ラヴクラフト全集〈3〉 H・P・ラヴクラフト/大瀧啓裕訳 [#改ページ] アウトサイダー The Outsider [#改ページ]   [#ここから4字下げ] その夜 男爵あまたの悲哀を夢に見るも 英賓《まろうど》の武人らことごとく 魔女 悪鬼 大なる蛆の姿かたちをとりたれば 長く夢をば脅かしけり [#ここで字下げ終わり] [#地付き]キーツ      稚《いわけな》き頃の記憶が、恐怖と悲哀のみしかもたらさぬ者こそ、不幸なるかな。褐色の帷《とばり》たれ、気もふれようかというほど古書籍の立ちならぶ、広く陰鬱な部屋でわびしくすごしたひととき、あるいはまた、ねじくれた枝を遙か高みで音もなく揺らす、グロテスクにして巨大、蔦《つた》のからむ木々からなる、小暗い森を畏《おそ》れはばかりながらすごした眠れぬ夜、かかるをしのぶ者こそみじめなるかな。かような運命を諸神は余に与え給うた――眩惑と失意、挫折と落胆をば。しかれども余の心がたまゆら、他の運命へと彼方に手をのばしかけようとすれば、余はすがれた思い出に不思議と心みちたり、そうした思い出に死物狂いですがりつくのである。  余は生まれた場所のことは何も知らぬ。ただ知っているのは、暗い廊下が数多くあり、やたら高い天井には蜘蛛の巣と闇が見えるばかりの、はなはだ古めかしく、またいうかたなく恐ろしげな城のことだけだ。崩れゆく廊下の敷石は、常に胸が悪くなるほど湿っているようで、いたるところ、歴代の死者の亡躯《むくろ》がおりかさなっているかのごとく、実に不快な臭がした。光がさしいることは絶えてなく、余は気晴しに、おりふし何本もの蝋燭に火を点《とも》しては、飽かず炎を見つめつづけたものである。また恐ろしい木々が、頂上まで登ること可能な塔をもしのぎ、鬱蒼と生い茂っていれば、城のまわりにも天日がこぼれることはなかった。樹海から抜きんでて、見も知らぬ大空めざし、黒い塔が一つそびえ立っていたが、ところどころが崩れはて、切り立つ壁の石から石へとわたりでもしないかぎり、およそ登ることは不可能なありさまであった。  余はこの場所に久しく住まいしているにちがいないが、それがどれほどの歳月におよぶのか、時をはかる術《すべ》を知らぬ。必要とするものは誰かが世話をしてくれたはずだが、余はおのれ以外のいかなる人間も思いだすことはできぬし、生き物も、音をたてずに動きまわる鼠、蝙蝠、蜘蛛を知っているだけである。余を育てあげてくれたのは、何者であるにせよ、生きた人間について余のはじめて抱いた概念が、あざけるばかりに余に似ていながら、腰はおれ、肌はしなび、城のごとく朽ちゆかんとする男のそれであったからには、しとと年を食った奴だったにちがいなかろう。城の礎《いしずえ》には石造りの深い窖《あなぐら》があるが、そのいくつかに散乱している骨片や骸骨とて、余にはいっこうグロテスクなものではなかった。余は気まぐれにそれらを日々の出来事に結びつけては、あまたある黴くさい書物に見いだした、生きた人間の彩色画より、よほどまともであると思ったものだ。余の知っていることはすべて、かかる書物から学びとったものばかりである。教え導いてくれる教師もおらず、余はこの年月、人間の声というものを――おのれの声ですら――聞いたおぼえがない。会話というものがあるのを、本から読んで知ってはいるが、声にだしてしゃべってみようと思ったことなど一度もない。城のなかに一個の鏡もなければ、おのれの姿というものも、同様に考えおよばざる類《たぐい》のものであり、余は勘をはたらかせ、書物に彩色あるいは無彩色で描かれている若者の姿に、まあ似ているのであろうと思っていたにすぎぬ。