レオ
「いや、鍵は俺が自分で返すよ」
真名
「遠慮せんでええよ。ついでやし」
豆花
「マナ、少しいいかネ?」
真名
「トイレなら、1人で行けばええやん」
豆花
「ち、違うネ、いいから来るネ」
浦賀さんは、豆花さんに引っ張られていった。
さて、俺は祈先生探すか。
豆花
「マナ。対馬君は鍵を返す口実に
祈先生と話したい。その男心分からないのかネ?」
真名
「かっかっか。そりゃ考えすぎやろー」
豆花
「……だから空気読めない言われるネ……」
真名
「グフッ!」
レオ
「祈先生、職員室にいないな……」
どこで油売ってるんだろう。
自分達の教室に行ってみる。
しかし、もう誰も残ってないな。
真っ赤な夕陽が辺りを染めている。
教室を覗いてみた。
レオ
「え……?」
レオ
「祈先生……」
祈先生は、手に何かを持っていた。
それを、じーっと見ている。
祈 無音
「……」
何だか、いつものポワーンとした先生からは
想像できない憂いを帯びた表情。
すごく大人っぽかった。
思わず、こちらもその美しい顔に魅入ってしまう。
レオ
「(真剣に何を見てるんだろ……)」
いつもちゃらんぽらんなクセに。
祈先生が見てるモノを覗くには角度的にキツい。
もう少し背伸びすれば。
あ、見えた。
レオ
「……?」
子供? 女の子が映ってる写真か?
ガタッ
レオ
「うお、まずい」
背伸びしたせいで、バランスを崩してしまった。
レオ
「ど、どうも祈センセ……」
祈先生がこちらを射抜くような目つきで見てきた。
祈
「見ましたわね」
まるで、決して見てはいけない物を
見てしまったかのような雰囲気。
祈
「……もう下校時刻ですわよ」
その声にも、どことなく凄みが混じっていた。
レオ
「あ、はい」
レオ
「あの、鍵を届けようと思って」
祈
「……」
祈先生は立ち上がり、こちらに近付いていくる。
見慣れたはずの担任教師に、何故か凄みを感じる。
そこに。
豆花
「先生、クラスにいるかもネ。
ほらマナ、凹んでないではきはき歩くネ」
廊下の方から、クラスメートの声が聞こえてきた。
祈
「はい、確かに。鍵お預かりしましたわ対馬さん」
祈
「帰っていいですわよー」
レオ
「え」
いつものポワーンとした先生に戻っていた。
一気に教室の空気が弛緩する。
……なんだか夢を見ていたようだ。
………………
祈先生って結構ミステリアスな所あるよな。
あんな目線が出来る人だったなんて。
レオ
「なぁ、祈先生について思ってる事を言ってみて」
新一
「巨乳、胸が大きい、乳がデカイ」
きぬ
「それ皆同じだろ。えーと話しやすい、結構厳しい」
スバル
「美人だけどボーッとしてる、掴みどころがない」
レオ
「……だよなぁ」
だいたい俺が持っているイメージと同じだ。
わりと飄々としているんだよね。
スバル
「なんだ、祈ちゃんに興味あるのか坊主。
オマエ、ボイン好きだっけ?」
レオ
「や、それはお前のほうだろ」
スバル
「露骨に認めたら負けかな、と思ってる」
新一
「こいつ結構ムッツリだからなぁ……」
レオ
「お前はオープンすぎると思うけどね」
きぬ
「だから巨乳なんぞ単なる脂肪に過ぎんわけですよ」
スバル
「だがそれがいい」
レオ
「おっと危うく巨乳談議に花を咲かせる所だった」
レオ
「……なんか俺、気になってさ。あの先生のこと」
スバル
「色気が出てきたな。そうやって
少年はオトナの階段を登っていくわけだ」
きぬ
「はんっ、その階段13段目で、床が落ちるけどな」
新一
「こいつアンチ巨乳だからなぁ、機嫌悪くなったぜ」
スバル
「アンチ巨乳も巨乳ファンというだろう」
きぬ
「言わないね! もしボクが創造主だったら
巨乳の無い平和な世を作ってるもんね!」
レオ
「なぁ祈先生。出身はどこっていってたっけ?」
新一
「美人のプロフィールは英単語より重要だから
しっかり覚えてるぜ俺は!
花の京都、大江山。千丈ヶ岳ってところの村」
レオ
「京都かぁ。美人が多いっていうがなるほど」
レオ
「……」
なんでだろう。
あの憂いの表情と険しい表情を見てから。
俺は、あの先生に強烈に惹かれるようになった。
きぬ
「まぁ安心しろよ。ボクが創造主になっても
オマエ達は生かしておいてやる」
レオ
「何ラリッた事言ってんのお前」
朝のHR……なんだけど。
土永さん 共通
「祈は寝坊して遅刻している。我輩だけ
先に飛んできた」
またこのパターンかよ。
レオ
「土永さん。祈先生は誰か起こす人いないの?」
土永さん
「我輩がいつも、手入れさせたクチバシで
つっついて起こしてやっているんだがな
まぁ、昨日少し喧嘩しちまってよ」
レオ
「鳥と喧嘩……? どんな風に?」
………………
祈
「土永さん、雨降ってきたので洗濯物
とりこんでくださいな」
土永さん
「……祈よぉ、1つお前勘違いしてないか?」
祈
「はい?」
土永さん
「お前が我輩を飼ってるんじゃあない、
我輩がここに居てやってるんだぞ」
祈
「まぁ……鳥類の台頭を狙うわけですか?
いいですわよ、ぬくぬくと私の肩で
育ったあなたが野生へ還れるのならどうぞ」
土永さん
「…ぐ、こいつ我輩がシティーボーイだと思って…」
土永さん
「……チクショウ……
ちくしょおおおーーーーーっ!!」
土永さん
「我輩は、その場にとどまる事を選んだ……」
レオ
「留まる方を選んだんかい!」
きぬ
「ウワ、ださ! インコださ!」
土永さん
「我輩はオウムだ。次もし間違えたら
地獄を見るだろうな、お前は」
きぬ
「というか、家事はインコがやってるの?」
土永さん
「いきなり間違えるな!
そうだ洗濯物とかは我輩がやってる。クールだろ」
レオ
「クールというかシュールだぜ」
紀子
「ねー、なんかこのクラス、とりと
かいわ、してるよ?」
洋平
「見るんじゃない、頭が猛烈に悪くなるぞ」
レオ
「……やっぱり祈先生は1人暮らしなのか」
土永さん
「なんだ小僧、まるで小さい鳥みてーに
ピーチクさえずるじゃねぇか。
祈に興味あるのか? ああん?」
レオ
「いや、そんなわけじゃないけども」
土永さん
「まぁ我輩がありがたい話でも聞かせやろう
いいか、玉虫を見つけたらタンスにいれておけ
物入りが良くなると言うからな」
レオ
「だからそれはいつ頃言われてたの?」
……………………
あっという間に帰りのHR。
祈
「それでは、進路面談の日付申し込みのプリントは
まとめて対馬さんが持ってきて下さい」
レオ
「え、俺? 委員長の佐藤さんじゃなくて?」
祈
「少しお話したい事がありまして」
ドキッとした。
昨日のことだろうか。
……………………
職員室に入るのって少し緊張するなぁ。
レオ
「失礼しまーす」
祈先生の机は、あそこか。
レオ
「先生、プリント集めて持って来ました」
祈
「ご苦労様。飴を差し上げますわ」
机中に散乱している駄菓子の1つを渡される。
レオ
「土永さんは?」
祈
「あの鳥公とは喧嘩中ですわ。先に謝った方が
負けだと思ってます」
鳥と喧嘩している先生って一体。
祈
「それで対馬さん、今日何故呼ばれたか
見当はついてますか?」
レオ
「……あんまり」
祈
「今、脳裏に昨日の夕方を思い浮かべましたわね」
レオ
「う!」
な、何故俺の考えている事が?
祈
「……対馬さん、ここを見て下さいな
宇宙の神秘がつまってますわよ?」
自分の胸の谷間を指す祈先生。
レオ
「いや、見ませんよ。ぎ、逆セクハラですよ先生」
いきなり何を言い出しやがるこの人は。
祈
「……対馬さんは、初心(ウブ)でいいですわねー」
レオ
「はい?」
自分の胸から万国旗をスルスルと出す先生。
祈
「私、対馬さんに決めました。
今週末はごちそうですわ」
レオ
「あの、先生?」
祈
「いえ何でもありませんわ」
祈
「週末は、どこか違うところで
会話したいですわね、2人きりで」
祈
「金曜日、執行部で残業していて下さいな
迎えに行きますので」
レオ
「え、そ、それって?」
祈
「この件は他言無用でお願いしますわね」
レオ
「はぁ……」
祈
「今、伊達さんに相談しようとしましたわねー」
レオ
「い、いえ、違いますよ!!!!」
何でこっちの考えている事が分かる?
祈
「ふふ、下がっていいですわよ」
レオ
「それだけですか」
祈
「ええ、それだけですわね」
レオ
「……失礼、します」
祈
「あ、そういえば対馬さん」
レオ
「はい?」
祈
「さきほど占ってみたところ、
あなたに24時間以内に交通事故が
起こるという占いが出てますわ」
レオ
「交通事故?」
祈
「私の占いは100%あたりますので……
常に注意を警戒し被害は最小限に留めて下さいね」
確かに祈先生の占いは、ズバッと当たるからな。
祈
「無理に運命を変えようとしても、変わった
それこそが本当の運命なんです。お忘れなく」
それにしても……今週末に何があるってんだ?
何か怖いようで、期待できるようで。
そんな事を思いながらも、
車に注意しながら家に帰った。
幸い、事故はおこらなかった。
レオ
「(キョロキョロ)」
きぬ
「どしたん、周囲警戒して。
ゲーセンで外人相手に無限コンボ使って
キレられたとか?」
レオ
「それは昔のお前だろ」
レオ
「祈先生に交通事故にあうって予言されて
警戒してんだよ」
きぬ
「じゃあ大人しく家の中いろよって言いたいけど。
最近はハウスの中にいても、色々外から
突っ込んでくるご時世だから油断ならねーよね」
きぬ
「よし流石に目の前で死なれたら夢見が悪い。
ボクも一緒に警戒してやるかー」
レオ
「カニ……お前、ほんのりといい奴だな」
きぬ 無音
「(キョロキョロ)」
きぬ
「よし、今だ親ガモに連いて来る
子ガモのように道路を渡れっ!」
手でクイッ、クイッと俺を招くカニ。
レオ
「おうっ」
洋平
「なんであいつらは、いちいちやる事なす事
目立ってるんだ、全く……」
紀子
「じーっ」
洋平
「な、なんだよ西崎。効果音を口で言って」
紀子
「よーへい、なんだかんだで、あのなかまに
はいりたいなー、とか、おもって、ない?」
洋平
「そんなわけないだろ。優等生のこの僕が」
レオ
「よし、広い歩道。ここまで来れば大丈夫だろ」
きぬ
「祈ちゃんの予言外れたねー」
キキーッ!
どかーーーん!!!
レオ
「!?」
何か……背中に……凄い……衝撃がっ!!
エリカ
「ハロハロ。ゴメーン! 今誰かに当たっちった?」
きぬ
「そういや自転車事故も交通事故だって
スバルが言ってたっけか」
エリカ
「バイシクルに轢かれたぐらいで
対馬クンがピクリとも動かない件について」
きぬ
「レオ起きろ。早く起きないと姫は助けるどころか
交通事故の事実隠しに、トドメ刺してくるぜー」
レオ
「あ……う……」
きぬ
「ふぅ、全然平気そうじゃん」
レオ
「君、誰?」
きぬ 無音
「……」
エリカ 無音
「……」
きぬ
「まーたまた。オメーなかなかあなどれねーな。
このタイミングでそういうギャグですか」
エリカ
「ふふっ、対馬クン結構オチャメだからね」
レオ
「綺麗な人だ……あなたは誰?」
きぬ
「しつけーやつだな! ボクが引導を渡してやる」
きぬ
「この前ボクが貸してた1万円返せよ」
レオ
「あっ、そうなんですかごめんなさい」
レオ
「はい、これです」
きぬ
「……え、1万円渡されたんだけど……マジ?」
エリカ
「私しーらない!」
きぬ
「ボクもしーらね!」
スタコラッシュ!
レオ
「あ……あの」
きぬ
「……ちっ、さすがに見捨てるわけにはいかねーか」
……………………
スバル
「ナニィ、記憶喪失だぁ? もはや何でもありだな」
レオ
「この人……」
きぬ
「ん? 怖いか? まぁ外見はただの不良だからね
それでも時々でかいフーセンガムくれるんだぜ」
スバル
「おい、オレのアピールポイントそれだけ?」
レオ
「でもこの人、別に怖くないや」
スバル
「嬉しいこと言ってくれるじゃないの」
スバル
「…でもなぁ。それにしても記憶喪失はありえねー」
新一
「ありえない事はありえない。俺だって
いつの日かよっぴーに告白されるかもしれない」
良美
「そ、それより対馬君は大丈夫なの?」
きぬ
「おっと、スルーされた!」
新一 無音
「……」
豆花
「しかし何でまた記憶喪失なんかになたネ?」
きぬ
「後ろからガツーンと攻撃されたんだよねー」
良美
「だ、誰がそんなヒドイ事したの?」
エリカ
「やったー! ホームラーン!」
真名
「ちぃっ、通天閣投法が通用せえへんっ!
