」
良美
「結局自分もお母さんと全く変わらなくて……」
レオ
「ネガティブキャンペーン中か」
頭を優しく撫でてあげた。
レオ
「ほら、さっき見つけてきたやつ」
良美  無音
「?」
レオ
「四つ葉のクローバーだ。
幸せになれますようにってな」
良美
「あはは……あははは……」
あ、露骨に笑ったぞ。
良かった、やっぱり笑顔が一番だ。
良美
「レオ君、バカだなぁ……違うよぉ」
レオ
「え?」
良美
「これはねぇ。シロツメグサ。
幸せのクローバーなんて学名は存在しないよ……」
良美
「あははは、そう、これはシロツメグサ」
そのまま、クローバーを引き裂いてしまった。
レオ
「良美……」
良美は何がおかしいのか、自嘲的に
笑い続けていた。
本格的にまずいと思った。
レオ
「……俺、お前に言い過ぎたのかな?」
レオ
「お前を叩いたの、いけなかったか?」
分からない。
とりあえず、傍にいてあげよう。
隣に座って、手を握ってあげる。
良美
「優しいねぇ……レオ君は」
良美
「あれなのかなぁ? ハンデがある人に手を
差し伸べて、優越感に浸るタイプなのかなぁ?」
レオ
「良美……いいから」
良美
「あれでしょ、あれしきの過去でへこむなんて
ネクラな女、とか思ってるんだよね」
レオ
「無理しないでいいから!」
無理やり、俺に嫌われようとしてる気がする。
そこまで自暴自棄にならなくていいのに。
多分、根があまりにも真面目すぎるんだろう。
極端なんだよな……。
良美
「……レオ君、よくこうなってる私を見捨てないね」
レオ
「だから、好きだって言ってんだろ!」
レオ
「言ったろうが、お前の全て受け止めて
やるって……」
良美
「全てを受け止める……? 綺麗事だよぉ」
レオ
「何を言われようが俺はここから動かない」
やっぱり俺の決断は正しかったと思う。
良美に必要な事は、今そばにいる事なんだ。
レオ
「なんで、こんなに天気が悪いんだ……くそ」
晴れてくれればいいのに。
良美  無音
「……」
レオ
「良美、学校に着くぞ、大丈夫か?」
良美
「ねぇ……レオ君……」
レオ
「ん、何だ良美?」
良美
「私の全てを受け止めてくれるって言ったじゃない」
レオ
「あぁ、言った」
良美
「エッチなことしようか」
レオ
「こ、ここでか?」
良美
「うん。私、エッチな事が大好きな女のコだから」
レオ
「良美……」
良美
「受け止めてくれるんだよねぇ」
……………………
レオ
「お、おい……良美……こんな」
良美
「ん……んむ、はむ、あむっ……はひ(なに)?」
レオ
「これはさすがにまずいだろ……授業中なんだぞ」
校舎の外れの、一番人が来ないであろうトイレ。
でも、こんな……。
良美  共通
「ぺろ、れろ、あむ、あむ」
レオ
「う……く!」
こいつ、短時間でこんなに上手くなりやがって。
良美
「ちゅぱ、ちゅむ……ぷは、だって、レオ君の
ミルクが欲しくなっちゃったんだもんっ」
良美
「だから、頂戴……あむ、んっ、じゅっ……
じゅるっ」
レオ
「く……うっ……」
良美
「レオ君……レオ君……ちゅぱ、ぺろ、ちゅっ……
ずっ……じゅるっ……ちゅうっ」
良美
「ほ、ほら……もう苦くなってきたよ……
ちゅうっ、ぺろ、ぺろ、あむ」
良美
「ちゅっ……ちゅるっ……じゅっ、ぷは
いっぱい、吸ってあげるね、レオ君の……
はむ、ずっ……じゅっ……ずずっ」
良美
「じゅ……ちゅっ……ぷは、美味しい……レオ君の
美味しい……はむ、ちゅぱ、じゅるっ……」
良美
「いっぱい……いっぱいしゃぶるからね……
ん、ちゅぱ……ちゅっ……じゅっ」
良美
「だって、大好きだもん。レオ君も、レオ君の
これも、大好きなんだもん。はむ、ちゅるっ……
れろ……ちゅぱ、チュパ……」
しゃぶられながら、1時間目が終わる。
レオ
「おい、良美。休み時間だ、人が来るぞ」
良美
「ちゅく……れろ、れろ、ぺろ、……ちゅっ
ぷは、関係ないよ……ぺろ、ぺろ」
レオ
「良美っ!」
良美
「んむ、ずっ……ズズッ……レオ君、
レオ君の……大好き」
レオ
「いったんやめ!」
良美
「ん……ぺろっ、もう……、こんなに元気なのに」
不満そうな目でこちらを見ている。
舐めはしないが、口の中からは出そうとしない。
トイレに人が入ってきた。
男子生徒X
「やっぱり一番美人なのは姫だろうー」
男子生徒Y
「でもさ性格とかも合わせると、よっぴーじゃん?