記憶とぼしきこともあって、どのみち若いのだろうと思っていた。  よく城の外に出て、腐臭漂う濠《ほり》をわたり、深閑とした暗い木々の下に身を横たえては、書物で読んだことについて、何時間も夢想にふけったものだ。ややもすると、果しない森の彼方なる日のふりそそぐ世界で、陽気な人の群に立ちまざるおのれの姿を、焦がれるように思い描いてしまう。一度この森から逃れでようとしたことがあるが、しかし城から遠ざかるにつれ、いやましに影は濃密になり、あたりには怖慄《ふりつ》の気みなぎり、ために余は闇のつどう闃然《げきぜん》の迷路にて道を失うを恐れ、あわてふためきひきかえしてしまった。  されば余はとこしえにつづく薄明の世界で、夢想にふけりながら待ちもうけた。何を待っていたのかはわからぬが。さるほどに、暗翳《あんえい》胸をふたぐ孤独のなかで、光を憧《あくが》るる思い狂おしきまでになれば、もはや心を静めることもかなわず、森を圧して未知なる大空にそそり立つ、あの荒れはてたる黒き塔に、哀願のもろ手をさしのべた。そうして、ついに余は、よしあえなく落下しようとも、永久《とわ》に日の目を見ずして生きるよりは、いっそ天を垣間見て死んだほうがましというもの、かの塔に登らずにはおくものかと覚悟を決めるにいたったのであった。  余はじっとりした薄闇のなか、年|旧《ふ》り磨耗した階段を、とぎれる箇所まで登りつめると、それ以後は、上方に通じるささやかな足がかりにあやうくすがりつきながら進んだ。階《きざはし》の一つとてなき岩の円筒は、総毛だつほど恐ろしきものであった。黒ぐろとして、見事に荒れはて、わびしさきわまり、闖入《ちんにゅう》におびえた蝙蝠の音なしの翼にて舞うさまは、その不吉さいいようもない。しかしながら、登攀《とうはん》の遅々として進まぬことが、さらに血も凍るばかりに恐ろしかった。いかに登れど、闇はいっかな薄らぐことなく、幽鬼の巣食う古びた土地に感じるがごとき、新たな悪寒を余はひしひしと身におぼえていた。何がゆえに明るみにとどかぬと怪しみながら、身を震わしていたが、まこと勇気さえあれば、下に目をむけたことであろう。忽然として夜が訪れたのではないかと思いつつ、外がのぞめる窓を求め、もしあれば、おのれの達した高さをうかがわんとて、あいている片手で探りをいれたが、いかさま徒《あだ》な努力ではあった。  何も目に見えぬまま、なか窪みで切り立つ絶壁を、恐れおののきながら果しなく這いあがりつづけた後、余は突如として頭が固いものにふれるのを感じとり、屋根あるいは少なくとも階らしきものに達したことを知った。あいている片手を闇のなかにあげ、行手をはばむものを探ってみれば、びくとも動かぬ石ではないか。こうして余は、ありとある支えにすがりつきながら、ぬるぬるした壁の周囲を命がけでめぐりはじめた。ついに探る片手が押せば動く箇所のあることを告げるや、余はふたたび登りはじめ、空恐ろしい登攀で両の手がふさがれているゆえ、平板とも扉ともつかぬものを頭で押し開けた。一条の光もさしいってはいなかったが、手をさらに上へあげたとき、余の登攀がさしあたり完了したことがわかった。何となれば、その平板こそ、塔の下部より周囲の広い平らな石床、どうやら広びろとした望台のようなものの床に通じる、その開口部の落とし戸に相違なかったからである。余は苦労して落とし戸の口に這いずりこむと、どっしりした戸が元にもどらぬようあれこれためしてみたが、しょせんかいなき試みではあった。