さすがにやるやんか!」
きぬ
「あっちで野球盤で遊んでる金髪さんがやった」
良美
「…こ、この度はエリーがご迷惑をおかけしまして」
スバル
「おい姫! レオは記憶失ってるのに
野球盤やってる場合じゃねーだろ」
エリカ
「でも別に私が記憶失ったわけじゃないし」
レオ
「……」
エリカ
「ん、何?」
レオ
「……」
エリカ
「もしかして私の傍にいたいの?」
レオ
「(こくん)」
良美
「あぁっ、事故を巻き起こし、しかも
責任放棄した張本人になついてるなんて!」
エリカ
「まぁこれも私のカリスマよねー」
きぬ
「とりあえず対処法を一緒に考えるんだ!」
エリカ
「やはりクラスで飼う以外考えられないわね」」
スバル
「いや、病院があんだろ」
エリカ
「よっぴー飼育係」
良美
「まぁ……その、どうしようもなくなったらね
うん……私が飼育……しようかな」
スバル
「いかん、このままでは対馬レオは生徒から
そこの水槽にいるタニシの田仁志クンと一緒の
扱い、つまりクラスのペットになってしまう」
新一
「先生なら…先生ならきっと何とかしてくれる!」
スバル
「おっ、話をすれば祈ちゃんが来たぜ」
………………
祈
「なるほど、軽い記憶喪失ですか」
祈
「でしたら、記憶の原野に行って
対馬さんを連れてくればいいんですわ」
きぬ
「そんな事もできんの?」
祈
「伊達に教員免許持ってませんわ」
きぬ
「教師ってスゲー」
新一
「祈センセが特別だと思うぞ」
祈
「普段なら不可能ですが、記憶喪失で
隙だらけな心なら、おそらく」
祈
「それでは長い付き合いである対馬さん
ファミリーもご一緒に行きましょう」
きぬ
「どーすりゃいけんの?」
祈
「対馬さんの体に触って、後は私の言うとおりに
詠唱してください」
新一 無音
「……」
豆花
「あ、すごいネ、5人とも寝てるみたいになてるネ」
真名
「これ、ホームルームどうなるん?」
良美
「と、とりあえず皆自習しててー!」
………………
きぬ
「おおっ、スゲェ! ここがレオの潜在意識世界?」
祈
「そんなに深くはもぐりこめないので、
第一層ですわね」
きぬ
「イィィャッホーーーーーウ!!!」
新一
「なんだか、カニが縦横無尽に走り回ってるんだが」
きぬ
「あれ意識の中のボクなんでしょ。何してんのアレ」
祈
「あれが、対馬さんが意識の中で抱いている
カニさんのイメージです」
きぬ
「ひゃっほーーーーーーーーーーーーう!」
新一
「可哀想な子にしか見えない」
きぬ
「な、なんて失礼極まりないヤツだ!!」
スバル
「あっちの頑丈な城みたいなもんの中には
姫がいたぜ。花に埋もれて、真っ白なドレス着て
優雅に茶を飲んでた」
きぬ
「ボクとの露骨な違いは何だ!」
新一
「あれ、あれは意識化の俺じゃねーの?」
新一 無音
「……」
祈
「なんだか熱心に美少女ゲームやってますわね」
スバル
「それ以外のリアクション一切無いな」
きぬ
「つまり、それがフカヒレのイメージって事だな」
新一 無音
「……」
祈
「あそこに対馬さんがいましたわ」
レオ
「あれ? 祈先生。それに皆も」
祈
「はいはい、ちゃっちゃと帰りますわよ」
……………………
真名
「おっ、全員一斉に目を覚ましたで」
レオ
「あ、……あれ。みんな?」
エリカ
「思い出したみたいね」
祈
「一件落着ですわね、人騒がせな」
新一
「お前、俺をあんなイメージでとらえてたのかよ!
そりゃ、ギャルゲーもするけど
シューティングとかだってやるんだよ!」
きぬ
「怒る所はそこなんかい」
レオ
「誰ですか?」
新一 無音
「!!」
レオ
「なんてな、冗談だよ」
きぬ
「いやーよかったねレオ。ボク、心配で心配で
思わず心の中で千羽鶴折っちゃったよ」
レオ
「お前は万札返せ」
………………
乙女
「なるほど。朝はそんな事があったのか」
乙女
「とりあえず姫……お前は色々問題あるので
修正だ。そろそろ脚を出させてもらうぞ」
エリカ
「いたいけな後輩を攻撃するっていうんですか?」
乙女
「攻撃ではない、指導と呼ぶがいい!」
エリカ
「見切った!」
乙女さんの一撃を受け止める。
乙女
「ほぅ、腕をあげたじゃないか姫。そうでなくては」
そのままギリギリと力比べになる。
エリカ
「まぁこっちも日々鍛えてますんで……
そういつまでも押さえつけられませんよ?」
乙女
「だが、腕力では私に勝てないさ。私は力を
10分の1も出してないぞ」
エリカ
「いや、まぁこっちも実は12分の1ぐらい
なんですけどね」
乙女
「私は20分の1だったかな?」
なごみ
「……子供だ」
きぬ
「何をボーッとしているんだレオ」
レオ
「俺の記憶を取り戻してくれたのは祈先生だろ」
レオ
「やっぱりあの人はどこか不思議だな、と思って」
レオ
「人間離れしてるっていうか」
レオ
「なんだか興味が沸くんだよねぇ」
きぬ
「けっ、教え子と教師なんてペア、そうそう
上手くいくもんじゃねーだろ」
レオ
「うん……でもなぁ」
あの表情が気になる。
一目惚れ、とは違うけど。
あの憂いのある顔は胸に焼き付いている。
エリカ
「対馬クン、最近祈センセイにお熱だって?」
レオ
「うん、まぁね。お熱というか気になるというか」
カニめぇ、喋りやがったな。
エリカ
「あの人、ちょっとミステリアスな所あるよね
私もそこが気になってるの」
エリカ
「で、まぁ軽く調べた事あるんだけど、聞きたい?」
レオ
「それは是非とも」
エリカ
「大江山の千丈ヶ岳の村出身とか祈センセイは
言ってるんだけどさ」
レオ
「ん、そうじゃないの?」
エリカ
「ところが、千丈ヶ岳って確か頂上辺りの名前
なのよ。で、自分で調べたところ」
エリカ
「そこに村なんか無いわ、初めから」
レオ
「え……」
エリカ
「ま。これ以上は調べてないけど
なんか色々ありそうよねー。
そこら辺、気をつけてね」
エリカ
「この事は他言無用よ
物言えば唇寒し、っていうでしょ」
レオ
「? あぁ、そうだね」
レオ
「というか姫がなんでそんなに俺に親切?」
エリカ
「まぁ昨日ちょっと悪い事したからね」
さすがに少しは罪悪感あるんだな……。
しかし、まさに祈先生は謎だらけだな。
レオ
「なぁ、カニ。物言えば唇寒し…の続きなんだっけ」
きぬ
「物言えば 唇寒し あぶらとり紙」
レオ
「お前に聞いた俺がバカだったよ」
豆花
「物言えば唇寒し秋の風……
なまじ物を言えば禍を招くという意味ネ」
真名
「おまえホンマは日本人やろ?」
今日が祈先生との約束の日だ。
ここで残業してろって指定だったよな。
なんだか、夕方が近付くにつれて
ドキドキしてくる。
何をするか分からない分、期待と不安が
入り混じっているような感覚。
エリカ
「対馬クン。今日はもう終わりにするけど?」
レオ
「あぁ、もうちょっとやってくから
先帰ってていいよ」
エリカ
「そう? じゃあ鍵は置いておくから
祈センセイに返しておいてね」
レオ
「うん」
………………
祈先生を待つ。
しかし、姫の昨日の言葉。
大江山の千丈ヶ岳には村が無い。
それは何を意味してるんだろうか。
祈先生は何か秘密を持っているんだろうか。
祈
「対馬さん1人ですわね」
ビクッ! とした。
祈先生がいつの間にか入り口にいたのだ。
祈
「言いつけ通り、きちんと1人で残っているようで
えらいですわね」
レオ
「先生がそう言うし……」
祈
「気を楽にしてくださいなー
今は土永さんもいませんし」
レオ
「う」
思わず身構えてしまっていたらしい。
祈
「対馬さん、生徒会に入っていかがですか?」
レオ
「そりゃまぁ、騒がしいけど楽しくやってますよ」
祈
「憧れの姫君や、鉄さんは落とせそうですか?」
レオ
「お、落とせそうですかって……そんな。
なんでいきなりそんな事を」
レオ
「まさか一緒に住むのにやはり問題とか?」
祈
「そんなことはありませんわよ。
鉄さんはよっぴーと並ぶ模範生ですから」
祈
「ただ、鉄さんや霧夜さんに男として
興味があるのではと思いまして」
レオ
「そりゃあ……特に姫には……」
祈
「正直で大変結構ですわね」
レオ
「先生が何が言いたいのか分かりません」
祈
「では、年上はお好きですか?」
レオ
「え……」
レオ
「まぁ嫌いじゃないです。いやむしろ好きかな」
祈
「それでは、私が女性の体を
教えてさしあげましょうか?」
レオ
「へ?」
祈
「私は教師ですから……いろいろ
教えてあげますわよ」
祈
「自信をつけておいたほうが
よいのでは?」
……なんだ、この違和感。
なにか、祈先生がボーッとしている
いつもの雰囲気とは違う。
そうだ、あの何かを眺めていた祈先生に
似ている。
祈
「どうしますか、対馬さん?」
どうしますかって……
何言ってるんだこの先生はいきなり。
女性の体を教えるって……。
生徒を誘ってるのか? 担任教師が?
夕焼けの色。
何か、日常から逸脱しているような空間。
祈
「対馬さん、返事ぐらいしてくださいな」
レオ
「あ、はい」
レオ
「俺……」
レオ
「その、いいんですか」
祈
「ええ。1度きり。可愛がってあげますわ」
レオ
「1度だけ……」
祈
「はい。今の対馬さんは、大変魅力的です」
祈
「ずっと目をつけてましたの……」
手を握られる。
祈
「30分後に、その場所でお会いしましょう
先に行ってて下さいな」
俺の手の中には、何かの地図が書いてあった。
……これは?
……………………
地図を頼りに、その場所へ行ってみる。
レオ
「!」
……間違いない、ラブホテルだ。
え、祈先生と俺が?
何この急展開?
頭がついていけない。
祈
「急展開で頭がついていけない、という
感じですわね」
レオ
「! 先生……」
祈
「それでいいんですわ。冷静に対処されたら
困りますからね」
祈
「さぁ、入りますわよ」
レオ
「お、俺、制服なのに?」
祈
「くす、ここは無人フロントですわよ」
そしてそのまま……
先生にホテル内に引っ張り込まれた。
……………………
祈
「ここの部屋でいいですわね」
レオ
「な、なんか先生……手馴れてるね」
祈
「はい、私は何度も来てますから」
祈
「メンバーズカードもありますわよ」
祈
「別に、痛めつけるつもりはありません
リラックスしてくださいな」
レオ
「は……はぁ……」
レオ
「これがラブホテル」
今ひとつ実感がつかめない。
気持ちを落ち着かせる為に、周りを
色々見てみる事にした。
レオ
「すげぇ、サウナとかついてる」
祈
「湯船はジェットバスですわよ」
レオ
「うわ、ほんとだ」
祈
「通信カラオケだってできますし
有線放送もありますわ」
レオ
「知らなかった……ここまでサービスいいんですね」
ビデオデッキ付属はもちろんテレビの
チャンネル数も凄かった。
祈
「リラックスできたなら、はじめますか?」
レオ
「は……」
はじめる?
レオ
「あ、あの……」
祈
「くす、そのウブな所がたまりませんわ」
祈
「私は、学校のシャワー室をかりて、
浴びてきましたけど。そちらは?」
レオ
「あ、洗ってません、そ、その……」
祈
「結構ですわね。むしろ洗ってはいけません
味が落ちます」
レオ
「落ち……る?」
祈
「あぁ、怖いのですね。安心なさい」
祈
「私は教師ですわ。優しく教えてあげます」
祈
「そちらは、身を委ねてくれれば、それで」
そう言いながら、服を脱ぎだす祈先生。
なんなんだ、この超展開は。
都合が良すぎる。
夢……じゃなかろうか。
でも、俺の服すらも、先生に脱がされてるわけで。
祈
「この、ボタンを少しずつ外していくのが
醍醐味ですわね……」
ひどく淫靡な声でそういった。
………………
レオ
「……う」
祈
「またも、状況に頭がついていけないという
感じですわね」
祈
「それでいいんですわ。このまま
私に身を任せて下さいな」
祈
「可愛がってあげますわ」
果実のように大きくて柔らかい双乳に、
ペニスをムニっとはさみこまれてしまった。
レオ
「くっ…」
あまりの気持ちよさに、思わず喘いでしまう。
祈
「可愛い声をあげますわね」
祈先生が、うっとりした目で俺の
ペニスを見つめている。
いつも授業を受けてる先生と
こんな事してるなんて……
レオ
「…先生…」
祈
「立派ですわ、対馬さんのここ……」
そう言いながら、軽く胸を動かしてくる。
レオ
「くっ……」
祈先生って22……いや23歳だっけ?