よっぴーだって、相当可愛いぞ」
あ、知ってるやつらだ。
雑談しながらツレションか。
男子生徒X
「よっぴーは清楚過ぎてなぁ……門限とかすっげー
早そうじゃないか?」
男子生徒Y
「皆から人気あるよっぴーをとりやがって
対馬めぇ……うらやましいなぁ。今日来てないし」
男子生徒X
「よっぴーか。あんな可愛い娘にあんなことや
こんなことしてもらいたいな」
レオ
「……」
それを聞いた良美は微笑を浮かべて、
ペニスに吸い付いた。
良美
「ちゅ……ぺろ、ぺろ、ぺろ、れろ」
大きな音を立てないようなソフトな刺激。
なんだか優越感が沸いてきてしまう。
学年のヤツラ皆が可愛いと認める良美。
俺はその良美にトイレでしゃぶって
もらってたりするんだから。
2人が出て行くと、しばらくして2時間目開始の
チャイムが鳴った。
良美  共通
「ん、ちゅっ……じゅるっ……ちゅうぅぅっ」
レオ
「くうっ……」
良美はまってましたとばかりに動きを再開した。
良美
「んちゅっ……ずっ……じゅるっ……んむっ
レオ君……そろそろ欲しいな……」
レオ
「もう……出そうだ」
良美
「本当? じゃあ頑張っておしゃぶりするね
はむっ……んっ、ちゅぶっ」
ストロークをはやくして情熱的にしゃぶる良美。
良美
「ずっ……ちゅぱっ、じゅるっ、ちゅうっ、ん、
んんっ、ずっ……れろっ……ちゅっ」
良美
「ん……ん、じゅっ、じゅぶっ、ちゅぽ、ちゅぱっ」
レオ
「くっ!!」
良美
「ん!!! んんっ……ん、ごくっ、ごくっ……
んむ……んっ……ごくっ……」
良美は、すごい勢いで口の中に放出される
精液を飲みながらも、しゃぶり続けた。
良美
「んむ……ちゅるっ、あむっ……んっ……ごくんっ」
レオ
「良美……く……」
良美
「ちゅぱ……ちゅぷ……ぷは、レオ君もっと
頂戴……まだまだ足りないよ……あむ、れろ」
レオ
「ん……良美」
………………
さんざん舐められたペニスが
ようやく口から解放される。
しゃぶりつくされて、くてっと力なく
たおれてしまっている。
レオ
「良美……お前……」
良美
「まだだよ……もっと私を見て」
レオ
「え」
良美
「よい……しょ……どう、かな? 見える?」
レオ
「み、見えるって……そりゃ、もちろん」
レオ
「素晴らしい体してるな、ほんとにHだ」
精液で顔が汚れてしまってるな。
レオ
「ほら、顔拭いてあげるよ」
良美
「ん……全然このままでよかったのに」
良美
「よく……見ててね」
レオ
「え」
良美
「私がオシッコするところ」
レオ
「な!? おい、お前?」
良美
「……えへへ、う、受け止めて…くれるんだよね」
良美
「だったら……見ててよ」
良美の体はガクガクと震えていた。
レオ
「おい、無理するな!」
良美
「いいから見てて!」
レオ
「良美……」
良美
「ん……でるよ……ほら」
ちょろ……ちょろちょろちょろ。
レオ
「う……あ」
良美
「あはは、出てる……レオ君に見られてるのに
出てるっ……オシッコ出てる……」
レオ
「良美……」
トイレの個室にアンモニアの匂いが
立ち込めていく。
良美
「あは、あはは、今度こそ、ついに
愛想つきたよね、レオ君!!」
良美
「あ、あはっ、あはは、だって汚いもんっ
今の私、オシッコ見せびらかしてるっ……
汚い、こんなに汚いっ……」
良美
「あは、あははっ、汚い、あああ? き、ぎっ、
ぎぎっ、汚いっ……私、汚い、あひっ……」
レオ
「お前……」
良美は壊れた。
規則正しく動いていたロボット。
それが不測の事態の山で、どう対処していいか
分からずエラーを起こしている。
そんな感じだった。
そこまでして俺に嫌われようとして、
どうしようって言うんだ?
俺が顔を曇らせたのは、良美が
あまりにも痛々しかったからだ。
良美  無音
「……」
良美はそれを嫌われたと勘違いしたのか、
すくっと立ち上がった。
良美
「……えへ、これで、終わった……全部……
幸せにはなれませんでした……」
良美はフラフラと力なく歩いていってしまった。
レオ
「おい、待てっ……」
レオ
「ち、ここをこのままにしておくのはまずいな」
精液やらティッシュやら散らばってる。
手早くトイレを片付ける。
くそ、見失った。
今のあいつが教室に行くとは限らない。
どこいったいあいつは……。
校内は考えずらい。
となると外か?
レオ
「!?」
この豪雨の中、傘もささずにフラフラと
松笠公園の方へ歩いていく人影がある。
レオ
「良美……!」
豪雨に打たれながら、フラフラと歩き続ける良美。
良美
「あは、す、すごい雨……でも気持ちいいかも……」
良美
「流れちゃえ…汚い心なんて…流されちゃえ…」
その先には、海しかないのに。
良美
「レオ君に嫌われたし……これで何の未練もないや」
え、海?