疲労困慰の体《てい》で石の床に横たわった余は、平板が閉じて生じる不気味な残響を耳にしながら、要あるときに開けられればよいがと願っていた。  いまや呪わしい森の枝という枝を遙かにこえる、途方もない高みにいるのだ、余はそう信じこみながら、床からようやく身をおこすと、空、そして書物で読んだ月と星がはじめて目にできるやもしれぬ、窓を求めて手探りしたが、手をのばすたびに、希望は微塵にくだかれた。見いだしたものは、心かき乱される大きさの、小癩《こしゃく》な長方形の箱を載せた、巨大な大理石の棚また棚ばかり。余は熟考に熟考を重ね、眼下の城から永劫の歳月たちきられているこの高みの房室には、いかな古昔《こせき》の深秘《じんぴ》が潜んでいるのかといぶかった。と、そのとき、余の両手は思いがけず戸口に行きあたった。戸口には、妙な彫刻がほどこされ、表面なめらかならぬ石の杭門が配されている。扉には錠がおりていたが、余は渾身の力をふりしぼり、なべての障害を圧して、扉を内側へとひき開いた。扉が開くや、絶えて知らざる至純の歓喜が余に訪れた。凝った飾りのある鉄格子をとおして、戸口から昇りはじめる短い石の階段に穏やかにさしいっているのが、夢、そして記憶とも呼べぬおぼめく幻影のなかでのみあおぎ見た、耿々《こうこう》と照り輝く満月の光だったからには。  余は城の最上点をきわめたのだと思い、戸口を抜けて階段を駆け登りはじめたが、数段登ったところでにわかに月が雲に隠されたことで、足がつまずき、あとは闇のなかを手探り足探りでそろそろ進みつづけた。鉄格子にようやくたどりついたときも、まだ真闇《まやみ》につつまれていた。注意深く調べてみれば、鉄格子の扉に錠はおりておらぬ。されど、余は登りつめた驚愕《きょうがく》の高みより落下するのを恐れ、扉を開けはしなかった。やがて月が面《おもて》をあらわした。  なべての衝撃のうち、狂乱とどまるところを知らぬのは、まこと予想だにせず、笑止なまでに信じがたきことから生じる衝撃であろう。余が目にしたもの、その光景がはらむ奇怪《きっかい》な驚異は、恐怖の面において、余がこれまで経験した何物をもってしてもたとえようがない。眺めそのものは呆《あき》れかえるほどに凡庸な、次のようなものにすぎなかった。鉄格子を通して見る余のまえに広がっていたのは、嵯峨たる高みから見おろす目眩く樹海の景色などではなく、大理石の平石や円柱によって装われ、単調さを破られる、堅固な大地にほかならず、年旧りた一宇の教会が他を圧してそびえ、その毀《こぼ》れた尖塔が月光を浴びて幽寂と輝いていたのであった。  余はなかば無意識のうちに、鉄格子を開け、二方にのびる白い砂利道によろめきでた。余の心は呆然錯乱のありさまでありながら、なおも光を渇望する狂おしき思いは捨てられず、眼前に展開する破天荒な驚異といえど、余の足をとどめることはできなかった。余はおのれの経験していることが、狂気、夢、幻術のいずれによるやは知りもせぬし、気にもかけずにいたが、ただ光輝とはなやかさだけは、どうあろうとあまねく熟視してやろうと腹を決めた。余はおのれが誰なのか、何者なのか、いかな場所にいるのか、かようなことは露ほども知らなかった。しかしよろめく足を運びつづけるにつれ、かかる前進が断じて偶然のものにあらぬと思わせる、何やら慄然とした潜在的な記憶のようなものを意識するようになった。拱門《きょうもん》をくぐり抜け、平石と円柱のある領域の外に出ると、広びろとした土地を歩きまわった。踏みならされた道をたどることもあれば、好奇な心にさそわれるまま、そこかしこの廃墟がいまは忘れ去られた道が昔あったことを告げるばかりの、草地を踏み歩くこともあった。