その若さのせいか、溢れるような胸の弾力、
そして吸い付いてくる肌の柔らかさがたまらない。
祈
「はさみこんでいるだけで、
ビクビク痙攣してしまってますわ
これで、本格的に動いたら……」
ムニッ…
祈
「ふふ……熱い……胸が火傷しそう」
乳房をゆっくりと上下に動かしてくる。
レオ
「先生……俺……あぅっ」
祈
「くんくん」
レオ
「そ、そんな所かぐなんて」
祈
「ふふ、においますわよ……」
レオ
「うっ……」
祈
「恥ずかしいですか?」
レオ
「恥ずかしい……です」
祈
「でもまだまだですわよ。これから
あまりに恥ずかしくて誰にも言えないような
思いを、いっぱいするのですからね」
レオ
「なっ……」
祈
「ふーっ」
ペニスに熱い吐息をかけられる。
レオ
「く……うっ」
祈
「くすくす……はさんでいるものから
そちらの怯えが伝わってきますわ」
祈
「それでは、味見をさせてもらいますわね」
胸の谷間から、不安げに顔を出している
亀頭に、先生の赤い舌が伸びる。
祈
「ちゅ…ン……ぺろ……ちゅっ」
レオ
「っ……先生」
先生の舌が、先端を這っていく。
祈
「ぺろ……ぺろ、対馬さんの……舌触りも味も、
いい感じですわ……ぺろ……ちゅっ」
舌の感触が、こんなにも甘いものだったなんて。
下から上に、丁寧に舐められるたびに
痺れるような快感が湧き上がってくる。
祈
「ぺろ……ちゅっ……ぺろ……
ここのくぼんだ所、少し白く汚れてますわよ」
レオ
「う、あ……」
祈
「綺麗にして差し上げます。チュ……んっ……あむ」
祈
「ふふ、念入りにクリーニングして差し上げますわ」
汚れていた所を丁寧に舌でレロレロと舐められる。
祈
「れおっ……ン……ちゅっ……れろれろ……
はい、綺麗になりました……ちゅっ」
レオ
「く……うっ、あっ……」
祈
「あらあら、もう泣いてますのね」
気が付けば、とっくに俺のペニスは
先走りを流していた。
祈
「私の唾液と、そちらの先走りの
おかげで、私の胸が濡れてきましたわ
祈
「くすくす……胸が濡れると
滑りが良くなるんですよ、こんな風に」
巨乳をたぷんと揺らしながら愛撫してくる。
レオ
「ぐ……うっ……あ」
まずい、搾り出されてしまう。
レオ
「せ……先生」
祈
「はい、対馬さんどうぞ」
わざと授業中のような応対をする祈先生。
レオ
「そ、その……先生は、くっ……」
レオ
「その、誰とでも、こんなこと……」
祈
「あら、失礼ですわね」
ぎゅうっ、と乳房を圧迫された。
レオ
「あ……あぁっ」
祈
「鷹でも烏でも、獲物は選びます。
私も選びますわ……結構美食家ですのよ」
祈
「私は、顔を見るだけで童貞かそうでないか
処女かそうでないか分かります……
そういう目を持ってますから」
レオ
「そ、そんな能力が……」
祈
「ちなみに館長は童貞ですわ」
レオ
「マ……マジで!」
祈
「くす……少しは緊張もほぐれてきた
みたいですわね……もっと動きますわよ」
巨乳の上下の動きがさらに激しくなる。
それについて、先走りがさらに溢れてきた。
祈
「汁気が多いですわね……ん、あむ…
ちゅ…ず…ちゅうっ………」
先生が、白い雫を音を立てて吸い始めた。
祈
「ん、美味しいですわ。ずずっ…
じゅっ…ちゅっ……ん……ちゅるっ、ずっ」
レオ
「せ、せんせ、い」
祈
「ちゅ、ちゅ…はむ…ん、ずっ…ちゅ
ん、飲んでるだけで、感じてしまいますわ」
祈
「……童貞の先走り……もっと飲ませてください
ちゅうっ、ずずずっ……ズッ……ずっ」
レオ
「俺……ア! もう……」
祈
「限界でしょうね、私に責められて
これほど泣いていては……」
ペニスをはさんだ乳房を、ゆさゆさと
揺すりたてる。
レオ
「あ…く」
サオの部分が先生の白い肌にぴたり、と
吸いつく感じがたまらない。
祈
「それでは、射精を見せて頂きましょうか」
左右の乳房をぐにっと寄せる。
祈
「さぁ。顔を良く見せてください」
ものすごい弾力だった
レオ
「――あ!」
祈
「可愛いですわ……」
ドピュッ!!!
祈
「んっ……あっ……凄い……」
ペニスはビクビクと脈動しながら
射精を続けた。
ドピュッ! と勢いよく祈先生の
綺麗な顔に精液がかかっていく。
しかもペニスはピクピク動いているものだから
微妙に射精するポイントが違ってくる。
祈
「あぁっ……わんぱくですわね」
祈先生の頬や目、スッと整った鼻や唇
はては美しい髪にまでかけてしまった。
レオ
「はぁ、はぁ、はぁ」
ようやく放出がおさまった。
祈
「……顔にたっぷりとかけられてしまいましたわ
こんなこと、はじめて……」
顔から垂れた精液が、乳房を濡らした。
レオ
「……先生、ごめんなさい」
祈
「そちらが謝ることはありませんわ……
ピクピク動いて、可愛い……」
祈
「もう1度出して頂きます……ん、ぺろ」
レオ
「あくっ……」
今、射精し終えて震えている亀頭に
舌が伸ばされた。
祈
「んっ…ちゅ、んむ………じゅる……ずっ」
尿道の奥に残っていた精子を無理やり
吸い取られる。
レオ
「あ、先生……待って」
祈
「ちゅっ……ちゅっ、れろ、ふふ、また元気に
なってきましたわね……ぺろ、れろ」
先生は待ってなんてくれなかった。
ヒクついている俺の亀頭を丹念に
刺激してくる。
レオ
「う……く……」
祈
「ちゅっ……ずっ……んむ」
レオ
「!?」
亀頭の先端に、ビリッとした痛みが走った。
レオ
「あぅっ、今、何を!?」
その後、ジーンと甘みが広がってくる。
祈
「くすくす……やはり尿道はつらかったですか?」
レオ
「そ、そこは、変になるから、やめて下さい」
祈
「では、ご自分で動いてご覧なさい
腰を動かして」
祈
「でないと、尿道をいじめてしまいますよ?」
なんだか、年齢の差というものか、
完全に祈先生に圧倒されている俺がいる。
レオ
「う、く……こ、こうですか」
先生に言われて、腰を上下に動かす。
祈
「そうそう、一生懸命に動いている少年の
顔は素敵でしてよ………」
豊満な胸の間から顔を出したり
ひっこめたりしている俺の亀頭。
それを祈先生はうっとりと眺めていた。
祈
「教師の胸を犯してるわけです。いけない
生徒ですわね」
むにっ、むにっ、と肉責めが俺を
昂ぶらせていく。
レオ
「あ、う、センセイ」
また射精しそうになってしまった。
祈
「それでは、ご褒美に尿道をいじめてあげましょう」
レオ
「え、あぁっ……!?」
祈
「くす、いきますわよ。ちゅく、ん、ちゅぷ」
レオ
「う、あっ」
は、初めから、どちみちそのつもりだったのか。
レオ
「せ、先生、やめてっ」
祈
「ちゅ……じゅっ……ん。それでは、
イくときに、しっかり
失礼します、といって射精してください」
レオ
「そ、そんな」
祈
「そうしないと……お仕置きしてしまいますよ」
レオ
「う……く、はい」
祈
「ん、それでは……ん、つぶ、ちゅっ、ちゅ」
レオ
「う、く……あ、せ、先生」
敏感な尿道口をいじられて、
熱いものがこみ上げてきた。
祈
「んー、ちゅぱ、じゅっ……ちゅるっ……ずっ
んふ、ずっ……ちゅうっ……」
レオ
「せ、先生っ……い、いきますっ……
し、失礼しますっ!!」
ドピュッ、ドクッ、ドピュッ!!!!
祈
「ん……んふ……ん」
放出した精液を口の中で受け止める祈先生。
レオ
「あ……あ…あ」
ビュクッ…ビュクッ…
祈
「ん……ごくっ……ごくっ」
喉を鳴らし、俺の精液を飲んでくれている。
レオ
「…はぁ、はぁ」
祈
「ん……ずずずずずっ……じゅるっ」
バキュームのような動きで精液を搾りとられる。
祈
「んー……くちゅ……くちゅ、ぷちっ」
レオ
「…?」
先生が口の中で、俺の精液を本当に
くちゅくちゅと味わっている。
祈
「ん……ごくんっ……ぷは、美味しかったですわ
濃厚で……童貞の精液は最高ですわね」
祈
「おかわりはありませんかしら?……
ちゅっ、ちゅっ…んっ、じゅっ……ずずっ」
レオ
「ん、あぁ…」
祈
「じゅ…じゅ…ず…あむ…ちゅ」
それすら先生は、ジュルジュルと吸い出して
飲んでいる。
祈
「ん……もうないみたいですわね」
祈
「でも、対馬さんが可愛い声を出すので
もう少し楽しませて頂きますね」
レオ
「な!?」
祈
「対馬さんは結構、清潔ですので……
ここも楽しめるかと」
レオ
「ここ?」
祈
「ここ、ですわ……やっぱり可愛いですわね。
ちゅっ、ぺろ……ぺろ」
レオ
「く……あっ」
祈先生の顔が消えたと思ったら
自分の尻がゾクンとした。
レオ
「ん……く、先生、そこは」
祈
「こっちも美味しいですわ。ん、ぺろ」
そんな、先生に尻の穴まで舐められている。
レオ
「やめ、先生……くうっ?」
先生の手が俺の球の部分をやんわりと
マッサージしはじめた。
レオ
「ぐ……」
祈
「ふふ……ちゅ、ぺろ、ぺろ」
下半身の態勢を変えても、先生は
俺の尻から口を離さず、舐め続けた。
祈
「ぺろ……ぺろ、ふふ、指をいれますわね」
レオ
「ま、まっ……ひぐっ……」
無慈悲にも尻穴に指を入れられてしまう。
そして、そのまま中から
粘膜を引っ掛かれた。
レオ
「あ……? あぁ、あ!?」
気が付けば、ピュっ、と射精してしまった。
な、なんでいきなり……?