ゾクリとした。
あいつ、まさか――。
レオ
「おい、良美!」
レオ
「良美!!」
良美
「レオ君……なんで追っかけてきたの?」
レオ
「お前……この期に及んでまだそんな事……」
レオ
「好きなんだよ! 愛想なんてつかしてないぞ」
力いっぱい、思いっきり抱きしめる。
良美
「レオ君……痛いよ」
レオ
「何度言っても分からんちんだから
態度で示してんだよ」
良美
「もういいんだよ、レオ君……
私、他人との距離が分からないんだ……」
良美
「一定の距離なら、得意だけど……
少しでも、近すぎちゃうと……自分の
ものにしたくて……何がなんだか」
良美
「みんな、よく出来てるなぁ……すごいよ」
レオ
「俺だって出来てないって、そんなもの……」
良美
「なんかもう、私は……どうでもいいんだよ」
レオ
「ふざけんな。お前、俺を好きにさせといて
もういい、なんて勝手すぎるだろ!」
良美
「でも私、行動全て計算で動いて……笑顔作って……
いわゆる悪い女なんだよ。そんなのヤでしょ」
レオ
「お前は悪くもなんとも無いね。
ただの気が小さい人間だ!」
レオ
「それぐらいで悪女を語るな。
世の中の悪女もきっと怒るぜ?」
良美
「エリーを裏切ろうとしたのに」
レオ
「だってお前はそれが間違ってるって
言われて気付いて反省した。充分じゃん」
良美
「でも、さっきの私見たでしょ……
あんなに汚いんだよ……」
レオ
「バカお前、目の前で放尿なんか
人によっちゃ大サービスなだけだぜ?」
レオ
「ちなみに、汚いところを見せたくて
あれが限度なお前はむしろ可愛いと思った」
良美
「……嘘だ、嘘だよ……嘘だよぉ」
レオ
「嘘だったらこんな雨の中追ってくるかよ……」
レオ
「7月とはいえめちゃ冷たい雨じゃんよこれ」
良美
「もういいから嫌いになって……」
レオ
「やだ。ふざけんな、あれだけ人を束縛しといて」
良美
「だって……私、朝必ず自慰するし……」
レオ
「秘密だったけど、俺も時々する。あれやると
脱力してまた寝ちゃう時があるのがネックだよな」
レオ
「だから何とも思わないぜ?」
良美
「執行部でレオ君が使ったティーカップ、
いつも口つけたとこ舐めてたし……」
レオ
「もう恋人なんだし今度から遠慮せず俺の唇で頼む」
良美
「れ……レオ君……」
レオ
「残念だったな、嫌われようったって無駄だぜ」
レオ
「1度幸せにしてやる、と誓った以上、
絶対幸せにしてやる!」
良美
「あ……あぁ……あぁぁあ……」
良美
「な、なんだろ、ど……どうしていいか分からない」
良美
「なんだか……こみあげてきて……」
レオ
「泣きたいのか?」
良美
「な……く? そっか……泣くんだ」
レオ
「いいぞ遠慮無くいけ」
良美
「でも、でも……泣くと耳障りで、
涙や鼻水で顔が汚くなるって……やめろって……」
レオ
「泣きたい時は、泣いていいんだ」
レオ
「じゃなきゃ、なんで泣けるように出来てるんだよ」
良美
「……人様に見られたら恥さらしだって…」
レオ
「今この場所に俺とお前以外誰もいねえよ」
レオ
「豪雨で声も聞こえないだろ」
良美
「でも、レオ君には聞こえるよ……」
レオ
「……良美。世界を与えたとか言ってくれるなら
いろんな表情見せてくれ」
レオ
「嫌いはしない。遠慮なく豪快に行け」
良美
「……な、泣いても、いじめない?」
レオ
「俺を信じろ」
良美
「ぅ……あ……あ……ぁぁ……あ」
良美が、震え始めた。
俺を信じて、感情を解放しようとしている。
良美
「れ、おく、ん……わ、たし……わたしはね……」
レオ
「いいってば……無理にしゃべると舌噛むぞ」
良美
「うわ……あぁ……あ……ああぁっ……あ」
泣いた。
せきとめていたものが、一気に流れ出る。
良美
「あぁぁっ……あぁぁっ……あああぁっ」
泣きたかった時も泣けなかった分
今、泣いている。
良美
「へんだよぉ……演技じゃなくて、えぐ、
本当に泣くと、ひぐっ……とめられないよぉ……」
レオ
「泣きたいだけ泣け」
それは確かにみっともなかったけれど。
良美
「うわぁぁぁん、あぁぁぁあぁぁんっ……」
なにか、ふっきれたようなものを感じた。
良美
「あぁあああ……っ」
なりふり構わず、体を震わせて泣き続ける。
それはまるで。
良美
「れ、れおく、ん……ありがとうっ……
ひぐ、えぐ、……ぐすっ、ありがとうっ……」
この世に産まれてきた赤ん坊のようだった。
――スウェーデン。