一度などは、くだけ、苔むす石組が、橋の失われて久しいことを物語る、流れ急な川を泳いでわたりもした。  目的地とおぼしき、木々の生い茂った苑にある、蔦のからむ神荒《かんさ》びた城に着いたのは、二時間あまりたってからのことであったにちがいない。その城は、余にとって、物狂わしきほど馴染のあるものでありながら、戸惑うばかりに勝手のちがうものでもあった。見れば、濠は埋められ、見慣れた塔のいくつかが姿を消している一方、新しく翼壁が設けられており、見まもる余をまごつかせた。しかしながら、余が格別の興味と歓喜を胸に眺めたのは、開け放たれた窓まどである――絢爛《けんらん》と灯火が輝き、このうえもない陽気な歓楽のざわめきを外にもらす窓まどであった。窓の一つに近づき、なかを覗いてみれば、実に妙な装《なり》をした連中が、うかれ騒ぎ、楽しそうに話しあっているではないか。余はおよそ人間の言葉というものを耳にしたことがないため、何を話しているかは漠然とあたりをつけることしかできなかった。幾人かは、途方もなく古い記憶を甦らせる顔つきをしているように思えたが、それ以外はまったく見知らぬ者ばかりであった。  余は低い窓から灯火|燦然《さんぜん》と輝く部屋に足を踏みいれた。しかれどもそのゆえに、ひたすら晴れやかな希望にみちた瞬間から、絶望と現実認識の暗澹《あんたん》たる渦中へとわが身を置いてしまったのである。悪夢がただちに訪れた。余が部屋に入るや、部屋のなかは想いもよらぬ阿鼻《あび》叫喚《きょうかん》の巷《ちまた》と化した。窓枠をまたぐかまたがぬかのうちに、部屋にいた連中ことごとく、未曾有《みぞう》の強烈な恐怖に突如として襲われ、顔という顔をひきつらせ、口ぐちに実《げ》に恐ろしき悲鳴を発したのであった。誰もが傾《なだれ》をうって逃げだし、絶叫と狼狽のうちに気を失って倒れる者もいたが、うちまろんだ者は狂ったように逃げる仲間がひきずっていった。多くの者は目を両手でふさぎ、盲滅法に走れば、数ある扉の一つにようよう行きつくまで、家具を倒したり、壁にぶつかってよろめく始末。  悲鳴たるや、血も凍るほどに恐ろしいものであった。余は燦燗たる部屋にひとり呆然と立ちつくし、消えやらんとする悲鳴の残響に耳をかたむけているうち、ふと、間近に何者かが潜んでいるやもしれぬという思いがして、総身が震えた。さりげなく見渡してみるに、部屋は無人と化しているように見えたが、壁の窪みに足を進めたとき、そこに人の気配を見たように思った。窪みには黄金の迫持《せりもち》造りの戸口があり、どうやら同じ造りらしい別室に通じているのだが、そこで何かが動いたようであった。戸口に近づくにつれ、人の気配がはっきりと感じられはじめた。と、そのとき、余は信じられぬものを目にして、これが最初で最後だと思われる恐ろしい吠え声を発してしまった――声は有害な原因と同じほど陰惨に喉をついてでた。その姿一つで、陽気な者らを一群のあわてふためく逃亡者と化さしめた、考えることも、描写することも、告げることもできぬ怪物を、余は恐ろしきまでにまざまざと、真っ向から目にしたのであった。  そいつがどのようなものであったかは、漠然と記すことすらできぬ。不潔で、不気味な、歓迎されざる、畸形の、忌むべきものの具現であった。腐敗、老廃、荒蓼《こうりょう》の幽鬼めく影、慈悲深き大地が常に秘め隠しておくべきものの凄絶な露呈たる、吐気もよおす、腐汁したたる妖怪であった。