3回目の射精は本当に唐突だった。
祈
「3回出しておけば充分ですかね」
先生が亀頭から精液を指で拭い取る。
祈
「自分のを舐めてくださいな」
レオ
「ん、く」
口調とは裏腹に、指を口へ乱暴につっこまれた。
祈
「ふふ、苦いでしょう」
レオ
「はぁ……はぁ……先生」
祈
「それでは、女の体を教えてあげますわ
特別授業です」
レオ
「え……」
祈
「ありていに言えば、犯します、と言う事ですわ」
レオ
「な……」
祈
「怖がらないで……そちらも、私を
味わえば良いのですから」
祈
「その代わり。こちらも童貞をじっくりと
味わわせて頂きますわ……」
……………………
祈
「ふふ、もうこっちは凄い猛り具合ですわね……
3度も出したとは思えませんわ」
レオ
「う……」
祈
「今から……私とあなたが、繋がります……
子供時代の自分にさよならは言いましたか?」
レオ
「せ、先生……」
祈
「安心して身を委ねてくださいな」
祈
「優しく、奪ってさしあげますから」
先生は俺のペニスを優しくもつと、くいと
自分の秘裂にあてがった。
レオ
「うっ」
亀頭が祈先生の性器にちょっと触れただけで
その熱さが分かった。
レオ
「俺、何もしてないのに先生、濡れてる」
祈
「ふふ。さぁ……いきますわよ」
先生が、少しずつ腰を沈み込ませていく。
祈
「ん、んんっ……」
ズルン、と亀頭の部分が膣内に
もぐりこんだ感触。
レオ
「あ、くっ……」
その中の熱さに驚いた。
祈
「んンっ……いい感じですわ……んっ」
ズブズブと祈先生が腰を落としてくる。
祈
「あぁっ……くっ……熱い」
祈
「んんっ……童貞……卒業ですわね」
そして、ついにペニスは限界まで
中に埋まりきった。
祈
「あっ……んっ……
対馬さん、感じますか?」
レオ
「く……せ、先生……溶けそうです、あ」
レオ
「あっ……アァッ、これ、凄い」
俺の方が女のように喘いでいる。
祈
「ん……これが対馬さんの……」
祈先生が肢体を反りかえらせる。
何て気持ちの良い粘膜なんだろうか。
祈
「中でビクビク痙攣して……元気ですわね」
あらかじめ何回か射精してなければ
絶対にもたなかっただろう。
祈
「まだ……ン……そっちが動いてはいけません……
これからよく噛みますから」
レオ
「え? ……!?」
祈先生の膣襞が、キュウッと絡み付いてきた。
そして、先生は動いてないのに
その襞の動きでペニスが刺激されてしまう。
レオ
「く……あ!? 何コレ!?」
割り箸とかだったら折れてしまいそうな
力強い粘膜。
それが不規則に刺激を与えてくる。
祈
「ん……ふふ、対馬さん……これから
動きますけど」
祈
「言っておきますが、ン……すぐに
果てては……んあっ……怒りますわよ」
レオ
「な……」
祈
「ゆっくり味わいますから
男のプライドにかけて、射精時間は
引き延ばしてください……んっ!」
先生が体を持ち上げる。
そして、またお尻を落としてくる。
レオ
「ん、くっ……!」
ペニスの張っている部分が、膣肉に
ゾリゾリと擦られてしまう。
祈
「ん……っ、んんッ……美味しいですわ……」
童貞のペニスを味わっている先生。
祈
「ん……ンッ……んっ……、ふふっ」
感じながらも、この“食事”を
楽しんでいる。
祈
「あァ、んっ………まだ、まだ果てる事は
…んっ……許されませんわよ」
レオ
「くっ……」
苦し紛れに、祈先生の胸を揉みはじめる。
祈
「あ……そう……激しく揉んでいいですわよ」
揉みしだくほどに、弾力を返してくる。
祈
「ンン……いい気持ちですわ……」
祈先生が腰の動きを早める。
祈
「んっ……ンっ、んっ……」
レオ
「う……あ、先生」
祈
「胸を揉む手をゆるめては、だめですわ」
レオ
「くっ」
祈
「んんっ、そうです……ン、……んっ」
祈
「あっ……あぁっ……もっと……
早くしますわよ……さぁそちらも動いて……」
レオ
「動いたら、出ちゃう……」
祈
「あぁ、そうでしたわね……
ではこちらが遠慮なく……んっ」
祈
「行きますわよ……んっ……んっ、んっ」
はしたないぐらいに腰を動かす祈先生。
いくら3発出しているとはいえ、この
肉責めにここまで持つ俺はスゴイッ……。
祈
「あぁッ、あっ……いいっ……対馬さんっ」
レオ
「せ、先生っ、すごく、えっちだ……」
祈
「んっ……ンンっ……ん……対馬さんも
負けていませんわっ……」
レオ
「俺もう……ダメだ」
俺自身も、限界を感じて動き始めた。
どうせ射精するなら、俺も動いてから。
レオ
「はぁっ、はぁっ、先生!」
ズンッ! と腰を突きあげる。
祈
「んあっ!!! あっ、対馬さんっ……」
レオ
「先生……先生」
ガクガクと腰を動かす。
祈
「あっ、あぁっ……すごい……初めてで、
ここまで……あっ……んっ……んんっ」
レオ
「はぁッ……はぁっ、はぁっ……はぁっ」
祈
「はぁッ……はぁっ、はぁっ……はぁっ」
2人の息のリズムがあってくる。
レオ
「せ、せんせ、い……いきますっ」
祈
「あんっ、い、いいですわよ……
中に……んっ、出してください」
レオ
「んっ……んっ……んっ」
祈
「あッ……んっ、あっ、アッ、あっ、あっ……」
レオ
「先生ッ!!」
ひときわ激しく、ズブッと膣襞の一番奥に
ペニスを突き入れる。
祈
「あっ! あぁああぁあああーーーっ!!!」
祈先生がガクンとのけぞった。
同時にギュウウッ! と粘膜が収縮してくる。
レオ
「くっ……」
俺はたまらず、一気に精液を放出させる。
ドピュッッッッ!
我慢していた分、凄まじい勢いで射出された。
祈
「あ……く、ぅ……すごい……勢い」
祈先生の中で放出していく俺。
祈
「あは、いっぱい……入ってきますわ」
ビュッ……ドピュッ。
祈
「あぁ、溢れてきましたわね……」
先生の胸を揉みまくりながら、
射精を続けていく。
祈
「ん……あ、まだ出るのですか……」
レオ
「ん……くぅ」
ピュッ……ピュッ……
祈
「ん、ん……ん……凄い……」
…………ぴゅっ……
祈
「終わりが……無いみたいですわ……」
祈先生は体を軽く痙攣させながら、
俺からの白濁液を受け止めていた。
…………
レオ
「先生……俺……」
Hの処理が終わった後、俺は祈先生を
抱きしめようとした。
あそこまで燃え上がって、俺は
さらに祈先生の事を知りたいと思ったから。
しかし……。
祈 無音
「……」
祈先生は俺の抱擁を受け入れなかった。
祈
「対馬さん。帰って結構ですわよ」
レオ
「え」
冷たい声で、そう言われた。
レオ
「あ、あの、祈先生……俺……」
祈
「これで対馬さんは立派なオトコ
めでたし、めでたしですわ」
祈
「自信ついたと思いますので、問題にならない
程度に女の子と遊ぶと楽しいですわよ」
レオ
「先生、俺は先生と……」
祈
「私と対馬さんは、教師と生徒の間柄です」
ピシャッ、と線を引かれた。
お前はここから入ってくるな。みたいな。
祈
「私は、寝ますから」
レオ
「何を飲んでいるんですか?」
祈
「睡眠薬ですわ。これがないと眠れなくて」
レオ
「え、でも普段執行部部室でグーグーと寝てるのに」
祈
「あんな浅い眠り、目をつぶってるのと
同じようなものですから」
そのままベッドにもぐりこむ。
レオ
「あの……」
祈
「もちろん、ここの料金は私が払いますから」
祈先生は、俺に背中を向けてしまった。
なんだが、あれだけ燃え上がったのに
ひどく淡白な……。
レオ
「先生……」
祈
「帰りなさい。無断外泊はまずいでしょう」
そうか、乙女さんにどやされる。
祈
「あ、対馬さん」
レオ
「は、はい!」
声をかけられたのが嬉しくて振り返る。
祈
「この事は、他言無用ですわよ」
レオ
「…………はい」
そんな事は、言われなくても分かってる。
俺が聞きたいのは、そんな言葉じゃなくて。
街の夜景。
SEX後の気だるい体。
男になれて嬉しいんだけど
それとは反対に、どこか虚無感がある。
なごみ 無音
「……」
椰子は、今日も1人でボーッとしてる。
レオ
「……はぁ」
思わず溜め息が漏れた。
祈先生……。
レオ
「……はぁ……はぁ……」
女教師恐るべし!
祈先生のセクシー極まりない肢体が
脳裏から離れない。
忘れようとすると、ペニスを
グイグイと締め付けた粘膜の感覚が蘇る。
レオ
「いかん……」
あの、甘ったるい体の匂いや
大人の女性の喘ぎ声が蘇る。
レオ
「だめだ……」
誰かが俺に電波でも飛ばしてるんじゃなかろうか。
レオ
「くっ……ムラムラするんだよ」
ダメだ、家の中にこもってるとドロ沼だ。
外を散歩してこよう。
レオ
「乙女さん、ちょっと外に出て――」
乙女 無音
「……っ!」
あ、ノック忘れた。着替え中だったのか!
レオ
「……あ、いや、あのっ!」
レオ
「あれ?」
乙女 無音
「?」
乙女さんも、すごく綺麗だけど
あの祈先生のセクシーさに比べれば。
レオ
「たいした事ないな」
俺は肩をすくめた。
乙女
「! その言葉私への侮辱と受け取った!」
レオ
「あ、いや、ちょっ……待っ……グフッ!」
乙女
「花も恥らう乙女の体、よくも笑ってくれたな!」
レオ
「花も恥らうんなら、とりあえず服着てっ…」
乙女
「黙れ! 泣いたり笑ったりできなくしてやる!」
やばい、本気で怒ってる?!
胸の事とか、少しは気にしていたのか?
レオ
「ギャー!!」
授業中。
祈
「ですから、ここの訳は
“役不足の使い方が間違ってるのは分かるが
あえて使用している、悪しからず”になりますわ」
祈先生が目の前で授業している。
あの先生と……俺は……セックスしたんだよな。
なんだか、それが夢だったのでは、と
思えてしまう。
祈
「……さん、対馬さん!」
レオ
「あ、はい」
祈
「次の訳をやってみてくださいな」
レオ
「えーと、……え……あと、どこ……ですっけ」
教室からドッと笑いの声が漏れる。
良美
「ろ、69、69だよっ!」
スバル
「なんかよっぴーがエロい事言ってる……」
良美
「ち、違うよぅ! ページ数の話だよぅ!」
新一
「純白天使のよっぴーが言葉の意味を知ってた……」
良美
「うぅぅ……私はページ数教えようとした
だけなのにぃ……」
祈
「対馬さん。たるんでますわ。
この1週間、放課後に補習です……」
出た、スパルタ教師!
祈先生の態度は、今までと全く変わらない。
なんでああも平静でいられるんだろう。
……………………
放課後。
レオ
「考えて見れば、補習があったのは丁度いい」
真意を聞けるぞ。
祈
「さぁ今日からみっちり補習しますわよ」
レオ
「あ、祈先生」
レオ
「あの、俺……」
祈
「早く座って下さいな。今日は見たい
テレビがあるのですから」
レオ
「は、はい……」
祈
「それでは、教科書の67ページあたりから
やっていきましょうか」
たぷん、と祈先生の胸が揺れる。
あぁ……あれを揉んでたんだよな俺。
祈
「対馬さん、あんまり集中力無いと
島に流しますわよ。容赦なく」
レオ
「は、はい! すいません」
とりあえず、やる事やろう。
その後、聞けばいい。
………………
祈
「ですので、ここの訳は“蹴った甲羅が
返ってきて死んだ経験は誰にでも必ず
あるはず”になりますわね」
レオ
「はい、分かりました」
祈
「……以上で補習は終わりですわ」
レオ
「ありがとうございましたっ」
祈 共通
「それでは、私はこれで」
レオ
「ちょ、ちょっと待ってください!」
祈
「はい? 何かありまして?」
レオ
「せ、先生。俺は、その、金曜日の事で」
祈 無音
「……」
レオ
「その、あれっきりじゃなくて俺は
先生のこと、もっと知りたいっていうか」
レオ
「先生、言ってくれたじゃない。
俺のこと素敵って……」
レオ
「先生から見れば子供かもしれないけど俺だって」
祈
「……あれは、あの時だけの出来事」
祈
「日常に持ってこられても困りますわね」
レオ
「でも、先生……だったらどうして俺のこと……」
祈
「それは、好きでしたから」
レオ
「!!」
レオ
「だったら」
祈
「…私が好きでしたのは、童貞だった頃の対馬さん」
レオ
「え?」
祈
「童貞で無くなった今は全く興味ありませんわ」
レオ
「な」
祈
「もう、あの事はお忘れなさい」
レオ
「そんな都合のいい話ないですよ」
祈
「そうでしょうか? 1度きりで
後腐れの無い方がよほど都合が良いと思いますわ」
レオ
「と、とにかく俺は納得できないです」
祈
「事実を受け入れる事です。
それが大人への第一歩ですわ」
レオ
「……祈先生って……なんか本当に
つかみ所がないっていうか……」
祈
「そう、それこそが私ですわ」
レオ
「え?」
祈
「私は柳のようなもの。いくら熱を
あげたところで、掴まえられませんわよ」
祈
「何事もテンションに流されず
適当に受け流す、がモットーですからね」
テンションに流されないって。
それいつも俺がなろうと
目標にしていたものだ……。
祈
「対馬さんの胸には、風は吹いてませんの?」
レオ
「風?」
祈
「私は、胸を突き抜ける風がやみません」
すっ、と自分の胸を指差す。
祈
「この風が吹く限り、何をやっても、
そこそこしか楽しくありませんの」
祈
「だから、感情に流されない私は
いかな時もニュートラル」
祈
「恋愛に身を焦がす事もありませんわ」
レオ
「な、なんでそんな言い切るの? 風って何?」
祈
「とにかく、私はもう対馬さんに興味はありません」
祈
「もちろん、教師としては普通に接しますけどね」
レオ
「せ、先生……」
祈
「あまりしつこいと……」
レオ
「うっ」
目で威圧された。
その後、すぐ笑顔になる。
祈
「ごきげんよう、対馬さん」
先生はプイッと後ろを向くと
問答無用で去っていった。
レオ
「……」
レオ
「先生……」
先生って、本当に分からない。
これが大人の女ってヤツなんだろうか。
レオ
「事実を受け入れる事。
それが大人への第一歩、か」
レオ
「なんでも事実を受け入れる大人には
なりたくないなぁ……」
でも祈先生の今の態度、難しいな。
口を利かないほどじゃないけど
かといって、近づけてもくれない。
よくよく考えると、絶妙なバランスだ。
レオ
「……でも、テンションに流されない事を
誓った人は、過去に何かあるから誓ってるわけで」
先生も、何かあったんだろうか。
分からない。
エリカ
「じゃ乙女センパイ9子置いて。よっぴーは3子ね
2面打ちで相手してあげましょー」
乙女
「置き石が9つ? いくらなんでも舐めるなよ」
エリカ
「ま、私は囲碁でも鬼強いですから」
乙女
「ふん、姫の次のセリフを
“……ありません”にしてやろうじゃないか
(↑囲碁における、降参の合図)」
………………
乙女
「……ありません」
エリカ
「乙女センパイって意外と弱いわねー」
乙女 共通
「もう1ゲームだ」
エリカ
「そういや対馬クン達、男子連中は?」
良美
「対馬君は補習だし、伊達君は部活。鮫氷君は
帰っちゃったんじゃないかなぁ」
乙女
「おい聞いてるのか姫、もう1ゲームだ」
エリカ
「よっぴー、ここの鍵を閉めて」
良美 無音
「?」
エリカ
「負けた方が服を1枚ずつ脱いでいくって
ルールなら、いくらでも打ちますよ
誰か来た時点でゲーム終了」
乙女
「そんな破廉恥な真似が出来るか」
エリカ
「いいじゃないですか、ここにいるの
は女子だけなんですしー」
エリカ
「あ、そっか。負けるのが怖いんですね。くすくす」
乙女
「ふっ、安い挑発だ。それに乗るほど猪突ではない」
乙女
「だが、鉄家の主義として“売られた喧嘩は買う”と
いうのがあってな……来い!」
良美 無音
「(結局やるんだ)」
乙女
「ん、そういえばさっきレオは
補習とか言ってたな」
良美
「はい、祈先生直々に言い渡されてました……」
乙女
「そうか。まだまだ学力が足りないのか
私も家で指導してやるか……」
……………………
祈
「……ですので、ここの訳は
“なつきさんは、いつもよごれ役に
なっている”になりますわね」
レオ
「ふんふん」
祈
「……と、まぁ今日の補習はここまでですわ」
レオ
「ありがとうございました」
祈
「それでは、帰って結構ですわよ」
手をヒラヒラさせる祈先生。
くっ、露骨に冷たい。
レオ
「……失礼します」
トボトボと教室を後にした。
レオ
「はぁ、カレーでも食って帰るか……」
……ひらめいた。
メシでも食って帰りませんか、と
誘ってみよう。
そうすれば、帰るという行動は
守ってるし、かつ先生と話せる。
美しい日本語の流れがここにあるっ……!