北ヨーロッパ、スカンジナビア半島の
東部を占める立憲君主国。
結論から言うと、景色は超綺麗。
だけど、それより何より――
エリカ
「寒! スウェーデンって寒!」
エリカ
「ポーズをとっても薔薇が咲かないぐらい寒!」
スバル
「おおぉぉ、確かに凍えるぜここは
地図で超上の方だから、寒いとは思ったが」
あのスバルでさえ歯をカチカチと鳴らしている。
エリカ
「よっぴー、私をあっためて」
スバル
「レオ、オレをあっためて」
良美
「無理。レオ君に抱っこされてるし」
レオ
「無理。良美抱っこしてるし」
スバル
「くそ、夫婦円満カップルめ」
エリカ
「ほら、よっぴー。もう充分過ぎるほど
オーロラ見たでしょう。戻るわよ」
良美
「もうちょっとだけ!」
レオ
「だ、そうだ。先戻ってていいよ」
エリカ
「っていうか寒さに弱いよっぴーが
ここまで耐えるとは……驚き」
良美
「だってレオ君と一緒だから、温かいもん」
エリカ
「はっくしょーん!」
エリカ
「ずっ……はぁ、戻ろ戻ろ」
スバル
「レオもすっかり甲斐性が出てきたなぁ……
めでたいようであり寂しくもあり……」
スバル
「オレ達も付き合ってみる? 姫」
エリカ
「イヤでーす」
スバル
「オレが秒殺されたの、初めてだ」
エリカ
「元からその気も無いくせに」
スバル
「あ、やっぱ分かる?」
エリカ
「私にはよっぴーが一番だったのに……」
俺達の班のメンバーは先に帰ってしまった。
良美
「オーロラ綺麗……ずっと見てても飽きないよう」
良美
「地球って偉大だねぇ」
レオ
「おっ、ずいぶん壮大なスケールな事を言うな」
少しずつ、時間をかけて良美は
俺を信じてきてくれている。
だから俺もそれに応えないと。
良美
「あははっ、なんかこういうのを見てるとさ」
良美
「今まで下を向いて悩んでたのが……ちょっと
バカみたい」
レオ
「……そうだな、その通りだ」
辛い事があっても、こういう綺麗な景色を見たり
時がたったりすれば、きっと立ち直れる。
これから先、苦しむ事があろうとも。
レオ
「じゃ、そろそろ時間だから戻るか」
良美
「うん。あ、あのね……」
レオ
「ん、なんだ?」
良美
「あの……その……朝ごはん終わった後の
自由時間に、その……」
レオ
「お誘いありがとね。
外国でするのもまたオツだよね」
良美
「うぅぅ……こればっかりは、ほんと
いつまでたっても、すっごい恥ずかしいよぅ……」
このちょっとHな娘と一緒にやって
行こうと思った。
レオ
「お前……」
良美
「お願い、私の事が好きなら言う通りにして!」
レオ
「姫に……危害を加えるつもりか」
良美
「は? そんな事するわけないじゃない親友に」
良美
「でも、親友って同じ立場だから親友だよね!
だからエリーも私と同じになってもらおうって!」
活き活きと喋る良美。
結局、その良美の勢いに押された。
俺はもうすぐ姫が来るからって事で
衣装ダンスの中に閉じ込められた。
レオ
「……狭い……」
でも外の様子は、かろうじて見える。
良美は俺の靴を隠して、部屋を片付けていた。
良美
「レオ君は制服が好きなんだよね。任せてよ」
何を任せろって言うんだ?
わざわざ制服に着替えて。
ピンポーン
レオ
「あ……姫。来た」
エリカ
「悪い、ちょっち遅れたわ。学校で片付ける用事が
あってさ、生徒会長も大変だよ」
ドクンと胸が高鳴る。
エリカ
「何でよっぴーも制服?」
良美
「うん。ちょっと親戚に会ってきてね」
エリカ
「? ま、いっか」
エリカ
「よっぴーからのお誘い、嬉しいわね。
最近対馬クンにべったりで私放置されてたから」
良美
「放置なんかしてないよう、レオ君とは
別次元でエリーは大事だもん」
エリカ
「だったらちゃんと電話には出てよねー」
良美
「ごめんごめん」
談笑する姫と良美。
なんだなんだ?
ただの仲の良いお友達同士じゃないか。
良美
「ごめんねぇエリー。昨日はレオ君に色目使うなとか
言っちゃって、私、混乱してて……」
エリカ
「んー? あー。問題ナシ。全然気にしてないし」
カラッとしている姫。
こういう所も姫のいい所だよな。
エリカ
「で、対馬クンとの夫婦の営みは
上手くいってるわけ?」
レオ
「!!」
危うく声を出すところだった。
さすが姫、セクハラ直球だぜ。
良美
「んー。それがねぇ、レオ君びみょーなんだよ
ねちっこいだけで、なんとゆーか
初めは良かったんだけどねぇ」
な、なにぃ!? そ、そうなのか!