それがこの世のものならぬ、いや、もはやこの世のものでないことは、神もご存じだろうが、ことさら恐ろしいことに、余は、肉が腐れ、骨があらわになっている輪郭のうちに、人間の姿の陰湿かつ忌わしい模倣を見てとったのである。そして黴《かび》だらけ、破れ放題の衣服には、さらに余の心胆を寒からしめる名状しがたいものがあった。  余は気も失せんばかりであったが、かろうじて逃げる努力をおこなえるだけの気力はあり、よろめきながらあとずさったものの、そんなことでは、この名もなき声もなき怪物が余を捕えている魔力をうち破れるものではなかった。吐気もよおすほどに凝視するどんよりした目玉に魅入られ、余は目を閉じることもかなわなかったが、ありがたいことに、度胆を抜かれてからは、余の目はかすみ、悚然《しょうぜん》たる相手もおぼろにしか見えなかった。それでもさらに目をふさぐため、手をあげようとしてみたが、神経がしびれてしまい、腕を動かすこともままならぬ。さるほどに余は体の平衡を崩し、倒れるのを避けるため、数歩まえによろめきでなければならなかった。そのとたん、腐れはてたそいつが、うつろな悍《おぞ》ましい息づかいが聞こえるやと思うばかりに、つい目と鼻の先にいるのを、余はにわかに狂おしきまでに思い知ったのである。余は半狂乱になったが、間近にせまる悪臭放つ幽鬼をはねのけるべく、手を突出すくらいのことはできた。その刹那《せつな》、宇宙の悪夢と地獄の異変がいちどきに押し寄せたような激変の一瞬、黄金の迫持の下なる怪物の突出す腐れはてた手に、余の指はふれてしまった。  余は悲鳴をあげはしなかったが、余の心に魂も消えやらん記憶の雪崩《なだれ》が押し寄せた一瞬、夜風に乗る極悪残忍な悪鬼どものすべてが、余にかわって絶叫をあげた。その一瞬、余はこれまでのいっさいのことを知った。恐ろしい城と森以外のことを思いだし、いま余が身を置いている改築された建物が何であるかを理解した。何より恐ろしいことに、汚された指をひきもどしたとき、余のまえに立って邪視をおくる穢《けが》らわしきものが何者であるかを、まざまざと思い知ったのであった。  しかれども、この世には無情もあれば慰めもあり、霊薬ネペンテの忘却こそ、その慰めである。あの一瞬の至高の恐怖のうちに、余はおのれが何におびえきったかを忘れはて、一気に甦った冥《くら》い記憶は、渾然と心に映じる残像の混沌のうちに消え失せてしまった。余は夢見心地で、あの呪われ、憑《つ》かれた館から逃げだし、月光のなかをしめやかに速やかに走った。大理石の教会の中庭にもどり、階段をくだったが、あの石の落とし戸は微動だにしなかった。さりとて、あの古びた城と森を憎んでいれば、別に嘆きもしなかった。いまや余は悪戯に興じる親しげな幽鬼どもと夜風に乗り、昼はナイルの畔《ほとり》、開かずの谷ハドスにある、ネフレン=カの地下墓地で遊びたわぶれている。もはや余にとって、光とはネブの岩の墳墓を照らす月影だけ、また歓楽とは、大ピラミッドの下でおこなわれるニトクリスの名もなき饗宴だけであることは、重々承知している。しかしながら、この新しい自由と熱狂のうちに、余はむしろ、のけ者にされている身の辛さをありがたく思っているのである。  なぜなら、忘却が余を慰めてはくれたが、余はおのれが局外者《アウトサイダー》、今世紀においてまだ人間でいるやつらのあいだではよそ者であることを、不断に承知しているからだ。このことは、あのきらめく黄金の枠のなかの穢らわしきものに指をさしのべたとき以来、常にわきまえている。さしのべた指が、冷たく、硬く、光沢ある、ガラスの表面にふれたからには。