俺は教室へ踵を返した。
レオ
「……あ」
先生は、またあの写真を見ていた。
祈
「何か、また忘れ物ですか?」
レオ
「いや、あの……先生に」
祈
「私に?」
レオ
「メシでも食って帰りませんか」
祈
「嫌ですわ」
レオ
「即答……」
祈
「非童貞に興味はもちませんの」
レオ
「心はまだ童貞かも」
祈
「それを英語で言って御覧なさい」
レオ
「ハートオブバージン」
祈
「留年しますか?」
レオ
「じょ、冗談ですって」
祈
「帰って勉強なさい」
目線をロケット(っていうのかな?)に戻す。
祈 無音
「……」
レオ
「あの……それに写ってるのって……」
祈
「教えてあげません」
パチッとロケットを閉じる。
レオ
「祈先生の子供?」
祈
「退学しますか?」
レオ
「滅相もない!」
ちょっと危険なギャグだったか。
レオ
「そんなに怒らなくても……」
祈
「……別に。どうでもいい事です」
レオ
「やっぱり冷めてるなぁ……」
レオ
「その冷めてるのとロケットの中身
関係あるとか?」
祈
「……帰りなさい」
レオ
「う!? ……あ、はい」
ゾクッときた。
あ、あれが大人の凄みというやつか。
土永さん
「おいおい、ジャリ坊。なんだか祈に
絡んでいるみたいじゃねぇか?」
土永さん
「もしここに、アサルトライフルが
あったら、そんなお前を蜂の巣にしてたぞ。
ラッキーだったな、ああん?」
レオ
「……土永さんは、祈先生と時々
喧嘩してるけど、それでもやっぱり好きなんだ」
土永さん
「まあな。こう見えて長い付き合いだ」
レオ
「ちょっと聞かせてくれないか? 先生は――」
土永さん
「おっと、我輩は何も答えねぇよ。
だいたい鳥が人間の問いに答えるわけないだろ」
レオ
「おい、色々つっこみたいぞ、ちょっと待て」
土永さん
「あーばよー!」
土永さんは飛び去ってしまった。
……ううむ。
エリカ
「この勝負、もう私の勝ちは見えてきましたね」
乙女
「……ぐっ……お前……」
エリカ
「負けた時は、きちっと脱いでくださいよ
気分を出して、ゆっくりと……ふふっ」
良美
「エリー……もう、どこまでいじめっ娘なの……」
レオ
「あれ、鍵がかかってる。おーい、誰かいないの?」
エリカ
「あーもう、勝負がつく前に来て! 間が悪い」
先生は、普段もなかなか俺と
会話してくれなくなった。
もちろん、露骨なシカトは絶対しないが
意図的に避けられてるのは分かる。
畜生、こっちが押す分、引く気だ。
レオ
「スバル、気をつけろよ……
大人の女は駆け引きがうまい」
スバル
「知ってるよ、そんな事は。骨身に染みてな」
レオ
「何か俺にくれ」
スバル
「溢れんばかりの愛を惜しみなくやろうか」
レオ
「いつもそういう冗談を言うけどさ
それオレが本気になったらどうする気なの?」
スバル
「どうするって……悪いようにはしないぜ」
俺、こいつが本気で分からなくなってきた。
今のも冗談だよな?
レオ
「って、違う、そんな会話じゃない」
レオ
「何か俺にくれって言ったのは
いや、アドバイスだよ! 大人の女の攻略法!」
スバル
「んなもんあったらオレが知りてぇけどさ」
スバル
「ま、何はともあれコミュニケーションかな」
それが難しいんだよな。
あ、そうだ。
まともに会話してくれないんだったら
教職という立場を利用してやる。
………………
再び放課後の補習。
祈
「つまりここの訳は、“このような
場所ではネクタイは必要ない”となりますわ」
祈
「はい、今日の補習はこれまでですわ」
レオ
「先生、生徒として質問です」
祈
「……何か?」
レオ
「進路の事ですけど。少し迷ってるんですよね」
レオ
「先生の場合は、初めから教師になろうと?」
祈 共通
「ええ、私は必ず教師になろうと思ってましたわ」
おぉ、何かしら理由がありそうだ。
レオ
「それは、何故」
祈
「話す必要はありませんわね
プライバシーがありますので」
レオ
「ちょっ……先生」
先生の肩を掴む。
祈
「気安いですわね」
パシッと振り払われてしまった。
レオ
「せ、先生……」
祈
「ほらほら、下校時刻ですわよ」
最後は笑顔でシめる先生。
うーん……かなわない。
………………
レオ
「おかしい。つれなくされれば
されるほど、燃えてくる」
何故、こうも惹かれる……。
やはり、いつの間にか好きになって
しまったのだろうか。
土永さん
「連日めげねぇなぁ、小僧
あんまししつこいと、我輩がオシオキするぞ」
レオ
「鳥にやられるかよ」
土永さん
「ふっ、我輩は、この前も駅前でタバコ吸ってた
学生達を懲らしめてやったんだぞ」
レオ
「その時の経過を詳しく言ってみてくれ」
土永さん
「おまわりさーん。不良学生いまーす」
レオ
「……なるほど説得力があるな」
土永さん
「いつまで祈の尻追い回すつもりだ。
我輩はなんだかお前が異常に見えてきたぞ?」
レオ
「…多分、恋してるんだ。少なくとも平常じゃない」
土永さん
「祈の体に目がくらんだ学生か。あいつも罪だな
我輩のマスクと同じぐらい罪だぞ」
レオ
「違う! 体じゃない!」
レオ
「いや……正直体もある! それは認める」
レオ
「でも、先生に惹かれたのは体だけじゃない
それも事実だ!」
土永さん
「ほう。素直な所が気に入った。じゃあ
ひとつ教えてやろう」
土永さん
「祈が見てるロケットに写っているロリ姉妹な。
片方は小さい頃の祈だ。そして、もう片方は
憩(いこい)。生き別れた妹だそうだ」
レオ
「……え?」
土永さん
「それ以上詳しい事は我輩も知らんな」
レオ
「生き別れた……妹」
レオ
「なんでそれを、俺に」
土永さん
「覚悟を試してんだよ。いかにも過去に
何かありそうだろうが。それでも
いいって言うんなら、好きにしてみろ」
レオ
「ちっ、言うだけ言ってこっちに
投げっぱなしかよ」
レオ
「あーあ。鳥は悩みが無さそうでいいな」
土永さん
「馬鹿野郎、鳥は鳥で厳しい世界なんだ
日常が生きるか死ぬかだぜ?」
土永さん
「気軽に鳥になりたい、と言うバカがいたら
我輩はつつくね、鳥類を代表してそいつを」
土永さんはそう言って大空に飛んでいった。
……どんな過去があろうと、祈先生は
祈先生である事に代わりはない。
……めげないぞ。
何かありそうな過去の話、興味あるけど触れまい。
それよりも今が大事!
しっかし……皆それぞれ色んなものを
背負ってるんだな。
金曜日は、創立記念日でお休み。
だから今週最後の補習。
祈
「……ですので、ここの訳は?」
レオ
「“愛してません、他人でした”……」
祈
「そうですわ。バッチリですわね」
わざわざ読ませるとは牽制きついね。
祈
「補習はこれまで。期末考査、期待してますわよ」
レオ
「ありがとうございましたっ」
レオ
「ところで先生、明日暇?」
祈
「スーパー忙しいですわ」
レオ
「あさっては?」
祈
「まるで手が離せませんわ」
レオ
「日曜日」
祈
「1コンマを争うスケジューリングです」
レオ
「いつならあいてるの?」
祈
「いつでもあいてません」
レオ
「ぐ……」
レオ
「いいじゃん、先生。デートしよう」
祈
「いやですわ」
レオ
「なんで」
祈
「理由がありませんもの」
レオ
「年下は嫌い?」
祈
「童貞ではありませんしね」
レオ
「祈先生……俺をあそこまで骨抜きにして
いきなりつれなくなるのは、ずるいですよ」
祈
「女はずるくていいんです」
レオ
「ぐぐぐ……」
祈
「……まぁ、そのひたむきに好意を
ぶつけてくる姿勢は、素直でいいと思いますわ」
レオ
「だったら、なんかこう……さぁ!」
祈
「そうですわねー。かぐや姫のお話はご存知?」
レオ
「いや、俺そういう話はトンと……」
レオ
「確か、拾った美人を育てる醍醐味を後世に伝えた」
祈
「違いますわ。捏造しないように」
祈
「……そうですわね……次の期末考査。
私の担当する英語で、対馬さんが霧夜さんの
点数を上回れば、デートして差し上げます」
レオ
「霧夜エリカって……あの霧夜エリカ?」
祈
「はい、あの金髪傲慢娘ですわ」
エリカ
「ジャクソン!」
乙女
「おいっ、人の目の前でくしゃみするな」
レオ
「……もうちょっと負かりません?
浦賀真名さんレベルとか」
祈
「アレには初めから勝ってますわ」
あぁ、既に代名詞だよ浦賀さん。
祈
「それとも、対馬さんの私への思慕の情は
それぐらいなんですか?」
レオ
「ぬおっ……」
なるほど、言ってくれる。
私を落としたければ、それぐらいしろと
おっしゃるわけですね。
レオ
「英語で姫に勝つか……引き分ければいいんだね」
祈
「引き分けでもOKですわよ。
デートして差し上げますわ」
レオ
「やってやる!」
祈
「その意気ですわー」
レオ
「先生こそ、忘れないようにお願いします」
祈
「え、何を?」
レオ
「だからー!」
祈
「冗談ですわ。分かってます」
レオ
「姫……今から俺達は敵同士だ」
俺はやるぜ 俺はやるぜ。
エリカ 共通
「くしゅん!」
乙女
「わ、だから! 目の前でくしゃみするなっ」
乙女
「まったく……ほら、これで鼻をかめ……」
祈
「英語で100点なんて、それこそ霧夜さんで
なければ難しいですわ」
祈
「それでも、いい点はとってくださるはず、ほほほ」
土永さん
「それこそ、人の活かした使い方だな。
クールでクレバーだぜ祈。さて坊主はどうする?」
レオ
「期末考査は、半月後か……」
レオ
「英語だけに絞れば、姫と引き分ける事だって
可能なはずだ」
なんというか、ここで祈先生の提案を
断ったら俺は、何かを失ってしまいそうで。
先生に少年のひたむきさというものを見せてやる。
…たかが学校のテスト。
レオ
「花の手入れをしている乙女さん!」
乙女
「これ綺麗に咲いたぞ、ほら匂いをかいで見ろ」
レオ
「それより聞いてくれ」
乙女 無音
「?」
…………(祈の事は誤魔化しつつ説明中)…………
乙女
「なるほど、落としたい年上の為に
自分を磨くか……」
乙女
「気持ちはありがたいが、お前ではな」
何か勘違いしていた。
レオ
「いや、狙ってるの乙女さんじゃないから」
レオ
「そんなわけで英語を教えてください」
乙女
「洋モノか……私は古文や歴史は得意だが……
英語は苦手な部類だ」
レオ
「うーん。そういえばそんな雰囲気だね」
乙女
「おい待て。何を納得している……失礼だな
年下に教えるぐらいなら造作もないこと」
逆にやる気になってしまった。
休みの日は、乙女さんに教えてもらったけど。
平日も誰かに教えてもらわないとな。
自分ひとりで100点は無理だ。
レオ
「ハロー」
スバル
「よぉ坊主、3連休ずっと勉強してたのか?」
レオ
「……だめだなスバルは。ハロー言ってるんだから
英語で返せよ。テイク2」
スバル
「あん? まぁいい、聞いてくれよ土曜日にさ」
スバル
「オレが私服で商店街歩いてたら、
子供が遊んでいたらしく、
ボールが転がってきてやんの」
レオ
「で?」
ガキンチョ
「おっさーん。ボールとってー」
スバル
「おっさんじゃねぇ!」
ガキンチョ
「うわー! 知らないおっさんがおこったー!」
スバル
「……いやショックだったね、アレは。
昔はオレが言ってたようなセリフなのに」
レオ
「そうだよなー、いつのまにか年をとるんだよ」
レオ
「だから、今を後悔したくないってな」
佐藤さんに英語教えてもらおうかな。
きぬ
「よっぴー、ここを分かりやすく、でも優しく
教えちくり」
真名
「ウチもウチも。トンファー厳しくて凹むねん」
良美 無音
「……」
うわぁ……。
我がクラスの中でも最強のバカさといわれる
アホアホコンビがとりついているよ。
ありゃあ佐藤さんは手一杯だな。
つうか浦賀さんは、豆花さんがいるだろうに。
あ、そうだ、そうだよ豆花(トンファー)さんに
教わればいいじゃん。
確か、ウチのクラスでは5本の指に入るぐらい
頭良かったはず。
しかも積極的に補習に参加している努力家だ。
なにやら俳句の本を読んでいる。
日本文化を学んでいるのかな。
レオ
「トンファーさん」
豆花
「ン。何かネ? 対馬君」
ぽん、と俳句の本を閉じてこっちの目を
見てくる豆花さん。
うん。このポーズからして人に物を
教えてくれそうだよね。
レオ
「英語でちょっと分からないところ
教えて欲しいんだけど」
豆花
「うん、対馬君なら全然いいネ。アホのマナは
もうコリゴリネ。それで、どこかネ?」
レオ
「こことここと……」
エリカ
「あら、珍しい組み合わせねー」
レオ
「負けないぞ、姫」
エリカ
「は? 何言ってるの?」
華麗に宣戦布告終了。
レオ
「先生、今の授業で分からない所が
いろいろあるんですけど」
祈
「ハッスルしてますわね」
祈
「……本気でチャレンジする気ですか?」
レオ
「I mean what I say!」
祈
「You are stupid」
きぬ
「ボク、舶来語は分からねぇ。スバル翻訳しろ!」
スバル
「ここは日本なんだから、日本語で喋れって感じ?」
豆花
「俺は本気だ、と対馬君言たネ。
先生は馬鹿ねアンタ、と言い返しているネ」
きぬ
「おーっ、トンファースゲー!