エリカ
「そ、そうなんだ……下手なんだ」
姫、真に受けてるし。
エリカ
「そ、それじゃ何? よっぴーの性欲を
処理しきってくれないの?」
良美
「うん、残念ながらね」
エリカ
「甲斐性ないんだね、思ったより」
エリカ
「っていうか、やっぱりそっちに進むステップが
早すぎたんじゃないの?」
良美
「恋愛未経験のエリーがそんなアドバイスしても
説得力ないよ」
エリカ
「む……まぁ、そりゃそうだけど」
エリカ
「で、その、じゃあ布団がひいてあるのは
もしかして、あれ?」
良美
「う、うん……その……レオ君じゃ満足できない分
エリーに、その……」
エリカ  無音
「!」
エリカ
「ち、ち、ち。皆まで言うなマイハニー」
エリカ
「そんなよっぴーの疼きをとめるのは
私しかないってわけね」
エリカ
「いいわよ。で、今回はどこまでやっていいの?」
良美
「どこまでも!」
エリカ
「え……ほんと……終点まで? やった!
いつもみたいにおあずけないんだ!」
くすくす、と姫は笑っていた。
っていうか2人は何の会話をしてるんだ。
………………
レオ
「な……な……?」
タンスに隠れてる俺が見たのは衝撃の光景だった。
エリカ
「ご無沙汰だったね……よっぴー」
ぐい、と良美を荒々しく布団に押し倒す姫。
エリカ
「ん。これこれ、この胸……最高ね」
制服の上から遠慮なく鷲づかみにする。
良美
「うう、ん、あんまり力入れると痛いよエリー」
エリカ
「ふふ、ごめんね……それじゃ、まず
脱ぎ脱ぎしましょうか」
良美
「ん……エリーが脱がせて……」
エリカ
「ふふ、これも浮気ってことになるのかしらね」
姫は自分のがっつきを我慢するように、
ゆっくりと良美の服を脱がしにかかった。
この2人、やっぱりこういう関係だったのか。
エリカ
「ふふ、今日はよっぴーをいっぱい味わっちゃお」
それにしては、姫の興奮の度合いは
かなりのものだ。
はぁはぁ、と息を乱している。
良美
「んん、エリー……息が荒くて獣みたい」
そう言いながらも良美の体はポッと桜色に
染まっていた。
良美の服をはだけさせて、体に指を這わせる姫。
見慣れた良美の見事の肢体を、好き放題に
姫が触っている。
なんだか、嫉妬を覚えてしまった。
女の子同士なのに。
エリカ
「ん……よっぴー、どう?」
良美
「え、ど、どうって?」
エリカ
「対馬クンと比べて」
ふっ、と良美の耳に息を吹きかける姫。
良美
「あぁン……そんな事言わないで」
姫の指が、良美の乳首をキュッと摘んだ。
そして、好き放題にこねまわしている。
良美
「んんっ、あ、エリー……」
エリカ
「対馬クンはこんな事した?
あっちより気持ちいい?」
良美
「ん、んあ、気持ちいいよぉっ……」
エリカ
「これぐらいで仕方ないなぁ、よっぴーは」
姫が舌を伸ばして良美の白い肌をペロ、と舐めた。
エリカ
「んん、美味しい……可愛いコの汗って、
そこらへんのお酒とかより、全然いけるわ」
良美
「エリぃー……」
エリカ
「ん、よっぴー……ちゅっ」
レオ
「!」
他人同士のキスをこうもくっきり見たのは
初めてかもしれない。
それが、この2人とは。
エリカ
「可愛い……はぁ……はぁ……ちゅ、チュ」
これでもかと良美の顔にキスの嵐を浴びせる姫。
まさしく可愛がってるという感じだった。
そして、ソフトキスの後は……
エリカ
「んー♪……んむ……ん……ン」
良美
「はん……ん、んっ……ん」
唇と唇をくっつけあう。
そうしながらも、姫は手の動きを休めないし
良美は脚をモジモジとさせている。
からみあう、姫と良美。
正直、今まで同性愛には全く感心が無かったが。
くねくねと睦み合う2人の姿を見て、俺は素直に
美しいと思ってしまった。
美少女同士が息を荒げながら、夢中に
キスしている。
見ているこちらが圧倒されそうだ。
ただひたすらにお互いを求め続ける2人。
仲がいいのは分かるけど、姫も良美と同じで
何か、大事な所のネジが一本外れている感じだった。
エリカ
「ちゅっ……ちゅ……よっぴぃ、私の、飲んで」
良美
「うん、エリー……んっ……」
エリカ
「じゅっ……ずっ……ん……」
姫がキスしながら良美に唾液を流し込む。
良美
「ん……ちゅっ……ん、ごく……ごくん」
それを従順に飲み干す良美。
そうしながらも、片手はひたすら胸を