そこらへんのトンファーとは切れ味が違うぜ」
レオ
「まけねぇぞ、姫」
エリカ 共通
「は? 何言ってるの?」
体育武道祭、2−C組する西軍は
大ピンチを迎えていた。
競技 女子テニス(未経験者の部) 決勝戦
カニと西崎さんが火花を散らしていた。
紀子
「えーーい! すなっぷしょっと!」
きぬ
「経験者の部では姫が勝ったから
ここでボクが勝てば、ポイント追いつくもんね!」
スバル
「そうだ、気合だぞカニ坊主!」
きぬ
「はぁ、はぁ、はぁ、それにしても
しぶといな、クーのくせしやがって」
きぬ
「よーしアレを見せてやる、ボクの必殺サーブ」
きぬ
「COOLドライヴァー!」
何故かカニの指が6本に見えた!?
って外して負けてるじゃねーか、あのバカ!
結局、俺たち西軍は敗北してしまった。
……まぁクヨクヨしても仕方ない。
フォークダンスの時間がはじまる。
きぬ
「レオ踊ろうぜーっ!」
良美
「あのっ…対馬君、ダンス……いいかなぁ?」
真名
「対馬、ウチと踊ろうかー」
レオ
「のけい小娘ども!!」
俺の狙いは祈先生一択!
祈
「対馬さん、何ですの?」
レオ
「踊りましょう」
祈
「私は教師ですわよ。生徒と踊りなさいな」
レオ
「館長、生徒と先生の親睦を深める、ということで
いいですよね?」
平蔵
「おお、構わん構わん。むしろどんどんやれ」
レオ
「って事で先生! 学校行事の一環として」
祈
「橘さんを利用するとは。仕方ないですわねー」
新一
「何、祈センセとも踊っていいのか!?」
イガグリ
「次はオイラの番だべー!」
ドドドドド! とイナゴの大群のように
男子生徒が押し寄せてきた。
祈
「あらあら。これでは混乱してしまいますわね」
祈
「やはり私は参加しないほうが宜しいですわ」
祈先生はさっと身を翻してしまった。
レオ
「そんな……」
新一
「あれ俺達のアイドル、セクシー女教師はどこ!?」
レオ
「てめぇらのせいでなぁー!」
新一
「うわ、何だレオがキれたぞーっ!」
終始慌しい中、体育祭は幕を閉じた。
祈 共通
「皆さん、いよいよ期末考査です。
死力を尽して戦ってくださいまし」
祈 共通
「……もしも、成績が振るわなかった場合……」
祈 共通
「あぁ恐ろしい、私の口からは言えませんわ」
土永さん 共通
「ま、夏休み無しは避けられねぇな。
もちろんそれに逆らえば退学だ」
祈 共通
「……と、土永さんが言ってますわ」
こんな風に担任に散々脅かされまくってから――
――期末考査が、ついに開始された。
先生は、プライベートでは全然口を
聞いてくれない。
だがなんだろう、逃げられれば
逃げられるほどに燃えてくるものがある。
負けられん、この戦。
……とはいえ、1日目は英語関係ないんだよね。
英語しかやってないから全然他わかりません。
新一
「……くっそー。妄想の中の俺はこんなテスト1分で
解いて、机の上でブレイクダンス踊ってるぐらいの
スーパーマンなのに。現実はいつだって辛いや…」
スバル
「まぁ、こんなもんか……あーあー。補習かコレ?」
きぬ
「頭脳じゃねぇ、勘だ! 勘で点数とってやる」
幼馴染達はかなり苦戦していた。
エリカ 無音
「(楽勝、楽勝)」
良美 共通
「んーと、ここがこうで……今回は結構簡単だなぁ」
成績優秀組は相変わらず楽勝そうだ。
俺は……。
レオ
「マァ……それでも結構分かるな!」
1日目終了。
――――試験3日目終了。
今日も英語はない。
明日がいよいよ本命の英語なのだ。
紀子
「……えーと、くりえぃてぃぶ……そうぞうてきな」
洋平
「はは、今どき単語帳というのも珍しい気がするな」
紀子
「くー、ばかに、しないで」
洋平
「おい、よそ見すると危ないぞ……って
行ってしまった……」
紀子
「んーと、すとらくちゃりー、こうぞう、の……」
どんっ
きぬ
「おい、どこみて歩いてんじゃボケ」
紀子
「あ、ごめん、なさい」
豆花
「2−Aの西崎紀子さんだネ」
真名
「2−Aめ。体育祭でウチらにあれだけやっといて
よくもノコノコと顔出せるなぁ」
エリカ
「よーし、囲んでいじめちゃえ!」
紀子
「く、くー……!」
スバル
「あーあ、2−Aの子いじめられちゃってるよ」
スバル
「全く人格破綻者が多いよなぁ、このクラス」
レオ
「ハタから見ればお前もその一員だと思うよ」
スバル
「ヒデェな、せっかくスタミナつくメシ作りに
行ってやろうと思ったのに」
レオ
「別にこなくていいぞ」
スバル
「いや、そう言われると絶対行きたくなる」
レオ
「なら来い」
スバル
「適当に受け流しやがって……寂しいだろコラ」
レオ
「悪いな、英語が終わったらいくらでも
相手してやるから」
祈先生とすれ違う。
祈先生は、俺に対して全く無反応だった。
だがそれに対してうろたえる暇もない。
そう、全ては明日だ。
祈 共通
「皆さん、今日は英語のテストがあります
頑張ってくださいね」
祈 共通
「もし赤点などとってしまった方は、
つまらない夏休みを提供する事をお約束しますわ」
……すごい恫喝だ。
まぁ俺は満点とる気でやるけどね。
………………
試験中は、当然シーンと静まり返っている。
俺は夢中でペンを進めていた。
レオ
「……満点だ……満点を」
全てを捨て英語に集中したため
スラスラと問題を解いていく。
見直しの時間を入れたらボヤッと
していられないぞ。
レオ
「……? ここの問い……応用問題か」
難しい英訳だった。
姫なんかこんなもの楽に問いてしまうだろう。
ここで差をつけられるわけにはいかない。
気合で問題をといていく。
………………
試験終了。
きぬ
「なんか今回さー。特に難しくなかった?」
豆花
「カニち、それ毎回言てるネ
今年の風邪はタチ悪い、と同じノリだネ」
きぬ
「え、そうカニ?」
豆花 無音
「……」
きぬ 無音
「……」
豆花
「今の口癖で人物立てるのはどうかと思うネ」
きぬ
「ボクもそう思う」
……手ごたえはあった。
自己採点してみよう。
レオ
「……うん、しっかり合ってる」
後は英訳&和訳だな……。
ここさえあってれば満点でいける。
祈
「自信がありげですわね」
レオ
「あ、祈先生」
レオ
「ええ。やるだけの事はやりました」
レオ
「先生、ちゃんと約束覚えてますか」
祈
「ええ、もちろんですわ。教師ですもの」
よし。
祈
「霧夜さんに勝てたら私は対馬さんとデート」
レオ
「そうです」
祈
「もし負けたら、2度と私にプライベートでは
声をかけない、という事でしたわね」
レオ
「えっ、俺そんなこと言ってないっすよ」
祈
「いえいえ。確かに言いましたわ」
祈
「土永さん、そうでしたわね?」
土永さん
「あぁ、全くその通りだぜ? いやホントホント」
祈
「ほほ」
ニヤリと先生が笑う。
土永さん
「これできっちり引導を渡せるな、小僧」
祈 共通
「……と、土永さんが言ってますわ」
レオ
「くっ、はめられた……」
祈
「結果が出る月曜日が楽しみですわね」
レオ
「……そうですね」
何、自信はあるんだ。負けないぞ。
レオ
「あ、姫! ちょっといい」
エリカ 無音
「?」
レオ
「今回の英語、どうだった?」
エリカ
「まぁ地球が滅びない限り100点ね」
そうですか……。
流石ですね。
後は、ほんと月曜日を待つだけだ。
いよいよ月曜日。
レオ
「姫、勝負だ」
エリカ
「勝負って何? なんか最近やけに
突っかかってくるわね。好意の裏返し?」
祈
「皆さーん。テストを返却しますわよー」
心臓がドクン、と高鳴る。
……いよいよだ。
祈
「鮫氷さーん、42点ですわねー」
新一
「BAKURO!?」
新一
「なんで俺の時だけ点数読み上げるんすかっ!?」
祈
「伊達さーん。この点数でも勘弁して
差し上げますから、部活頑張って下さいな」
あぁ、緊張する。
もうすぐ俺の番だ。
祈
「次、対馬さーん」
レオ
「は、はい」
祈
「良く頑張りましたわね!」
レオ
「え」
という事はまさか。
祈
「常日頃から、これくらい頑張って欲しいですわ」
……いけたのか!?
答案を広げる。
98点。
……ぐっ、和訳問題で△を2つ食らっちまった。
チクショウ……。
褒めたのは、みんなの手前褒めただけか。
いきなり100点はどれだけ努力しても
難しいものがあるな……。
現実を思い知ってしまった。
新一
「レオ、褒められてたけど点数いくつ?」
新一
「うおっ! なんだこりゃ! どこの秀才だよお前」
レオ
「いや、これじゃ意味が無いんだ」
レオ
「……でもまだ、姫が何点か分からない!」
レオ
「ねぇ、姫。英語何点だった?」
エリカ
「当然100点。まぁ私の知能なら当然だけどね」
レオ
「ぐはっ」
やっぱりこの人はすごいな……。
あと2点に大きな壁を感じた。
………………
夕暮れ。
先生、いるかな?
レオ
「あ、いた……」
祈 無音
「……」
祈
「対馬さんですか」
レオ
「はい」
祈
「テストの結果は、惜しかったですわね」
レオ
「……悔しいです」
祈
「しかも英語は良かったものの、他の科目の
点数があがってませんし」
そこは下がってないだけ評価して欲しい。
……なんてのは甘えか。
祈
「賭けは私の勝ちですわね」
レオ
「はい」
祈
「とはいえ……まぁ頑張ったのは認めてあげます」
祈
「私のために、そこまで努力したこと」
祈
「そこは素直に可愛いと思いますわ」
レオ
「先生……」
祈
「ここまでつれなくされても、諦めないというのは
珍しいですわよ」
レオ
「うん、自分でも不思議」
祈
「ふふ……デートでしたっけ?