揉みまくってた。
良美
「ぷは、エリーの、美味しいっ……ね、今度は
エリーが舌を私の口の中に入れてみて」
エリカ
「うん。ちゅっ……んむ……ん?」
良美
「ちゅっ……ずっ……ちゅうっ……ん、れろ」
エリカ
「ん……んんっ、あん……んあ……」
姫が艶かしい声を上げながら、体をピクピクと
震わせている。
エリカ
「ぷはぁ……あ、よっぴーに舌……吸われ、ちゃった
なんか、すご、い……」
良美が、姫の胸をやんわりと揉みあげる。
エリカ
「んん、よっぴー、なんだか、頭がボーッとして
きちゃった……」
良美
「それじゃ、逆転してみよっか、エリー」
エリカ
「え? 逆転?」
良美は、姫をグイッと引き寄せると、そのまま体を
横にゴロンと回転させた。
エリカ
「あ、ちょ、ちょっとよっぴーってば!」
良美
「たまには私がこっちでも、楽しいかも」
エリカ
「ダ、ダメだよ、私攻めないと気分でないもん」
良美
「えーそうかな……」
エリカ
「そうだよぉ……」
甘ったるい声で会話する姫と良美。
仲良くじゃれあってるという感じだ。
良美
「でもエリーが弱いところ私、知ってるんだよ」
姫のふとももの間に、ぐいと手をいれていく良美。
良美
「このお尻の部分とか」
エリカ
「はぁんっ、ちょ、ちょっと!」
良美
「わきの下とか、おへそとか、耳たぶとか」
いじくりいじくり。
エリカ
「あ、ダメぇ……あ、ア、あ!」
良美
「えへへ、エリー、可愛い」
エリカ
「な、何よぅ、はぁ……はぁ……凄い
テクニシャンになってるじゃないっ……」
良美
「でもエリーも今日は熱心だね、
やっぱり、私をレオ君にとられたみたいで
悔しかったんだ?」
エリカ
「ん……まぁ、そりゃちょっとはね」
良美
「じゃあ、エリーも今日だけ仲間にいれてあげるよ」
エリカ
「え? 仲間って?」
良美がグッ、と姫を押さえつける。
良美
「レオ君……出てきてもいいよ」
良美が呼んでいる。
さっきから良美の雰囲気に圧倒されている
俺は素直に従った。
エリカ
「なっ……つ、対馬クン?」
良美
「そうだよエリー、今まで全部見てたんだよ」
エリカ
「よ、よっぴー、これは? 何で?」
良美
「ごめんね、エリー。私が
幸せになるために必要な事なの」
エリカ
「よっぴーが、幸せに?」
良美
「エリーはあまりにも綺麗すぎるから……
私と同じようになってもらわないと、ね?」
良美
「レオ君、エリーとHしたいんでしょ?
今ならチャンスだよ。私も今回だけは
それについて何も言わないから」
エリカ
「そんな、何を……」
良美
「親友なんだから、条件は同じにしないと」
エリカ
「ちょ、よっぴ……んんっ」
エリカ
「ん……く……んむ、んっ、んっ」
可哀想に姫は、良美のキスで
口をふさがれてしまった。
文句を言いたくても、良美が唾液を
流し込んでくる。
姫は仕方なくごく、と喉を鳴らしそれを飲んでる。
……これは、今のうち、やれっていうことか。
姫を抱ける。
そう考えただけで壊れそうだった。
本当なら、そんな事絶対しないけど
姫のHな姿をいっぱい見せ付けられて我慢できない。
最大限まで勃起したペニスを解放する。
目の前で絡み合う2人を見てると、なんだか
淫靡な夢の世界にいるような気がして。
俺もその夢に加わりたいと思って。
俺は、汚れをしらない姫の秘裂に、
我慢汁を流している亀頭をあてがった。
エリカ
「んんっ!?」
良美
「ぷは……レオ君、優しくしてあげてね」
レオ
「うん……」
レオ
「ん……」
エリカ
「んあ、あ、ちょっ……あっ!」
ズンッ、とペニスを秘裂にいれていく。
エリカ
「こ、こら……んあ、やめなさいってば」
こんな時まで命令口調の姫が素敵だった。
それでも、体が震えているのがペニスに
伝わってくる。
いきなり全部やったら痛いだろうから、
少しずつ処女の中を進んでいく。
亀頭を膣口の中にズリズリと押し込んでいく。
エリカ
「つっ……くっ……あああっ……」
良美
「エリー、その顔すごい色っぽいよ……可愛い」
ずぶずぶと姫を犯していく感覚に酔いしれる、
エリカ
「く、はぁっ……はあっ……」
姫の吐息が相当苦しそうだ。
それでも、良美の愛撫で中はこんなに濡れてる。
レオ
「んん……」
さらにペニスを突き立てていく。
プツ……
エリカ