いいですわよ、別に」
レオ
「え、俺負けたのに?」
祈
「それでも、クラスで2位でしたしね。
健闘賞ですわ」
レオ
「先生……」
やっぱり先生は何だかんだ言って
いい人だったんだ。
祈
「勘違いされないように」
祈
「対馬さんが失意のどん底になり、勉強に手が
つかなくなっては、教師として上から叱られます」
祈
「だから教師としてのアフターケアですわ」
レオ
「……なるほど……」
立派な大人だな祈先生は。
祈
「それでは、行きましょうか」
レオ
「え、今から? どこに?」
祈
「ホテルですわよ」
レオ
「なっ……」
祈
「私の身体が目当てでしょう?」
祈
「いいですわよ。ご褒美ということで」
レオ
「勝手に決め付けないでくれ!」
祈
「あら……違うのですか?」
レオ
「確かにそれもある!(正直)」
祈
「では他に何があるというのです」
レオ
「う、うーん。俺も実は漠然としてて、
言葉にするのが……難しいんだけど」
レオ
「とにかく俺は……いい点とったから……
ご褒美に……体だけ、なんてそんなの嫌だ」
レオ
「確かに、あれはキモチイイし、したいけど
……それ以外の何か、というか……」
祈
「では体ではなく、心を欲しがるのですか?」
レオ
「もちろん先生には好かれたいと思うよ」
祈
「強欲ですわねー」
祈
「でもそれはあげられません
いえ、あげようにも空洞ですもの」
レオ
「……それだ!」
祈 共通
「はい?」
レオ
「先生のその態度なんだ…俺が惹かれていたのは」
レオ
「感情に流されず、柳のように受け流す
決してテンションに流されない」
レオ
「それは俺が目指してたものなんです」
祈
「対馬さんは、テンションに流されっぱなしですわ」
レオ
「俺も流されないようになりたいけど出来なくて」
レオ
「……そう! なんで先生がそんな態度を
とり続けられるか?」
レオ
「それが疑問だったんだ」
レオ
「俺も、さっき言った通りテンションに流されない
大人になりたいと思いながら……
でも、それは違うかなって迷ってて……」
祈
「そんな風に迷っている限り無理ですわね」
レオ
「う……やはり」
祈
「だいたい、対馬さんは何でそんな風に
思ってしまったのですか?」
レオ
「俺は……皆にあわせられなくて、
突っ走っちゃって……後、いじめから
人を助けようとして、でも出来なくて」
レオ
「その時、凄く傷ついたり迷ったりしたから
もうそんな風に苦しみたくなくて……」
祈
「で、またテンションに身を任せて
こうなってるわけですわね」
レオ
「……はい」
祈
「ふふ、青春ですわねー」
レオ
「じゃ、じゃあ先生はどうなのさ」
レオ
「いったい何でそんなに……」
祈
「私は……」
レオ
「そのロケットの中身に関係あるんでしょ」
レオ
「憩(いこい)さんだっけ? 妹の……」
祈
「なぜその名前を……土永さんですわね……」
祈
「はぁ、仕方ないですわね」
祈
「教室内は、ムシムシしてますわ……」
祈
「もうこんな時間です。テスト後ですし、
誰も残ってないでしょう。学食にいきましょう」
レオ
「確かに、あっちの方が涼しそうだ」
ここはひどく喉が渇く。
2人で移動する。
………………
夕日に焼かれながら、学食のイスに腰を下ろす。
祈
「私には仲の良い姉妹がいました」
祈
「2人で、親戚の家に遊びに行ったとき、
近くの山に遊びにいきました」
祈
「紅葉が綺麗なので、私達は
知らずのうちに奥へ奥へと入っていきました」
祈
「妹はこれ以上いくと危険だと言うのですが……」
祈
「私は、探検みたいで楽しくなって歩き続けました」
祈
「妹がトイレだというので、そこらへんで
するしかありませんね、といいました」
祈
「妹は、その場を離れたのですが……」
祈
「妹はそれっきり戻ってきませんでした」
レオ
「え……?」
レオ
「ただの迷子じゃないの」
祈
「どこにもいませんでしたわ」
レオ
「え、どこにも?」
祈
「必死の山狩りでも見つけられませんでしたわ」
レオ
「それって……何ですか?」
レオ
「いわゆる神隠しって奴ですか?」
祈
「……どうでしょう」
祈
「ただ、その山の付近は急に崖になったり……」
祈
「その下は急流があったりしていて……
何かしらの事故にあったというのが見解でしたわ」
レオ
「そんな……漫画みたいな」
祈
「いえ……実際にそういうのはわりと
ありえる話なのです。山菜取りとかでも
事故はしょっちゅうおきてますからね」
祈
「日本で、今まで行方不明者の数は
10万人を超えると言われてますわ」
レオ
「そんなに……?」
祈
「……だから、自分だけが特別不幸と
いうわけではありません」
祈
「ただ、自分のせいで……自分が山に
入ろうといったせいで半身がいなくなった」
祈
「理由はそれだけで充分ですわ」
祈
「誰かが私を責めたわけではないですけど……」
祈
「それっきり、もう……」
祈
「私は何をしても楽しくなくなりました
胸に、風が吹くようになりまして」
祈
「妹の夢だった、教師になっては見たものの……」
祈
「楽しくも無く、つまらなくもなく……」
レオ
「得意の占いで何か出ないの?」
祈
「妹の事を占うと暗い闇が出るだけですわ」
レオ
「……」
祈
「ですから、対馬さんも霧夜さんなり蟹沢さんなり
女の子は他にも沢山いますから、そちらになさい」
祈
「私のようなタイプは、つまらないでしょう」
祈
「特に燃え上がるわけでもなく……つかず離れず……
そんな感じになってしまいますわよ」
レオ
「先生……」
無言。
いつの間にやら、景色は紅い夕暮れから
夜へと移り変わっていた。
月光が俺達を照らしている。
レオ
「祈先生は俺が目指したもの……そのものだね」
テンションに流されずニュートラルに。
それが完成されると、こんな風に。
例えば氷とかで冷えた心なら、暖めれば溶かせる。
でもこの人は本当に柳のような……そんな
掴もうとしてもつかめない心なんだ。
そして、それはもう小さい頃から続いているので
完全に人格を形成してしまっている。
それが祈先生なんだ。
俺みたいに、中学生あたりで自分を
変えようとしても、結構人格固まってて
無駄な事多いからな。
祈
「だいたいそんな感じですわね」
レオ
「でも……そこまで自分の過去を暴露してまで
俺に語ってくれたのはさ」
レオ
「自分みたいなタイプに熱をいれないように
説得してくれる先生の優しさだと思うんだよね」
祈
「それもありますが、あまり干渉されると
うざったいというのもありますわね」
祈
「適度に優しく、適度に酷く……」
適度、か……。
なんて大人の言葉なんだろうか。
レオ
「……」
祈
「……それにしても綺麗な月ですわね」
レオ
「これでもかってぐらいの満月ですね」
祈
「こういう月夜は好きですわね……
なんとなく心も踊りますわ」
祈
「ま、わずかですけどね」
レオ
「……踊る……あ、そうだ!」
祈 無音
「?」
レオ
「体育祭の時は、他の男子生徒に妨害されたけど
今なら誰もいないじゃん」
レオ
「先生、俺と踊りましょうよ」
祈
「……私とですか?」
レオ
「体育祭で踊るはずだった」
祈
「そうですけど……対馬さんは
音楽もかかってないで踊れますの?」
レオ
「なんとなく、で」
祈
「なんとなく……ですか。なんとなくは
大切ですわね」
祈
「では、なんとなくお相手致します」
レオ
「はい」
祈
「対馬さん、お粗末ですわね」
祈
「ほら、私の足を踏んではいけません」
レオ
「というか、祈先生がなにげにウマイ……」
祈
「レディのたしなみですわ」
レオ
「……よ、よし……こうして、こう……」
祈
「……大人についていこうと頑張って
背伸びしている顔、可愛いですわね」
レオ
「え、あっ!?」
く、くそっ……からかわれてしまう。
祈 共通
「私は……」
レオ
「え?」
祈
「私は、お前が俺の全て、とか
そんな風に思う人とは重くて付き合えません」
祈
「甘えてよりかかられると、私が倒れます」
祈
「とはいえ、私も寄りかかって自分を
預けるような真似はしません」
祈
「難しいですわよ、私は……
ペシミストでもなければ、
オプティミストでもありませんし」
祈
「対馬さんは、まだ血気盛んな学生ですのに、
このような私で満足するのですか?」
レオ
「満足するも何も……」
レオ
「俺が目指しても出来ない、大人のスタイルを
通してるんだから素敵だと思うよ」
祈
「大人とは違う気もしますが……」
レオ
「ついでに聞いていいですか?」
レオ
「大江山の千丈ヶ岳出身っていうのは……」
祈
「あぁ、あそこは苗字がたまたま
同じだったのでジョークですわ」
祈
「実際は京都駅近くの、市内出身です」
レオ
「へぇ……」
レオ
「占いがすごいのは?」
祈
「小さい頃からずっとやってますからね……
駄菓子に詳しいのと同じですわ」
レオ
「ぶっちゃけ、あの怪鳥はどこで手にいれたの?」
祈
「普通に露店ですわよ」
祈
「駄菓子をあさりに夜店を回ってましたら
湿っぽい淫らな視線を感じましてね……」
祈
「視線の発信源はカゴに入っていた鳥でしたの」
祈
「鳥さん、鳥さん、何故私を見ているのですか?」
土永さん
「その考え方はクールじゃあねぇぜ……
お前が我輩を見てんだよ」
祈
「まぁまぁ、そうでしたの」
鳥屋
「ねぇちゃん、どうだい? そのオウム、
すごくアタマいいだろ」
鳥屋
「ただ観賞用にしちゃあ、顔が致命的でなぁ……
1羽だけ売れ残ってるんだよ」
鳥屋
「ねぇちゃん美人だし。いい値で売るぜ?」
祈
「いりませんわー」
土永さん
「待て待て! 我輩はお前の胸、ゲフン、
じゃなくてお前の心に興味があるから見てたんだ」
祈
「……心に、ですか」
土永さん
「あぁ、我輩、国語できそうな顔してるだろ?
お前の考えている事が分かる。悩みを共有できる」
土永さん
「ズバリお前は異性の悩みで毎晩枕を濡らしてるな」
祈
「全然違いますわー」
土永さん
「待て待て、お願い待って!!
我輩のエサあげるから! 話をもっと聞いて!」
祈
「……仕方ありませんわねー」
祈
「なら、105円でそのオウム買いますわ」
鳥屋
「105円って、りんご飴より安いじゃん!」
祈
「100円……90円……80円」
鳥屋
「しかもどんどん下がるんだ!」
祈
「70円……50円……20円」
土永さん
「命の値段を、買い叩き方式でやるとは、
おこがましいとはおもわんかね」
鳥屋
「ええい、もういいや、10円で!」
土永さん
「我輩はフーセンガムと同じ値段なのかぁぁっ!!」
祈
「という感じですわね」
レオ
「なるほど……」
祈
「何かロマンチックや不可思議な魅力があっても
種を割ってみれば、所詮はこのようなもの。
幻滅しましたか?」
レオ
「ううん、先生が身近に感じて嬉しい」
祈
「めげませんわね」
レオ
「……あの、これデートにカウントされませんよね」
祈
「贅沢ですわねー」
祈
「いいですわよ、学校も休みに入りますし……
時節に恵まれましたね」
くすっ、と笑う先生。
なんだか、その笑顔に吸い寄せられる。
レオ
「先生……キスの仕方、とかも教わっていいですか」
祈
「ン……」
……基本的には年上な分、甘えられる人だった
夏だ!
海だ!
水着だ!
レオ
「祈先生……水着凄いですね」
レオ
「ハイレグっちゃってますよ」
祈
「これくらい普通ですわよ」
レオ
「その基準が普通である場所があったら
俺が行きたいですよ」
レオ
「ちょっと歩きましょうか」
祈 共通
「はい?」
ちょっと歩き中。
レオ
「ほら、男たちの視線が凄いでしょ!」
レオ
「俺は優越感を通りこして、いきなり
襲われないか不安でしたよ」
祈
「あんまり気になりませんわね」
レオ
「なっ!?」
さすが先生……大物だ。
レオ
「まぁいいや。とにかく泳ぎましょうか」
祈
「対馬さん」
レオ
「オィッス!?」
祈
「私、泳げません」
レオ
「……」
なんと。
レオ
「そういえば先生、運動って?」
祈
「からっきしですわ」
レオ
「ボーリングのアベレージとかは?」
祈
「あれは嫌いですわ。60ぐらいしかでません」
レオ
「ビリヤード」
祈
「なかなか球が真っ直ぐ打てません」
そうか……。
祈先生、運動音痴なんだ。
そういえば、歩くのも遅いしなぁ。
執行部は武道派が多いからうっかり忘れてた。
祈
「対馬さん、泳いでらっしゃいな」
レオ
「いーや、俺1人そんなわけにはいかない!」
レオ
「先生、じゃあ俺が泳ぎを教え……」
祈
「泳ぎなんて教わりませんわよ」
レオ
「うぐ……」
祈
「私はここで荷物見てますから
自由に泳いでいいですわよ」
ゴロン、とサングラスをかけて横になる祈先生。
レオ
「なんてプロポーションの良さだ……ヘンな虫が
寄り付きそうで心配だ」
土永さん
「虫を食うのは鳥の役目だ。我輩がダンディに
ニラミをきかせているうちは大丈夫だろう」
レオ
「よし、しばらくボディーガード頼んだ」
レオ
「なんとしても海に引きずり込んでやる」
レオ
「そのためにはまず海の家で……」
……………………
レオ
「はぁ……はぁ……はぁ、先生。海で
遊びましょうっ……」
祈
「だから私は泳げないし、教わる気もないと……」
レオ
「うん、両方しないで合法的に解決してみた」
俺は笑顔で10分にわたる苦労の結晶を提示した。
祈
「まったく、対馬さんも強引ですわね」
レオ
「それ、そこまでふくらますの苦労したんだから」
レオ
「落ちないでくださいよ、先生」
祈
「失礼ですわね。そこまで運動音痴ではありません」
グイグイと泳ぎながら浮き輪(正式には
浮き輪ではないがレオはその名称を知らない)を
引っ張る。
祈
「あらあら、これは……」
海の中でも祈先生へ周囲の視線が集中している。
すごいグラマーな人がキワドイ水着着てるからな。
祈
「ふふ、結構愉快ですわね」
波に揺られて、胸も揺れている。
レオ
「他の野郎どもに祈先生の胸を見られてたまるか」
力をいれて前進する。
祈
「いい気分ですわねー」
レオ
「おっ」
楽しんでる!