「あぁっ……くっ……」
何かを剥がして行くような感触。
プツッ……
姫の処女膜を破っていく。
血が少し流れてきた。
良美
「これで誰もエリーを生娘なんて言わないね」
姫の純潔を奪ったペニスが根元まで埋まった。
すると、早く動けとばかりにビクビクと
反応している。
レオ
「ん……動くよ」
エリカ
「あ、く……う!」
エリカ
「くぅ……あ……あぁっ!」
泣き言は全く言わないが、姫はキツそうだった。
良美が痛みを和らげてあげようと、優しく
胸をマッサージするように揉んでいる。
エリカ
「ん……くぅっ……」
さんざん良美の膣内を楽しんでいたペニスが
今度は姫の粘膜を擦っていく。
レオ
「ん……」
腰が痺れるくらい気持ちいい。
良美
「私がエリーを犯してるみたい……興奮する」
姫の粘膜は、ペニスを元気良く締め付けてきた。
キュッ、キュッ、と生き物のように動いている。
良美がじっとりと一体化するような襞だったのに。
膣内にまで、お互いの性格が出てるとは。
エリカ
「うぅ……く、え……?」
良美
「あ、戸惑ってるね? だんだん
気持ちよくなってきたんでしょ」
いくら憧れの姫が相手でも、こっちは
良美相手に散々鍛えられた実績がある。
スグに射精しないように気をつけながら
腰を振り続ける。
エリカ
「ん……んふっ、……ふぁ、あっ……」
犯されている姫の声に甘みが混じってきた。
良美
「エリー、そんな切ない声出しちゃって」
良美が姫の乳首をつまんでひねりあげる、
エリカ
「ん、あぁ、あ……!」
すると、中の締め付けの強さが増して行く。
レオ
「く、うぅっ、もう、出ちゃうっ……」
良美
「いいよ、中に出してっ」
エリカ
「な、なんでそっちが言うのっ、ん、あっ、あ」
レオ
「ん……姫、姫!」
腰を力強く、早いリズムで突き続ける。
エリカ
「あくっ、んあ……あっ」
ズンズンッ、と膣襞を容赦なく刺激していく。
エリカ
「んあっ、あっ、くっ、あ、あ、あ!」
最後に、限界までペニスを突き入れる。
エリカ
「あうッ!」
レオ
「くっ」
一番深いところに刺さったまま、
射精をはじめるペニス。
ドクドクと姫の子宮に熱い精子を注ぎ込む。
レオ
「ん……く……」
射精がとまらない。
我ながらよほど嬉しかったと見えて
しつこいぐらいに射精を続ける。
普段散々からかわれていたしな。
姫の膣内を精液まみれにしていく。
エリカ
「く……あ……ぁ」
姫は脱力して体をピクピクと痙攣させていた。
ペニスをずる、と膣内から引き抜く。
良美
「はい、これでオシマイだよエリー
よく頑張ったね」
乱れた姫の髪を優しく直してあげる良美。
いい子、いい子と頭を撫でてあげていた。
エリカ  無音
「……」
良美
「これで私と同じだね、エリー」
良美
「ね、分かったし満足したでしょレオ君
エリーだって一皮剥いたらか弱い女のコなんだよ」
エリカ
「ぅ……あ……」
良美
「ほら、今だって私達に怯えちゃってるよ、あはは」
エリカ
「なーんてね! 残念でした!」
良美
「…………え?」
エリカ
「ったく、どんな事たくらんでると思ったら
こんな子供じみた……あきれちゃうわね」
姫が不機嫌そうに服を着始める。
良美
「た、立ち直ったの?」
エリカ
「立ち直ったも何も、わざとよわざと」
エリカ
「私抵抗できたけど、あえてしなかっただけだし」
良美
「う、嘘だぁ! だいたいエリーの性格上
だまってやられるなんてありえないよぅ!」
エリカ
「ん? そろそろ処女でいるには
微妙な年代だからね。よっぴーも傍にいてくれたし
まー。頃合だと思ってね。安全日だったし」
レオ
「あ、あんなに感じていたのに」
エリカ
「演技だけど何か?」
レオ
「な」
エリカ
「あんな粗末なモンつっこまれて
乱暴に動かすだけで喘ぐわけも無いでしょうが」
エリカ
「とはいえ、まぁ結構気持ちいいのも事実よね」
エリカ
「好きあった相手なら没頭するって話も分かるわ」
今まで完全な受身だった姫はあっけらかんとした
態度に戻っている。
本当に……演技だったのか。
良美も呆然としていたが、何とか言葉を紡ぎ出す。
良美
「え、エリー初めてで気持ち良かったって
け、結構、す、スケベだね」
エリカ
「うん。実は私も結構スケベなのかもね」
エリカ
「でも、いいんじゃない?