祈
「さらにスピードはあげれませんの?」
レオ
「いけるさ」
力の限り泳ぐ。
祈
「気分爽快ですわ」
海風を受けて祈先生は気持ちよく目を細めていた。
レオ
「海も悪くないでしょう、先生」
祈
「さらに加速を。一心不乱の加速を!」
祈先生がスピード狂になってしまった。
……………………
……あぁ、今日はいっぱい遊んだ。
駅前を歩く。
あれ、祈先生がいないぞ。
祈
「対馬さん、こちらですわ」
レオ
「え、そっちって……」
まさか。
ラブホテルじゃん!
レオ
「先生、俺は別に……」
祈
「これが私の望むコースなんですが……」
レオ
「うっ……」
その色っぽい仕草にドキッとした。
祈
「女に恥をかかせる気ですか?」
レオ
「ちくしょう……やっぱりかなわない」
……………………
2度目か、ここに来るのは……。
なんだかラブホテルに来るのが慣れてくる
男子学生というのも微妙だな。
祈
「ん……ぺろ……ちゅっ……うーん……」
レオ
「ん、ど、どうしたの祈先生」
祈
「ちゅっ……ぺろ、れろ、ん、やはり……
童貞でなくては……今ひとつ……」
レオ
「い、今ひとつ……?」
祈
「ちゅぱ……れろ、んっ……フレッシュさが
…ぺろ、ちゅ、足りないというか…燃えませんわ」
レオ
「ん……そんな……」
こっちは、この胸で凄く気持ちよくなってるのに。
レオ
「そ、それじゃあ俺が、頑張って先生を
気持ちよくさせるよ」
祈
「ちゅっ、無理ですわ……そんなの、ぺろ」
レオ
「無理じゃない……先生、じゃあ俺に任せてみて」
祈先生の後ろに回りこむ。
祈
「? 何を……」
そのまま、先生のくびれた腰を持ち上げた。
レオ
「先生……じゃあこの格好で」
祈
「……ちょ、ちょっと対馬さん」
祈先生に、四つんばいに近い形になってもらう。
レオ
「これなら、先生も燃えるかも」
色気溢れるお尻が目の前にある。
祈
「……この格好……恥ずかしいですわ」
レオ
「先生……すごく綺麗です」
先生のヒップは、豊かに実っていて
学生なんかが真似したくても出来ない
妖しい色気があった。
白い尻肌には、染みなど1つもなかった。
さりげなく脱ぎたてのパンツは没収。
祈
「対馬さん……お尻が好きですの?」
レオ
「先生のなら、どこでも好き」
祈
「そんな都合の良いことを言って……」
先生は力が弱いので、こっちで
がっちり腰を掴んでしまえば、何も出来ない。
祈
「やっぱりこの姿勢は……嫌です」
先生は、この四つんばいの態勢を
といてしまおうと、前に進んだ。
俺からいったん距離を開けるつもりらしい。
でも、歩くたびにその瑞々しいお尻が
揺れて、さらにセクシーに見えてしまう。
レオ
「先生……俺、先生を気持ちよくしますから」
先生を捕まえてしまう。
そのまま、お尻の弾力を試すように
軽く揉んでみた。
祈
「ん、駄目です、気持ちよくありませんわ」
レオ
「これからです」
愛でるように、滑らかな尻肌を撫でさする。
レオ
「先生……、もっと良く見せてください」
ぴったりと両手を先生の尻肉に添える。
そうして2本の親指で、お尻の肉を
割り開いた。
レオ
「……先生のお尻の穴、可愛い」
祈
「はっ…恥ずかしい事を……対馬さん」
レオ
「ピンクで綺麗だよ」
祈
「そんな所を……じっと見られるのは
初めてです……」
恥ずかしいのか、祈先生がモジモジしている。
それが、お尻を振っている形になってる事を
先生は気付いてないのだろうか。
祈
「対馬さん、もういいでしょう……」
レオ
「もうちょっと……」
ピンクの尻穴と、女性の大事な部分を
同時に鑑賞する。
挿入できる穴を2つも見つけて
俺のペニスがビクビクと震えた。
レオ
「先生…、お尻の穴、触っていいですか?」
祈
「い、いけません。そんな不良生徒では
ないはずですわ」
レオ
「すいません、後で指導してください」
つん、と尻穴を指で突っついた。
祈
「つ、対馬さん……、私、そこを舐めるのは
いいですが、自分のは……」
尻穴が恥ずかしそうにヒクッと震えた。
レオ
「自分のは、不快ですか?」
祈
「はい……」
レオ
「でも、ひょっとしたら気持ちいいかも知れません」
指先で丹念に祈先生のお尻の穴を
ほぐしてあげる。
祈
「ぁ……ん。ん…あ、指を、離してください……」
まぁ、自分の教え子にお尻をいじられるのは
不快かもしれない。
レオ
「俺、先生に舐められて気持ちよかったから
先生に恩返ししたいんです」
先生のお尻の肉がぴくぴくと震えている。
レオ
「先生の、ほんと可愛い」
お尻の穴が左右にひろがるように、
指先に少しだけ力を入れた。
祈
「対馬さん……悪趣味ですわ」
レオ
「先生のが綺麗だから……」
そのまま先生のお尻に顔をうずめる。
祈
「ちょっ……だめ、いけませんっ……」
唾液にまみれた舌を細くすぼめて、
その部分をヌッ、と突いてみた。
祈
「ああっ……そんな、対馬さんに……」
そのまま、ちょんちょんと舌で突っついた。
レオ
「……先生、気持ち良さそうですね」
祈
「ふぅっ……、く、……んっ」
息を殺しているが、気持ち良さそうだ。
そのまま先生のお尻を、丹念に舌で舐めあげる。
レオ
「ん……先生、このまま……いきます」
祈
「こ……このまま……ですか」
悩ましいお尻を手で固定して、ペニスを
秘裂に押し入れる。
祈
「く――、う、後ろから、んっ、なんて……」
レオ
「でも先生、濡れてるから……はいりやすいよ」
祈
「んっ……対馬さん、強引ですわね」
レオ
「先生に燃えてもらいたくて」
尻肉をぐにっと掴む。
祈
「ん、恥ずかしい……だけですわ」
レオ
「先生……」
さっきまで舐めていたお尻の穴をみながら、
少しずつ挿入していく。
レオ
「ん……やった、スムーズに、入った」
祈
「……んっ、く……熱い……」
レオ
「後はこのまま、んっ……
祈
「く……ん、あ……何だか対馬さんに
ん……襲われてるみたいですわ……」
恥ずかしがる先生を四つん這いにしてから
挿入、というのは確かに襲ってるみたいだ。
でも、襲われてるのは俺の方なんだ。
レオ
「ん、く……」
祈
「あ…ン、奥まで、入りましたわね……」
襞がキュッとからみついてくる。
ほら、やっぱり襲われるのは俺の方だ。
気を抜けば、一瞬で搾り取られる。
レオ
「先生の……すごい」
果てないように気をつけて、腰を動かす。
ゆっくりと腰を引いて、
祈
「ンっ……」
いれて……。
祈
「あっ……に、2回目とは、思えませんわね」
レオ
「2回目です……」
レオ
「俺は先生とだけ……Hして……」
スローなピストン運動を繰り返す。
祈
「ん……あ、っ……く……」
レオ
「っ……」
まだまだ余裕がありそうな祈先生。
だが、こっちはもう限界だった。
レオ
「ぐっ……」
先生の中で、放出が始まる。
祈
「く……ん、あら、もう……ですか?」
残念そうな先生の声。
レオ
「い、いや……まだです」
射精が終わっても、俺のペニスは
まだまだ元気だった。
萎える前に中で動かし、硬度を完全に
取り戻す。
レオ
「ん……」
祈
「あっ……もう、動ける、なんて……ん」
レオ
「早く出しちゃうのは仕方ないけど……
その分、量で……カバーする。」
突くペースを速めていく。
祈
「んあっ、あっ、あっ……」
レオ
「先生、胸、すごい揺れてる……」
祈
「ん、あっ……対馬さんが、そんなに
突くから……んっ……」
祈
「んっ、ふぁぁ……あ、あ!」
上気している先生の白い肌。
レオ
「先生……声に余裕がなくなってきたよ」
歯を食いしばり、尻に力をいれて耐える。
祈
「そんな力まかせに、ンッ……くっ」
奥まで入れて、子宮口をこづき、刺激する。
祈
「ん……あ、こんな……んっ……」
ズリズリと肉棒が膣にこすりあげられる。
祈
「んっ……対馬さんっ……あっ、んっ」
その度に、快感がやってくる。
祈
「くあっ、あぁぁっ……あっ……
ま、また……ですか?」
3度目の射精。
祈
「あぁ、またいっぱい出てますわ……」
結合部分から液体が滴り落ちる。
祈
「あぁぁ……まだ、動くのですか……」
レオ
「だって、先生、まだ……余裕……ありそう」
射精した後も、まだ奮い立つ俺のペニス。
祈
「意地っ張りですわね……んっ」
レオ
「というか……」
常に変化させる先生の襞のおかげで、
休む事なんて、出来ないのだ。
レオ
「ん……ん……」
ペースを落とさず突いていく。
祈
「っ、あぁっ、く、……い、いい感じ……ですわね」
先生は俺の突きに合わせてお尻を動かしはじめた。
レオ
「せ、先生……燃えてきた?」
祈
「あっ、そ、そうですわね……んっ、なかなか」
レオ
「じゃあ、さらに……頑張る!」
ぱんぱんぱんっ!
祈
「あぁぁっ……んあぁっ……」
祈
「ンッ……んっ、対馬さんっ……」
レオ
「先生……先生っ」
祈
「あぁっ、あっ、アッ、あっ、あっ……」
祈
「あっ、あっ、あっ……私……あっ」
先生の中がキュウッと締まってくる。
レオ
「ん……く……祈先生っ!」
限界まで肉棒を深く埋め込む。
祈
「んあっ……あっ……あぁぁぁっ!!!」
ドピュ、ドピュルッ、ドクッドクッドクッ…。
視界がぼやけるほど快感だった。
こってりと濃い精液を大量に注ぎこむ。
脳に霞みがかかる。
ドプッ、ドクッ、ドクッ……
射精が終わらない。
コクッ……ドク……トク
祈
「はぁっ……は……すごい、まだ続いて、ますわ」
レオ
「う、あ、あぁぁ……」
声がかすれる。
燃え上がるような一体感。
2人で痙攣して、甘みを受け止めていた。
…………………………
――季節は秋になっていた。
春は眠い季節というが、秋も結構眠い。
堂々と授業をサボる俺と、それを黙認する教師。
相当すごい図だった。
しかも、別に社会への反逆とかそんな
わけわからん理由じゃなくて。
だるいから休む。ただ、それだけ。
祈
「今は何の授業でしたっけ」
レオ
「現国だから、まぁ俺的には問題なし」
レオ
「先生は、次も休み? それとも次は授業あるの?」
祈
「A組で授業が入ってますわね」
レオ
「ちぇ、じゃあこの時間だけか」
レオ
「……もし見つかったら、俺は体調不良でいくね」
祈
「ここは死角ですし、見つかりませんわよ」
祈
「土永さんも斥候で見張ってますから」
レオ
「そっか……」
祈
「はい」
…………2人でまったり。
レオ
「先生、俺このテンポ気持ちよくなってきたよ」
時々あって、デートして、セックスして。
そんな、“なんとなく”が続く交際。
もちろん学校には秘密だから秘密にしてある。
……それでも俺は満足していた。
これが自分たちにあうペースなのだから。
祈
「対馬さんのおかげで
睡眠薬を手放せたのは感謝してますわ」
祈
「眠りがある程度深くなりましたからね……」
レオ
「あと、童貞キラーも治って何よりだ」
祈
「性欲の処理でしかありませんでしたからね
対馬さんがいる今の所はもう不要ですわ」
レオ
「ふふっ」
祈
「何を笑っているのですか?」
レオ
「こうして祈先生はジワジワと俺なしだと生きて
いけなくなるのかも」
祈
「まだ、そんな馬鹿な事を……
デートしてあげませんわよ」
必要以上に踏み込まず踏み込まれず。
俺は俺。君は君。確立された距離。
そんな関係だった。
でも案外、ひたすらベタつくよりも
こういう方が長く人生いっしょにやって
いけるのかもしれない。
そう考えると嬉しかった。
時々寂しいけど、その分肌を
重ねる時とかに燃えるからね。
祈
「大学時代の友人に、交際のサイクルを
教えたら笑われましたわ」
祈
「夢もロマンもありませんわね、と」
レオ
「まぁ、事実だしね」
祈
「……でも、私はこのままで充分だと思います」
レオ
「うん、俺も」
祈
「他人からどう言われようと関係ありませんわ」
祈
「これが、私達のやり方ですからね」
そう言いながら、先生は軽いキスをしてくれた。
祈
「なんとなく、ですわ」
ゆったりと、2人の時間は流れていく……。