どうせなら気持ちいい方がいいし」
良美
「あ……う、あ、あれ?」
自分の悩みが一言で片付けられてしまった良美。
エリカ
「よっぴーもどうせなら、こんな
超生ぬるいヤツじゃなくて、もっととことんやる
感じでやればよかったのに」
レオ
「た、例えば?」
姫は、一例として、とことんやる方法を
喋り始めた。
エリカ  無音
「───っ!(←自主規制)」
レオ
「な……」
エリカ  無音
「○×△□、×△□○」
良美
「そ、そんなコト……できないよぉ」
エリカ  無音
「Φ×△ψΩ……Φ×△ψΩ」
レオ
「あ……悪魔だ。良くそんなひどいことが
思いつくな……」
犬って何だよ。
エリカ
「私の初めて奪った今の対馬クンに
言われたくないわねー」
エリカ
「ま、そんな感じでやればいいものを
出来るだけ甘くやるから。その中途半端な優しさが
よっぴーのミスよねー」
エリカ
「ま、トコトンやる気なら私も普通に
抵抗して、さっさと返り討ちにしてたケド」
良美
「だって……裏切りたくなかったし……エリーの事
好きだもん。同じ立場にいて欲しかったんだもん」
良美
「レオ君が、エリーのことキラキラした目で
見てるから! 私……私」
エリカ
「それで、私にも穴あけたってわけね?」
エリカ
「くっだらない、そんなんで屈服する
わけないでしょ。そもそも演技で
やらせてあげたんだし」
エリカ
「よっぴーはねぇ、そういうマイナス思考に
走ってる時点でダメ、幸せにはなれないよ?」
エリカ
「人を羨ましがる前に自分を磨きなさい、もう」
ピシッ!
良美
「あうっ!」
良美にデコピンする姫。
エリカ
「対馬クンも! 彼氏なら彼女の
暴走ぐらいキチッと止めなさいよ甲斐性無し!」
レオ
「うっ……正論」
エリカ
「はぁ、どうしようもないカップルね、
手が焼けるわ」
エリカ
「ま、とりあえず。演技とはいえかなり
ムカツイたんで2人にはお仕置きが必要ね」
レオ
「え」
エリカ
「対馬クンはこれぐらいで許してあげる」
ズグッ!
レオ
「ぐおっ!?」
股間を蹴り上げられた。
レオ
「あ……ぐ……」
エリカ
「今後、何か勘違いして調子に
乗ったら殺すからよろしく」
頭をグリグリと踏まれる。
レオ
「……ぐ、姫にゃ、勝てない」
なんだか、あれだけで姫を征服したと
思った俺がとても矮小に思えてきた。
エリカ
「さーて、よっぴーにもお仕置きね」
良美
「う……うぅ……」
エリカ
「このお仕置きが終われば、今までと
同じように接してあげるから」
レオ
「あの、あまり過激なのは許してあげてくれないか」
エリカ
「あんたは黙ってなさい」
レオ
「痛っ!」
エリカ
「それじゃ、お尻108叩きね。はい、出して
煩悩の数だけ叩いてあげるわ」
良美  共通
「ええっ!?」
エリカ
「行くわよ。こう見えて結構怒ってるんだから」
エリカ
「そらっ!」
ピシャアッ!
良美
「いたぁい!!」
手首のスナップが効いていて、いい音だった。
エリカ
「自分で叩かれた回数を数えるのよ、よっぴー」
エリカ
「ほらっ!」
ピシャッ!
良美
「あうぅっ、え、エリー、痛いよぅ」
エリカ
「ほらほら、1って数えないといつまでも
終わらないわよ」
ピシャッ!
良美
「ひぐっ……い、いち……」
エリカ
「そうそう、そらっ!」
良美
「あぅっ……にーい」
エリカ
「ふっ!」
良美
「はぅ、さ、さーん!」
良美
「え、エリー、痛いよぅ、やめてよぅ」
エリカ
「ダメ! そーら」
バシッ!
良美
「よ、よんっ……」
うわぁ、これは姫、メチャ怒ってるな。
っていうか俺、痛いを通り越して
下半身の感覚ないんですけど大丈夫かな……。
………………
良美
「う……うぅ……エリー、ごめんなさい
ごめんなさい……ごめんなさぁい……
もう……いじめないでっ……」
エリカ
「これに懲りて、もう下らない事考えないようにね?
しっぺ返しが怖いって分かったでしょ」
良美
「う……うんっ……うんっ」
エリカ
「はぁっ……ったく、手のかかるお友達だわ」
エリカ
「安心しなさい。見捨てないから
ユーアーヒューマンよ」
厳しく接しておいて、最後の最後で
優しく抱きしめる。
なんだか手を噛んだ飼い犬への調教みたいだ。
エリカ
「ま、見たとおりちょっと困ったところも
ある娘だけど、それでも可愛いでしょ?」
レオ
「うん」
エリカ
「ちゃんと守ってあげるのよ。心もね。
何か困った事があれば、よっぴーの事なら
いつでも相談に乗るから」
エリカ
「なんだったら、2人のHの時に
呼んでくれてもいいわよ
今度は2人まとめて可愛がってあげる」
レオ
「な……」
エリカ
「割と気持ちよかったしね。
よっぴーなら、こっちも歓迎」
エリカ
「それじゃ、お幸せにネ」
姫は投げキスして帰っていった。
……後に残されたのは倒れこんだ俺達だった。
良美
「……レオ君……」
レオ
「なんだ」
良美
「私、お尻が痛くて座れないんだけど」
レオ
「俺なんか、下半身の感覚が無いぞ」
いろんな意味で格の違いを思い知らされた。
しかし、姫のあの発言は……。
え、これから3人でHがOK?
そう思うと、感覚がなくなってた下半身が
少しずつ元気になってくる。
……エロい子ばっかりだった。